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地域だより[2006年3月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[2006年3月]

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平成17年産てん菜の生産と受渡し実績

 平成17年産のてん菜の収穫は、昨年の10月上旬から11月中旬まで行われ、工場受入については、前年の12月31日よりも2日早い、12月29日に終了した。生産量は、前年度の466万トンより46万トン少ない420万トンとなった。受け入れ終了後は、各工場で貯蔵された原料を操業状況に合わせて順次裁断し、製糖が行われる。
 今年産は、播種作業は順調だったが、融雪の遅れと4月下旬の降雪で移植作業は全道平均で平年より4日遅れた。しかしながら、6月以降の好天に恵まれたため、7月には平年並みにまで回復した。10月の収穫時期には、平年よりも冷え込みが少なかったため、根周では平均を0.8cm上回り生育が2日早い状態であった。
 1ヘクタール当たりの収量は、62.24トンと16年産(68.48トン)に次ぐ史上2番目の高収量となった。一方、糖分は気温が高めに推移したため、糖分の蓄積が緩慢となり、17.1%と平年並みとなった。なお、17.1%は、糖分取引が始まった昭和61年からの20年間の平均値と同じであり、過去10年間の平均値である17.2%を0.1%下回った。最も平均糖分が高かったのは5年産と15年産の18.0%であるが、今年度で5年連続の17%を超える糖分となった。 (菊池)

てん菜の平均糖分及び単収


平成17年産てん菜の生産と受渡し実績



資料:(社)北海道てん菜協会
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第1回ビートを食材にした料理の食味会を開催

  平成18年1月27日(金)に、札幌ロイヤルホテルにおいて、社団法人北海道てん菜協会の主催により、同ホテルの代表取締役社長である藤江彰彦氏、中華料理部門部長の石浦恵三シェフおよび製菓部門の協力により、糖業3者が参加して、ビートを食材にした料理の食味会が開催された。
 この食味会は、ビートの生産量が増加する一方で、近年、砂糖の消費量が低迷していることなどにより、北海道畑作農家も厳しい環境に置かれているため、砂糖を作るためだけではなく、食材としてのビートの可能性を探るために、開催されたものである。戦後しばらくの間は、ビートを乾燥させて、干し芋の代わりに食べていたこともあったが、近年では食べる習慣がなくなっている。
 ビートは繊維質が多いため、どのように調理すれば食べやすい食材としてなり得るのかを検討するために切り方を工夫し、中国料理の手法を組み合わせて調理された次のような料理が提供された。
 1品目 「ビートの甘酢漬け」(スライスしたビートを甘酢に漬け込んだもの)
 2品目 「ビートと若鶏の炒め」(ビートを賽の目に切り、油で揚げ、蒸してやわらかくしたものを鶏肉と炒めたもの)
 3品目 「ビートと豚肉細切りの炒め」(ビートを千切りにして、豚肉の細切りと炒めたもの)
 4品目 「ビートと豚バラ肉の回鍋肉風」(キャベツの代わりにビートを大きく薄切りにして、豚肉と回鍋肉風に調理したもの)
 5品目 「ビートチップス」(ビートを小さく薄切りにして、調味料を一切使わないで油で揚げたもの)
 6品目 「ビートシャーベット」と「ビートバニラアイスクリーム」
 石浦シェフから一品ずつ説明を受けながら食味をし、全品食べ終わったあと、参加者全員が評価を行った。ビートの甘酢漬けは、ビートが生の食材となり得るかどうか確かめるために、生と茹でたビートのスライスを比較したが、漬け込んだ時間が短いこともあり、茹でた方がビート特有の匂いが強いという意見が多かった。見た目は、ポテトチップスを小さくした感じのビートチップスは、ビート特有の匂いがなく、上品でさわやかな甘さが口の中に広がり、参加者には好評であった。また、参加者からは、馬鈴薯のロングスティックが売れているので、ビートもロングスティック状にカットしてみてはどうかという提案などもあった。石浦恵三シェフは、忌憚のない意見を受けて、次回の料理に生かしたかったようであるが、皆が思っていた以上に、美味しく仕上がっており、評判が良かった。
 最後に、同協会の石原伍朗専務理事の総評で締めくくられた。
 今後は、同ホテルの藤江彰彦社長からの申し出により、中華料理だけではなく、和食、洋食部門にもご協力をいただけることになった。なお、次回の食味会では、ビートに含まれる食物繊維、オリゴ糖、ポリフェノールなど健康食材としての機能性を前面に打出し、消費者に参加を呼びかけることが予定されている。 (戸田)

ビートの甘酢漬け
ビートと若鶏の炒め
ビートと豚肉細切りの炒め
ビートと豚バラ肉の回鍋肉風
ビートチップ
ビートバニラアイスクリーム
 
食味会会場

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「さとうきび品目別経営安定対策及び
さとうきび増産プロジェクト現地説明会」が開催される

 砂糖及び甘味資源作物政策については、食料・農業・農村基本計画に沿って、平成19年10月からの新制度への移行を目指して、「さとうきび・でん粉原料用かんしょに係る支援方策について」が平成17年12月7日に決定されるなど、着実に検討が行われている。また、さとうきび産業の活性化に向け、増産に当たっての課題や必要な取り組みなどについての検討のため、農林水産省において平成17年10月に「さとうきび増産プロジェクト会議」が発足し、12月にその基本方針が策定された。このような状況の下で、沖縄県下において、農林水産省による「さとうきび品目別経営安定対策及びさとうきび増産プロジェクト現地説明会」が平成18年1月16日(月)に南風原町を皮切りに、1月17日(火)に石垣市、1月18日(水)に宮古島市、2月2日(木)に久米島町において沖縄総合事務局、沖縄県、各市町村、JA沖縄中央会、JAおきなわ、製糖会社などの関係者の出席の下で開催された。その概要は次のとおりである。
1 砂糖及び甘味資源作物政策については、零細な生産構造などを踏まえ、品目別政策を講じることとされている。具体的には、現行の糖価調整制度の基本的枠組みは維持した上で、
1)最低生産者価格を廃止
2)市場の需給事情を反映した取引価格が形成される制度へ移行
3)地域の担い手を中心とした生産組織や農業受託組織の育成、法人化の推進を促進
4)最大限の合理化を前提に国産糖製造事業者に対して政策支援を実施すること
などの基本方針や新制度における対象要件等についての説明が行われた。
2 また、「さとうきび増産プロジェクト」に関しては、次のような基本方針が掲げられている。
1)経営基盤の強化
 収穫作業と株出管理作業の連携した実施が可能な生産組織の育成等
2)生産基盤の強化
 畜産との連携、余剰バガスの還元、緑肥作物の栽培等による地力の増進、水源・末端かんがい施設の整備等
3)技術対策
 土壌害虫に対する効果的防除体系の確立、早期高糖品種の開発等
 今後、上記基本方針に基づき、島ごとに生産目標および必要な取り組み計画を設定するとともに、毎年その成果の検証を行うことし、同プロジェクトの目標として、平成27年産までに収穫面積に占める株出栽培の割合を1割程度増加させるとともに、株出栽培の単収を2割程度向上させる旨の説明がなされた。
 今回各地で開催された説明会が、さとうきび生産者・糖業関係者が一丸となった取り組みへと結びつくことに期待したい。
(緒方)

会場の様子
西川生産局長による説明の様子

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さとうきび試験圃場現地検討会が開催される

 さとうきびの単収向上を図る目的で、沖縄県、市町村、JAサトウキビ対策室、さとうきび生産振興対策協議会などで各地域の課題の解決や意識高揚のために各種展示圃場を設置している。
 現在設置されている展示圃の効果の検証や各機関相互の情報交換などを行うため、現地検討会が、平成17年12月22日(木)、沖縄県農林水産部糖業農産課の主催により、沖縄本島中部・北部の生産法人、JAサトウキビ対策室、さとうきび生産振興対策協議会、製糖工場など、生産者、行政、工場関係者などが多数参加して、読谷村、恩納村において開催された。

検討会の概要
(1) 堆肥の投入効果、補植効果の検証→(読谷村夏植圃場)
(2) 適正品種の検証(農林8号、15号、17号)→(恩納村真栄田、春植圃場)
(3) 補植状況、肥培管理状況→(恩納村字冨着、春植圃場)
(4) 意見交換会→(さとうきびの敵期栽培管理及び単収向上について)→(恩納村)

 生産農家も多数参加して行われた圃場での現地検討会では、それぞれの地域の展示圃を管理している担当者から展示圃場の概要、展示圃の効果などの説明があったが、参加した農家やさとうきび栽培指導の関係者は、説明の後、熱心に担当者に質問していた。
 また、各地域での課題や独自の取り組みが報告され、活発な意見交換が行われた。
 さとうきび栽培における堆肥投入の効果、補植の効果、品種などの重要性について理解されてはいるものの、誤った理解や栽培方法なども見うけられる。
 展示圃は実際に目で見て効果が判断できるため、新たな技術や適切な栽培技術などの普及に有効な手段と思われる。
 今回、このような現地検討会が多くの生産農家の参加のもと、行われたことは大いに意義があると思われる。今後もこのような生産向上に直接結びつく現地検討会が盛んに行われ、新たな品種や栽培技術の普及により、生産性の向上が図られることに期待したい。 (仁科)

展示圃
展示圃での説明の様子
補植用の苗の育成
意見交換会

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