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新制度初年目におけるてん菜生産と産地の取組みについて

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2008年2月]

【今月の視点】

北海道農政部食の安全推進局農産振興課

1 はじめに

  今年度は、糖価調整法の一部改正と甘味資源特別措置法の廃止、水田・畑作経営所得安定対策を始めとする一連の農政改革による新制度のスタート、WTO農業交渉や日豪EPA交渉といった国際化の進展に向けた動きなど、これまで行われてきたてん菜に関する施策やてん菜を取り巻く情勢が大きな変化を迎えて初年目のてん菜生産となりました。また、このような情勢の変化は、地域の畑作農業におけるてん菜生産の位置付けや重要性を再認識し、また、生産者個々の農業経営という視点から今後のてん菜生産がどうあるべきかということについて考える契機にもなりました。
  ここでは、新制度へ移行した北海道のてん菜生産における課題と19年度の取組みについて紹介します。

2 計画生産に向けた取組み

 新制度下における生産者や糖業者に対する政策支援は、従来と同様に、糖価調整制度の下で輸入粗糖などから徴収される調整金を主な財源としていることから、てん菜を今後も持続的に生産していくためには、糖価調整制度の安定的な運用を確保することが不可欠となります。そのためには、現在抱える調整金収支の累積差損の解消に向けて、計画生産の推進を通じた単年度収支の均衡化が求められています。

(1) 作付指標面積の設定と遵守
  生産者団体では、作付面積の管理による計画生産の推進を図るため、毎年てん菜の作付指標面積を設定し、その遵守に努めています。19年産については、18年産と同じ68,000haに設定し、全道の各産地に配分しました。また、各産地において作付面積の実測確認が行われたほか、行政・生産者団体・糖業など関係機関の合同による作付実態調査を行い、産地における実測確認が正しく行われていることが確認されました。
 19年産てん菜の作付面積は66,566haで、前年産に比べ798ha(1%)減少し、作付指標面積を1,434ha(2%)下回る見込みとなっています。

(2) 早期出荷の取組み
  てん菜の出荷においては、てん菜糖の需給安定化等を目的とした生産者団体・糖業の自主的な取組みとして、原料受渡期間の開始日を前倒しする早期出荷が行われました。19年産については、前年産と同じ10月20日から11月30日までを原料受渡期間として設定しましたが、生産見込数量が4,299千トンで、前年産に比べ376千トン(10%)増加し、史上最高の生産量を記録した16年産に次ぐ豊作が見込まれていることから、日本甜菜製糖株式会社の美幌製糖所が前年より2日早い10月5日に原料受入れを開始したのを皮切りに、10月14日までに全ての製糖工場で原料受入れが始まりました。

3 生産コスト低減に向けた取組み

 新制度下においては、てん菜生産者に対する政策支援のあり方が、これまでの品目別対策から個々の経営に着目した方法に移行したことにより、収益性を追求する農業経営がこれまで以上に重要になります。また、てん菜糖に係る内外価格差の縮小を通じた国民負担の軽減や、WTO、EPAなどの国際規律の強化への対応といった観点からも、てん菜生産からてん菜糖の製造・販売まで各段階におけるコスト低減の必要性が高まっています。

(1) 直播栽培技術の導入
  近年は、移植栽培に比べて省力的・低コストな栽培技術である直播栽培の面積が着実に増加しています。19年産における直播栽培面積は、作付面積全体の7.4%に当たる4,904haで、前年産に比べて798ha(19%)の増加となる見込みです。
 新制度においては、過去の生産実績に基づく支払(固定払)が導入されたことにより、豊凶による収入変動の幅が従来に比べて減少し、農業経営の安定化が図られることに加え、収量の増加を目指す経営からコストの縮減を目指す経営へと転換する中で、固定払導入を活かした収益の最大化を図ることが可能となります。今後、省力化・低コスト化を目指す畑作経営におけるてん菜直播栽培技術の活用が期待されるところです。

(2) 原料集荷区域の見直し
  従来、てん菜の集荷については、甘味資源特別措置法に基づき、知事が「てん菜生産振興計画」において各製糖工場ごとに原料集荷区域を定めていましたが、平成18年度をもって同法が廃止されたこと伴い、原料集荷区域も撤廃されました。これを受けて、生産者団体と糖業は、合理的・経済的な原料集荷体制の構築を通じた集荷・製造コストのさらなる削減を目指して、今後の新たな集荷のあり方について検討を開始しました。19年産の集荷計画は前年産をベースに策定されましたが、今後も効率的な原料輸送のあり方について、引き続き関係者による検討が行われていきます。
 なお、この中では、平成22年度から十勝支庁管内清水町で本格操業が予定されているバイオエタノール製造工場向けの原料供給体制に係る検討も行われ、その結果、試行的な取組みとして、一部地域で収穫されたてん菜について旧原料集荷区域を越えた輸送が、新たに実施されました。

4 終わりに

 本道におけるてん菜生産は、生産者の農業経営や地域経済とって重要な位置付けにあるばかりでなく、輪作体系の維持による主要な畑作物の安定生産を通じた国内への食料の安定供給という観点からも、その果たす役割は大きいと言えます。これらに対する責任を十分に果たしていくためには、今後とも安定的な生産を確保することが必要不可欠となっています。
 てん菜をめぐる情勢は依然厳しい状況にありますが、我が国の重要な甘味資源作物であり、国内では唯一北海道でのみ生産されているてん菜の生産振興を図る上で、上記の課題を克服していくために、関係者による共同した取組みを着実に進めていく努力が求められています。


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