砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 行政情報 その他、白書の概要など > 平成14年度食料・農業・農村白書の概要

平成14年度食料・農業・農村白書の概要

印刷ページ

最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


農林水産省から
[2003年7月]

農林水産省大臣官房情報課 年次報告調整係


第T章 食料の安定供給システムの構築
  1 「食」の安全と安心の確保
2 食料消費をめぐる動き
3 世界の農産物需給と食料自給率
4 諸外国の農業政策とWTO等をめぐる動き
第II章 構造改革を通じた農業の持続的な発展
  1 農業経済の動向
2 我が国農業の生産構造の現状と構造改革の加速化
3 米政策の改革と農産物需給の動向
第III章 活力ある美しい農村と循環型社会の実現
  1 農業の自然循環機能の維持増進
2 バイオマスの持続的活用に向けた農山漁村の役割
3 活力ある農村の実現に向けた振興方策

 去る5月20日、「平成14年度食料・農業・農村の動向に関する年次報告」(食料・農業・農村白書)が閣議決定を経て、国会に提出、公表されました。
 今回の白書では、初めての試みとして、1年間の特徴的な出来事を簡潔に紹介する「トピックス」を冒頭に設け、
 (1) 食品の安全性確保とリスク分析
 (2) デフレと食料消費等の関係
 (3) 米政策改革大綱〜改革の理念と特徴〜
 (4) イネゲノムの読解
 (5) バイオマス・ニッポン総合戦略
 (6) 「水と食と農」大臣会議の開催
 (7) WTO農業交渉
の7項目について記述しています。
以下、各章の概要について紹介します。

第T章 食料の安定供給システムの構築

1 「食」の安全と安心の確保
(食品安全行政の改革)
 総合的に「食」の安全性を確保するため、政府は、食品安全行政への「リスク分析」手法の導入を目指し、リスク評価機関としての食品安全委員会の設置、食品安全基本法の制定を決定し、関連法案を15年の通常国会に提出しました。
 リスク管理のあり方についても見直しが必要となるなか、農林水産省では14年4月に『「食」と「農」の再生プラン』を発表するなど消費者を重視した農林水産行政を確立するため大胆な改革を進めており、15年度には消費者行政とリスク管理業務を担う消費・安全局を設置することとしています。
(「食」の情報提供と安全・安心の確保に向けた取組み)
 「食」の安全性確保には、リスク評価機関、リスク管理機関、消費者、生産者、流通関係者等が相互に意見交換を実施し合意形成を図っていく必要があるため、情報を公開・提供していく行政等の透明性の確保と消費者や生産者のリスクコミュニケーションへの参画が重要です。また、食品事故等発生時の原因究明や対象食品の回収を容易にし、また、消費者の安心を確保するといった観点から、食品の履歴情報を遡って確認できるトレーサビリティ・システムの導入が重要です。
「食」の安全と安心の確保のための行政組織の改革再編案
農薬にかかる規制の見直し概要
(無登録農薬問題への対応)
 14年においては、無登録農薬を販売していた業者が相次いで逮捕され、また、無登録農薬が販売、購入されている実態の確認とともに無登録農薬であることを知りつつ使用した農家の存在も判明しました。このため、同年12月、農薬取締法が緊急に改正され、製造、輸入、使用の禁止規定の設置とともに罰則が強化されました。今後、無登録農薬の流通防止のため、国と地方等行政組織の連携の強化や、農薬使用者への適正な農薬の使用についての指導が重要となっています。
(食品表示等の信頼性の回復)
14年1月以降、食肉の原産地偽装等食品の不正表示事件が全国各地で多数報告され、国民の食品表示に対する信頼度は大きく低下しました。このため、同年6月、JAS法を改正し、違反業者名等の公表の迅速化及び罰則の強化を行いました。
 食品の安全性を確保するためには、行政による事業者への指導や監督等に加え、個々の事業者が消費者重視を基本として法令を遵守し、「食」に携わるすべての者が消費者の信頼を回復し獲得していくことが必要です。
ページのトップへ

2 食料消費をめぐる動き
(最近の食料消費の動向)
 我が国の食料消費の現状をみると、デフレ経済のもと、食料品価格は11年度から下落基調が引き続いており、13年度はほとんどの品目で下落しています。また、1人当たりの実質食料消費支出は、9年以降5年連続して低下していますが、14年4月〜12月期では前年に比べ増加しています。このようななかで13年と14年の食事摂取構成割合を比較すると、朝食はほとんど変化していませんが、昼食は外食が減少し家庭弁当などの内食や市販弁当、調理食品の中食が増加し、夕食はわずかに家庭内食が増加しています。
(食生活の現状と食育の推進)
 近年の我が国の食料消費は、ライフスタイルの変化等に伴い、食料品の消費・購入形態も変化しており、長期的には、「食」の外部化が進んでいます。また、食料の生産段階への消費者の関心や知識が低下するなど、「食」と「農」の距離が拡大し、近年若い世代ほど「食」に対する知識が低く、健全な食生活が実践されていない状況にあります。生涯にわたって健やかな生活を送るためには、「食」に関する知識の習得と実践を通じた能力・資質の向上に向けた取組みが重要となっています。
 白書では、地場産食材の学校給食への活用と食育の推進を通じて、有機農産物等の消費拡大を目指した取組み事例を紹介している。

(食料産業の動向)
 国民生活に欠くことのできない「食」を提供する農業、食品産業等のいわゆる食料産業は、全産業の国内総生産の10.1%を占める「1割産業」であるほか、雇用面においては、全就業者数の2割が食料の供給に携わっており、地域において重要な地位を占めています。
 なお、厳しい経済情勢やデフレのなか、外食産業の市場規模(売上高)は10年以降縮小傾向にある一方、弁当、おにぎり、惣菜といった中食の市場規模は増加傾向にあります。
食料産業の業種別国内総生産の推移
 白書では、食品産業と農業が連携し互いに収益を上げている取組み事例を紹介している。
ページのトップへ

3 世界の農産物需給と食料自給率
(穀物等の国際需給動向と我が国の国際協力の取組み)
 世界の穀物等の需給は、2002年に入り、主要生産国での干ばつ等を要因に引き締まり傾向にあります。また、世界の食料需給は、中長期的にはひっ迫する可能性も指摘されています。需要面では、世界の人口増加が大きな拡大要因であり、供給面では、収穫面積の減少と単収の伸びの鈍化により、1人当たりの穀物生産量が減少傾向にあるほか、異常気象による干ばつや洪水等も供給を不安定なものにする要因として懸念されています。
 栄養不足人口がアジアやアフリカ等の開発途上国に集中しているなか、我が国としては、開発途上国の食料の確保に資する農村開発等の支援を行っており、草の根レベルでの非政府組織(NGO)等の活動とも連携を図りながら引き続き各種支援を推進していくことが必要です。
(我が国の農産物貿易の動向)
 我が国の農産物輸入(金額ベース)は、国民所得の増加に伴う食生活の多様化・高度化の進行により、付加価値や単価の高い加工品や半加工品の割合が増加してきました。近年は、より安価な原材料等を求める食品産業のニーズの増大や輸送技術の進歩等により生鮮品の割合が増加しています。
我が国の食料自給率の推移
(食料自給率の動向)
食生活が大きく変化するなかで、13年度の食料消費をみると、米や肉類が減少し、魚介類は増加しました。また、国内生産量は、大豆、果実、小麦は増加しましたが、野菜、肉類、魚介類が減少しました。これらの結果、カロリーベースの総合食料自給率は10年度以降4年連続で40%となり、主要先進国の中で最低の水準となっています。
食料自給率の向上を図るためには、消費面では「食生活指針」の理解と実践の促進、生産面では食料・農業・農村基本計画で示された品目ごとの生産性や品質の向上等の課題の解決に向け積極的に取組んでいく必要があります。
ページのトップへ

4 諸外国の農業政策とWTO等をめぐる動き
(諸外国の農政をめぐる動き)
 米国では、2002年5月に成立した新農業法において新たに価格変動対応型支払い制度等が導入されました。この改正により、小麦、とうもろこし、大豆等の主要作物の生産者の所得は、過去の生産面積を基に保証されることとなりました。
 EUでは、共通農業政策(CAP)について、価格支持から生産刺激的でない直接支払いへの切替え等を内容とする改革が推進されています。2003年1月にはCAPの中間見直しの改訂案が公表され、加盟国間で議論されています。
(WTO農業交渉の動向)
 WTO農業交渉において、米国やオーストラリア等の輸出国は、すべての関税について5年間で一律25%未満に削減するなど、保護・支持の大幅な削減を主張しています。一方、我が国やEU等は、国土・環境の保全といった非貿易的関心事項に十分配慮した柔軟性のあるルールの確立を求めています。
 2003年2月にモダリティ(交渉の大枠)1次案、3月にはその改訂版が提示されましたが、期限とされた3月末までにモダリティを確立することはできませんでした。
 我が国としては、引き続きEU等のフレンズ国等と十分に連携しながら、「多様な農業の共存」を基本とする十分にバランスのとれた現実的な合意が形成されるよう最善を尽くすこととしています。 (各国との経済連携強化等への取組み)
 自由貿易協定では主要セクターを完全に対象外とすることは認められませんが、国内農業の構造改革への影響、我が国の食料安全保障の観点、既存の輸出国と新たな貿易摩擦を誘発する可能性に留意することが必要です。
ページのトップへ

第II章 構造改革を通じた農業の持続的な発展

1 農業経済の動向
(農業総産出額の推移)
 13年の我が国の農業総産出額は、約8兆9千億円となり、ピーク時(昭和59年)に比べ約2兆9千億円、24%減少しました。特に農産物生産者価格指数が過去10年間で約2割も低下しており、農産物価格の連続的な下落が農業総産出額の減少に大きく影響しています。
農業総産出額(指数)、農産物価格指数(総合)、
農業生産指数の推移
(農業の交易条件)
 農産物価格の低下が続く一方、生産資材の価格は下方硬直的な動きを示しており、交易条件は悪化の度合いを強めています。交易条件の改善には、流通等の合理化とコスト低減が必要であり、特に流通の大宗を担う農協系統の取組みが重要となっています。
(農家経済の動向)
農業の交易条件指数(平成7年=100)
 農家総所得は、9年以降連続して減少し、その減少率は拡大する傾向にあります。特に近年、農業所得の減少に加え、農外所得の大幅な減少が農家経済に大きく影響を与えています。最近の農業投資も減少傾向にあり、これらの動きが規模拡大等新たな経営の展開に悪影響をもたらすことが懸念されています。
(農家・農業労働力の動向)
 14年の総農家戸数は303万戸となり、このうち販売農家は225万戸と引き続き減少しています。特に、稲作経営においては、農産物価格の低迷等を背景に主業農家の減少割合が顕著となっています。また、農家人口は14年には初めて1千万人を下回り990万人となりました。このうち65歳以上の割合は30%(総人口に占める65歳以上の割合は18%)となり、高齢化も著しく進行しています。
 一方、非農家出身者の農業に対する関心の高まり等から新規就農者が増加傾向にあります。また、女性は農業就業人口の約6割を占め、起業活動等を通じて農業や農村の活性化に大きく貢献しており、新規就農者を確保するうえでも、その参画を促進していくことが重要です。
ページのトップへ

2 我が国農業の生産構造の現状と構造改革の加速化
(農業構造の現状)
 昭和50年以降の総農家戸数及び経営耕地面積の推移をみると、両者ともに減少を続けているものの、総農家戸数の減少率が経営耕地面積の減少率を上回って推移していることから、農家1戸当たりの経営耕地面積はわずかながら拡大を続けています。しかし、近年の耕作放棄地の急増や自給的農家の滞留傾向の強まりを背景に、規模拡大の動きが鈍化しています。
 経営部門別の農業構造の進捗状況をみると、酪農単一経営では9割の主業農家に経営耕地、農業固定資本のほとんどが集積されているのに対し、稲作単一経営では、主業農家は7%しか存在せず、この主業農家が占める経営耕地、農業固定資本は2割前後にとどまっているなど、稲作部門においては、構造改革が著しく遅れている状況にあります。
(農業の構造改革に向けた課題)
 大規模経営の農家戸数の増加率は低下しており、規模拡大のテンポの鈍化がみられます。大規模経営においても7〜12年の間に、規模を拡大した経営体よりも規模を縮小した経営体が多いなど、下位階層への分化傾向がみられます。以上の動きは、農業の構造改革の後退的な動きをもたらすものとして懸念されています。
 こうした情勢のなかで、農業の構造改革を一層加速化させることが重要であり、意欲のある経営体が躍進するための環境条件の見直しをはじめとする制度・政策改革を的確かつ機動的に行っていくことが喫緊の課題となっています。
(効率的かつ安定的な農業経営の育成)
経営耕地面積規模別の階層間移動の状況
(7年〜12年、都府県・農家販売)
 効率的かつ安定的な農業経営の育成を目的とした認定農業者は、14年12月現在16万8千(うち法人6,233)経営体となっていますが、真に地域農業の担い手として施策の対象となり得るよう、認定農業者制度の十分な検証・見直しが必要です。
 また、農業生産法人は有限会社形態を中心に増加していますが、株式会社形態をとるものも15年2月現在42経営体と着実に増加しています。今後、構造改革特区の導入により多様な形態の参入促進が期待されます。 農産物価格の下落により農業経営の収益力が低下するなかで、大規模経営ほど加工、直販等の多角化に取組む割合が高く、より付加価値の高い農業生産を実現しています。
 白書では、法人化等により効率的な営農を実現した集落営農組織を紹介している。
(農地の確保と有効活用)  耕地面積は、昭和36年の609万haをピークに14年には476万haとなり、近年は耕作放棄を主因に減少しています。 また、認定農業者への農地の集積面積は増加していますが、農産物価格の低迷や生産調整の強化等からそのテンポは漸減傾向にあり、農地利用集積に資する対策を推進していく必要があります。
 白書では、山口県の大学生による農作業支援組織の取組みが耕作放棄の抑制に貢献している事例を紹介している。
(農協の現状と課題)
農協は、組合員農家の階層分化や安全・安心への関心の高まり等に十分対応しきれておらず、大規模農家を中心に農協離れの傾向もみられます。このため、消費者ニーズに対応した生産・販売や生産資材コストの削減等、一層の改革に主体的に取組むことが求められています。
 白書では、静岡県のJAにおいて経済事業の改革で地域農業や農村を活性化させた事例を紹介している。
ページのトップへ

3 米政策の改革と農産物需給の動向
(米政策の改革)
 米の消費量が減少傾向で推移するなかで、過剰基調の継続が米価の低下等を引き起こし、担い手を中心に水田農業経営が困難な状況となっています。加えて、耕作放棄地の増加、農業労働力の高齢化が進行し、水田農業の構造改革は重要な課題となっています。さらに、ニーズの多様化に対応した安定供給の必要性が高まっています。このため、14年12月に「米政策改革大綱」を策定しました。水田農業の再構築に当たっては、A農業者の主体的な経営判断の尊重、B需要に見合った米づくり、C関係者の創意工夫、D地域の特色ある農業の展開、E水田農業の構造改革の促進、F公平・不公平の問題についての対応、Gセーフティーネットの整備、といった視点に立った検討が重要です。この大綱には、メッセージが明瞭で分かりやすい政策、効率的で無駄のない政策、決定と運用のすべての過程について透明性が確保された政策の三つの理念と、円滑な移行(ソフトランディング)、目標の明確化、関係者の創意工夫(主体的判断)、政策全体の一体性の確保の四つの大きな特徴があります。
 改革の具体的内容としては、A需給調整では、遅くとも20年度には農業者・農業者団体が主役となる仕組みの構築、当面の需給調整を生産数量により調整する方式への転換、助成金体系を全国一律の方式から地域の創意工夫を活かした方式に転換、B流通制度では、規制を必要最小限にすることによる創意工夫ある米流通の実現、C関連対策では、経営施策・構造政策の構築等を実施していくこととしています。
(主な品目の需給動向等)
 近年、米の需給は大幅な緩和基調で推移しており、14年度の生産調整は過去最大の水準となっています。一方、米の消費量が減少するなかで、「食」の外部化、簡便化を背景に外食産業における米の使用量や無洗米、無菌包装米飯、冷凍米飯等の加工米飯の生産量は増加しています。
 麦・大豆の生産は、12年度から開始された「水田農業経営確立対策」を契機に拡大基調で推移しており、数量的には食料・農業・農村基本計画に沿った16年度の政策目標をも達成しています。しかしながら、品質の向上等が伴わない生産量の急増により需給のミスマッチが拡大しています。今後、実需者ニーズに対応した生産を行い、品質の向上・安定を図っていくことが必要となっています。また、消費面では実需者との連携による地産地消等の取組みを推進することが重要となっています。
 野菜の生産量は減少傾向で推移しているのに対し、輸入量は増加傾向で推移しています。
このような状況のなかで、国際競争に対応しつつ、将来にわたって国内産地の供給力を確保していくためには、消費者や実需者から選好される品質・価格の国産野菜を供給できるよう、産地の体質強化をはじめとする生産・流通両面にわたる構造改革の推進が必要です。
 果実の消費量は、近年、ほぼ横ばいで推移しているものの、簡便性を好む若年世代を中心に果実離れの傾向にあり、消費が伸び悩んでいます。また、栽培面積は、生産者の高齢化等を背景に減少傾向で推移していますが、13年産のうんしゅうみかん、りんごの収穫量は、おもて年に当たり需要量を大幅に上回ることが予想されたことから、生産調整等によりほぼ計画に近い水準となっています。
 牛肉消費量は、BSE発生(13年9月)直後に減退したが、と畜場における全頭検査体制の確立(同年10月)等を境に回復に向かい、それに伴い生産量や牛肉の価格も回復してきました。しかし、発生当初の畜産物価格の下落により肉用牛肥育経営等の収益性は悪化したため、各種対策が実施されました。また、食肉等の安全確保や畜産農家の経営安定に万全を期すため、14年7月にはBSE対策特別措置法が施行されました。今後は、牛肉のトレーサビリティ・システムの確立等を推進していくことが重要となっています。
ページのトップへ

第III章 活力ある美しい農村と循環型社会の実現

1 農業の自然循環機能の維持増進
 農業は自然の循環過程のなかで営まれ、環境と相互に影響し合うことから、地球環境問題の解決のためにも、環境と調和した持続的な農業の展開を通じて、循環型社会を構築していくことが重要となっています。このようななか、環境保全型農業の取組みは増加しており、大規模層ほどその取組割合が高く、取組農家の多くが契約生産を実施しているなど、活力ある生産者が積極的に取組み、消費者のニーズに対応しています。
 適切な農業生産活動による多面的機能には、国土の保全、文化の伝承等様々な役割があり、13年には日本学術会議が学術的見地から整理し、一部機能についても貨幣評価の試算が行われました。

2 バイオマスの持続的活用に向けた農山漁村の役割
 バイオマスはエネルギーや製品として持続的に利活用できる生物由来の有機性資源であり、利活用の過程で大気中の二酸化炭素を実質上増加させません。また、農林漁業との関連が強く、農山漁村に豊富に存在しています。
バイオマスの利活用は、地球温暖化防止、循環型社会の形成、農林漁業の自然循環機能の維持増進、持続的な農山漁村の発展にも寄与します。さらに、エネルギーや工業製品の供給等農林漁業に新たな役割を付与することも期待されます。
 今後、その生産から利用まで各段階での積極的な取組みが必要であり、「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づき、22年度までにバイオマスの利活用促進にかかわる環境整備等を集中的・計画的に実施することとしています。
「バイオマス・ニッポン総合戦略」が目指す循環型社会への転換
3 活力ある農村の実現に向けた振興方策
 近年の我が国の人口移動をみると、東京圏への集中傾向が強まり、地方圏の人口は転出超過となっています。農家世帯においては高齢化が進み、中山間地域を中心に人口が減少する地域ほど集落活動の停滞が懸念される状況にありますが、農村地域の活性化を図るためには、新たな産業の創出や都市との交流等を通じた定住者の確保を推進していく必要があります。
 また、農村には、有形、無形の財産が存在しており、それらを新たな資源として再評価するとともに、農村と都市の積極的な交流等を通じて、農村の活性化を図ることが重要です。
ページのトップへ


BACK ISSUES