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地域だより[2005年9月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2005年9月]

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札幌事務所


第3回てん菜研究会の開催

第3回てん菜研究会の開催
〜特別講演「てん菜製糖副産物から機能性脂質セラミドの生産」〜 平成17年7月29日(金)、北海道大学学術交流会館において、日本てん菜研究会の主催により、第3回てん菜研究会が道内の農業試験場、大学、糖業関係者など112名の参加の下、開催された。同研究会で、()農業・生物系特定産業技術研究機構北海道農業研究センター流通システム研究チームの高桑直也氏が「てん菜製糖副産物から機能性脂質セラミドの生産」と題した特別講演を行ったので、その概要を紹介する。

研究チームが目指す研究の背景
 地域経済を農産業へ依存している北海道では、生産に関わるコストの低減、および高品質・高付加価値化が重要な課題となっている。道内で大量に発生している農産加工副産物に注目して、高い付加価値を与える技術開発を行うことにより、地域経済の活性化を目指している。研究では、まず1番目として農産物やその加工副産物の中からセラミドを低コストで製造できる供給源を探し、2番目としては酵母による新しいセラミドの生産方法の開発について取り組んできた。

取り組みその1:ビートパルプからセラミド

 現在、セラミドは糖脂質のひとつで、化粧品やサプリメントの成分として配合されている。一般的に知られているセラミドの機能はというと「肌の保湿効果」であるが、アトピー性皮膚炎や大腸ガン予防効果などの興味深い生理作用があることがわかってきている。セラミドは脳白質に多量に存在しており、その供給源は牛脳であったが、BSE発生以来ここから分離するのが難しくなっている。現在、流通している植物由来のセラミドのほとんどは、米糠などから抽出したものであり、乾燥重量にして0.01から0.02重量%程度と極めて微量成分であるので、1kg当たりの市場価格は3%含有品で20万円にもなっているのが現状である。そこで、より低コストで製造するのに適した原料を探すため、各種の農産物及びその加工副産物におけるセラミドの分布とその含量を調査して、豊富に含有する原料を見出すことを試みた。
 その結果、今回調べた(図1)中で、一番含量が高かったのが、リンゴ搾汁残渣(リンゴジュースのしぼり粕)であった。また、この中で、ビートパルプに注目すると、セラミド含量は米糠よりも2倍程度多く含まれていたので、ビートパルプも十分に代替原料として期待できるものと考えられた。現在、ビートパルプは道内の十勝だけでも年間約9万トン発生している。しかも、ビートパルプは水分含量が10%程度と比較的少ないので、リンゴ搾汁残渣よりも乾燥コストが低く、且つ安価で大量の原料調達が容易であると考えられる。ビートパルプを代替原料としてセラミドを生産することで、大幅な低コストや安定した供給が見込まれるとともに、てん菜の高付加価値化に貢献できるものと期待される。


図1 農産加工副産物のセラミド含量


取り組みその2:酵母による新しいセラミドの生産方法の開発
 現在、てん菜から砂糖を製造するときに副生するビートモラセス(廃糖みつ)及び牛乳からチーズを製造するときに副生するチーズホエーを原料として「酵母」を培養し、「酵母」のセラミドを低コストで製造するための技術開発を行っている。この研究は、産学官の6つの機関で、それぞれが緊密に連携しながら取り組んでいる(図2)。

本研究の成果による波及効果
 図3は、以上の本研究の成果による波及効果を試算してまとめてみたものであり、ビートパルプについては、これは道内ですぐに実用化できるのではないかと考えている。


図2 各研究機関の役割


図3 波及効果


今後の展望―てん菜の多段階利用
 てん菜は、北海道における輪作体系を構成するきわめて重要な作物であるが、近年の砂糖の消費量の停滞や産糖量の増加などによって、需給環境は厳しい状況下にある。その中で、てん菜はこれまで紹介したセラミドやエタノールの原料としての用途も期待されつつある。これからは、てん菜を甘味資源としてだけではなく、バイオマス資源として高度に利用する技術開発が急務であると考えている。そこで、これからは経済性のあるバイオマス研究を強化する方針で、北海道の畑作の国際競争力を強化するためにも、てん菜の植物体を100%有効活用した多段階利用により、消費者のニーズに応えた品質への加工方法やその加工副産物の有効利用に関する技術開発を加速させて、持続的な生産システムを堅持させることを目指したいと考えている。 (廣垣)

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成田山表参道の老舗のようかんの紹介について


 千葉県成田市の『大本山成田山新勝寺』は、年間約1,000万人以上の参拝客が訪れる日本屈指の寺社である。また、同寺に続く参道には江戸時代の面影を残す古い建物が連なっており、100軒を越す土産物店および和菓子屋などが多く見られる。
 この参道に100年の歴史を誇る老舗の和菓子屋「なごみの米屋」があり、砂糖、小豆および寒天を主原料としたようかんを作り、伝統の味を堅守しているので紹介する。


江戸時代の風景に迷い込んだ錯覚に陥りそうな参道

 同寺は、平安時代に朱雀天皇が「平将門の乱」を平定するために、御本尊の不動明王を京都の神護寺から御堂を成田市の南方「公津ヶ原」に建て、その後、成田市の市街地に移したものであり、お護りしたのが成田村の名主諸岡三郎左衛門氏で、米屋(株)創業者の遠祖にあたる人物である。
 日本初の栗ようかんは、同社の創業者である諸岡長蔵氏が同寺の精進料理の中にあった「栗羹」をヒントに考案した。この栗ようかんを復活させたのが創業記念菓『伝承 栗羊羹』で、参道では昔を懐かしむ参拝客に人気の高いようかんとなっており、最近の消費者の嗜好に合わせてあっさりとした甘さのとなっている。
 一方で、しっとりとした甘さを懐かしむ要望から開発されたようかんが「昔羊羹」で、砂糖が粉を吹いているように表面を白く覆っている昔ながらのようかんであり、同社は消費者の甘さの変化に柔軟に対応している。


昔を懐かしむ参拝客に人気の高いようかん

 ようかんは、生菓子のため、賞味期間が短いという面もあるが、砂糖を使用することによって、硬くなりにくくする効果や防腐効果があり、砂糖はようかんにとって大きな役割を果たしている。このように、保存性を高めたり、味わいや食感、仕上がりの美しさを演出することが出来る砂糖は、ようかんと密接な関係があり、必要不可欠な存在である。


「成田羊羹資料館」入口で甘味資源作物(さとうきび)を栽培

 また、同社では、平成14年10月からようかんのルーツやその変遷を当時の貴重な資料で展示する「成田羊羹資料館」を開設しており、ようかんの主原料の1つでもある砂糖についても紹介するほか、てん菜やさとうきびの鉢植栽培を行うなど、砂糖の啓蒙普及にも努めている。入館者は平成17年4月で10万人を越えたということである。
 最後に、今回取材に協力いただいた、同社営業開発部長の白鳥氏は「最近、和菓子は健康に良い食べ物として見直されているのですが、ようかんも良質のタンパク質である小豆と、整腸作用のある寒天、エネルギー源の砂糖で出来ている健康食品です。自分にあった量を召し上がっていただければ体にもよく、心も和みます。それが和菓子の素晴らしさなのだと思います。」と語ってくれた。 (石井)

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南三島のさとうきび農家が交流〜第2回南風きび会を与論島で開催〜

 平成17年7月14日(木)〜15日(金)の2日間、与論島において徳之島、沖永良部島および与論島のさとうきび生産者組織の参加の下、南三島さとうきび生産者組織研修・交流会「第2回南風きび会」(与論愛糖会、沖永良部農業改良普及センター主催)が開催された。
 同会は、さとうきびの生産振興を図る上で生産者組織の果たす役割はきわめて重要との認識のもと、今後ともその生産者組織の育成と活動強化を推進するため、徳之島のジャンプ会(市来昇会長)、沖永良部島の沖糖会(谷山健一郎会長)と与論島の愛糖会(永井弘会長)の資質の向上と組織活動の強化を図り、さとうきびの生産振興に資する目的で昨年の沖永良部島に続く開催となり、三島の生産者(49名)と関係機関(32名)の81名が参加した。
 初日は、与論町中央公民館で室内研修会が開催され、講演、3名の事例発表、各島の現状報告に続き、パネルディスカッションが行われた。


会場の様子

 講演では中種子町の鎌田恵氏が「さとうきび栽培の北限からの挑戦」と題して、管理作業オペレーター雇用による生産性の向上を目指すまでの経緯を語り、その中で特に収穫班と管理班を分けることによる収穫期の適期管理作業を克服した事例を説明した。今後は、規模拡大を視野に入れ、基本技術の励行で単収8トンと糖度14度以上を目指す決意を語った。
 事例発表は、伊仙町の重伸夫氏、知名町の園田孝徳氏、与論町の林俊一氏が行い、重氏は主にさとうきび機械化一貫体系による単収向上と生産牛との複合経営による規模拡大を語り、園田氏は各島の作物の違いや管理作業に向ける労働力を考えた上で、春植、株出体系の固定概念にとらわれない発想により夏植型に転換した経緯と適期管理作業による単収向上を語り、林氏は単収向上には一筆が狭い農地の集積によるハーベスタ導入、雑草対策とかん水の重要性を語った。
 パネルディスカッションでは、集落営農を視野に入れた営農組織運営について、田代一美鹿児島県農政部経営技術課専門技術員をコーディネーターとし、講演者と3名の事例発表者をパネラーとして行われた。パネラーが島の集落営農状況や自らが所属する営農組織の活動状況を報告し、これを参考に田代氏が規模を拡大して生産量を維持することは一つの集落では困難であり、そのためには営農組織生産者は近隣の仲間を増やし、集落を増やすことも今後の方向性のひとつであること、生産者に対する啓蒙のため各地域で今後も話し合いの場を持つことが重要であることなどの説明が行われた。
 二日目は、4Hクラブ会員による徹底した適期管理作業の夏植ほ場、現地適応性検定試験ほ場、県営畑地帯総合整備事業ほ場などでの現地検討会や、生産牛排泄物を利用した与論町堆肥センターなどの見学を行い、与論島におけるさとうきびの栽培技術や品種について島外生産者は熱心に説明に聞き入っていた。
 今後も三島の生産者組織の交流により、さとうきびの単収向上に関連する各島の栽培・管理技術の共有による生産技術のレベルアップを図り、生産性の向上に寄与することを期待したい。 (水内)


パネルディスカッションの様子

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「平成17年度(第40回)さとうきび試験成績検討会」が鹿児島市で開催

 平成17年7月26日(火)から27日(水)にかけて、社団法人鹿児島県糖業振興協会の主催による「平成17年度(第40回)さとうきび試験成績検討会」が鹿児島市の鹿児島県農業共済会館において開催され、関係機関などから約90名が参加した。
 同検討会では、育種・品種関係、栽培関係、土壌肥料関係、病害虫関係、農業機械・農業経営・バイオテクノロジー関係について、各試験研究機関からの試験成績の発表と関係機関等による相互検討が行われ、26日には「経営規模拡大と生産性向上対策」と題したシンポジウムが開催された。


パネルディスカッションの様子

 育種・品種関係では、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センターより「南西諸島の低収量地域でも株出し多収性を発現するさとうきび品種の育成」という課題で、サトウキビ新品種候補系統である「KY96T―537」、「KY96―189」について試験成績の発表が行われた。
 「KY96T―537」については、鹿児島県奄美地域(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)において、近年、株出し収量の低下などの理由から生産量が減少傾向にあり、また、干ばつの常発地帯である与論島では、干ばつ年においても安定して多収となる品種が要望されている状況のなかで、初期伸長およびその後の伸長性に優れる「KY96T―537」を与論島を中心に利用することにより、同地域における株出し安定多収栽培が実現し、さとうきび生産の向上が期待できる、との発表が行われた。
 「KY96―189」については、さとうきび栽培の北限に近い鹿児島県熊毛地域(種子島)では、生育に適した高温期間が短く、他の生産地域よりも低温期が早く訪れる状況にあり、奄美地域においては、生産量が減少傾向にあり、株出し収量の低下などが原因として挙げられている。この問題の解決策として、熊毛・奄美両地域では、早期高糖性で、株出し収量の多い品種が必要とされているなか、株出し収量が多く、早期収穫における高糖性に優れた「KY96―189」を利用することにより、早期収穫における品質向上と株出し安定多収化が実現し、さとうきびの生産性向上が期待できる、との発表が行われた。

 シンポジウム「経営規模拡大と生産性向上対策」では、鹿児島県農産課糖業指導監の芝敏晃氏より「新たな砂糖及び甘味資源作物政策について」、さとうきび農家である中種子町の鎌田恵氏と知名町の園田孝徳氏より「大規模農家の経営事例発表」、そして、鹿児島県経営技術課農業改良専門技術員の田代一美氏より「規模拡大と技術・経営指導のあり方」、と題した3点について話題提供があった。


シンポジウムの様子

 今回の検討会で発表・検討された各課題が着実に成果を上げ、鹿児島県におけるさとうきびの生産性の更なる向上、安定したさとうきび生産量の確保へと結びつくことを期待したい。 (池野)
 
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