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地域だより[2006年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[2006年5月]

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札幌事務所


平成17年度砂糖に関する地域情報交換会の開催

 平成18年3月22日(水)、当機構札幌事務所は、北海道立道民活動センター「かでる2・7」において地域情報交換会を開催した。
 同交換会は、行政機関や事務所管内関係者による甘味資源作物および砂糖などについての情報提供や意見交換を通じて、会議出席者相互の理解を深め、関係機関、ユーザー、消費者等との良好な関係を構築することを目的として、平成12年度から毎年開催しているものである。
 近年、BSEの発生や食品の偽装表示、無登録農薬の使用問題などにより食品に対する不信感が強まり、安心・安全な食品に対する消費者の関心が高まっている。こうした背景を踏まえ、てん菜およびてん菜糖を生産する地域である北海道において、消費者にてん菜についてもっと認識してもらうために、消費者を中心に参加を求め、地域情報モニター(4名)、消費者協会等(9名)、行政関係者(2名)、農業団体等(2団体2名)、国内産糖製造事業者(3社5名)および当機構5名、合わせて27名が一堂に会した。
 今回は、改めて、消費者にてん菜が北海道畑作農業における重要な基幹作物であることを知ってもらうために、初めに、北海道農政部食の安全推進室農産振興課畑作グループ桜井主査から「北海道畑作農業をめぐる情勢」として、北海道における畑作農業およびその畑作農業の中のてん菜の地域経済に占める重要性と、てん菜の導入の経緯について説明が行われた。続いて、当機構中山総括調整役から地産地消や、北海道農業と食育についての話題提供を行った。
 その後の質疑応答では、消費者の立場を代表して、地域情報モニターや消費者協会等の方々から、砂糖に対する忌憚のない意見が出された。消費者は、添加物、オリゴ糖、原産地表示などに普段から興味を持っているようであり、大変有意義な意見交換となった。

 主な意見・要望は次のとおり。
*プロバイオティクスの観点からもオリゴ糖が注目されており、てん菜から抽出したオリゴ糖であれば使いたいと思う。また、原産地表示も行ってほしい。
*食品を買うときに、まず添加物の表示を見て、代替甘味料ではなく、砂糖を使用しているものを選ぶようにしている。砂糖については「健康に良くない」との情報が多いので、消費者に対し、砂糖について正確な情報を提供してもらえれば消費しやすい。
*パンフレットを送るだけではなく、勉強の機会を設けるようにしたら良いと思う。小学校の保護者会などにも働きかけたらどうか。
*家庭では手の込んだものを作る時間がないので、砂糖の消費拡大には、おいしく簡単に出来るレシピが必要だと思う。特に電子レンジで合わせ調味料に砂糖を加えて出来るソース作りなどがいいのではないか。
(戸田)
会場の様子
熱心に聞き入る消費者協会の方々

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福岡事務所


平成17年産(17/18年期)における鹿児島県製糖工場の操業実績(見込み)について

  鹿児島県内の甘しゃ分みつ糖工場(6社7工場)の平成17年産(17/18年期)における操業は、新光糖業(種子島)の平成17年12月12日開始を皮切りに、富国製糖(奄美大島)が開始した平成18年1月12日までに全工場で操業を開始した。
 一方、同年3月16日には干ばつにより処理量の少なかった与論島製糖(与論島)が操業を終了し、その後順次各製糖工場とも操業終了しているが、処理量の増加した新光糖業では5月2日まで操業期間を延長する予定となっている。
 各製糖工場の操業実績(見込み)およびコメントは別表のとおりである。
 今期のさとうきびは、台風の影響が比較的少なく、一部地域を除き夏期の干ばつ被害も軽微であったため、生育は順調であったものの、12月の寒波や季節風による塩害などにより生育の阻害や品質の低下がみられ、当初見込みを下回る原料処理量・製糖歩留となる見通しである。
 鹿児島県全体の原料処理量は522,640トン(見込み)、歩留は11.84%(見込み)、産糖量は61,859トン(見込み)であり、それぞれ前年を21,876トン、0.77%、6,413トン上回る見込みであるが、沖永良部島と与論島については、記録的な大干ばつや作付面積の減少により、原料処理量、産糖量とも前年度実績を下回っている状況にある。                               (杉山)

製造
事業者名
各社からのコメント
新光糖業  本年産は、台風の影響も少なく収穫期前までは順調な生育であったことから、高糖多収を期待し操業に入ったが、12月の急激な冷え込みに加えて季節風や雨天が重なったため、さとうきびの登熟が停滞し、その後も回復することなく低迷し、当初見込んだ11.50%を大幅に下回る10.50%の歩留が確保できるかどうかの状況となっている。
富国製糖  夏期の干ばつ被害は比較的軽微であったが、収穫面積が夏植面積の減少により対前年約50ha減少したこと、また、株出についてもハリガネムシ被害による茎数減で単収が低迷したため、生産量が伸び悩んだ結果となった。
生和糖業  本年産の原料処理量は、当初70,000tの見込みでスタートしたが、その後の見直しで3月28日には63,200tの下方修正となった。その原因は、本年のさとうきびは台風の影響も少なく茎数は例年より多かった反面、干ばつ気味であったために茎長が短く1本当りの茎重が軽かったためと思われ、さらに12月の台風並みの強風により塩害が発生し生育が阻害されたことも影響しているものと思われる。
南西糖業 17/18年産のさとうきびは、台風の影響もなく順調に生育し、11月までは高品質で推移していたが、12月中旬
の寒波、その後の季節風による海岸地域の塩害などにより品質低下を招き、歩留は当初予想の13.0%から12.65%
へ、生産量は187,679tから184,803tへ下方修正となった。
南栄糖業  今期の原料処理量は、当初見込みの44,988tに対し1,406t減の43,582tとなり、過去最低の生産量を記録した。その主な原因は、作付面積の減少もあったが、7月〜10月の間に40日連続の雨量無し日が二度もあり、例年にない大干ばつで大きな生育阻害を受け単収減となったためと思われる。
与論島
製糖
 6月23日の梅雨明け以降、生育旺盛期の7月〜9月に長期の大干ばつに見舞われたことから生育が大きく阻害されたため、史上最低の原料処理量となった。また、操業終了についても3月16日と大幅な短縮を余儀なくされた。
なお、高糖品種への更新は進みつつあるものの、糖度が上がる後半に原料不足を生じたことから、歩留は11.90%と低位となった。

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那覇事務所


「おきなわ花と食のフェスティバル」でさとうきびを満喫

 平成18年2月4日(土)〜5日(日)の2日間、宜野湾市において沖縄県などの主催により、「おきなわ花と食のフェスティバル」が開催された。
 本フェスティバルは、昨年まで毎年開催されていた「農林水産フェアおきなわ」を引き継ぐもので、今回は「地産地消」をテーマとし、新鮮な県内産の農林水産物にじかに触れたり、食べたりすることや、農林水産業に携わる人々との情報交換などを通じて県内の農林水産業への理解を深めてもらうことを目的として開催された。
 会場では、農林水産物および加工品の販売、県産の食材を利用した料理の提案や食と健康に関する各種イベントが催され、大勢の来場者でにぎわった。
 沖縄県の基幹作物であるさとうきび関連としては、前年に引き続き、県糖業農産課、(社)沖縄県糖業振興協会、沖縄県黒砂糖協同組合、日本分蜜糖工業会、南部・中部両地区のさとうきび振興対策協議会による「さとうきび・糖業のコーナー」が設けられた。
 同コーナーでは、黒砂糖製造の実演と試食、さとうきびを搾ったジュースを温めた「さーたーゆー」の試飲、各島の黒砂糖の紹介、さとうきびの展示、当機構が作成したてん菜の模型やパンフレットをはじめとする多数の資料の展示・配布など、盛りだくさんの内容で、来場者の多くが足を止めた。
 黒砂糖製造の実演には沖縄県農業試験場(現沖縄県農業改良センター)から提供された約1トンのさとうきびを使用し、130kgほどの黒砂糖が作られ、来場者にふるまわれた。また、子供たちは担当職員の指導を受けながら、さとうきび搾り機を使ってさとうきび搾りを体験し喜んでいた。
 当日は肌寒い天候であったことも相まって、温かい「さーたーゆー」の試飲は特に好評で、来場者は「なつかしい味」、「こんなのはじめて」と感想をもらしていた。
てん菜の模型の展示には、「これは何ですか?」「えっ、模型なんですか」と、沖縄ではまったく馴染みのないてん菜に多くの人が関心を持って見入っている姿が目立った。
 また、さとうきびの展示とともに、さとうきびのセル苗(セルトレイで育てた苗)が配布され、苗に添えられた栽培方法を見ながら「うまく育つかな?」「さっそく植えてみよう」とつぶやきながら持ち帰っていく家族などによってすぐになくなっていた。
 今回のフェアにおける同コーナーの出展は、黒砂糖製造の実演や栽培の体験を通し、沖縄県の人々にとって身近なさとうきびや黒砂糖が持つ魅力を再発見できる良い機会となった。
(緒方)

さとうきびを搾っている様子

黒糖製造の実演

さとうきびの展示

黒糖製造のために用意されたさとうきび

配布された「セル苗」に添えられた栽培資料

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ウージ(さとうきび)染めに新色登場

 本誌(2005年12月号)に紹介した「ウージ染め」(豊見城市ウージ染め協同組合)にピンクやオレンジの華やかな新色で染めた製品が発表された。同組合は、さとうきびの穂だけを用いて抽出した染料から布地をピンクやオレンジに染めることに成功し、平成18年2月21日(火)〜27日(月)に那覇市久茂地のリウボウホールにおいて開催された「第二回ウージ染め組合展―緑の風の贈り物」において披露された。
 さとうきびを原料にしてピンクやオレンジに染まる意外性や優しい色合いが、訪れた人々の注目を浴びた。
 新色を用いた製品は2007年2月からの販売であるが、会場で行われた予約販売には、早速注文をする姿が多く見られた。
 新色の開発には、中小企業等が行う地域資源を活用した新製品の開発などの支援を目的とする沖縄県の地場産業振興対策事業補助金を受けて行われたものである。さとうきびの穂は、確保できる時期と量が限られており希少価値があることから、既存の製品に対してさらにグレードアップした製品として、主としてシルクを素材とし「染め」や「織り」で作られた衣類、小物などの製品を展開していく予定である。
 また、従来色である緑色や黄色に染めた商品の中で、「JAPANブランド育成支援事業」(本誌2005年12月号において紹介)の支援を受けて開発した新デザイン商品も展示され、今回の展示商品の総数は1,900点にも及んだ。
 新色・新デザインが加わり、ますますラインナップを充実させたウージ染めが、地域ブランドとしての発展とともに、さとうきびの魅力を広く伝えるアイテムとして、今後の展開がますます注目される。
(緒方)

新色のスーツ

 
新色製品の数々
従来色の製品もさらに充実

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那覇事務所


黒糖作り指導者養成講習会が開催される


 現在、沖縄における黒砂糖の生産は、島尻郡伊平屋島、粟国島、宮古郡多良間島、八重山郡西表島、小浜島、与那国島の七島で生産されており、各島で栽培されたさとうきびを原料にそれぞれの島の工場で生産され、沖縄県全体で年間約7,000トン程度が生産され、「沖縄黒糖」という地域食品ブランドとしての認知度が高い。一方、沖縄ではさとうきび生産振興の啓発の一環として地域で行われるイベントなどでの実演や、小中学校での総合学習などで、小規模な黒糖作りが広く行われている。
 このような黒糖作りは、昭和30年代ごろまでは、地域(集落)で黒糖を作っていたため、黒糖を作ることができる人材が各地域に何人かいたが、高齢化により年々その人数が減少している現状にあり、黒糖作りを教えられる指導者の養成が急務となっている。
 このため、南部地区さとうきび生産振興協議会が中心となり、このほど、JAのさとうきび担当者、役場など行政の担当者、子供会の指導者など35名ほどが参加し「黒糖作り指導者養成講習会」が、平成18年3月23日に南部地区さとうきび生産振興協議会(南城市大里)で開催されたので、その模様と黒糖作りの作業工程を紹介する。

 なお、黒糖作りの指導は、翔南製糖農務部の指導員(新垣氏・金城氏)の協力・指導の下で行われた。
 今回は、作業工程の指導と共にさとうきび品種による味の違いを確かめる試みも行われ、品種ごとに黒糖作りを行った。
 品種は、さとうきびの主要品種である農林8号、現在、優良品種として植え付けが増えている農林15号、農林17号の3品種を使用し、3品種の中では、農林15号が参加者の間で評価が高かったが、品種による味の違いに参加者は一様に驚いていた。
 養成講習会では、通常はなかなか習うことができない、黒糖の作り方のコツ、失敗しない方法などを丁寧に指導していた。
 今後、参加者各人が行う地域での黒糖作り指導の参考となることが期待される。
(仁科)

○黒糖作りの作業工程(3時間程度)

1.圧搾工程(さとうきびはブリックス18度以上)
(1) 圧搾機でさとうきびを絞る
(2) 汁はバガスのくずなどをスクリーン(100メッシュ程度)を通して取り除く
(3) 濾過したさとうきびの汁を行程2の鍋に移す

*圧搾機で絞る
*絞ったさとうきび汁を釜に移す

2.清浄工程
(1) さとうきびの汁をガス釜で加熱
(2) 沸騰する前に丁寧にアクを取り除く
(3) 石灰乳(消石灰100グラムを水1リットルに溶かす)を添加し、リトマス試験紙で正確に(昔は、色と香りで判断)PH7.0〜7.2に調整する

*丁寧にアクをすくう
*石灰を加える
 
*リトマス試験紙でPHを確認

3.濃縮工程
(1) 攪拌しながら煮詰める
(2) 煮詰めながらさらにアクを取る
(3) 沸騰し、泡が全体に広がっていく
(4) 泡の状態がなめらかになったら弱火にして焦げないように攪拌
(5) 火を止める
*火を止めるタイミングが一番難しいが、見分け方は水を入れたコップに糖液を垂らし、固まりながら底へ落ちればちょうどよい(昔は、攪拌する棒ですくって、糖液の垂れ具合で判断)

*攪拌しながら煮詰める
*火を止めるタイミングを確認する作業


4.冷却工程
(1) 火を止めたら素早く攪拌しながら冷却
(2) ある程度冷却したら固まらないうちに、型に移す

*火を止めた状態
*火を止めたら別の鍋に移して冷却
*さらに攪拌しながら冷却


5.製品工程
(1) 流動性のあるうちに容器に(型)に流し込み、固まればできあがり
(2) 型にサラダ油を塗っておくとはがれやすく、完全に固まる前に切れ目を入れておく。
(3) 容器は、アルミ、木箱でもよいがプラスチックは不適

*型に流し込む

*味比べ
*講師の説明に聞き入る参加者

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