ホーム > 砂糖 > 行政情報 その他、白書の概要など > 平成16年度食料・農業・農村白書の概要
最終更新日:2010年3月6日
農林水産省大臣官房情報課情報分析室 年次報告第1係 島田 依佐央 |
第1章 食の安全・安心と安定供給システムの確立 |
第2章 農業構造改革の加速化と国産の強みを活かした国内農業生産の展開 |
第3章 農村地域の再生と美しく活力ある農村の創造 |
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2 食料消費と食料自給率の動向
(食料産業の課題)
国内総生産の1割を占める食料産業(農・漁業及び食品産業など)では、食生活の多様化・高度化の進展に伴い関連製造業や関連流通業の割合が増加しています。これらの産業については、生産者に対する低廉な農業生産資材の供給、食品流通システムの構造改革が重要です。
(農産物輸入の動向)
我が国は、世界最大の農産物純輸入国であり、加工品の増加、小口化、特定国への輸入依存が特徴です。こうした輸入構造は、食の安全及び消費者の信頼や食料の安定供給の確保の観点から、ぜい弱性が内在しています。
(食料自給率の動向)
カロリーベースの食料自給率は低下していますが、これは長期的にみると、国内生産に適した米の消費が減少し、畜産物や油脂類が増加するなど食生活の変化が大きく影響しています。
このため前基本計画では、食料消費と農業生産の課題が解決された場合の食料自給率目標が設定されました。
しかし、消費面では、脂質の摂取過多などの栄養バランスの崩れが改善されず、前基本計画で掲げた「望ましい食料消費の姿」は未達成です。生産面では、小麦、大豆の生産量は増加していますが、米、野菜、果実など多くの品目で減少しており、「生産努力目標」は未達成です。
(食料自給率の目標達成に向けた課題)
新たな基本計画では、自給率向上に向けて重点的に取り組むべき事項を明確化し、関係者の具体的行動を喚起しています。自給率目標はカロリーベースを引き続き基本とし、あわせて生産額ベースも設定しています。
食料自給率の目標達成に向け、生産者、事業者、消費者、行政の役割分担と主体的な取り組みを実施していくとともに、食料供給力の強化を図ることが重要です。
(食生活の現状と地産地消及び食育の推進)
飽食ともいうべき食生活を享受するなかで、栄養バランスの崩れや食の乱れ、大量の食品ロスなどの問題が発生しています。地産地消の計画策定と自主的取り組みの促進とともに、国民的運動としての食育の一層の推進が重要です。
図2 我が国の主要農産物の国別輸入割合(平成15年)
3 世界の農産物需給と農産物貿易交渉の動向
(東アジアの農産物貿易の動向)
東アジアの農産物貿易は、輸出入額の増加と域内依存度の上昇、輸入品目の多様化、特定品目の輸出が特徴です。
とりわけ、中国の農産物貿易について、品目別にみると、穀物や野菜などは輸出超過ですが、国内の食用油の需要増加に対応するため、油糧作物と動植物油脂は大幅な輸入超過です。このため、農産物貿易全体でみると、中国は農産物純輸入国となっています。
今後、人口増大、食料消費の増加・多様化に伴い、世界の農産物貿易における東アジアの影響力が強まる可能性があります。
(農産物貿易交渉の動向)
WTO農業交渉は2004年3月に再開され、同年7月に枠組み合意が成立しました。今後とも「多様な農業の共存」を基本理念とする我が国の主張の反映に努めるとともに、構造改革を通じた国内の農業競争力の強化と国境措置に過度に依存しない政策体系の構築が重要です。
また、経済連携協定交渉については、「守るべきものを守り、譲れるものは譲る」との考え方で、戦略的かつ前向きに対応することが必要です。
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3 国産の強みを活かした農業生産の展開
(食の安全及び消費者の信頼の確保に向けた取り組み)
農産物の安全性の確保のため、残留農薬検査やトレーサビリティ・システムの構築に取り組む動きがみられます。こうした取り組みとともに、生産段階において病原微生物や異物混入などの危害対策や栽培工程の管理などの取り組み(適正農業規範)の推進が重要です。
(地域ブランド化の取り組み)
地域固有品種の育成、独自の基準による品質の維持、販路の開拓など、地域ブランドの確立に向けた動きがみられます。認証制度や品質管理制度、地域のイメージづくりなどの販売戦略構築などを図ることにより消費者の信頼を獲得していくことが重要です。
(食品産業の需要にこたえる取り組み)
国産農産物の調達を増やす食品産業の動きに対応して、食品産業向けに付加価値の高い食材の安定供給などに主体的に取り組む動きがみられます。これらの主体的な取り組みに加え、食品流通業との連携の強化も重要です。
(技術の革新・開発を核とした取り組み)
生産現場では、品種改良、栽培・加工技術の開発・導入に取り組むなど高度な農業技術の導入による経営革新の重要性が高まっています。生産現場のニーズに直結した新技術の開発と生産現場への導入・普及の迅速化が必要です。
(農産物輸出の取り組みの推進)
国産農産物の輸出拡大の可能性が高まるなか、全国各地で積極的な取り組みがみられます。攻めの農政の柱の一つとして、民と官が一体となって、戦略的かつ積極的に輸出を促進することが重要です。
図6 品目横断的政策のイメージ
資料:農林水産省作成。
4 環境保全を重視した農業生産の推進
(環境保全を重視した農業生産の推進)
環境問題に対する国民意識が高まっています。農業は自然環境を対象とした生産活動のため、環境負荷を軽減し、我が国農業全体について、環境保全を重視したものに転換していくことが必要です。環境との調和のための基本的な取り組みを着実に実践することが重要です。
図7 食品産業における国産農水産物の調達の状況
資料:農林漁業金融公庫「食品産業動向調査」(16 年2月公表)
注:1)食品産業関連企業(7,031 社)を対象として実施(回収率40.2%)。
2)調達量の変化は、3年前程度と比較したものである。
3)調達する理由では、調達量の変化で「増加した」と回答した者を対象とした。
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3 活力ある農村の創造
(農村経済の活性化と農業と他産業の連携の推進)
農業と観光業、商工業などの他産業が連携し、経済の活性化を図る動きが各地に出現しています。農村経済活性化のため、こうした地域の多様な主体の連携による地域固有の資源の活用のほか、都市と農村が双方向で行き交う共生・対流、広域的な連携などの推進が重要です。
(地域活性化を支える人材・組織の育成と連携)
地域の活性化のため、行政以外に、農業者、女性、高齢者、地域住民、商工業者、NPOなど、多様な主体が取り組んでいます。
今後、地域の内外からの人材の積極的な発掘・受入れ、リーダーの育成、研修などによる人材育成の取り組みが重要です。
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