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「学校給食における地産地消に関するアンケート調査結果」および「学校給食における地産地消の推進についての意見交換会」の概要について

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

機構から
[2006年3月]

企画調整部広報消費者課

 当機構では、従来から、学校栄養職員の方々などを対象とした食育ブックの作成と配布、食育をテーマとしたフォーラム等の開催、ホームページを通じた食育関連情報の提供などに取り組んできたところですが、学校給食における地産地消の現状と課題を明らかにすることを目的として、社団法人全国学校栄養士協議会にご協力いただき、昨年8月から9月にかけて全国の学校栄養士あるいは栄養教諭の方々へのアンケート調査を行い、昨年末に、その結果を取りまとめたところです。
 ここでは「学校給食における地産地消に関するアンケート調査結果(概要メモ)」および意見交換会の取りまとめ結果である「学校給食における地産地消の推進に係る問題点・課題の克服に向けたポイント」を紹介します。
 また、その調査結果を踏まえ、学校給食における地産地消の推進を図る観点から、関係者の共通認識の醸成と問題点や課題の克服に向けた意見交換会(学校給食における地産地消の推進についての意見交換会)を本年1月19日に機構の会議室において開催しました。
 この会は、学校給食における地産地消の推進に取り組まれている関係者が一堂に会する機会ということもあり、様々なご意見やご提案を頂戴しましたが、その取りまとめ結果については「学校給食における地産池消の推進に係る問題点・課題の克服に向けたポイント」をご参照下さい。
 



学校給食における地産地消に関するアンケート調査結果(概要メモ)

 【調査の目的と対象者】
○ 本調査は、学校給食における地場農産物利用の現状と課題を明らかにすることを目的とし、平成17年8月〜9月にかけて全国の学校栄養士(栄養教諭)の方々988名(回答数977名)を対象に取りまとめたもの。
○ 調査対象者が担当している学校給食のうち、単独校方式は523(53.5%)、給食センター方式は432(44.2%)。
 また、このうち、単独校方式の91.8%、給食センター方式の97.2%が地場農産物を利用

【地場農産物未利用の理由と課題】
○ 学校給食に地場農産物を利用していない理由は、「連携できる組織がない」(単独校方式:22.5%)、「必要な量の確保ができない」(給食センター方式:22.2%)が最多。
   現在、利用していないと回答した者のほぼ全員が、今後は利用したいとの意向。そのためには、地場農産物利用を推進する体制(組織)づくりが必要と認識。

【地場農産物利用の現状と課題】
○ 学校給食に利用されている地場農産物の順位は、野菜、米、果物、牛乳、加工食品・調味料など、肉、卵、魚、豆、麦類。このうち、米、牛乳、タマネギについては、「安全・安心」「鮮度・食味など品質の良さ」「学校給食会の指導・協力」との理由から上位3位に位置。
○ 地場農産物の利用開始の経緯は、「行政の働きかけ」が最も多く、次いで「自分の意思」。また、地場農産物利用の理由は、「新鮮・旬の食材を提供できる」が最も多く、次いで「安全・安心な食材を提供できる」、「食材の生産などの教育効果が期待できる」、「地域で学校給食への理解が深まる」。
   さらに地場農産物利用の協力先は、「県、市町村」と「生産者、生産者グループ」が最も多く、次いで「農協」、「食品産業事業者」。
○ 地場農産物利用により最も期待される効果は、単独校方式では、「新鮮・旬の食材を提供できる」が最も多く28.0%、次いで「地域農業に役立つ」18.3%、「郷土食を提供できる」18.2%、「安全・安心な食材を提供できる」11.5%。給食センター方式では、「新鮮・旬の食材を提供できる」が最も多く26.4%、次いで「安全・安心な食材を提供できる」19.9%、「食材の生産等の教育効果等が期待できる」15.8%、「地域で学校給食への理解が深まる」15.4%。
○ 今後は、8割以上の者が地場農産物の利用を推進したい考え。地場農産物利用に関する現在の取組主体は、「学校栄養職員」が最も多く、次いで「県・市町村」。今後、希望する取組主体は、「県・市町村」が最も多く、次いで「農協」、「学校栄養職員」。
   また、今後、連携を図りたい組織は、「生産者、生産者グループ」が最も多く、次いで「農協」、「県・市町村」。
○ 地場農産物の利用を困難にしている主な理由は、「必要な量の確保ができない」(単独校方式31.3%、給食センター方式34.9%)が最も多く、次いで「多品目の品揃えができない」(単独校方式24.6%、給食センター方式24.0%)、「連携できる組織がない」(単独校方式16.8%、給食センター方式17.0%)。



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◎学校給食における地産池消の推進に係る問題点・課題の克服に向けたポイント

供給体制の整備(意欲的な取り組み事例)
○島根県八雲学校給食センターでは、「学校給食用野菜生産グループ」を立ち上げ、生産農家の代表者と給食センター関係者との間で、向こう1ヵ月の農産物出荷計画作成のための定例会を毎月1回開催。当計画に基づき出荷される野菜の不足分については、JAや他の業者から補てんしてもらうシステムを構築。また、みそ、こんにゃく、竹の子などの農産加工品についても、地域の共同加工施設で加工したものを給食センターに搬入。
○JA鳥取県中央会では、「食農教育支援センター」を設立し、安定供給できる県内特産農産物や供給時期などの洗い出し作業を通じて作成したカタログをベースに学校給食関係者と協議。
○現在、全国に900弱あるJAのうち約7割が何らかの形で学校給食に地場農産物を供給している実態。今後、各JAで「JA食農教育プラン」も策定することとしており、この中で学校給食への地場農産物供給の取り組みを推進。

熱意を持った取り組みを支援するコーディネーターの育成
○問題解決に当たっては、熱意や愛情といった心の持ち方が大切であり、情熱的に取り組む者の存否が鍵。
○学校栄養士が生産現場に出向き、作物の生育状況を認識しながら献立内容を考えるなどの取り組みは非常に大切。
○生産農家の高齢化が進む中、大変な情熱と熱意で取り組んでいる農家もあり、学校給食における地産地消の推進の大きな支えとなっていることは事実であるが、このままでは安定供給に不安。また、農家の代が替わると取り組みが継続しないケースがあることも事実。
○学校給食における地産地消の推進に当たっては、多くの利害関係者を調整するコーディネーターが重要。
○特に需給のミスマッチの解消には、コーディネーターの存在は不可欠。
○学校栄養士などの学校給食関係者とJAなどの生産者双方の実態を理解している都道府県学校給食会がコーディネーターとしての任務の一翼を担っているところもある実態。

双方向の情報システムの確立
○山間部という制約地域における安定的な食材調達を進めるため、八百屋が有する原料調達能力の高さも参考にしつつ、人間的な付き合いを大切にしながら、生産者と学校給食関係者との情報交換を一層進めていくことが重要。
○JAグループの取り組みにも限界があることから、規格外農産物の取り扱いや減農薬の問題も含め、現場での双方の話し合いを通じ、納得できる一致点を見出していくことが重要。
○生産者側と学校給食側との双方向の情報システムを早急に確立することが重要。

関係者による連携組織の構築
○埼玉県においては、県農林部、県教育委員会、JAグループ、学校給食会、学校栄養士などの関係者による連絡網が構築されており、今後は、全国の各地域でこのような地産地消の取り組みを構築することが必要。
○各地域のJA組織が社会的責任として、主体的かつ積極的に取り組むことが必要。
○学校給食というマーケットを農業政策としてしっかりと位置づけた上で、その政策に即したJAの対応が不可欠。
○今後は、各JAが策定する「JA食農教育プラン」の実践に向けて、学校栄養士や学校給食会などの関係者との連携を推進。

都市と農村の交流の促進
○東京都文京区の公立小学校では、岩手県山形村の短角牛生産農家による課外授業が行われた後に、生産者と生徒が給食を共にするという交流会を行っており、大きな教育的効果が発現。
○東京都目黒区の小学校とJAみやぎ仙南青年部との交流を通じて宮城県角田市の農産物を供給するなど、都市と農村の交流を通じた産消提携の取り組みも進展。

国の関与の在り方
○国の関与を少なくし、学校給食の現場に対しては、機動的弾力的運用が可能となるような指導が必要。
○加工施設やストックヤードなどのいわゆるハード部門の整備については、行政主導で行うことが必要。また、食育基本法に基づき、行政サイドは関係者との連携を十分に図りつつ、現場の指導を行うことが重要。
○カット野菜施設、地元の小麦や米を用いたパン加工施設などの国による整備に期待。
○農林水産省は、食料・農業・農村基本計画を踏まえ、農業後継者問題を含む将来の農村における生産基盤をしっかりと整備することが必要。
○食料自給率の向上という農業政策上の学校給食の位置づけと学校教育における位置づけを明確に踏まえた上での対応が重要であり、経済合理性だけでなく新たな価値創造に向けた関係者による現場からの取り組みを支援することが必要。
 なお、学校給食における地産地消に関するアンケート調査結果については、当機構のホームページで詳細をご覧いただけますhttp://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/(http:/www.alic.go.jp/topics/051129.pdf)



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