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地域だより[1999年4月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[1999年4月]
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札幌事務所



○「平成11年産てん菜の生産振興に関する会議」の開催

 北海道は、2月19日(金)、「てん菜の生産振興に関する検討会」を札幌市中央区の「かでる2・7」で開催し、甘味資源特別措置法に基づく、「平成11年産てん菜生産振興計画案」を諮問した。
 会議には、主催者の北海道農政部畑作園芸課、生産者、糖業者及び関係機関の多数が出席した。
 会議では、北海道からてん菜の現状と課題、当面のてん菜生産振興方策について報告の後、本年度計画策定に当たっての経過説明があり、出席者から意見交換や質疑が行われた。
 生産振興計画では、平成11年産のてん菜作付面積70,000ha、ha当たりの収量52.6トン、生産量3,682,000トンと設定されている。
 これに伴う基本方策として、土地基盤の整備、優良種苗の生産及び普及、栽培技術の改善及び農業経営の合理化に関する事項などが挙げられている。

○平成11年てん菜優良品種の認定

 「北海道種苗審議会」の審議を経て、新たにてん菜「北海73号」「H125」「HT15」の3品種が、平成11年2月に、北海道知事から優良品種として認定され、また、昭和57年に認定された「モノヒカリ」、平成3年に認定された「メロデイ」の2品種の認定廃止が決定された。
 その、新品種特性の概要は次表のとおり。

平成11年てん菜優良品種の認定


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東京事務所



○第24回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN '99)の開催

 3月9日(火)〜12日(金)の4日間、日本コンベンションセンター(幕張メッセ)において第24回国際食品・飲料展が開催された。今回のテーマは“食”が担う地球の新世紀―“食”が奏でる新たな生活文化で、21世紀に向けた新しい食品素材、健康志向に沿った有機食品等が主に展示され、外食産業、商社などの多くの関連業界で賑わった。出展は国内企業が約2,000社、海外ホールにおいては約50ヵ国から出展されていた。
 三井物産(株)内のブースでは三井製糖(株)が『さとうきび一番糖』をメインに出展しており、お馴染みのテレビコマーシャルを流しながら一番糖を使った商品として、かりんとう、ノンオイルドレッシング、クッキー、せんべいなどを陳列していた。担当者は、「最近コマーシャルのおかげで知名度が少しずつ高くなってきたが、天然のミネラルを含んだ一番糖をより多くの人に知ってもらいたい。最近、ポリフェノールも含まれていることも分かり、健康には最適です」と話していた。また、同じブース内で台糖(株)が『あられ糖』を展示しており、「口に含んだシャリット感が特徴で、クッキー、ワッフルのトッピングに最適です」と宣伝していた。
 日商岩井(株)のブース内では新名糖(株)が新商品の『ガルシニア・ブラウン糖』を出展していた。これはミネラル豊富な砂糖に、天然のダイエット素材である南アジア産の植物の果実に含まれているガルシニアエキスを加えたもので、こくのある砂糖の甘さを味わえ、しかも脂肪合成の抑制にも有効であるとのことである。
 各社とも、最近の消費者の健康志向を重視し、消費者のニーズに合った新たな商品の開発に力を注いでいるのが目に付いた。
 特別企画として、オーガニックと有機食品に関するFOODEXORGANIC '99も同時開催されており、オーガニックに関する基本的な部分から、日本の現状と動向そして欧米の事例を始め実際の商品が併せて展示されていた。このブースにもかなり多くの来場者が詰め掛けており、「健康に配慮された、安心できる」といった消費者のニーズに企業関係者も高い関心を寄せていた。

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名古屋事務所



○名古屋港からのチューインガムの輸出について

 名古屋港からの菓子輸出は昭和30年代中頃から駄菓子を中心にスタートした。平成9年(暦年)の全国の菓子輸出数量は約13,574トン、金額にして約101億円となっている。うち名古屋港からは約4,936トン(対全国36.4%)、約35億円(対全国35.0%)が輸出されている。この背景には、東海地区は昔から駄菓子の大生産地であったため、中小を含め菓子メーカーが多いこと。また、関東及び関西の大手並びに中堅菓子メーカーは既に海外に工場進出を済ませているからと言われている。
 今回は、輸出菓子の中でも名古屋港からの輸出の多いチューインガムについて、丸川製菓(株)(名古屋市西区新道1丁目)の江副弘明貿易部長から話を聞いたので、その概要を紹介する。会社は、昭和22年(1947年)フーセンガム製造販売を開始し、翌昭和23年(1948年)フーセンガム専業メーカーの丸川製菓(株)として創立された。輸出は、昭和34年(1959年)からシンガポール向けを皮切りに、基本的に一国一代理店制を敷き、スポット輸出を極力避け、年間数回の定期訪問(海外出張)を重ね、市場動向調査とともに、商談並びに新商品開発を行うといった地道な活動で販路を広げ、現在では輸出商社を仲介しない直接貿易が9割を占めている。主な仕向地としては中東、シンガポール、台湾、韓国及び香港などである。
 平成9年の全国のチューインガム輸出総数量は、1,634トンであるが、名古屋港からは1,337トン(対全国81.8%)が輸出され、うち丸川製菓(株)の子供向けフーセンガムがほぼ全量を占めている。これに使用されたグラニュー糖は年間約650トンにも達するという。ここ数年輸出量が増えたのは、日本経済のバブル崩壊後も海外市場が比較的堅調であったこと、メーカーとして工場の稼働率を高めたこと、世界の消費者に日本の味を幅広く伝えるために、輸出向生産に重点を置いてきたことなどの結果であるという。
 しかし、一昨年夏以降のアジア各国で一斉に起きた経済危機が、輸出量に対する輸出金額の実質目減りとなり、今後の輸出量の増大は厳しくなってきている。これは下表の名古屋港からの輸出数量の推移を見れば明らかである。

品  名 仕 向 地 平成10年 平成9年 平成8年
数 量(kg) 前年比(%) 数 量(kg) 前年比(%) 数 量(kg)
チューインガム
(統計品目番号
1704.10-000)
1.中 東 476,293 115.1 413,837 122.8 336,906
2.シンガポール 195,738 63.9 306,463 123.3 248,523
3.台 湾 132,254 100.4 131,702 89.0 147,930
4.韓 国 132,163 80.5 164,191 524.4 31,308
5.香 港 123,499 113.8 108,480 39.6 273,990
6.その他 155,334 73.3 211,961 227.1 93,354
1,215,281 90.9 1,336,634 118.1 1,132,011


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大阪事務所



○虫歯予防と糖・糖アルコールとの関係を探る
〜う蝕予防食品研究会第3回フォーラム〜

 2月18日(木)、大阪府豊中市の千里ライフサイエンスセンタービル内にあるサイエンスホールにおいて、う蝕予防食品研究会(浜田茂幸会長(大阪大学歯学部教授))の第3回フォーラム「虫歯予防と糖および糖アルコール」が開催された。
 同研究会は、浜田教授と大嶋隆同学部助教授を中心に、虫歯対策用食素材を開発した食品関係企業の研究担当者間の情報交換と、研究レベルの向上を目指して、平成6年8月に設立された。
 同研究会のメンバーには、砂糖類関係では、う蝕予防食品としてパラチノースを販売している三井製糖(株)や、パノースオリゴ糖を販売している日本食品化工(株)が会員として参加しており、他に食品関係企業4社も参加している。
 同研究会では、先に日本で開発されたう蝕予防に関わる食品素材について論じた「う蝕予防のための食品化学甘味糖質から酵素阻害剤まで」(医歯薬出版(株))を平成8年に上梓じょうしした他、虫歯発生の仕組みについて食品を製造・供給する側である食品企業関係者にも理解してもらう目的で、平成7年から2年に1回の割合で「う蝕予防食品に関するフォーラム」を開催している。
 過去2回のフォーラムでは、う蝕予防食品の開発・販売に関わる各企業及びその取引先である菓子メーカーなどに対象を限定していたのに対し、第3回目に当たる今回は、関西地区の歯科医師会などに案内状を送るなどして、従来に比して対象を広げた形で実施された。
 当日は、当初の予定人数(約100名)を大きく上回る約170名が来場し、会場は満員の盛況で開かれた。
 当日のプログラムは、以下のとおりである。(敬称略)

【1】う蝕と糖及び糖アルコール―はじめに―
    浜田茂幸(大阪大学歯学部教授)
    
【2】糖質の吸収と代謝
 1) 糖と糖アルコールの消化・吸収と代謝
    山田和彦(国立健康・栄養研究所食品化学部室長)
 2) 糖と糖アルコールの緩下作用について
    小泉直子(兵庫医科大学教授)
 特別講演「ヒトは味と匂いをどのように認識するか」
    栗原堅三(北海道大学大学院薬学研究科教授)

【3】糖質とう蝕
 1) 最近開発された甘味糖質とそのう蝕予防への応用
    大嶋 隆(大阪大学歯学部助教授)
 2) 障害者・高齢者の歯の健康と食生活
    森崎市治郎(大阪大学歯学部附属病院助教授)

 各講演とも、糖・糖アルコールとう蝕などの健康問題との関わりについて述べられた点で、いずれも興味深い内容であった。
 その中でも、う蝕を予防する目的で、スクロース(ショ糖)の代替甘味料として様々な食品などに利用され、その効果だけが強調されがちな、キシリトール、エリスリトール、ソルビトールといった糖アルコールの緩下(おなかが緩くなる)作用を報告した小泉教授と大嶋助教授の講演は興味深かった。
 同研究会事務局では、今後会員(企業)及びフォーラム参加者の対象範囲を広げ、将来的には、一般消費者もフォーラムに参加できる形を考えていきたいと話していた。
 このような研究者の活動によって、食品製造企業や一般消費者がう蝕の発症メカニズムを理解し、規則正しい食生活の重要性を認識し、また、砂糖の摂取についても適切な対応が進み、心豊かな食生活が創造されていくことを期待したい。

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福岡事務所



○南西諸島(鹿児島県)におけるさとうきび栽培型収穫面積の動向について

 さとうきびの収穫面積は、農業従事者の高齢化、後継者不足、他作物への転換等の理由により、昭和56年産の12,788haを最高に年々減少している。南西諸島における過去10年間のさとうきびの栽培型収穫面積の動向を調べてみると、平成元年産の県全体の収穫面積に対する割合は、夏植が13.9%、春植が23.7%、株出が62.4%となっている。同様の傾向は同4年産まで続いた。
 しかし、同5年産以降は、農家の収穫期作業の負担軽減、単収アップを狙う傾向からか、夏植が同10年産は同4年産に比較し10.8ポイントも増加し、春植・株出がそれぞれ2ポイント、8.8ポイント下降している。
 各製造事業者は、収穫面積の増加がままならない状況の中で、最大限に原料を確保できる春植の面積を確保したいが、収穫期に作業が重複することから同面積は減少傾向にある。これに歯止めをかけるため、各製造事業者は毎年製糖期に操業を休止し、各農家に春植の推進を奨励している。これは農家の収入確保と製造事業者の安定した操業を目的として行っているものであるが、春植の確保は思うようにいかないのが現状である。

さとうきびの栽培型収穫面積(鹿児島県)
(単位;ha)
12,607 1,751(13.9%) 2,987(23.7%) 7,869(62.4%)
2 12,265 1,566(12.8%) 2,843(23.2%) 7,856(64.0%)
3 11,076 1,411(12.7%) 2,437(22.0%) 7,228(65.3%)
4 10,448 1,452(13.9%) 2,322(22.2%) 6,674(63.9%)
5 9,936 1,582(15.9%) 2,596(26.1%) 5,758(58.0%)
6 9,626 1,740(18.1%) 2,146(22.3%) 5,740(59.6%)
7 9,369 1,969(21.0%) 1,946(20.8%) 5,454(58.2%)
8 9,182 2,048(22.3%) 1,960(21.3%) 5,174(56.4%)
9 8,718 1,852(21.3%) 2,060(23.6%) 4,806(55.1%)
10(見込) 8,932 2,206(24.7%) 1,805(20.2%) 4,921(55.1%)
(注)鹿児島県農政部資料による。


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那覇事務所



○平成10年産沖縄県産甘しゃ糖の製糖歩留り(平成11年2月末現在)

 前月号で既報のとおり、平成10年産沖縄県産甘しゃ分みつ糖の製糖歩留りは、例年に比較して低い水準となっている。
 平成11年2月末時点における甘蔗糖度及び製糖歩留りは、同年1月末時点と比べて0.4ポイント程度上昇しているが、さとうきびの品質が良かった9年産に比較した場合、依然として低い水準となっている。
 一方、さとうきびの生産量は、当初見込み数量よりも増産が見込まれており、製糖歩留りの動向とともに今後の製糖状況が注目される。

10年産2月末現在の製糖歩留り等(沖縄県)
  甘蔗糖度(度) 製糖歩留り(%)
9年産最終結果 A 14.13 11.95
10年産1月末 B 12.18 10.05
10年産2月末 C 12.54 10.48
1月末との比較 C―B 0.36 0.43
9年産との比較 C―A △1.59 △1.47
(日本分蜜糖工業会調査資料より)


○沖縄県における事業団助成対象事業の実施状況等

 事業団の「平成10事業年度さとうきび安定生産推進事業」について一部を紹介する。
・点滴かん水チューブ等のかん水施設の設置
 (社)沖縄県糖業振興協会及び農業協同組合等は、さとうきび農家のかん水に対する意識の啓発を図り、かん水チューブ等をモデル的に整備することによって、さとうきびの生産性向上に資する目的から、「平成10事業年度さとうきび安定生産推進事業」を実施している。
 先日、点滴かん水チューブ等によるこの事業は実施状況調査のため、あるモデル地区を訪問したところであるが、現地の状況や意見等は次のとおりであった。

現地の状況
1.本事業のこのモデル地区におけるかん水は、点滴かん水チューブの方法によっている。
2.農道沿いに畝に直角に直径5cm程度のチューブを設置し、これに直径1cm程度の点滴チューブをジョイントして畝に平行に設置する。点滴口は50cm程度の間隔で、目づまりがおきないように設計されている。なお、水源は地下水のポンプアップやトラック、トラクター等で運搬した給水タンク等によっており、ディスクフィルターを通してチューブに給水されている。
3.苗の植え付け直後は、その真上に点滴チューブを設置し、生育期は畝の間に設置する。また、収穫時は、巻取りリール等によってこれらを撤去する。

現地の意見等
1.点滴かん水のため、他のかん水方法に比較して使用水量の節約の面や、かん水効率に優れている。特に、干ばつ被害の常襲地域や保水力に乏しい土壌地域のかん水方法として優れている。
2.かん水チューブの設置や撤去作業は大きな労力を必要とせず、設置後は水源が確保されていれば、かん水にあまり労力を必要としない。
3.常にかん水量を簡単に調節できるため、干ばつや降雨時等の天候に応じた適切なかん水が容易に行える。
4.点滴かん水チューブ等を大事に取り扱って、少なくとも5年程度は使用したい。このことにより、かん水に要するコストの低減を図りたい。
5.かん水チューブを設置したほ場のさとうきびの収量は、かん水設備のないほ場のそれに比べて、現段階では具体的な数字は示せないが、かなり多くなるものと思われる。今後は、かん水チューブの設置面積を増やすべく努力したい。
6.かん水の際、かん水元の水に液肥や農薬を混入する方法がある。点滴によるため、かん水効率に優れているのと同様に施肥等の効率にも優れていると聞いている。この面からも、コストの低減につながるものと思われる。
7.点滴かん水チューブ等の地上設置の他に、地中埋設の方法がある。埋設時に地上設置に比べて労力は大きくなるが、収穫時前後のチューブの撤去、再設置の作業を必要としない。地上設置に比べてチューブの強度が必要なため、チューブの価格が高くなる。コストと耐用年数、利便性等について、地上設置型と地中埋設型を比較、検討したい。

 以上が現地の状況や意見などであるが、点滴によってかん水するため、根もとまで充分に水が浸透しており、かん水効率に優れていると感じられた。また、かん水チューブを設置したほ場のさとうきびは、かん水設備のないほ場のさとうきびに比べて生育が良いと感じられた。今後の農家のかん水に対する取り組みに期待し、さとうきびの安定的な生産につながるよう願うところである。

○さとうきびの側枝苗栽培講習会の開催

 2月12日(金)に、沖縄県農業試験場において、(社)沖縄県糖業振興協会主催のさとうきび側枝苗栽培講習会が開催され、沖縄県内の市町村、農業協同組合、製糖会社等の関係者多数が出席した。
 これは同協会が実施している「平成10年度さとうきび種苗供給安定化対策事業」において、さとうきびの新たな種苗増殖技術として側枝苗の普及を行っていることから、この事業の一環として講習会を開催しているもので、側枝苗の増殖、育苗技術から植付け、収穫までの側枝苗が持つ特徴的な事柄や植付け後の栽培管理等について講習が行われ、側枝苗移植機を使用したほ場での移植の実演が行われた。
 講習会の内容は、概ね次のとおり

(1)側枝苗の利点について
・移植時のほ場整地や移植時期、方法が適切であれば、活着率が非常に高い。
・活着率が高く分けつが良いため、栽培管理を適切に行えば収量が多くなる。
・移植から収穫まで、今後のさとうきび作の機械化の進展にマッチしている。
・農家が苗を購入する場合、側枝苗の移植費を含む苗の価格は茎節苗のそれに比べてやや安価である。

(2)側枝苗の増殖、育苗技術について
・母茎作り、梢頭部カット、一次側枝発生・カット、二次側枝発生・カット、三次側枝発生・カット・側枝採取
・側枝を葉数ごとに選別、消毒、ペーパーポット等に挿苗
ペーパーポットは、ビート移植用をさとうきび側枝苗専用に改良したものを使用。この他に数十連結のプラスチック製ポットを使用(プラグ苗)。
側枝をポットに挿苗後3〜4日経過すると根帯に分布する根基から根が現れる。根の寿命は限られているが、新しく出現する分けつ茎はそれ自身で新しい根を出し、根系は全体として継続的に更新される。

(3)植付準備
・肥料の投入による土づくり、定植のための耕起、整地
さとうきびの根は深根性のため、深耕(耕起の深さ40cm以上)が必要。植付け時の傷みをなくし、確実に活着させるためには細土にすることが重要。
・側枝苗の準備(苗の選定、消毒、かん水等)、移植機の準備

(4)植付け
・植付け時期、方法、施肥、農薬散布、かん水、補植(3〜4週間後、欠株が生じた場合)
ペーパーポットの上端1cm程度地際から出るように植え付けることが重要(根の上部に成長点があり、ここから分けつするため。深く植え付けると分けつを妨げることになる。)。定植後、充分なかん水を行うことが重要。

(5)肥培管理、雑草防除

(6)収穫

(7)移植機を使用しての側枝苗の移植実演
・側枝苗用の移植機が開発されており、移植機をトラクタの前部に取り付けて、トラクタのオペレーターと移植機の作業者二人で移植作業を行う。
・ペーパーポット用として開発されたが、プラグ苗にも対応できるように改良されている。
・ペーパーポット苗はポットを挟持し、プラグ苗は茎を挟持して植え付ける。
・不良苗を除去する苗選別装置を備えており、選別の際、欠株が発生しないような構造になっている。

 さとうきびの新たな種苗として注目されている側枝苗は、その増殖技術の開発や実証試験の経過に進展がみられるが、今後は側枝苗の普及に向けて、無病健全苗を用いた母茎栽培体制や円滑な側枝苗の供給体制の確立と苗価格の更なるコストダウンの努力が期待されているところである。

○さとうきび新種苗増殖技術開発・実証試験検討会の開催

 2月16日(火)に那覇市の自治会館において、事業団主催の「さとうきび新種苗増殖技術開発・実証試験検討会」を開催した。
 事業団助成対象事業の「平成10年度さとうきび種苗供給安定化対策事業」の事業実施主体である(社)鹿児島県糖業振興協会及び(社)沖縄県糖業振興協会は、組織培養苗及び側枝苗の新種苗増殖技術について、生産コスト低減のための技術開発や実証試験等を行っている。
 この検討会は、両協会によるこれら新種苗の増殖技術開発や実証試験等についての状況説明とこれの検討のため開催したもので、両協会のほか農林水産省をはじめ沖縄開発庁、鹿児島県庁、沖縄県庁、試験研究機関及び製糖会社等関係者が多数出席した。
 (社)鹿児島県糖業振興協会が組織培養苗、(社)沖縄県糖業振興協会が側枝苗の技術開発や実証試験を行っており、これら新種苗の普及について関係者から大きな期待が集まっているところである。

○製糖歩留り・品質向上技術開発事業検討会(第2回)の開催

 3月5日(金)に那覇市の自治会館において、(財)日本食品分析センター主催の製糖歩留り・品質向上技術開発事業検討会が開催され、沖縄県、鹿児島県、製糖業者、糖業者団体及び有識者等の関係者多数が出席した。
 これは同センターが実施している「平成10事業年度甘しゃ糖低コスト製造技術開発事業」において、甘しゃ糖製造工程における転化酵素等の働きについて調査・研究及びこれを抑制する手法の開発等を行っていることから、事業の一環として検討会を開催したものである。今回の検討会では、まだ最終的なものではないが、次のような調査研究等による中間的な結論が示された。

 調査・研究項目
(1)成分の実態調査(糖汁液、原料糖、廃糖蜜、黒糖の成分分析を行い、分析結果につき考察を行う。)
(2)ショ糖分解酵素の簡便測定法開発(さとうきび搾汁液に含まれるショ糖分解酵素を迅速・簡便に測定するための分析法を開発する。)
(3)ショ糖分解酵素に関する解析(さとうきび中に含まれるショ糖分解酵素の解析を行う。)
(4)微生物の解析(さとうきび及び製造工程に存在する微生物の菌数を調べる。)
(5)ショ糖分解酵素活性に関する解析(ショ糖分解酵素活性に関する解析を行う。)
(6)製造工程における酵素活性の動態調査(製造工程における酵素活性の動態を調査する。)

 現段階での調査項目に対する結論
(1)〜(3)の調査・研究項目(ほ場から工場搬入まで)に対する結論
○ショ糖分解酵素の活性を測定する簡便測定法を開発した。
○さとうきびの部位別酵素活性は、梢頭部と葉部が高い。
○Nco310の酵素活性が最も高い。
○未熟、成熟さとうきびでは、酸性化における梢頭部の酵素活性には差がないが、中性土壌では未熟さとうきびの酵素活性の方が高い。
○梢頭部のショ糖含量は低く、還元糖の割合が高い。
(4)〜(6)の調査・研究項目(工場搬入から製糖するまで)に対する結論
○デンプンは梢頭部に多く、成熟期の方が多い。
○酵素活性は石灰混和直後で消失する。
○混合汁を45℃で放置すると、著しいショ糖の減少を示すが、濃縮汁では変化しない。
○混合汁の菌数は高く、加熱によって大半が死滅する。
○混合汁中の微生物の大半はショ糖分解能を有し、ポリマー形成能も有するものが多い。
○黒糖製品中にも高温生育性の菌が生存する。
 近年、さとうきび収穫の機械化が進展し、原料さとうきびのトラッシュが増加する傾向にあって、トラッシュ中に多く含まれているといわれる転化酵素の働きを解析し、抑制する手法が開発されることが期待されているところである。

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1.実  績
イベント情報 1.実績

2.予  定
イベント情報 1.予定

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