[2006年11月]
札幌事務所
平成18年産てん菜糖の製造が始まる
平成18年10月9日(月)にホクレン農業協同組合連合会中斜里製糖工場を皮切りにてん菜の裁断が開始され、平成18年産てん菜糖の製糖が始まった。前年度の10月10日に比べて、1日早い製糖開始となった。
本年産は、融雪の遅れと4月の低温・寡照のために移植、直播作業がともに遅れた上、6月の多雨と日照不足のために生育が悪かったが、その後の気温が高めに推移したことにより、8月後半にはほぼ平年並みの生育を取り戻した。また、病害虫は、8月以降の高温と8月中旬に太平洋側、オホーツク海側の地域で大雨が降ったことから褐斑病が多発し、9月4日には北海道病害虫防除所より注意報が出された。ヨトウガについてはやや多発した所もみられたが、全体では平年並みであった。なお、糖分については夏からの気温が高めに推移していることから、上昇がやや緩やかな傾向となっている。また、作付面積が6万7,400haと前年度より136haの減少となり、直播率が6.0%と前年度より0.8ポイント増加したため、収穫量は前年度を下回るが418万3,000tと過去3番目になると見込まれている。
各製糖工場の操業予定日は、表のとおりであり、操業開始直前の10月6日からの低気圧に伴う暴風雨で収穫作業が遅れたことなどにより、各社とも1〜3日操業開始が遅れたが、今後は24時間体制で製糖ラインを稼動させ、早い工場では2月上旬、遅い工場では5月中旬までの操業を予定している。 (菊池)
工場名 |
製糖(截断)開始日 |
製糖終了予定日 |
日本甜菜製糖 |
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芽室製糖所 |
平成18年10月12日 |
平成19年5月11日 |
美幌製糖所 |
平成18年10月11日 |
平成19年3月11日 |
士別製糖所 |
平成18年10月10日 |
平成19年2月11日 |
ホクレン農業協同組合連合会 |
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中斜里製糖工場 |
平成18年10月9日 |
平成19年5月9日 |
清水製糖工場 |
平成18年10月14日 |
平成19年3月7日 |
北海道糖業 |
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北見製糖所 |
平成18年10月13日 |
平成19年2月26日 |
道南製糖所 |
平成18年10月13日 |
平成19年2月6日 |
本別製糖所 |
平成18年10月13日 |
平成19年2月16日 |
札幌事務所
田舎体験in赤れんがについて
平成18年9月30日(土)、札幌市の道庁赤れんが前において、北海道と北海道グリーン・ツーリズムネットワークの主催により、「田舎体験in赤れんが」が開催された。この催しは、道内各地の農業・農漁村の魅力を都市に住む人にもっと知ってもらうことを目的に、搾乳体験や人参掘り体験などさまざまな体験メニューを中心に開催された。当日は午後からの雨にもかかわらず、約7,000名が会場を訪れ、特に親子連れや道外からの観光客でにぎわった。
ビート関係では、当機構も参加し、砂糖の働きについてなどを説明したパネルの展示およびパンフレットの配布を行うとともに、来場者に対してビートについてや砂糖の正しい知識についての説明を行った。また、社団法人北海道てん菜協会がビート畑の展示やビート掘り体験、ビートの試食、ビートシロップ作りの実演などを行った。
来場者からは、「ビートは知ってはいるが見たことや味わったことはない」との声が多く、ビートの試食が特に興味を引いたようであった。また、「ビートから砂糖が作られることを知らなかった」、「ビートのシロップは子供の頃に作ってもらった記憶もあり懐かしい」との声や、「ビートは砂糖にする以外に食べることはできるのか」といった質問もあった。 (菊池)
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ビートコーナーの様子
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パネル展示の様子
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ビート掘り体験 |
ビートシロップの作り方
1. ビートをよく洗う。
2. 洗ったビートを4分の1にカットする。
3. ビートの皮をむく。
4. ピューラーで削ぐか包丁で薄くきざむ。
5. 温水(70〜75℃)を作る。
6. きざんだビートを鍋に入れ、約1.2倍(材料がつかる程度)の温水を加える。
7. 弱火で約1時間煮る。(70〜80℃に維持する)
8. ざるで煮汁と材料を分ける。
9. 煮汁をキッチンタオルでろ過する。
10.ろ過した煮汁を鍋に戻し、中火で約2時間程度煮詰めて水分をとばす。
11.煮詰める途中アクを丁寧に取り除く。
12.粘り気がでてくる。
13.ビートシロップの完成。
※ 時間をかけて煮詰め、粘りが強くなるほど甘みが強くなる。
※ 煮詰めたシロップは冷蔵庫に入れる。(2〜3日で砂糖の結晶が沈殿する) |
那覇事務所
平成18年度さとうきび夏植生産性向上推進大会が開催される
沖縄県のさとうきび生産量は、台風や干ばつなどの気象災害や農家の高齢化に伴う栽培面積の減少などの影響によって近年減少傾向にあり、とりわけ16/17年期と17/18年期は、台風・干ばつなどの気象災害により2期連続して68万トンを下回る低水準となった。この状況を打開するために単収と品質の向上による安定的な生産が急務であり、県はさとうきび増産プロジェクト計画を策定し、積極的に増産に取り組んでいる。
このような中、平成18年9月5日(火)、糸満市米須土地改良区において、夏植の単収を向上させるための基本技術の実演を行って、その普及を図ることを目的とした「さとうきび夏植生産性向上推進大会」が開催された。この大会は、JAおきなわ、県などの主催により昨年の3月から開催している「さとうきび生産向上推進大会」の一環であり、今大会で4回目を迎え、生産農家をはじめ関係者約300名が参加した。
開会に先立ち、JAおきなわ赤嶺勇理事長より、「沖縄におけるさとうきびの単収を現在の5〜6トンの水準から7〜8トン台に向上させられるよう、関係者が一丸となって適期肥培管理を心がけ、生産性の向上に励もう」とあいさつした。
実演会
(1)全茎式プランターによる植え付け
沖縄県農業研究センター新里良章主任研究員が、全茎式プランターでの植え付け作業の解説を行い、植え付け溝の深さは25cm〜30cm、覆土は5cm〜7cm程度(手植えの場合は3cm〜5cm程度)が好ましく、覆土の量が多すぎると欠株が発生しやすいことに留意することなどを説明。また、欠株対策として使用する1芽苗の紹介や補植作業の実演を行い、参加者の関心を集めた。
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全茎式プランターによる植え付けの実演 |
補植用1芽苗の紹介 |
(2)灌水方法
南部地区さとうきび生産振興対策協議会国吉一雄事務局長が、灌水ホースでの灌水や散水車による放水といった灌水方法を紹介するとともに、利用の促進を呼びかけた。
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灌水ホースによる灌水の実演
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散水車からの放水の実演
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(3)採苗後の株出管理作業
最後に、JAおきなわ島袋正樹さとうきび生産振興アドバイザーが、採苗後の株出管理作業の基本技術として、元肥と雑草防除の重要性や分げつが3本〜5本発生した時期に平均培土を実施することなどの説明を行った。
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JAおきなわ島袋正樹さとうきび生産振興アドバイザー
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今年の夏植のさとうきびは、19/20年期に予定されている新たなさとうきび政策の対象になることから、この時期に本大会を開催した意義は非常に大きい。今後の安定的な生産に向けて、本大会を皮切りに、生産性向上に向けた運動の成果が全県的に広がっていくことを期待したい。 (緒方)