[2003年3月]
当事業団の各事務所に設置されています14年度地域情報モニターへのアンケートを実施しました。その集計結果について紹介します。
1.はじめに
地域情報モニターは、各地域において消費者に提供されている砂糖に関連する情報を把握するとともに、消費者の砂糖の購入状況及び砂糖に関する消費者の意識等を把握するため、平成13年度より各事務所に設置しており、協力をお願いしています。具体的調査内容は、以下の評価調査等を依頼しています。
(1) 意識調査
・砂糖と健康、食生活の中における砂糖の位置付け、砂糖の価格等に関する意識を定期的に把握するため、砂糖に関する意識調査を行う。
(2) 購入量及び購入価格調査
・消費者の砂糖の購入量及び購入価格に関する状況を把握するため、砂糖の購入量及び購入価格調査を行う。
(3) 砂糖関連情報調査
・各地域において消費者に提供されている砂糖に関連する情報を幅広く把握するため、砂糖と健康等に関するテレビ・ラジオ等の放送内容、新聞・雑誌等の記事、学校やスーパー等で配布された印刷物、砂糖や食文化に関連するイベント情報等を収集する調査を行う。
(4) 砂糖類に関するパンフレット等の評価把握調査
・当事業団等で制作した砂糖類に関連するパンフレット等へのモニターの意見及び一般消費者からモニターに対して提出された同パンフレット等への意見等を把握する調査を行う。
モニターの構成 |
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2. 調査結果と考察
問1 あなたは砂糖が米やそば等と同じ炭水化物の1種であり、1g当たりのエネルギー量もほとんど変わらないことを「地域情報モニター」になる前にご存知でしたか?
砂糖が米やそば等と同じ炭水化物であり、1g当たりのエネルギー量もほとんど変わらないことを知っていた人は全体の3割強であった。年代が上がるほど知っていた人が多かった。
問2 現在、あなたの家庭での砂糖の消費量は年間どのくらいですか?
平均1家族 7.5kg … 最高は30kgでお菓子を作るために多量に使用している。
年代別に見てみると、30代以下の人が最も少なく、40代の人は家族が増えたなどの理由で消費量が多くなり、50代になると逆に家族が減ったことで消費量が少なくなった。60代以上の人の消費量が最も多かった。
問3 10年前と比較してあなたの家庭における砂糖の消費量は変化しましたか?
砂糖の消費量が「減った」又は「少し減った」と回答している人は、全体の51.3%であった。特に50代、60代以上でその割合が高い。「増えた」又は「少し増えた」という回答は、23%であり40代で割合が高くなっている。
問4 問3で「減った」又は「少し減った」と答えた方にお聞きします。それはなぜですか? (複数回答)
家族数の減少や家庭で作る料理やお菓子に入れる砂糖の量が減ったという回答が多くみられた。その他の意見として、子供の成長によりお菓子等を作らなくなったことを挙げていた。
問5 問3で「増えた」又は「少し増えた」と答えた方にお聞きします。それはなぜですか?
「家族が増えたり成長したためお菓子を作るようになった」という意見がほとんどだが、「砂糖について知ることによって摂取に抵抗がなくなった」といったモニター員もいた。
問6 あなたは「地域情報モニター」になる前、砂糖に対してどのようなイメージを持っていましたか? (複数回答)
「疲れたときは砂糖の摂取が効果的」について約9割の回答があり、年代別にみても高い認識度を持っていたことがわかる。また、これ以外の砂糖が持つ他の効用については、「記憶力が向上する」を除き4割以上の人が認識していた。しかし、「砂糖を食べると太る」と回答した人が6割以上もいる。砂糖についての誤解がまだ存在していることも否定できない。
問7 現在、あなたは砂糖(上白糖)をいくら位で購入していますか。
平均1家族 139円/kg …若い世代ほど安い砂糖を購入している傾向が見られる。
問8 あなたは現在の砂糖価格についてどのように思いますか?
約7割の人が安いと思っている。その他の3割弱の人は「適当な価格である」、「種類によっては高いと思う」などの意見であった。
問9 あなたは「地域情報モニター」になる前、砂糖がさとうきびやてん菜から作られていることをご存知でしたか?
砂糖がさとうきびから作られていることは、すべての人が知っていた。30代では「両方とも知っていた」、「さとうきびのみ知っていた」の割合がほぼ半分であったのに対して、40代以降では「両方とも知っていた」人の割合が高くなっている。
なお、「てん菜のみ知っていた」という人はおらず、砂糖=さとうきびのイメージが強い。
問10 あなたは「地域情報モニター」になる前、砂糖の自給率が現在約30%であることをご存知でしたか?
全体で93.6%が「知らなかった」と回答している。特に40代までは全ての人が知らなかった。「知っていた」という回答は、わずか6.4%であり、50代以降の人だけであった。
問11 あなたは砂糖の自給率についてどのように考えますか?次の中から1つだけ選んで下さい。
「生産地域の基幹産業を保護するため国産は必要」と「砂糖の最低量の自給は必要だ」と回答した人が100%と、全ての人が何れの理由にしてもある程度の自給は必要と考えている。特筆すべき点は、地域の農業保護のため、国産は必要とする人が6割強いるということである。
問12 あなたは地域情報モニターになる前、当事業団が作ったパンフレット、ビデオ等を目にしたことがありましたか。また、砂糖を広報する内容のCMやポスター等を目にした事がありましたか。見たり聞いたりしたことがあるものを次の中から選んで下さい。(複数回答)
当事業団が作ったパンフレット、ビデオ、ブックレット及び砂糖を広報する内容のテレビCMやポスターを見たり聞いたりしたことがある人は項目別に見ると2割程度の結果であった。
その他の回答数28のうち27が「目にしたことがない」と回答しているということは、全体的には6割強の人が何らかのかたちで砂糖に関する広報を目にしていたという結果であった。
また、砂糖を広報する内容の新聞やチラシを目にしたことのある人が25.6%と一番多かった。
問13 あなたは、砂糖に対する様々な誤解の払拭、砂糖に対する正しい知識の普及のため、どのような媒体が有効であると思いますか? (複数回答)
88.5%の人がテレビCMを挙げており、次に70.5%の人が保健婦や栄養士等の指導層への普及が有効であると考えている。その他としては、テレビの健康番組で砂糖の特集を組むと言った意見があった。テレビという媒体は一般になじむのであろう。
問14 問13で「1.ビデオ」と答えた方にお聞きします。どのような場所に配布したら有効であると思いますか。
中学・高校といった学校や図書館、スーパーのお菓子売り場といった意見が多かった。
問15 問13で「2.パンフレット」と答えた方にお聞きします。どのような場所に配布したら有効であると思いますか。
大型スーパー・デパートの食料品売場の出入り口、料理学校、病院、消費団体、生協といったい意見が多かった。
3. まとめ
このアンケートは、砂糖と健康、食生活の中における砂糖の位置付け、砂糖の価格等に関する意識について行った。地域情報モニターはいろいろな年代、家族構成及び各地域に存在しており、様々な角度から砂糖に対する認識等について調べる事ができた。
30代以下の年代では、砂糖の消費量も少なく購入する際もできるだけ安くという意識がはっきりしている。また、「砂糖を食べると太る」などの誤解については、全体より高い率を示しているが、「砂糖は脳のエネルギー源」などの効用については、逆に全体より低い率を示している。
60代以上の年代では、ほとんど30代以下の年代と逆の結果がでていることは興味を覚える。
今回のアンケートによって、砂糖に対して良いイメージに変わったとする地域情報モニターが多数おり、消費者に対する砂糖についての正しい知識の普及という面で一定の効果があったのではないかと考える。
このように地道に普及活動することが正しい知識の普及につながると感じた。