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食生活指針の普及・定着に向けた取り組みについて

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


農林水産省から
[2001年12月]

 食生活指針については本誌2000年5月号で策定の経緯や内容について紹介しました。今回はその普及・定着に向けた取り組みについて紹介します。
 食生活指針の普及・定着をより確実なものとし、国民の健康増進、生活の質の向上及び食料の安定供給の確保といった食生活指針の目標を達成していくため事業規模の大幅な拡充、推進体制も強化しつつ取り組んでいるところです。
 食生活指針の中ではバランスの良い食事の推進、糖質からのエネルギー摂取を適性に保つことが謳われており、この点からもバランスの良い食事の中で砂糖を上手に取り入れたいものです。

農林水産省 総合食料局消費生活課 課長補佐 鈴木 卓


1. 食生活指針の決定と普及・定着の方向性について
2. 食生活のあり方に関する政策目標について
3. これまでの食生活指針の普及・定着のための取り組みについて
4. 今後の食生活指針の普及・定着のための取り組みについて


1. 食生活指針の決定と普及・定着の方向性について

 近年、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病等の生活習慣病の増加が国民の大きな健康問題となってきています。こうした生活習慣病は、食事、運動、休養などの生活習慣と密接に関連していることから、健康的な食生活の実践など日々の生活習慣を見直すことによって、疾病の発生を未然に防止する 「一次予防」 の推進が重要となっています。  また、食生活のあり方は、食料消費構造の変化を通じて食料自給率にも大きな影響を与えるとともに、食べ残しや食品の廃棄は、地球的規模での資源の有効活用や環境問題にも関係しています。
 「食生活指針」 は、このような食生活に関する様々な課題に対処して、国民の健康の増進、生活の質の向上及び食料の安定供給の確保を図るための取り組みの方向性を示したものとして、昨年3月に当時の農林水産省、厚生省及び文部省の3省共同で決定したものです。
 また、食生活指針の策定とほぼ同時に、この指針を国民一人一人の取り組みとして実践していただくために、政府としての重点的な推進事項を示した 「食生活指針の推進について」 が閣議決定されました。この中で、食生活指針等の普及・定着については、食生活改善分野、教育分野、食品産業分野、農林漁業分野といった各分野ごとの取り組みの推進方策が示されています。



2. 食生活のあり方に関する政策目標について

 一方、農林水産省においては、平成16年度を目標として、それまでに達成すべき政策課題の一つとして、「食生活のあり方を見直す幅広い活動の展開」 を掲げています。当該政策課題の具体的な目標は、
(1) 望ましい栄養バランスを実現する観点から、脂質の摂取熱量の割合を平成9年度の28.8%から平成16年度までに28.0%に減少させる。
(2) 食品の廃棄や食べ残しを減少させる観点から、供給熱量と摂取熱量との差を平成9年度の650kcalから平成16年度までに5%縮減させる。
といったものです。
 これらの目標は、我が国における食料・農業・農村に関する政策の長期的な方向性を示した 「食料・農業・農村基本計画」 に示されている食料消費のあり方とも密接に関係しており、栄養バランスの改善や食品廃棄の減少のみならず、同計画に示されている食料自給率目標の達成のためにも積極的な取り組みを推進していくことが求められています。



3. これまでの食生活指針の普及・定着のための取り組みについて

 以上のような食生活のあり方を見直すための閣議決定や政策目標に則り、農林水産省においても平成12年度から食生活指針の普及・定着に向けた様々な取り組みを実施しています。
(1) 食生活指針の普及や消費者の食生活改善への取り組みを促すことを目的に、行政側の施策と民間団体等の自主的な活動との連携を図りつつ国民的な運動を展開していくための推進母体である 「食を考える国民会議」 の設立
(2) 食生活指針の普及・定着について、農林水産省と厚生省及び文部省 (いずれも当時) との連携を強化するため、各省の担当局長等で構成される 「食生活指針推進連絡会議」 及び各省の担当課長等で構成される 「食生活指針推進連絡会議幹事会」 の設置
(3) 各地方農政局において、それぞれの管内における食生活指針に関連する実状を踏まえつつ、指針の普及・定着を推進していく 「食生活指針地域推進協議会」 の設置
といったことが挙げられます。
 また、具体的な取り組み内容としては、
(1) 個別品目の関連事業 (各種イベント等) における食生活指針に関する PR 活動の一体的実施
(2) 「食を考える国民会議」 による食生活指針の啓発のためのシンポジウムの開催、消費者の部屋における食生活指針を中心的な内容とした 「食を考える月」 の展示、農林水産祭での食生活指針関連情報の提供等
(3) 政府広報を通じた情報提供、ポスターやパンフレット、ポケット版食生活指針等の作成・配布、食生活指針だよりの発行、食生活自己診断ソフトの作成・配布、食生活啓発 TV 番組の放映等
(4) 食品産業等における食生活指針に関連したキャンペーン、工場見学、店舗レジでの内容紹介の実施等
(5) 食生活指針普及のための地域ブロックフォーラムの開催、食生活指針等の実践に取り組む先進的な消費者グループ活動への支援の実施等
とともに、厚生労働省、文部科学省との連携の中で、食生活指針の策定趣旨や具体的な項目の解説を行った 「食生活指針の解説要領」 及び食生活指針の推進に関する3省の連携内容等を示した 「食生活指針の推進に係る文部省・厚生省・農林水産省の連携方策」 の策定と関係者への周知を行っているところです。

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4. 今後の食生活指針の普及・定着のための取り組みについて

 今年度においては、これまでの取り組みの実績を踏まえつつ、食生活指針の普及・定着をより確実なものとし、国民の健康の増進、生活の質の向上及び食料の安定供給の確保といった食生活指針の目標を達成していくため、参考1及び参考2に示したとおり事業規模を昨年度に比較して大幅に拡充し、推進体制も強化しつつ取り組んでいるところです。
 拡充事項のポイントとしては、
(1) 「食を考える国民会議」 の会員が行う全国規模の食生活指針 PR 活動等への支援
(2) 全国の主要都市における食生活指針関連シンポジウム・フォーラム等の開催
(3) 民間ボランティアによる食生活指針の普及・定着活動の実施
等が挙げられますが、なかでも(3)の民間ボランティアによる普及・定着活動については、一般消費者に対して直接的に指針の実践を働きかけるものであり、個々の食生活の実態に即したきめ細かい普及が図れるものと期待しています。また、これと併せて、指針の実践に関する必要事項を分かりやすく解説した専用の指導書も今回新規に作成することとしており、ボランティアの方々が行う草の根レベルでの普及・定着活動に積極的に活用されるものと期待しているところです。
 今後とも、こうした取り組みを継続的に行うことによって、食生活指針に関する国民各層の理解と実践を図っていきたいと考えています。



参考1 食生活指針の普及・定着に向けた主な取組
事  項 平成12年度 平成13年度以降
1 体制固めや指導的人材の育成等
  (1) 局内、省内
  局内の連絡体制の構築 (7月に 「食生活指針推進会議」 の設置)
広告関係専門家のアドバイスを受けた一体的な検討・実施 (6月以降、NHK、博報堂等関係者から実施済)
事業実施・予算要求の際の各局庁との事前連絡・調整
基本法推進本部食料消費改善推進部会の適宜開催 (予算要求、決定時等)
左記取組の更なる強化
(2) 厚生・文部省との連携
  3省連絡会議の開催及び具体的連携方策の策定 (12月・関係団体の 「食を考える国民会議」 への積極的参画、統一的な広報、保健・医療・教育等を通じた取組等)
(3) 「食を考える国民会議」 等
  厚生省、文部省の関係団体等の参加による 「食を考える国民会議」 及び 「食と農の応援団」 の組織拡大及び同幹事会を通じた取組の推進
総会の開催 (1月、大臣出席)
2 普及・啓発のコンテンツの作成と基礎調査・分析
  (1) コンテンツ
  指導的人材用の解説資料の作成・配布 (12月配布、判りやすい行動規範、日本版フードピラミッド等視覚的媒体の活用)
シンボルマーク及びキャッチコピーの作成、イメージキャラクター作り (NHK 朝ドラマ 「私の青空」 のヒロイン 「なずな」)
左記取組みを更に強化
定期的に更新
 
  草の根レベルでの民間ボランティアの使用する指導書、食生活チェックシート・食生活家計簿 (家庭、子ども等向け) の作成・配布、団体ホームページ等を通じた定期的な情報提供
(2) 基礎調査・分析
  指針の認知度や行動度等の基礎調査・分析
(11月〜・12月末公表)
  認知度・効果等のフォローアップ
3 普及・定着方策
  (1) 一般国民向けPR
  1) 全国一斉PR
  政府広報の実施 (3省一体となった要請)
学校給食自給率等インパクトのある各種情報、霞ヶ関全体での取組等話題のプレスリリース
農水省ホームページでの特設コーナーの設置
左記取組みを更に強化
1) 全国一斉PR
  民間ホームページでの紹介(11月〜)
食生活指針だより(月刊)の発行(10月〜)
「食料自給率レポート」 の公表 (12月8日)
ポスター20万部、ポケット版指針200万部、パンフレット等の作成・配布 (8月中旬〜。パンフレットは3月以降20万部超配布済。)
食生活改善自己診断ソフトの作成、保健・医療関係者、学校等への配布 (1月末頃)
パブリシティ活動 (幹部によるNHK朝ドラマ等へ働きかけ済) の実施
農林水産省提供番組での積極的広報
各品目事業における指針の紹介 (パンフレット、イベント、シンポジウム等)
 
  全国新聞・雑誌広告・車内広告等の実施
TV等パブリシティの活動の充実 (民間専門業者による企画等)
「食を考える国民会議」 会員が行う全国規模の指針のPR活動や保健・医療等の場での食生活診断活動等への支援
2) 各種啓発
  農林水産祭でのメイン展示の実施 (11月・皇族の視察)
消費者の部屋における特別展示の実施 (本省6月に実施済。年内に各地域で開催)
厚生省 「食生活改善普及月間」 等と一体的にキャンペーン (10月〜)
食文化交流プラザの開催 (10月徳島)
左記取組みを更に強化
 
  大都市におけるシンポジウム、フォーラム等の多数回実施
(2) 食品産業等供給サイドの取組
  容器包装等での指針の掲載、各種イベント・工場見学時での紹介、栄養表示等の推進 (8月に大臣名で依頼)
優良企業表彰 (指針啓発努力も反映) や優良的な取組の紹介
左記取組みを更に強化
注)   部は新機軸となる主な取組、色文字部は何らかの形で予算措置を伴うもの。

参考2 食生活指針の普及・定着にかかる主な関係機関・取組のフロー
食生活指針の普及・定着にかかる主な関係機関・取組のフロー
拡大図 (29K) ≫

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