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地域だより[1999年6月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[1999年6月]
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札幌事務所



○平成11年産てん菜の植付け状況

 平成11年産てん菜の植付けが開始された。今冬は全道的に積雪量が多く、融雪の遅れ等からてん菜の植付け作業が遅れるのではないかと懸念されていたが、4月中旬からの好天により一気に雪解けが進んだこと、また、根雪が早く、積雪が多かったこと等が土壌の凍結を浅くし、特別早かった昨年には及ばないものの、特に雪の多い地域を除いては平年並みかやや遅れての植付け作業の開始となった。
 5月のゴールデンウィーク後半の降雨により畑に機械を入れることができないなど、作業が中断され、十勝の一部を除いて全道的に少し遅れ気味となっている模様。
 直播においては、4月末から5月初めまでは大方のところでは作業を終えたが、今年も地域により直播による作付けが増加しているものとみられる。
 品種としては、ハミング、ユーデン、サラの3種を中心に、めぐみ、ストーク、ハンナ等が多く植付けられ、11年度の優良品種として認定されたアーベンド、モリーノの植付けも行われた。また、昭和63年に優良品種として認定され長期間活躍してきたスターヒル、モノエースS等が今年から姿を消した。
てん菜の植付け作業の様子 てん菜の植付け作業の様子
てん菜の植付け作業の様子

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東京事務所



○「パラチノース・還元パラチノース研究会」の開催

 三井製糖(株)は、平成11年4月26日(月)東京都目黒区のウェスティンホテル東京において「パラチノース・還元パラチノース(パラチニット)研究会」を開催した。第1部のプログラムとしては、大阪大学歯学部大嶋隆助教授が「う蝕抑制作用を示す糖について」と題し、ミュータンスレンサ球菌による酸産生の基質とならない糖として糖アルコール(パラチニット、キシリトール、マルチトールなど)及びスクロース構造異性体(パラチノース、トレハルロースなど)があり、同菌によるスクロースからのグルカン合成を阻害する糖としてグルコシルオリゴ糖(パノース、イソマルトースなど)及びスクロース構造異性体(パラチノース、トレハルロースなど)などがあることを紹介した。
 東京歯科大学松久保隆教授は、う蝕予防のためにはセルフケア、プロフェッショナルケア及びコミュニティーケアの3種類の方法があり、セルフケアの一部として唾液の分泌を促進させ、う蝕になりにくい条件を作るという意味合いで、パラチノースなどを使用したチューインガムなどの非う蝕誘発性食品を摂ることは一つの方法であるという内容の発表を行った。
 また、第2部は、独パラチニット社のStrater社長がパラチニットの世界市場について説明し、その後、三井製糖(株)からパラチニット新商品の紹介が行われた。
 第3部は、筑波大学の鈴木正成教授が運動後に糖類(パラチノース、フルクトース、スクロース)入りのドリンクを摂取した場合、脂肪の分解は、パラチノースが最も大きく、次いでスクロース、フルクトースの順となったという実験結果を紹介した。

○アイスクリームフェスタ'99 の開催

 平成11年5月7日(金)から9日(日)までの3日間、新宿タカシマヤ・タイムズスクエアにおいて「アイスクリームフェスタ'99」(社団法人日本アイスクリーム協会主催)が開催された。
 アイスクリームは、かつて大変な貴重品であったため、一部の上層階級の人々しか味わうことができないものであったが、今日では誰でも口にすることができる身近な冷菓として親しまれている。
 同協会は、わが国に初めてアイスクリームが「あいすくりん」として、横浜の馬車道通りで売り出されたのが明治2年5月9日であったため、昭和39年に5月9日を「アイスクリームの日」と定め、この日を広く一般消費者に認識してもらい、アイスクリーム好きが集まる夢の国、「アイスクリーム王国」の宮殿をイメージした会場で消費拡大を図るため97年から実施しているもので今年で3回目となる。
 このイベントでは、「アイスクリームSUPER STATION」と題した、アイスクリームに関する情報の紹介や、入場者へアイスクリームの無料サービスのほか、最新のアイスクリームの紹介や、クイズバトルが催された。更にアイスクリームの効用として以下の内容が紹介された。
1.「健康食品としてアイスクリーム」
 アイスクリーム1個(乳脂肪分8%、130ml)には、日本人に不足しがちなカルシウムが105mgも含まれ、1日に必要な量の約16%満たすことができる。また、肌をキレイにするといわれるビタミンAは約10%、健康に必須なビタミンB1は約6%、B2は約14%を摂取することができる。
2.「アイスクリームは太りにくい」
(1) 食べ物の脂肪分は、体の中に入ると、二酸化炭素として体の外に出ていくもの(エネルギーとして消費される)と脂肪として蓄積されるものに別れる。血液中に脂肪が沢山流れているときに血糖が上昇すると、脂肪は筋肉や心臓のエネルギーになることが抑えられ、脂肪組織に取り込まれて体脂肪として蓄積され易くなる。アイスクリームは、バナナ、パンと比較した場合、血糖値が上がりにくく、太りにくい食品である。
(2) 冷たいアイスクリームを食べると体が冷え、体は体温を元に戻そうと熱生産を高めるためにエネルギー消費が多くなるので太りにくい。
 このように、アイスクリームのイメージアップを図ったうえ、明るく健康的なイメージのアイドルタレント、さとう珠緒の「1日アイスクリーム大使」の起用もあって会場は大盛況であった。

アイスクリーム類及び氷菓の販売物量・金額
種類 アイスクリーム アイスミルク ラクトアイス 氷  菓 合  計 販売金額
年度 物量(KL) 物量(KL) 物量(KL) 物量(KL) 物量(KL) 億円
1991 214,600 116,000 292,700 259,300 882,600 3,810
1992 212,000 111,000 273,000 260,000 856,000 3,856
1993 202,000 105,100 248,800 251,500 807,400 3,744
1994 225,836 99,214 283,881 358,639 967,570 4,296
1995 197,600 106,400 271,300 293,600 868,900 3,879
1996 185,600 104,900 297,400 259,300 847,200 3,785
1997 187,800 118,200 278,400 239,100 823,500 3,750
出典:社団法人 日本アイスクリーム協会

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名古屋事務所



○「食品技術講習会 〜トレハロースの機能とその利用〜」

 平成11年4月16日(金)、愛知県食品工業技術センター(名古屋市西区新福寺町2−1−1)において、同センター主催の平成11年度第40回科学技術週間講習会の一環として「食と健康」をテーマに食品技術講習会が開催された。当日の参加者は70名程だったが、一般消費者や学生は少なく主に食品製造メーカーの技術者が多く参加していた。
 講習会は、同センターの中莖なかくき秀夫主任研究員が「お茶の機能とその利用」を、(株)林原生物化学研究所の斉藤典行センター長が「トレハロースの機能とその利用」を演題に講演を行ったが、そのうち非還元性の二糖類であるトレハロースについての概要は次のとおりである。

1.はじめに
 95年秋から製造販売を開始した。
2.製造方法
 澱粉の還元性末端を非還元性に変換する酵素と、さらにトレハロース部分を遊離する酵素の2つの働きでつくられる。澱粉を原料に85%以上の生成率で大量生産できる。
3.物理化学的性質
 還元性の糖質なのでアミノ酸・たん白質とともに加熱しても褐変現象であるメイラード反応は起らない。砂糖やブドウ糖と同様、人間の脳の栄養源となりエネルギー値は4kcal/gと見積られている。
4.特性及び機能
(1) 澱粉の老化抑制効果
 澱粉のβ化による老化を防止し、硬化、パサつき、白濁などの品質劣化を防ぐ。
(2) 蛋白質の変性抑制効果
 豆腐、プリン、茶碗蒸しなどのたん白質含有食品の冷凍化が可能。
(3) 矯味・矯臭作用
 醤油や食酢に加えると、塩辛味や酸味が強調される。一方、苦味、渋味、生臭味などに対しては、抑制効果があることが分かっている。
(4) 脂質の分解抑制
 脂質の分解を抑制し、変敗臭の生成を抑制する。
(5) 白米の米糠臭発生の抑制
 米糠臭のもとであるプロパナール、ブタナールなどの揮発性アルデヒトの発生を抑制する。玄米にも同様な効果が確認された。
(6) 非う蝕性
 経口摂取しても糖アルコールと同様、虫歯発生の臨界pHといわれる5.5以下には下がらないことが確認されている。
(7) 骨代謝へ与える影響
 骨重量の減少が抑制されるので、骨粗鬆症の治療あるいは予防の補助的な役割が期待できる。
5.おわりに
 トレハロースには今までに開発された糖質には見られない利用特性や機能がまだまだ隠されているように思われる。

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大阪事務所



○糖類を用いた古代木製遺物の保存処理法

 奈良県橿原(かしはら)市にある奈良県立橿原考古学研究所では、全国各地の遺跡などから出土した水浸け木製遺物に糖類を用いた処理を施し、水浸け遺物の保存強化を図る方法を研究している。
 同研究所は昭和13年に設立され、発掘調査等によって出土した遺物の調査研究、遺物に関する資料と遺物の保管、遺物等を保存するための科学的な方法の開発と処理、分析機器などを用いての遺物の構造や材質の調査などを行っている。
 当事務所ではこの度、同研究所を訪ね、遺物等を保存するための科学的な方法を研究されている同研究所保存科学研究室長の今津節生博士に、糖類を用いた保存処理の方法、保存法の歴史等のお話を伺ったので紹介する。
 水浸けの状態で発見された木製遺物は、細胞中に水分が多量に含まれているため、非常にもろく、そのままにしておくと腐ったり、乾燥して変形してしまう等遺物の調査研究のうえで支障をきたすこととなる。博物館などに展示する場合、展示場の環境に耐えられる強度と適応性が不可欠となる。そのため木製遺物に何らかの科学的な処理を施して、水分を除去しながら木の組織に強度を持たせ、微生物の侵入を防ぐとともに、処理後の安定性を保ち、年代推定など各種の分析に障害を与えない処理が必要になる。このようなことから、水浸け木製遺物の保存処理法は、ヨーロッパを中心に古くから世界各国で研究されてきた。
 水浸有機遺物の保存法の歴史は、19世紀にヨーロッパで開始されたカリ明礬(みょうばん)含浸法に始まり、1950年代に北欧で開始されたPEG(ポリエチレングリコール)含浸法は世界的に普及した。1980年代後半からはスクロース(蔗糖)などの糖類水溶液を水浸有機物に含浸させて強化する研究が、ドイツを中心にヨーロッパ各地で活発に行われるようになった。
 PEGを用いる方法では、(1)PEGの分子量が大きいため木材の組織に浸透しにくい、(2)処理後、遺物の表面が黒ずみ、記されている文字や彩色が次第に読みとりにくくなるなどの欠点があったが、スクロースを用いた方法ではこのような問題もなく、ヨーロッパでは数多くの成果が得られ、現在の木製遺物保存処理法の主流になりつつある。
 日本においては、1985年奈良県立橿原考古学研究所の今津博士がスクロースを用いた水浸有機遺物の保存研究を開始したが、日本の気候はヨーロッパに比べ高温多湿なため種々の問題が発生した。つまり、保存処理に用いるスクロース溶液の濃度が低いと、その溶液が腐ったり、処理後保管中の木製品が吸湿してスクロースが溶け出し、アリ等の虫に食われてしまう危険性があることや、熱を加えるとスクロースが化学変化(メイラード反応)を起こして色が着く等の点であった。
 そこで今津博士は、スクロースの代わりにいろいろな種類の糖アルコールを使っての研究に着手し、1994年、画期的なラクチトールを用いた保存法を開発した。ラクチトールは、乳糖を還元して生成される糖アルコールで、代替甘味料としてチョコレート等にも多く使用されている。低吸湿性でありながら水に対する溶解性が高く、微生物に侵されにくい非腐朽性の性質を持ち、熱安定性にも優れているため加熱による着色も起こらず、他の糖アルコールに比べて安価なこと等、保存処理剤としての一定条件を満たしている。
 ラクチトールを用いた処理方法の基本的な形は、次のとおりである。
(1) 密閉容器に30〜50%のラクチトール水溶液を満たして出土木材を浸漬する。
(2) 60〜80℃に保温した装置を使って、木材への含浸状態と劣化状態に合わせて溶液濃度をゆっくり上昇させる。水分を蒸発させながら、最終的には80〜90%まで濃縮する。
(3) 含浸終了後は表面のラクチトールを素早く水道水で洗い流す。洗浄後は丹念に水分を拭き取る。
(4) 結晶化を推進するために、結晶の核となるラクチトールの微粉末を木材表面にむらなく散布する。
(5) 微粉末を散布した木材を50℃前後で十分乾燥させる。
(6) 乾燥期間を経て木材内部まで完全に固形化した後、表面に残る結晶を水道水で洗い流す。
(7) 再び50℃前後で短期間乾燥させる。
(8) 破損した個所を接着剤で接合する。また欠損部分はパテなどを使って補う。
(9) 調湿紙を入れたビニール袋に遺物を入れて一般空調の収蔵庫で保管する。
 保存処理に使用したラクチトールは、繰り返し使用することが可能であり、同研究所では年間約2.5〜3トンのラクチトールを消費するという。
 ラクチトールを用いての保存処理法は、従来のPEGを用いた方法に比べて、処理期間を大幅に短縮できることから全国においてもラクチトール保存処理の研究者は増えつつある。
 最近では、多湿であるという点で日本と気候の共通性があるアジア各地からも、研修生が同研究所を訪れているという。この保存処理技術が海外に普及する日も近いと思われる。
 今津博士によれば、ラクチトールを使った保存処理方法は完成された技術ではなく、木製遺物の保存処理技術に関する研究は、まだ開発途上の段階であり、今津博士は「これまで行ってきた単一の糖類を用いての研究から、今後は数種類の糖類を混合させたり、補助剤を加える等、色々な糖種を組み合わせた場合の新たな可能性を探る研究を進めていきたい。」とその抱負を述べている。
 今回紹介した糖類を用いた水浸け木製遺物の保存処理法は、糖類を食品以外の用途に利用した例として注目される。ヨーロッパでは、既に砂糖を用いた保存法が数多くの成果を挙げていることから、日本でも同処理法の研究が進み、砂糖の新たな用途利用として期待したい。
(注) 明礬(みょうばん)とは、酸化アルミニウムの溶液に硫酸カリを加えて結晶させたもの。
ラフチトール水溶液含浸終了後の木樋 ラクチトール粉末の散布
ラクチトール水溶液含浸終了後の木樋 結晶化の表面保護のために
ラクチトール粉末の散布

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岡山出張所



○三井製糖(株)岡山工場での出来事

1.木曜会で三井製糖岡山工場を見学
 岡山市内にある農林関係政府機関等の集まりである木曜会は、4月例会で三井製糖(株)岡山工場の見学を行った。
 当日(4月20日)は船野中国四国農政局長他6名が参加した。下記はその概要である。
 金泉工場長から岡山工場の概要説明を受けた後、宮原管理課長、堀井総務課長の案内で工場内を見学した。当日は、溶糖期間中であったため、工場は稼動しており、主な見学箇所は小袋包装詰め工程、原糖倉庫、結晶缶工程、中央制御室であった。また、国内産糖(南西糖業)の荷役が行われており、原糖倉庫にトラックが頻繁に出入りしていた。
 製糖工場を見るのは初めての参加者が多く、会員からは粗糖の輸入先、輸入糖と国内産糖の原料使用割合、輸入粗糖と国内産糖の原料の違いと製品との関係、岡山工場が当地に設置された経緯などについて質問があった。原糖倉庫に高く積み上げられている粗糖が印象に残ったようである。
2.テレビ放送で三井製糖岡山工場が紹介される
 地元OHKテレビ放送は、岡山、香川向けの地域情報番組「しらべーるの冒険」(毎週月曜夜8時〜9時放送)3月22日放送の「行かなきゃ損超穴場無料スポット特集」で三井製糖岡山工場(岡山市築港元町)を取り上げた。当番組は、毎回テーマを決め岡山、香川の地域情報(グルメ情報、観光地情報等)を番組レポーターが取材し紹介するものである。今回は見学に行くと、試飲、試食ができたり、記念品等の土産がもらえる工場を特集。その中で三井製糖岡山工場が紹介された。内容は、レポーターが工場内を回り砂糖ができる工程の説明を受け、最後にスティックシュガー(100本入)を見学の記念に受け取るというもの。食品関係では他にサッポロワイン岡山ワイナリー(岡山県赤坂町)、カルピス岡山工場(総社市)などが紹介された。なお、放映の翌日から三井製糖岡山工場へは視聴者から見学の問い合わせが数多く寄せられ、相当の反響があったようである。

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那覇事務所



○平成10年産 沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖生産量

 昨年12月中旬に北大東製糖(株)を皮切りに開始された平成10年産の製糖は、平成11年4月29日に石垣島製糖(株)が終了したことにより、10社11工場の全工場が操業を終了した。
 平成10年産沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖の生産量は、本島及び本島離島地域は前年産に比較して甘蔗糖度が低くなったものの、収量が大幅に増加したため、この地域の甘しゃ糖生産量は対前年比10,291トン、21%増の58,747トンとなった。
 一方、宮古島及び石垣島地域は、好調となった前年産に比較して甘蔗糖度が低く、収量も減少したため、この地域の甘しゃ糖生産量は対前年9,290トン、18%減の41,865トンと本島及び本島離島地域に比べて対照的な結果となった。
 これは、11月から12月にかけて平年に比べて降水量が多く、気温も高めに推移したことにより、甘蔗糖度の上昇が抑制されたものの、収量の増加につながったものと推測されており、宮古島及び石垣島地域については、6月から8月の干ばつと10月の台風10号による塩害の影響を大きく受けたため、甘蔗糖度及び収量がともに低水準になったものと考えられている。
 したがって全県では、さとうきびの生産量は前年産を9万3千トン、11%程度上回る92万6千トン、甘しゃ糖の生産量は前年産を千トン、1%程度上回る10万6百トンとなり、製糖開始時の生産見込み数量を上回る結果となった。

平成10年度 沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖生産量等
平成10年度 沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖生産量等
(注)・日本分蜜糖工業会の調査資料に基づく。
   ・本島離島は、伊江島、伊是名島、久米島及び南北大東島の地域である。
   ・四捨五入の関係で内訳と合計が一致しないことがある。


○平成10/11年期 沖縄県さとうきび競作会表彰式

 平成11年4月20日(火)に那覇市のJA会館において、第22回「さとうきびの日」の関連行事として、沖縄県糖業振興協会主催の平成10/11年期沖縄県さとうきび競作会表彰式が行われた。
 「さとうきびの日」は、沖縄県の生産農家をはじめとする関係者のさとうきびの生産振興に対する意識の高揚を図るとともに、沖縄県の基幹作物であるさとうきびの重要性を広く一般に理解してもらうことを目的として昭和52年に創設されたもので、以後毎年4月の第4日曜日(今年は4月25日)を「さとうきびの日」として、県内各地で諸行事を実施するなど、これらの目的達成のために様々な取り組みが行われてきている。
 今回表彰された農家の一部をここで紹介する。

春植部門1位
伊保俊和 氏(石垣市)
 さとうきびの品種 NiF 8(農林8号)
 10a当たり収量 13,300kg
 甘蔗糖度13.7%
 春植で収量13トン超えは、トップ。
 伊保氏は一昨年春植部門、昨年株出部門でそれぞれ1位となっており、今年の春植部門1位と併せて同一ほ場で3年連続受賞。しかも年々成績が向上しており、高度な栽培技術がうかがわれる。

夏植部門1位
久保田光男 氏(北中城村)
 さとうきびの品種 NiF 8(農林8号)
 10a当たり収量22,991kg
 甘蔗糖度14.3%
 23トンの収量は競作会の記録を大幅に更新(過去最高記録19.997kg・第1回競作会 昭和51/52年期)。
 「きびを自慢するよりも畑を自慢したい。」との言葉が示すとおり、久保田氏は土づくりに大変神経を使っており、深耕、充分かつ効率的な堆肥の施肥や、夏場の地割れ防止のための緑肥の鋤きこみなどが行われている。

株出部門1位
宮平 勇 氏(宜野座村)
 さとうきびの品種 F177
 10a当たり収量11,920kg
 甘蔗糖度15.2%
 甘蔗糖度15.2%は、今回の競作会出品の中で最高の糖度。

特別表彰の部
伊志嶺敏彦 氏(石垣市)
(当事業団作成ビデオで全国優良農家として紹介されている)
 伊志嶺氏は、昭和61年に父親から農業経営の移譲を受け、1.5haのさとうきび畑から農業を始めたが、その後スーパーL資金を活用した農地の取得や、農用地流動化事業等の活用による農地の集積、自らが購入したユンボを使用して遊休地を農地に造成するなど規模拡大に努めた結果、現在は13haのさとうきび畑をはじめとして、パインや水稲等他作物と合わせて19haの大規模農家になっている。また、適切な肥培管理等とともに、畜産農家とタイアップし、ほ場に堆肥を投入し土づくりの徹底を図るなど、常に単収アップを目指してきたことにより、収量も増加し平成9年産は700トンを超える生産量となっている。
 伊志嶺氏は、家族労働力によりながらも700トンの生産実績がある大規模農家として石垣島のさとうきび作振興に大きなインパクトを与え、生産振興に意欲的に取り組みながら、地域の核として、また模範者としてリーダーシップを発揮しており、今後さらなる飛躍が期待される。
 また表彰式に先だって、当事業団の広報ビデオ「明日のさとうきび農業をめざして」の上映が行われた。種子島の河脇秀二郎氏と石垣島の伊志嶺敏彦氏の、二人の農家それぞれの工夫点や努力しているところが分かりやすく、今後の参考にしたい、もっと多くの農家にも見てもらいたい等との意見が多く聞かれ、好評であった。
主催者あいさつ 特別表彰
主催者あいさつ 特別表彰を受ける伊志嶺さん

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