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地域だより[2006年1月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2006年1月]

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札幌事務所


札幌消費者協会が小学校へ出前講座「甘い世界を探検しよう!」

  平成17年11月24日(木)、札幌市立宮の森小学校において、札幌消費者協会は、「甘い世界を探検しよう!」という出前講座を開催した。これは、宮の森小学校のPTAが中心となって年1回行っている「宮の森タイム」という特別授業で、児童の母親から依頼された同協会が実施したもので、4年生1クラスの39名が甘さについての実験を家庭科室で6班に分かれて、母親たちが見守る中行われた。
 農畜産業振興機構札幌事務所は、子供たちに本物のてん菜を知ってもらうという同協会からの要望に応えて、社団法人北海道てん菜協会より「おさとうのおはなし」のテキストを、製糖業者より葉付きビート6個を同協会に斡旋した。
 一つ目の実験は、市販のオレンジジュース3種類(濃縮還元果汁100%、オレンジ果汁20%入り、果糖ぶどう糖液糖入りの着色炭酸飲料)をそれぞれ赤・青・黄の色紙でラベルを隠して、ジュースの種類を分からなくし、どのオレンジジュースが一番甘く感じるかの官能検査を行った。結果は、一番甘く感じたのが青の26人、二番目が黄の10人、三番目が赤の6人だった。次に糖度計を用いて、それぞれのオレンジジュースの糖度を測り、一番甘く感じた青のオレンジジュースの糖度が一番高いのかを確認した。結果は、青が10.40度、黄が11.55度、赤が10.75度で、意外にも二番目に甘いと感じていた黄のオレンジジュースの糖度が一番高かったので、子供たちは一様に驚いていた。中には、子供に混じって糖度計を覗いている母親もいた。飲み慣れたおいしさと甘さの区別が難しいと思われる。
 二つ目の実験は、水に砂糖、クエン酸、オレンジエッセンス、炭酸水素ナトリウム、氷を順番に入れて、オレンジソーダを作る過程で、それぞれの材料を入れた段階で味見をして、どの段階で一番甘く感じるかを試した。結果は、水に砂糖を加えた場合は、甘いという中にも、まずいと感じる子供がいた。次にクエン酸を加えると、甘さとの相乗効果がでるかと思っていたら、すっぱいと感じる子供が多かった。次にオレンジエッセンス、炭酸水素ナトリウムを加えて、オレンジソーダが完成しても、子供たちの反応はいま一つであった。ところが、できたオレンジソーダを最後に氷を入れて冷やした時、オレンジソーダが冷えたことにより、ちょうどよい糖度に感じたのか、子供たちの反応は良かった。これは、子供たちにとって甘いというよりは、一番おいしかったようである。
 三つ目は、班ごとの対抗戦として、砂糖に関する問題を○×形式で出題した。問題の中で、砂糖が何からできているかという質問に対して、半分ぐらいの子供が手を挙げた。北海道は唯一、てん菜の産地なので、てん菜またはビートという答えを期待したが、ひとりの子供が「さとうきび」と答えた。さらに、他に知っている人はいるかどうか問われても、驚くべきことに、北海道の代表的な畑作物であるてん菜を知っている子供が誰もいなかった。
 最後に、てん菜の味を確かめてもらうために、1つを千切りにして子供たちになめてもらったところ、一様に「甘い」の声が聞こえてきた。子供と一緒になめている母親は、子供以上に興味を持っているように見えた。
 これからも確実に基本的な知識を子供たちにも理解してもらうことが重要であると改めて実感した。今後も札幌消費者協会と連携を図りながら、大人だけでなく、次世代を担う子供たちと共に、積極的にお砂糖の不思議な世界の探検に協力していくことができれば幸いである。 (戸田)

てん菜の味見の様子
オレンジジュースの味見実験

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東京事務所


「甘味シンポジウム〜甘さの魅力について考える〜」が開催

  平成17年11月22日(火)、東京新宿の京王プラザホテルで、社団法人糖業協会、精糖工業会、砂糖を科学する会の主催する「甘味シンポジウム〜甘さの魅力について考える〜」が開催された。同シンポジウムは甘くておいしい砂糖は、健康を支える大切なエネルギー源であり、毎日の生活に甘味をどう生かすかをテーマに開催されたもので、一般消費者約700人の応募の中から抽選で300人が参加した。
 前半は、浜松医科大学名誉教授で医学博士の高田明和氏による「ストレス時代を、甘味でいきいきと生きる」と題した講演が行われた。脳と栄養の関係、肥満や糖尿病と砂糖の関係などについてわかりやすく説明された。多くのエネルギーを消費する脳を支える為には十分な栄養をとることが重要で、その脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の補給は、心身の健康を維持するために必要不可欠であること。砂糖が脳のエネルギー源と言われるのは、体の中でブドウ糖に分解され、すばやく吸収されるためであること。また、太ると病気になると思ってダイエットするのは誤りで、病気の予防には食事と運動が大切であり、乱れた食生活を見直し、必要なエネルギーは食事を通してしっかり摂り、運動を欠かさないようにすれば気力・体力とも充実すると述べられた。
 後半は、「日常生活で甘味をどう生かすか」をテーマにパネルディスカッションが開催された。(株)横浜国際バイオ研究所前会長の橋本仁氏がコーディネーターを務め、スポーツタレントで元冬季五輪フィギュアスケート代表の渡部絵美氏、大阪体育大学大学院・同大学教授の岡村浩嗣氏、明治製菓株式会社の食料健康総合研究所長の荒森幾雄氏、フードコーディネーターのおおやかずこ氏、講演を行った高田明和氏をパネリストに迎え、砂糖やおやつ、甘味に関する話題、運動や健康面からみた砂糖の効用などについて、意見交換が行われた。
 渡部氏は、米国での生活経験から米国人が甘い物を好むことを知り、自分も甘い物が好きになったこと、現役選手のころは競技前に集中力を高めるために砂糖の塊を食べたことを披露された。岡村氏は、運動によりエネルギーを消費すると、体は生理的に糖分を要求するので、運動をする時は甘味を上手に摂ることが必要と述べた。荒森氏は、お菓子を供給する側の立場で、最近は消費者の好みが多様化し、品質や価格について厳しい要求が多いが、食べて健康に良いお菓子作りに取り組みたいと話された。おおや氏は、食品開発の仕事に携わっている立場から、お客様が求めているのは本物のおいしさを追求した商品であり、デザートやお菓子も本物の甘さにこだわったおいしいものを提供することが大切であると語られた。最後に橋本氏が、甘さとは人間が初めてお母さんのお乳に接して感じる味覚であり、甘味と上手に付き合うことが人間の精神、肉体の両面から好ましいことが本日のシンポジウムで理解していただけたのではないかと述べ、パネルディスカッションを締めくくられた。
 講演とパネルディスカッションの後は、ケーキとコーヒーでティータイムが設けられ、参加者の談笑が続く和やかな雰囲気の中、同シンポジウムは終了した。 (三山)

シンポジウムの様子

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東京事務所


「加賀百万石錦秋の宴」東京で開催 〜石川の食材を使ったオリジナル和菓子〜

  平成17年11月19日(土)、浜離宮恩賜庭園内中島の御茶屋にて、石川県、いしかわブランド食材マーケティング推進協議会により「加賀百万石錦秋の宴」が開催された。このイベントは、13:00〜、16:00〜、18:30〜の3回に分かれて行なわれ、谷本正憲石川県知事、大樋焼十代目の大樋長左衛門氏をはじめ石川県にゆかりのある方、石川ブランド食材を応援する方を中心に各回30名、合計90名が集まった。
 各回ごと、加賀百万石の雅が香る「加賀茶点心」が九谷焼き・輪島塗の器で紹介された。食事の後に出された和菓子2種類のうち、一つは加賀の老舗和菓子店「森八」の水あめと能登大納言を使用した「銀こはく」、もう一つはお菓子作家金塚晴子さん《和菓子スタジオ「へちま」主催、ウェブサイトはhttp://www.hechima.info/》がこの日のために作ったオリジナル和菓子で、お抹茶とともに供された。
 金塚晴子さんのオリジナル和菓子は、秋の女神「竜田姫(たつたひめ)」と名付けられたもの。加賀野菜の「丸いも」、「五郎島金時」をベースに野菜の甘味を生かしつつ、上白糖を野菜の分量の約3分の1ほど使用し、ほどよい甘味に仕上がったものであった。さらに、白あんを秋の色合いに色付けした「もみじ」が添えられ、表面には加賀を代表する金箔が飾られていた。
 伝統の和菓子が数多くある中、加賀の素晴らしい食材を生かし、新しい感覚をも取り入れた和菓子が、茶室のしつらえの中で披露された。 (深澤)

抹茶に合わせて、左から「銀こはく」「竜田姫」

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横浜事務所


砂糖を使った硫酸に代わる効率的な固体触媒を開発 〜バイオデイーゼル燃料製造用触媒としても有効〜

  東京工業大学資源化学研究所(横浜市緑区)の原亨和助教授らの研究グループは、このほど砂糖を原料として、硫酸に代わる効率的な固体触媒の開発に成功した。
 今日、硫酸は肥料原料やさまざまな化学工業に極めて重要な役割をしており、世界で年間約1億トンが使用され、そのうち約1,500〜2,000万トンが触媒用に使われているという。
 しかしながら、触媒としての硫酸は安価であるが液体のため、出来上がった液体の物質と混ざるなど欠点も多い。固体であれば反応後の液体物質とは混ざることなく、回収もできる。そこで、今般、原助教授らは、砂糖などを原料として非常に効率の良い固体触媒を開発した。コストが安く、しかも回収が可能で再利用ができる。その概要は次の図のとおりである。
 まず、高熱(300〜400℃)で砂糖とD−グルコースを15時間加熱し、脱水・重合させ、不完全に炭化した多環状の物質を形成させる。これに硫酸を加えて、150℃・15時間加熱し、スルホン化させる。出来上がったのはシート状の多環芳香族カーボンである。

 バイオデイーゼル燃料製造用の触媒としても有効
 この物質の触媒としての効率を、高級脂肪酸のエステル化反応(バイオデイーゼル燃料のための反応)でみてみると、液体の硫酸には劣るが、既存の固体触媒よりもずっと効率が良い。
 なお、バイオデイーゼル燃料の製造は、大豆油などの高級脂肪酸にアルコールを加え、脂肪酸エステルを製造するものであるが、技術には、(1)アルカリ触媒によるエステル化法、(2)硫酸触媒による直接的なエステル化法などがある。今日、(1)の方法が一般的であるが、この場合、大量のエネルギーと生成物質洗浄用の水をそれぞれ必要とし、また、副生物のグリセリンに触媒由来のアルカリ物質が混ざるなど欠点も多く、課題が多い。(2)の方法は、近年開発されたものであるが、副生物のグリセリンは純度が高いものの、触媒が生成物質に混ざるなどの欠点がある。そこで、(2)の方法で、かつ、固体触媒であれば、生成物質に混ざらず、触媒を回収できる。今回、原助教授らによりこの技術が可能となった。
 なお、詳細は科学専門誌『ネイチャー(Nature、Vol.438, 10 November, 2005)』に掲載されている。

多方面の化学製造工程に応用可能

 食品・化学製品の製造において、触媒として硫酸を使用している工程がたくさんあるが、今回開発された固体触媒は、液体の硫酸に代わるものとして、多方面の製造工程に利用の可能性がある。 (高橋)

注:1 高級脂肪酸のエステル化反応には、エタノール0.1mol/オレイン酸0.010mol混合物とエタノール0.1mol/ステアリン酸0.010mol混合物を反応させた。触媒としてはそれぞれ0.2g使用
2 今回開発した触媒では、触媒量を増やすことにより、反応効率を倍にすることが可能

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宮崎出張所


和菓子の講習会 〜和洋菓子〜

  平成17年11月17日(木)、宮崎県清武町で宮崎県菓子工業組合主催による和菓子の講習会が開催された。同講習会は同組合員200名を対象に、来年の商品や独自性のある商品の開発のヒントになることを目的とし、今回は消費者ニーズが和菓子から洋菓子に移行していることを踏まえ、学校法人東京製菓学校和菓子科教師の小林紀夫氏を迎え、「和洋菓子」をテーマとして小豆松風、豆乳プリン、キャラメル水羊羹、チーズまんじゅう、柚子ダックの5品が紹介された。
 講師の小林氏は講習を始めるに当たり、「修行時代は、お菓子を作る基本的なものが分からず、お菓子を感覚的にとらえており、これ以上手を加えると失敗するということが分かっていても何をどうしていいか分からなかった」と実体験を述べ、和菓子を作る上で基本的な「豆をどうやって煮るか」、「蒸し菓子、餅菓子、焼き菓子などの概略」などを理解することにより、オリジナル性のある商品を作るベースになることを話していきたいと語った。
 講習は、小豆松風、豆乳プリン、キャラメル水羊羹などのようかん類から始まり、小豆松風では、レシピの中の赤糖について転化糖が使われていることを説明し、参加者に対して「転化糖が使われているもので代表的なものは何ですか?」と質問した上で、転化糖が使われているものの代表である上白糖を使用する利点として、味が濃い、戻りがよい(焼き上がった直後はビスケットのように硬いが翌日にはしっとりする状態)ことなどで主に焼き菓子に使われること、また、甘味をスッキリしたい時には白双やグラニュ糖を使用し、砂糖の結晶の表面積や体積の違いによって同じ分量を使っても、白双のほうが結晶が大きいため甘味がスッキリすることを述べた。
 豆乳プリンでは、寒天の戻し方について、関西では浸け汁をそのまま使い、関東では水を入れ替えアクを取る違いを挙げ、寒天の成分であるアミロペクチンとアミロースの特性として、アミロペクチンは水溶性なので水に浸けておくと溶けること、アミロースだけでようかんを作ると食感が固くなること、またゼラチンは常温で溶けるとことや、カラギーナンは砂糖を入れる量により硬さが変わるなどの特徴を述べた。
 豆の炊き方については、参加者に「自家製餡を作っているか?」、「豆を水に浸してから作っているか?」を聞き、粒の揃ったいい豆は水に浸さずに煮た方が良いことを述べ、その理由として豆の皮にあるシブをいかに豆に浸透させないで作るかによって餡の出来が変わってくることなどを説明した。
 チーズまんじゅう、柚子ダックの焼き菓子類では、生地を作る上で薄力粉100%に対し、砂糖50%前後、卵30%、香味料20%、膨張材1.5〜2%で、粉と水分を1:1で包むことが基本であり、香味料20%に何の材料を使うかによって、まったく違う味のお菓子ができることや、ホワイトボードに代表的な素材を書き出し、粉として計算するもの(薄力粉、粉乳、そば粉、ココアなど)、水として計算するもの(砂糖、蜂蜜、水あめ、卵など)を挙げ、粉と水分の比率が分かることによって、生地が包めるかどうかの判断が出来るようになることを説明した。
 また、餅菓子では、餅の粉には粘りがあるので、粉に対して2.6倍の水を入れることが基本になり、使われる粉の種類によって食感が変わってくることを述べた。
 最後に、「現在、洋菓子が脚光を浴びているのは、我々が努力をしていなかった時に努力してきた結果が今に現れていると思う。どうやっておいしいものを作っていくかをいつも考えることが必要である」とし、でんぷんを使って水に熱を加えることによってお菓子が作られる。そのでんぷん、水、熱の基本を理解することによって、まったく別のお菓子を作ることが可能になるので今後の商品開発の役に立つのではないかと締めくくった。
 参加者は今後の和菓子作りの参考にしようとメモを取ったり、餡の炊き方などについて盛んに質問をしていた。また、「修行時代には具体的な数値を基に、作り方を習っていないため、大変ためになった」などの意見が出されていた。
 同組合理事長山元努氏は、お菓子祭りを各支部で精力的に行っているが、同組合全体での纏まりが薄れてきているため、各支部一丸となった同県でのお菓子の博覧会などが出来れば良いと語っていた。
 今回の講習会は、豆の炊き方や素材の特徴、生地の考え方などを通して、和菓子の色々な可能性を示したものであり、この講習会が基になっていろいろなおいしい和菓子が開発され、同県を代表する銘菓が誕生することを楽しみにしたい。 (寺西)

講習の様子
和洋菓子

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宮崎出張所


日向市で「食の安全・安心」講演会が開催される 〜家庭の食育はあなたが主役〜

  平成17年11月17日(木)日向市の日向市中央公民館において、日向地区食品衛生協会と宮崎県日向保健所の主催で、「スペシャリストに学ぼう!食の安全・安心〜家庭の食育はあなたが主役〜」と題して食のリスクコミュニケーションが開催され、小中学校の保護者や食生活改善推進員など約350人の参加があった。
 同協会会長興梠清氏は開演あいさつの中で今回基調講演される古旗照美氏の講演を今年の8月に宮崎市で聞いた際ぜひ県北の市民にもこの講演を聞いてもらいたいと思い、同保健所に相談したところ、今回の講演会が実現したとのことである。また、同保健所衛生環境課黒木裕一氏によると、このように大きな講演会を行うのは県内の保健所では初めてであるとのことである。
 まず、同保健所環境衛生課下村高司氏による「家庭で防げる食中毒」では、意外と見落とされがちな家庭内で発生する食中毒は、ちょっとした手間で予防できるので各家庭における予防に対する意識付けが大切だと述べていた。
 オフィスしょくスポーツ代表で、管理栄養士で健康運動指導士でもある古旗氏による基調講演「食事で学力&競技力向上を目指す」が行われ、古旗講師が携わってきたプロスポーツ選手のメニュー作成例や、朝食摂取状況と体力テストの関係などのさまざまな実証例や、運動前には、即効性があり身体のエネルギー源(栄養)となる砂糖(糖分)が入っている「あんまん」を食べ運動能力を伸ばすなど、砂糖(糖分)摂取の有効性についても述べた。
 そのほか食習慣について、長年培ってきた食事の内容によって、たとえ身体に良いもの、スポーツの成績向上につながるものだと分かっていても、食べたことのないものはなかなか食べられないという事例を話し、講師はそうならないためには子供のころからの食事が大切であること、家庭はもちろんのこと地域、行政も協力しあって、地域特産の野菜や果物、肉など地場のものに触れる、食す、楽しく色々なことを経験させること。そういう機会を与える必要性があると呼びかけていた。
 会場に来ていた主婦は「今回の講演を聞き、子供のころからの“食”との係わりが成人以降も影響するということを知りました。今日の話をこれからの食生活にぜひ活用していきたいです」と感想を述べていた。
食に関する情報が多種多様化している昨今、「からだ」と「こころ」を育む大切な「食のあり方」を正しく知る機会がこれからも各方面で増えていき、幅広い世代の人々に認知されていくことを期待したい。
(斎藤)

講演の様子

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那覇事務所


さとうきび生産向上推進大会の開催

  沖縄県のさとうきび生産は、昨年の相次ぐ台風による被害などから、平成16/17年産の生産量は67万トンと復帰後最低となり、単収と品質の向上による安定的な生産性の向上が緊急の課題となっている。
 このような中、新植夏植の初期生育における有効茎数の確保と適期肥培管理を徹底することにより生育を促進し、生産性向上を図ることを目的として、JAおきなわと沖縄県農林水産部が中心となり、平成17年11月17日(木)、沖縄県具志頭村において、今年3月に続いて2回目となる「さとうきび生産向上推進大会」が開催された。
 今回の大会では多くの農家や糖業関係者が集まり、「平均培土」、「夏植の補植方法」、「畜産処理水散布」、「夏植の灌水技術」の4つを柱に農作業の実践的な講習が行われた。
 開会にあたり、主催者代表のあいさつとして、JAおきなわ 赤嶺勇理事長から、「さとうきびの単収は、近年低水準で推移しており、何としても生産性を向上させなければならない」とあいさつがあり、続いて沖縄県農林水産部 国吉秀治部長から「今回の大会を契機に栽培の基本技術を再確認し、生産量を確保していだだきたい」と激励したのをはじめ、生産者代表などからのあいさつ後、講習会が実施された。
 はじめに、沖縄県糖業振興協会の島袋正樹技術アドバイザーが夏植の肥培管理作業の説明を行い、(1)夏植は8〜9月が最適であること (2)平均培土を行う時期は4〜5本分げつ後が好ましいこと (3)除草剤が不可欠であることなど、適期の肥培管理作業の重要性を訴えた。
 続いて「夏植の補植方法」と「畜産処理水散布」について沖縄県農業試験場 新里良章蔗作研究室長が説明を行った。「夏植の補植」については、欠株の間隔が40cm以上空いている場合に補植の必要があるとし、さとうきび一芽苗(セルトレイで作成した移植苗)による補植が紹介された。一芽苗用さとうきび切断機の紹介と実演も行われ、参加者は初めて目にする器具を興味深く観察し、「いくらで購入できるのか?」、「どこで販売しているのか?」などと熱心に質問していた。
 続いて、畜産処理水リモコン散布機による実演を交えながら、畜産処理水の濃度・散布法、散布の有効性について丁寧にわかりやすく解説した。
 最後に、「夏植の灌水技術」について、JAおきなわ南部地区営農センター 仲里源勇さとうきび対策室長による灌水チューブの利用に関する説明が行われた。灌水を行うことの効果として、(1)夏に2〜3回灌水により単収の2〜4トン向上が可能であること (2)発芽率の向上と欠株の減少が見込まれること、(3)雨を待たずに植え付けができることなどを説明し、灌水チューブを利用した灌水の省力化を呼びかけた。
 大会終了後も参加者の多くが講師に質問をしたり、展示された器具に触れたりするなど、関係者の生産向上にかける意気込みが感じられた。今大会の取り組みが、今後さとうきびの生産性向上に結びつくことに期待したい。 (緒方)

JAおきなわ赤嶺理事長のあいさつ
島袋アドバイザーを囲む参加者
   
移植苗を説明する新里室長
セルトレイに興味津々

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