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地域だより[2005年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2005年5月]

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札幌事務所


春休み親子料理教室
〜北海道で採れるてん菜からビートシロップを作ってみよう! 〜

  平成17年3月30日(水)、札幌市の北ガスクッキングスクールにおいて、北海道ガス(株)は、春休み親子料理教室を開催した。同料理教室には、小学生とその母親29名が参加した。
 ビートシロップ作り体験に先立ち、当機構武居札幌事務所長から、テキスト「おさとうのおはなし」やパネルなどを使って、てん菜がいかに北海道において重要な農作物であるか、そして、てん菜から砂糖がどうようにして作られ、これらの砂糖が脳や体に無くてはならない重要な食物であるかなどを学習した。
 「てん菜からビートシロップ作り」では、同クッキングスクールの鈴木講師の指導のもと母親いっしょに、(1)「てん菜」を包丁で千切りにし、(2)刻んだ「てん菜」を鍋に温水を入れ、弱火で浸出し、(3)約1時間浸出した後、煮汁をキッチンタオルでろ過し、そのろ過したものをさらに煮つめ、アクをとりながら「ビートシロップ」を完成させた。
 また、シロップ作りと平行して、ホットケーキ作りを体験し、完成したホットケーキに、自分たちが作った「ビートシロップ」をかけて試食した。
 北海道ガス(株)が行ったアンケート結果では、「(1)とてもいい企画である。食材を切ったりして調理するということはよくあるが、砂糖(ビートシロップ)を作るというのは初めてなのでとても勉強になった。(2)北海道で生まれ育って、今日初めててん菜を見た。まだまだ知らないことがいっぱいあることを実感した」などという声もあり、北海道特産のてん菜について少しでも理解してもらえたら幸いである。

砂糖の学習中
シロップ作りを体験

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東京事務所


沖縄の魅力あふれる〜銀座わしたショップ〜

 株式会社沖縄県物産公社は沖縄県産品の市場開拓と販売を目的に、全国に販売直営店「わしたショップ」を設けている。(「わした」とは沖縄の方言で「私たち」の意味)同公社は沖縄県と沖縄の地元企業などが株主となって平成5年に設立され、店舗を国内に10店、海外に1店、そのほか特約店を15店設置している。
 東京都中央区の「銀座わしたショップ」は、平成6年に沖縄県外では初の直営店として開設され、地方自治体のアンテナショップのさきがけとして話題になった。同店は、沖縄産の健康食品、加工食品、生鮮野菜やお菓子など豊富な品揃えで、沖縄の情報発信基地として広く知られている。
 同店は、沖縄県の基幹作物であるさとうきびから作られる黒糖や黒糖を使った商品を扱っており、主なものに黒糖、黒糖を使った菓子、黒糖ココアなどがある。
 黒糖については、島別に作られたものをはじめ、豆類やフルーツなどさまざまな食材とミックスした黒糖や菓子類、飴類と多種にわたる。黒糖ココアと黒カリーは「わしたショップ」のオリジナル商品で、黒糖ココアはココアパウダーに沖縄産黒糖と沖縄与那国島でとれた珊瑚カルシウムを配合したもので、ポリフェノールや食物繊維だけでなく、鉄分が豊富に含まれているのが特徴である。粉タイプに加えて、今年3月には缶入りのアイス専用ココアが発売され、夏向けの商品として期待されている。黒カリーは「黒糖ココア」をベースにタマネギと沖縄産パパイヤを加えたレトルト食品で、ゴーヤーカレーとともに人気がある。
銀座わしたショップ

 また、「沖縄のお菓子シリーズ」として新たに「黒糖タブレット」、「黒糖ミニかりんとう」などが発売された。特に「黒糖タブレット」は黒糖を一口タイプのタブレット(錠剤)に加工したもので、携帯にも便利な若者向けの商品として好評を博している。
 これらの商品は沖縄県内の食品企業が生産しており、新たな商品の企画開発には銀座店をはじめ全国各店か
ら寄せられる店頭販売における消費者の反応、要望、意見などが反映されている。


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宮崎出張所


子供の成長を祈願した宮崎県佐土原町「鯨ようかん」の紹介

 宮崎県を代表するお菓子に佐土原町の「鯨ようかん」がある。このようかんは約350年前、時の佐土原藩主・島津忠高に男子が誕生したお祝いとして、御用菓子屋に祝い菓子を作るように依頼し、献上されたのが起源で、その菓子は長さ40センチ、幅20センチと非常に大きく「鯨のように大きく、力強く育ってほしい」との願いが込められたものであった。また、現在、同町民はこのようかんを、お遣い物として使うことが多い。
 同町は鯨を捕獲できる地域には該当しないものの、「鯨ようかん」のネーミングにも使われている「クジラ」をキーワードに地域おこしグループとして「佐土原くじら会」を発足させ、こいのぼりならぬ「クジラのぼり」や「くじらシール」などを作るなどの活動を行い、地域の活性化につなげている。
 同町には菓子店が10店舗あるが、そのうち「鯨ようかん」が作られているのは約8店舗となっている。今回は菓子屋の取締的役割を担っている「日向橘」店主・山根治邦氏(70歳)を紹介する。
 「鯨ようかん」の材料は、砂糖、米粉、あん、塩などで、伝統的な味を守るために昔ながらの手法を用いて作られている。
 作り方は
(1)米粉に熱湯を入れてこね、団子状にしたものを20分間蒸す。
(2)蒸し終わった米粉を再度こね、お湯を入れて柔らかくし、味を調え棒状にのばす。
 (その上に乗せるあんには色が変わらないようにグラニュ糖が使われている。)
(3)それをかまぼこ状に形を整えていく。
(4)最後につや出し用として、水で溶いたデンプンをはけで塗り、ふたたび20分蒸し、冷ましてからカットする。
という手間のかかる作業で、商品になるまで約1時間半が費やされる。味はあっさりとした甘さが特徴で、食感はもちもちしており「ういろう」に似ている。
 地元の人は開店と同時に店を訪れることが多いため、午前9時から商品を陳列できる状態にしなくてはならず、それに合わせ仕込みが始められることから、季節を問わず早朝からの作業は大変であるとのことである。
 また、「鯨ようかん」は米粉を使用しているため、日持ちしないのが難点であるものの、防腐剤などを使用すれば本来の味を損なう恐れがあるため、昔ながらの作り方を堅く守っており、体力が続く限り「鯨ようかん」の伝統の味を伝承し続けていきたいと山根氏は語ってくれた。

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那覇事務所


さとうきび製糖工場見学会がうるま市で開催

 平成17年3月22日(火)、機構那覇事務所主催により沖縄本島中北部を生産エリアとする球陽製糖(沖縄県うるま市)と日本分蜜糖工業会の協力のもと、球陽製糖工場において地域情報モニター員を対象とした「さとうきび製糖工場見学会」が開催された。
 この見学会は、普段なかなか見られない製糖工場を見学し、今後の沖縄県のさとうきびおよび砂糖産業の現状に関する意見の交換を目的とし、沖縄県内の地域情報モニター5名が参加した。
 工場見学に先立ち、当機構仁科那覇事務所長よりさとうきび生産実績等の説明があり、続いて球陽製糖管理部宮平企画開発課長より製糖工程の説明および同社の沿革を紹介した後、工場見学を行った。
 工場見学では、さとうきびの搬入状況や効用缶、結晶缶などの工場内の施設、製品倉庫等を見た参加者から「製糖の工程がこれほど数多いとは驚きました」「砂糖を何気なく使っていたが、明日からはもっと大切に使いたい」などの感想が出た。
 工場見学後の質疑応答では、日本分蜜糖工業会国吉専務理事から「日頃より砂糖に関して多大な関心を持っていただき、ありがとうございます。さとうきびの経済波及効果は、県内産業で最も高い4.3倍もあります。さとうきび売上高は年間約170億円(生産量約85万トンの場合)程度ですが、肥料、飼料、道路貨物輸送、小売り等々の産業に影響を及ぼすため、県内産業の売上総額として、その4.3倍の約730億円にまで増えるということであります。まさにさとうきびは沖縄にとって欠かせない作物であります」との挨拶があり、球陽製糖新里常務取締役からは「さとうきびの絞りかす(バガス)はボイラーの燃料となり、工場内の発電を賄っている。濾過されたフィルターケーキは農家に肥料として還元、廃糖蜜はバガスと混ぜてたい肥を作る。さとうきびは無駄のない作物である」と説明があった。
 また、消費者モニターから「春植、夏植と株出の収量の違いはあるのか」の質問に対して「収穫量の多さでは夏植、株出し、春植の順番である」や「原料糖ができるまでどのくらい時間がかかるか」に対して「最初から最後までの工程になると約1週間かかる」や「製糖シーズン以外ではどのような仕事があるのか」に対して「工場内の機械を解体し、部品のメンテナンスを行っている」など、活発な意見交換が行われた。
 今後も関係業界と連係して消費者に対して、沖縄のさとうきび産業の重要性や、砂糖の正しい知識の普及啓蒙および砂糖の安全・安心をPRしていきたい。
     
見学前説明

製糖工場内を見学

工場見学後の質疑応答


さとうきび生産向上推進大会の開催

 昨年の度重なる台風は、本土においても大変な被害をもたらしたが、台風の常襲地域の沖縄でも台風など自然災害による農作物への被害は、今期(平成16年/17年産)のさとうきび生産に甚大な被害をもたらし、葉の裂傷、塩害、また地域によっては干ばつと、さとうきび生産にとっては大変厳しい年であった。
 このため、生産者をはじめさとうきび関係者は、相当な危機感を持って収穫を見守ってきたが、今期は70万トンを下回る史上最低の生産量予想となっている。
 このような中で、来期に向けた生産向上推進に農家および関係者が一体となり、さとうきび生産に取り組むため、JAおきなわと県農林水産部が中心となって、平成17年3月16日(水)、沖縄県糸満市において「さとうきび生産向上推進大会」が開催された。
開会式で主催者代表JAおきなわ 赤嶺勇理事長は、「キビは沖縄農業の基幹作物であり危機感を持って取り組まなければならない」と挨拶があり、続いて沖縄県農林水産部諸見武三部長(当時)が「基本的な肥培管理を適切に行うことにより単収を上げるとともに、農家所得も向上させよう」と激励したのをはじめ、生産者代表からの挨拶後、沖縄県糖業振興協会の島袋正樹技術アドバイザーから、「収穫後の株出管理や肥培管理のなどの徹底が生産向上につながる」として、生産者を前に栽培管理のポイントを、初期管理が重要であり(1)春植えは3月〜4月に行う、(2)株出し管理は収穫後から1週間以内に行う、(3)早めの施肥と捕植は、収量アップにつながり、「春植え株出しで儲けましょう」と、うちなーぐち(沖縄の方言)を交えた生産者に分かりやすい語り口で説明を行った。
 圃場では小型ハーベスターのほか、株揃え機、捕植器などの紹介と実演が行われ、参加者は実演者に丁寧に操作や値段などの質問を行っていた。
 実演を含めた生産向上推進大会を開くことにより、来期に向け関係者一体となった生産対策に取り組む意欲や姿勢を示す大会となった。

挨拶をする諸見武三部長(当時)
島袋アドバイザーによる説明
   

小型ハーベスター

圃場での実演

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