[2001年7月]
砂糖需要の維持・増大を図るため、行政関係者、てん菜・さとうきびの生産者、糖業関係者等による砂糖の価格引き下げの取り組みが進められている中で、昨年度に続き、砂糖の需要を奪っているソルビトール調製品 (関税番号2106.90-289 「その他調製品」) の流通、需要の実態等について調査を実施した。
なお、調査対象者は、ソルビトール調製品の輸入業者 (砂糖の代理店・特約店等10社)、卸業者 (砂糖の特約店等20社) 及びユーザー (菓子、パン、佃煮、水産練製品等22社)。
1. 輸入・国内流通の状況
(1) 輸入数量・価格
1) 主要な輸入先国は韓国及びタイで、「その他調製品」の9割強を占めている。 12年におけるタイからの輸入数量は56千トン (対前年同) だが、韓国からは59千トン (対前年比3千トン減) と前年を下回っている。
2) 輸入価格 (CIF 価格) は両国とも年々低下傾向にあり、12年における韓国からの輸入価格は54円/kg (対前年比6円/kg減)、タイからの輸入価格は53円/kg (対前年比7円/kg減) となっている。
表1 「その他の調製品」 (2106.90-289) の輸入動向
(単位:トン、円/kg) |
歴 年 |
平成3 |
平成4 |
平成5 |
平成6 |
平成7 |
平成8 |
平成9 |
平成10 |
平成11 |
平成12 |
数 量 |
韓 国 |
11,866 |
30,113 |
43,418 |
49,884 |
58,495 |
57,693 |
64,453 |
58,547 |
62,022 |
59,469 |
タ イ |
1,347 |
4,071 |
3,881 |
12,113 |
27,323 |
40,639 |
48,446 |
53,744 |
55,857 |
55,878 |
その他 |
438 |
754 |
3,042 |
7,158 |
8,982 |
12,135 |
11,695 |
13,305 |
10,509 |
9,000 |
全 体 |
13,651 |
34,938 |
50,340 |
69,156 |
94,801 |
110,468 |
124,595 |
125,597 |
128,387 |
124,348 |
単 価 |
韓 国 |
86 |
84 |
77 |
73 |
71 |
72 |
72 |
68 |
60 |
54 |
タ イ |
99 |
89 |
79 |
73 |
82 |
85 |
74 |
60 |
60 |
53 |
全 体 |
93 |
87 |
79 |
75 |
77 |
81 |
75 |
67 |
62 |
55 |
|
参考)
(1) 2106.90-289は、13年1月から2106.90-510 (砂糖を除く各成分のうちソルビトールが最大のもの) と 2106.90-590 (その他のもの) とに分けられた。
(2) 13年1〜4月における2106.90-510が占める割合は7割弱となっている。 |
(2) 国内の流通価格
粗糖関税の撤廃、輸入糖調整金の引き下げ等により、輸入業者、卸業者、ユーザーによるソルビトール調製品の仕入価格はそれぞれ低下傾向にある。 ユーザーの仕入価格は、11年3月から12年11月にかけて約10円/kgの低下となっている。
2. ユーザーの需要状況
(1) ユーザー全体の動き
1) 平成11年におけるソルビトール調製品の使用分野はほぼ固定化し、全体としては概ね前年並みの使用量を維持しているものの、砂糖価格の引き下げ、和菓子等の需要減、ソルビトール表示に対する抵抗感等により、ソルビトール調製品から砂糖に切り替えたユーザーがあり、ソルビトール調製品の使用量に減少傾向が現れている。
2) その結果、ソルビトール調製品を使用するユーザー22社のうち、11社が前年に比べ横ばい、10社が減少、1社が増加となっている。
3) 使用量が減少しているユーザー10社の半数が10%以上の大幅減、残りの半数が微減となっており、減少傾向が二極化の状況にある。
(2) 主要な分野別の動き
1) 菓子・パン
ソルビトール調製品を使用する主要分野で、約半数のユーザーが横ばいであるが、砂糖の価格低下や洋菓子製品の高級化等により砂糖へシフトしたユーザーや、和菓子の需要低迷や加糖あんの輸入増等によりソルビトール調製品の使用量を減らしているユーザーが現れている。
2) 佃煮・煮豆
消費者の低甘味嗜好により砂糖やソルビトール調製品の使用量が減少しているユーザーがあるが、佃煮では砂糖本来の甘味を出すために砂糖に戻したユーザーも出ている。
3) 水産練製品
水産練製品の需要がわずかずつ減退していることから微減傾向となっている。
4) 珍 味
一部珍味製品の食中毒事故や中国からの輸入品の台頭等により、国内珍味製品の生産量が減少しつつある。
3. 今後の需要見込み
ソルビトール調製品を使用する製品分野がほぼ固定化したことや砂糖との価格差等からソルビトール調製品の今後の需要は 「現状維持」 との見方が最も多いが、砂糖との価格差が縮小していることやユーザー製品の需要減等から 「増加する」 が減少し、「減少する」 が増えている。
表2 ソルビトール調製品の今後の需要見込み
(単位:社) |
|
輸入業者 |
卸 業 者 |
ユーザー |
11年度 |
12年度 |
11年度 |
12年度 |
11年度 |
12年度 |
増加する
現状維持
減少する
|
6
4
1 |
2
3
4 |
4
17
3 |
2
15
3 |
2
15
3 |
1
15
6 |
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