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地域だより[1999年10月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[1999年10月]
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大阪事務所



○伝統の京菓子文化を明日に伝えて
〜京菓子資料館((財)ギルドハウス京菓子)〜

 京都市上京区烏丸(からすま)通りにある、(株)俵屋吉富烏丸店の3階に、京菓子文化の資料館「京菓子資料館(靴ギルドハウス京菓子)」がある。
 同館は、京菓子の老舗の1つである(株)俵屋吉富が昭和53年に烏丸店を新設した際、「ギルドハウス京菓子(京菓子ミニ博物館)」として成立したもので、(株)俵屋吉富7代目に当たる京菓匠・石原留治郎氏によって永年にわたり研究、創作されてきた京菓子(有職菓子)作りの技術を後世に伝えるため、同氏が製作保存してきた作品など関係資料の一端を一般に公開している。
 同館は、昭和60年からは、組織母体を財団法人化し、京菓子ばかりでなく、日本の菓子文化についても歴史的に考察し、復元した古代の菓子や、同社が所蔵している絵画、古文書、美術工芸品、什器、掛軸、菓子書など関連する資料を展示して、和菓子の歴史において大きな役割を果たしてきた京菓子文化の伝承、発展に努めている。
 広さおよそ105平方メートルの展示室内には、花鳥風月を題材とした糖芸菓子を中心に、京菓子作りに使われた小道具や、御所御用の資料、古文書、容器、さらには石原留治郎翁の作品とその関係の品々などが展示され、季節ごとに展示内容が入れ替えられて、来館者の目を楽しませてくれる。
 (14)俵屋吉富代表取締役社長石原義正氏(第8代目)によれば、同館は、京都の各種観光コースの中に組み入れられ、主婦や修学旅行生などを中心に年間約2万人もの人達が訪れるとのことであり、来館者からの高い評価を得ている。風雅な京菓子文化に触れて感激した修学旅行生が、旅行の課題として学校に提出したレポートを、同館の方へ送ってきたケースもあるという。
 特に豪華で精緻な糖芸菓子については、全国菓子大博覧会にもたびたび出品し、数々の賞を受賞した作品を含め、(14)俵屋吉富が京菓子技術を総結集して作り上げたものが展示されており、来館者は一様に感嘆の表情を浮かべるということで、一見の価値がありそうである。
 同館のあるビル内には、茶室も併設されており、一服のお茶とともに京菓子を味わうこともできる(要予約)。裏千家十五世家元鵬雲斎(ほううんさい)命名の「明清庵(めいせいあん)」(1階)と薮内(やぶのうち)流第十三代薮内紹智(やぶのうちじょうち)御家元命名の「聚叡堂(じゅえいどう)」(3階)で、味覚、視覚だけでなく、菓子に映じられた季節、意匠などを聞くことなどによりお茶と京菓子を「五感」で味わいながら、しばし日常の喧騒から逃れるのも、この施設を楽しむ1つの方法かもしれない。
 同館では、伝承の技を明日に生かすための京菓子文化のセンターとして、展示内容等について、今後より一層の充実を図っていきたいとしている。
 なお、同館の所在地等は、下記のとおりである。

名称:京菓子資料館((財)ギルドハウス京菓子)
所在地:京都市上京区烏丸通り上立売上る(かみたちうりあがる)柳図子町(やなぎずしちょう)331−2
電話:075−432−3101
開館時間:午前10時から午後5時まで
休館日:毎週水曜日、年末年始(12月29日〜1月5日)
入場料:無料(10名以上の団体は要予約)

京菓子資料館
俵屋吉富烏丸店3階に京菓子資料館
(靴ギルドハウス京菓子)がある
糖芸菓子「龍翔松」
糖芸菓子「龍翔松」
糖芸菓子「花の乱」
糖芸菓子「花の乱」
糖芸菓子「花鳥の使」
糖芸菓子「花鳥の使」

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福岡事務所



○鹿児島県南西諸島における農産物粗生産額について(その1)

 九州農政局鹿児島統計情報事務所では、毎年、鹿児島県下の市町村ごとに農産物別に粗生産額を調査している。福岡事務所では同統計情報事務所の同調査を基に鹿児島県南西諸島(屋久島を除く)でさとうきびを生産している地域の農産物の粗生産額を集計・整理した。同地域の農産物全体の粗生産額は、鹿児島県全域のほぼ1割を占めており、さとうきびの粗生産額の割合は県全体の2〜3%となっている。
 表は、1993年から1997年までの5年間の農産物の粗生産額を取りまとめたものである。さとうきびの粗生産額は毎年、農産物粗生産額の26〜28%を占めており、さとうきび作は農家の生活安定及び島の経済振興にとって欠くことのできない基幹作物となっている。続いて肉用牛、かんしょ・ばれいしょといった芋類が見られ、これら3種類で粗生産額全体の過半数を占めている。肉用牛の飼育には、さとうきび作で産出される梢頭部等が飼料に適しており、さとうきび作と肉用牛の飼育は一体のものとなっている。かんしょ・ばれいしょの芋類は主に種子島、沖永良部島などで多く生産されており、でん粉などの原料用や生菓子など生食用として用いられている。他に、ここに数値は示されていないが、米、葉たばこが種子島で、きく・ゆりなどの花き類が沖永良部島などで、タンカンなど果実類は幅広く多くの島で生産されており、島によってそれぞれの特徴を示している。
 今回は鹿児島県南西諸島でさとうきびを生産している地域全体の農産物の粗生産額を紹介したが、次回以降は島ごとに農産物別の粗生産額を紹介する。

鹿児島県南西諸島(屋久島を除く)における農産物粗生産額(暦年)
単位:百万円、%
  1993年 1994年 1995年 1996年 1997年
農産物粗生産額 41,748 100.0 44,010 100.0 43,559 100.0 41,472 100.0 41,269 100.0
さとうきび 11,008 26.4 12,486 28.4 12,061 27.7 10,549 25.4 11,585 28.1
肉用牛 5,029 12.0 5,096 11.6 5,340 12.3 5,578 13.5 5,558 13.5
かんしょ・ばれいしょ 4,132 9.9 5,396 12.2 5,612 12.9 5,176 12.5 4,720 11.4
その他 21,579 51.7 21,032 47.8 20,546 47.1 20,169 48.6 19,406 47.0
(注)各年右欄は各農産物粗生産額の比率である。

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沖縄県におけるさとうきびの炭酸ガス吸収能力に関する試算
平成11/12年期 第1回(8月)さとうきび及び甘しゃ糖生産見込み数量

○沖縄県におけるさとうきびの炭酸ガス吸収能力に関する試算について

 沖縄県農林水産部は今春、さとうきびが地球環境保全にどの程度貢献しているのかを把握するため、財団法人亜熱帯総合研究所に委託して沖縄県におけるさとうきびの炭酸ガス吸収能力に関する試算を行った。
 これによると、さとうきびの乾物率を16%(さとうきびのサンプル抽出時期:10月)とした場合、さとうきびの生産量が100万トンの時、吸収される炭酸ガスの重量は41万トン程度になるものと試算され、新聞等で紹介されたところであるが、その後乾物率をより実態に近い25%(製糖工場に搬入される時点の標準的なさとうきびを基準)として同様の計算を行った場合、吸収される炭酸ガスの重量は64万トン程度になるものと試算された。この試算値と沖縄電力が平成9年度に火力発電のために使用した石炭と石油の使用量を基に試算した炭酸ガスの排出量383万トンとを比較したとき、さとうきびが地球温暖化等で問題となっている炭酸ガスの削減に大きく貢献していることが伺い知ることができる。
 そこで、財団法人亜熱帯総合研究所が行った「沖縄県におけるさとうきびの炭酸ガス吸収能力に関する試算」の内容を紹介する。

沖縄県におけるさとうきびの炭酸ガス吸収能力に関する試算
− 財団法人 亜熱帯総合研究所 −

 現在、地球温暖化等で問題となっているのが炭酸ガス(二酸化炭素)の増加である。植物は光エネルギーを利用して空気中の炭酸ガスを固定し有機物を作ることで成長している。さとうきびは、そうした作物の中でも炭酸ガスの固定(吸収)能力が高いことはよく知られている。
 そこで、従来は製糖原料として経済性の面が強調されることが多かった沖縄のさとうきびを、炭酸ガスを積極的に吸収するという多面的機能を発揮している場としてとらえ、その能力を試算することとした。
 なお、実際の試算に当たっては琉球大学農学部の川満芳信助手に依頼した。
 表1に沖縄県におけるさとうきび収穫時の乾物分配率を示した。製糖に必要なのは茎だけであるが、その茎は全体の54.6%であることを示している。
 この割合を利用して炭酸ガス吸収能力を試算したのが表2である。製糖工場に搬入される原料茎は水分を多量に含んでおり、水分を除いた重さは約25%(乾物率)で、さとうきび生産量が100万トンの時、乾物生産量は25万トンとなる。そのうち5%は無機物であり、その分を除いた有機物重量を炭酸ガスの重量に換算すると、約64万トンになることが分かった。いいかえると、沖縄県でさとうきびを100万トン生産したということは、沖縄のさとうきびによって64万トンの炭酸ガスを削減することができたということである。
 ただし、さとうきびは1年を通して光合成が活発に行われ炭酸ガスを固定しており、生育期間中に落葉した葉は土壌に鍬き込まれたり、また、微生物により分解された分については今回の試算では考慮されていないので、実際には、この値はもっと大きくなることが想定される。

表1 沖縄県のさとうきび収穫時の乾物分配率
単位:乾物重・kg/m2  割合・%
項 目 枯葉 葉鞘 全乾物
乾物重 0.29 2.73 0.30 1.51 0.17 5.00
割 合 5.8 54.6 6.0 30.2 3.4 100.0
(1986年琉球大学農学部宮里清松教授研究発表による)

表2 沖縄県におけるさとうきびの炭酸ガス吸収能力の試算
単位:トン
さとうきび生産量 乾物重 全乾物重 うち有機物 炭酸ガス換算
1,000,000 250,000 457,875 434,982 637,973
注1 乾物重=生産量×25%(茎の乾物率)
注2 全乾物重=乾物重÷54.6%(茎の乾物分配率)
注3 うち有機物=全乾物重×95%(無機物含有率5%)
注4 炭酸ガス換算=有機物量×(炭酸ガスの分子量44/有機物の分子量30)

(参考)沖縄電力による平成9年度の石炭、
石油の年間使用量と炭酸ガス排出量
資料提供:沖縄電力(単位:トン)
種類 使用量 炭酸ガス換算値
石炭 804,396 2,067,297
石油 566,089 1,766,197
合計 1,370,485 3,833,494
注1 石炭(乾炭)の炭酸ガス換算値は2.57倍した。
注2 石油の炭酸ガス換算値は3.12倍した。



 沖縄県農林水産部が平成11年8月1日現在における平成11年産沖縄県産さとうきび及び甘しゃ糖生産見込み数量を取りまとめたので、その一部を紹介する。

平成11/12年期 第1回(8月)さとうきび及び甘しゃ糖生産見込み数量
− 沖縄県農林水産部 −

(1) さとうきびの収穫見込み面積及び生産見込み数量

ア 収穫見込み面積
 今期のさとうきび収穫見込み面積は1万3,472ha、前期実績に対し64ha(0.5%)減で、今期も減少する見込みである。その状況を地域別でみると宮古地域で67ha(1.5%)増加しているものの、沖縄地域がほぼ前年並み、八重山地域では、133ha(8%)減少の見込みである。
 また、作型別にみると、春植で133ha(11.8%)増加見込みであるものの、夏植で141ha(2.1%)、株出で56ha(1.1%)減少する見込みである。

収穫見込み面積   収穫見込み面積(地域別)
単位:ha、% 単位:ha、%
作型 (8月)見込み 前期実績 対比
面積(A) 構成比 面積(B) 構成比 A/B
夏植
春植
株出
6,689
1,258
5,525
49.7
9.3
41.0
6,830
1,125
5,581
50.4
8.3
41.3
97.9
111.8
989
13,472 100.0 13,536 100.0 99.5
地域 (8月)見込み 前期実績 対比
沖 縄
宮 古
八重山
7,658
4,279
1,535
7,656
4,212
1,668
100.0
101.5
92.0
13,472 13,536 99.5


イ 10a当たり見込み収量
 10a当たり見込み収量は、伸張初期から生育旺盛期前半にかけて、干ばつ、台風の襲来が少なく、県全域に適度な降雨があることから、前期見込みに比較して増収が見込まれる。

10a当たり見込み収量
単位:kg
地域 夏植 春植 株出 合計
見込み 前期実績 見込み 前期実績 見込み 前期実績 見込み 前期実績
沖 縄
宮 古
八重山
8,100
7,300
7,500
8,717
7,823
7,489
5,870
4,100
5,400
5,932
4,075
5,574
6,600
4,800
4,900
6,896
4,075
5,574
6,800
7,200
7,200
7,132
7,613
7,150
7,600 7,949 5,600 5,706 6,600 5,706 7,000 7,284


ウ さとうきびの見込み生産量
 さとうきびの生産量は、収穫見込み面積が減少傾向にあり、94万395トン(対前年比95.3%)が見込まれている。

さとうきび見込み生産量
単位:トン、%
地域 見込み生産量
(A)
前期実績 対比
(A/B)
生産量(B) (A-B)
沖 縄
宮 古
八重山
521,461
308,358
110,576
545,998
320,669
119,277
△24,537
△12,311
△ 8,701
95.5
96.1
92.7
940,395 985,943 △45,548 95.3


(2) 甘しゃ糖の見込み生産量
 分みつ糖の生産量は、10万1,832トンで、前期に対し1,221トン(1.2%)の増産が見込まれている。また、含みつ糖の生産量は7,772トンで、前期に対し、267トン(3.4%)の減産が見込まれている。

甘しゃ糖見込み生産量
単位:トン、%
種類 見込み 前期実績 対比
原 料(A) 歩留り(B) 産糖量(C) 原 料(D) 歩留り(E) 産糖量(F) A/D B/E C/F
分みつ糖
含みつ糖
884,440
55,955
11.51
13.89
101,832
7,772
926,099
59,844
10.86
13.43
100,611
8,039
95.5
93.5
105.9
103.4
101.2
96.6
940,395   109,604 985,943   108,650 95.3   100.8


(3) 気象概況及びさとうきびの生育状況
 気温については、5月に平年より高く、6月に平年並みとなった。降水量については、平年より1日早い5月10日ごろに梅雨入りしたとみられ、各地域で5月を除いて平年を上まわり、さとうきびの生育は順調であった。
 生育については、沖縄本島で仮茎長、茎径、生育本数とも平年を上回って良好である。宮古地域では、仮茎長、茎径が平年より大きいが、今年の暖冬傾向、メイチュウ被害により茎数は減少している。八重山地域では、高温多日照により、順調な生育経過を示している。

(ア) 伸張初期(3〜5月)
 月平均気温は各地とも3月から4月にかけて平年より高く推移した。降水量は、3月には各地域で平年より雨量が多く4月、5月は各地域とも平年並みとなった。月間日照時間は、各地域とも4月に平年より少なく、3月、5月に平年より多かった。

(イ) 生育旺盛期(6〜8月)
 月平均気温は、各地域とも平年並みかやや高めに推移した。降水量は、6月に県全域で平年より小雨傾向となり、7月には八重山地域でやや小雨であったものの、県内全域において適度な降雨があり、さとうきびの生育に好影響を与えている。

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