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平成9年度食料需給表(速報)の概要

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


農林水産省から
[1999年6月]

農林水産大臣官房調査課 調査分析第2係長
田中 弘明


1.供給純食料の動向  2.供給栄養量の動向
3.食料の自給率  4. 国際比較


 食料需給表は、国内に供給された食料について、生産から最終消費に至るまでの総量を明らかにするとともに、国民1人当たりの供給純食料及び栄養量をまとめたものであり、FAO(国際連合食糧農業機関)の作成方法に準拠して毎年度作成し、公表しているものです。
 以下、「平成9年度食料需給表(速報)」を基に、その概要について解説します。

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1.供給純食料の動向

 供給純食料とは、最終消費された食料の当該品目の食料重量から通常の食習慣において廃棄される部分(魚の場合は骨や頭、果実の場合は皮や芯などのことです。)を差し引いた後の可食部分のことであり、人間の消費に直接利用可能な量のことです。ただし、この中には、家庭での食べ残しや手付かずで廃棄された食料等の可食量も含まれており、必ずしも国民によって実際に摂取された食料の量ではないことに留意する必要があります。
 平成9年度における国民1人・1年当たりの供給純食料は、平成8年度に比べ、果実、でん粉、いも類、油脂類が増加し、一方では、野菜、魚介類、小麦、米、肉、牛乳・乳製品などが減少するなどの変化がみられました。主な品目について、その動向をみると次のとおりです (表1)。

表1:国民1人・1年当たり供給純食料
(単位:kg)
表1:国民1人・1年当たり供給純食料

(1) 米の消費が引き続き減少
 米は、食生活が多様化する中で減少傾向で推移しており、9年度も前年度比(以下同じ)0.9%減(0.6kg減)の66.7kgとなっています。
 また、小麦は、1.8%減(0.6kg減)の32.4kgでした。
(2) いも類は加工食品を中心に引き続き増加
 いも類は、冷凍食品、菓子などの加工食品を中心に引き続き需要が増加したことから、全体として2.4%増(0.5kg増)の21.3kgとなっています。
 また、でん粉は水あめなど糖化製品の需要が増加したことなどから、3.8%増(0.6kg増)の16.6kgとなっています。
(3) 大豆の需要が減少
 豆類は、納豆及び豆腐・油揚向け大豆などの需要は増加したものの、その他向けの大豆需要が減少したことから、大豆全体としては減少し、また、その他の豆も減少したため、豆類全体としては、3.2%減(0.3kg減)の9.2kgとなっています。
(4) 果実はみかん、りんごの需要が増加
 果実は、果汁需要の減少などから輸入が引き続き減少したものの、みかん、りんごなどの国内産が天候に恵まれ供給量が大きく増加したことから、果実全体としては、4.7%増(1.8kg増)の40.5kgとなっています。
 また、野菜は、近年、重量野菜の需要が減少傾向にあることに加え、輸入野菜が減少したことなどから、2.6%減(2.7kg減)の101.7kgとなっています。
(5) 狂牛病等の影響で一時的に減少した牛肉需要が増加
 肉類は、腸管出血性大腸菌O157による食中毒、EUを中心とした狂牛病問題などにより前年度に減少した牛肉の需要が増加したものの、豚肉等の消費が減少したため、肉類全体としては、1.0%減(0.3kg減)の30.7kgとなっています。
(6) 飲用牛乳の需要が減少
 牛乳・乳製品は、健康志向などを背景に乳製品の需要が引き続き増加したものの、飲用牛乳の需要が前年に引き続き減少したことから、牛乳・乳製品全体としては、0.1%減(0.1kg減)の93.2kgとなっています。
(7) 砂糖類は近年の低甘味嗜好等で減少
 砂糖類は、近年の低甘味嗜好などから減少基調にあり、2.6%減(0.5kg減)の18.4kgとなっています。
(8) 油脂類は加工用や中食向けの需要が増加
 油脂類は、景気の低迷等から外食産業向けの需要が減少したものの、そう菜、弁当などの中食向けやドレッシング類及び冷凍食品等の加工用の需要が増加したことから、1.4%増(0.2kg増)の15.0kgとなっています。
 その他の品目は、鶏卵については前年と同じであったが、魚介類については、練り製品、生鮮魚介類を中心に消費が減少しています。

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2. 供給栄養量の動向

 供給栄養量とは、供給純食料に当該品目の単位当たり栄養成分量(熱量、たんぱく質、脂質)を乗じて算出したものです。この算出に用いた各品目ごとの単位当たり栄養成分量は、原則として科学技術庁刊行「四訂日本食品標準成分表」を用いています。
(1) 供給熱量
 国民1人・1日当たりの供給熱量は、近年、2,620〜30kcal台で推移していましたが、平成8年度には2,651.2kcalと増加したものの、9年度は2,638.0kcalとなっています。
 主な品目について、その動向をみると次のとおりです(表2)。

表2:国民1人・1日当たり供給熱量 表2:国民1人・1日当たり供給熱量

ア) 穀類は、これまで減少傾向で推移してきた米が0.8%減(5.3kcal減)の650.8kcal、小麦が1.7%減(5.8kcal減)の327.1kcalとなったことなどから、穀類全体では、1.2%減(12.0kcal減)の991.5kcalとなっています。この結果、供給熱量全体に占める穀類全体の割合は37.6%、米の割合は前年度同の24.7%となっています。
イ) 畜産物は、牛肉は増加したものの、それ以外の肉類が減少したことから、肉類全体では0.4%減(0.8kcal減)の196.0kcalとなっています。また、牛乳・乳製品は0.1%減(0.2kcal減)の160.9kcal、鶏卵が0.3%減(0.2kcal減)の78.0kcalとそれぞれ前年度を下回っています。
ウ) 砂糖類は、近年減少基調にあり、2.7%減(5.3kcal減)の192.8kcalとなっています。この結果、供給熱量全体に占める割合は7.3%になっています。
エ) その他の品目は、いも類が1.0kcal、でん粉が6.1kcal、果実が2.3kcal、油脂類が6.1kcalそれぞれ増加し、豆類が3.2kcal、野菜が1.3kcal、魚介類が4.2kcalそれぞれ減少しています。
(2) 供給たんぱく質
 国民1人・1日当たりの供給たんぱく質は、近年増加傾向で推移していましたが、9年度は動物性たんぱく質が1.9%減(0.9g減)の47.2g、植物性たんぱく質も、1.4%減(0.6g減)の41.6gとなったことから、全体として1.7%減(1.5g減)の88.8gとなっています(表3)。

表3:国民1人・1日当たり供給たんぱく質
  動物性たんぱく質 植物性
たんぱく質
合 計
  畜産物 水産物


(g)
年度
平成2
  3
  4
  5
  6
  7
  8
  9
 
45.4 (51.8)
45.6 (51.9)
46.0 (52.0)
46.6 (52.7)
48.1 (53.4)
48.4 (53.7)
48.1 (53.3)
47.2 (53.2)
 
26.6
27.1
27.5
27.7
28.5
28.9
29.0
28.8
 
18.8
18.5
18.5
18.9
19.6
19.5
19.1
18.4
 
42.3 (48.2)
42.3 (48.1)
42.5 (48.0)
41.9 (47.3)
41.9 (46.6)
41.7 (46.3)
42.2 (46.7)
41.6 (46.8)
 
87.7 (100.0)
87.9 (100.0)
88.5 (100.0)
88.5 (100.0)
90.0 (100.0)
90.1 (100.0)
90.3 (100.0)
88.8 (100.0)
増減量(g) 8〜9 ▲ 0.9 ▲ 0.2 ▲ 0.7 ▲ 0.6 ▲ 1.5



(年率%)
2〜3
3〜4
4〜5
5〜6
6〜7
7〜8
8〜9
0.4
0.9
1.3
3.2
0.6
▲ 0.6
▲ 1.9
1.9
1.5
0.7
2.9
1.4
0.3
▲ 0.7
▲ 1.6
0.0
2.2
3.7
▲ 0.5
▲ 2.1
▲ 3.7
0.0
0.5
▲ 1.4
0.0
▲ 0.5
1.2
▲ 1.4
0.2
0.7
0.0
1.7
0.1
0.2
▲ 1.7
注:( )内の数値は、合計を100.0とした割合である。

(3) 供給脂質
 国民1人・1日当たりの供給脂質は、これまで増加傾向で推移しており、平成9年度は、穀類等の油脂類以外が減少したものの、油脂類が引き続き増加したことから、全体としては、0.2%増(0.2g増)の87.8gとなっています(表4)。
 この結果、供給脂質全体に占める割合は、油脂類が0.7ポイント上昇し46.9%、油脂類以外の品目が53.1%となっています。

表4:国民1人・1日当たり供給脂質
   油脂類 その他 合 計


(g)
年度
 平成2
   3
   4
   5
   6
   7
   8
   9
 
38.9 (46.8)
38.3 (46.1)
39.0 (46.6)
39.4 (46.5)
39.4 (45.9)
39.8 (46.1)
40.5 (46.2)
41.2 (46.9)
 
44.2 (53.2)
44.7 (53.9)
44.7 (53.4)
45.3 (53.5)
46.5 (54.1)
46.5 (53.9)
47.1 (53.8)
46.6 (53.1)
 
83.1 (100.0)
83.0 (100.0)
83.7 (100.0)
84.7 (100.0)
85.9 (100.0)
86.3 (100.0)
87.6 (100.0)
87.8 (100.0)
増減量(g) 8〜9 0.7 ▲ 0.5 0.2



(年率%)
2〜3
3〜4
4〜5
5〜6
6〜7
7〜8
8〜9
▲ 1.5
1.8
1.0
0.0
1.0
1.8
1.7
1.1
0.0
1.3
2.6
0.0
1.3
▲ 1.1
▲ 0.1
0.8
1.2
1.4
0.5
1.5
0.2
注:( )内の数値は、合計を100.0とした割合である。

(4) PFC供給熱量比率
 国民1人・1日当たりの供給熱量に占めるたんぱく質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の熱量の割合は、脂質については、これまで増加傾向で推移してきており、本年度も昨年度に比べ0.3ポイント上昇し、初めて30.0%となっています。また、たんぱく質、炭水化物は、それぞれ0.1ポイント減少の13.5%、56.6%となっています(表5)。

表5:たんぱく質、脂質、炭水化物の供給熱量割合(PFC熱量比率)
(単位:%)
  たんぱく質
(P)
脂  質
(F)
炭水化物
(C)
昭和35年度
40
45
50
55
60
61
62
63
平成元年度
2
3
4
5
6
7
8
9
12.2
12.2
12.4
12.7
13.0
13.1
13.1
13.2
13.4
13.3
13.3
13.4
13.5
13.5
13.7
13.7
13.6
13.5
11.4
16.2
20.0
22.8
25.5
27.3
27.7
28.0
28.2
28.3
28.4
28.5
28.7
29.1
29.4
29.4
29.7
30.0
76.4
71.6
67.6
64.4
61.5
59.7
59.2
58.8
58.4
58.3
58.3
58.1
57.8
57.3
57.0
56.9
56.7
56.6

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3. 食料の自給率

 食料の自給率とは、当該年度の国内消費仕向量(食料のほか、加工用、飼料用等を含む)に対する当該年度の国内生産量の割合であり、食料需給表から算出できます。ただし、供給熱量自給率は、当該年度の供給総熱量に対する国内産供給熱量の割合であり、畜産物は飼料自給率を考慮して算出しています。
 主な品目の平成9年度の自給率は、次のとおりです。
 米は、昨年度に比べ収穫量が減少(作況指数が105→102)したこと等から、自給率は前年度の102%から3ポイント減少の99%となっています。一方、小麦は、前年度に比べ2ポイント上昇し9%となっています。
 果実は、概ね天候に恵まれたことから、特にみかん、りんごの国内生産量が前年度を大幅に上回ったため、自給率は前年度に比べ6ポイント上昇し53%となっています。
 砂糖類は、近年、概ね30%台で推移しており、1ポイント減少の31%となっています。
 その他の品目は、肉類が1ポイント、魚介類が2ポイントそれぞれ上昇し、牛乳・乳製品が1ポイントの減少となり、それ以外の品目は前年度と同水準となっています。
 また、供給熱量自給率は、平成8年度の概算値(昨年度公表)が42%であったものが、確定値では1ポイント減少の41%、9年度の概算値は41%〔1,085.1kcal(国内産供給熱量)/2,638.0kcal(供給総熱量)〕となっています(表6)。

表6:食料の自給率
(単位:%)
表6:食料の自給率
注:( )内は、昨年度公表した速報値であり、参考として掲載した。

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4. 国際比較

(1) 供給食料について
 主要先進国と比較してみると、国民1人1年当たりの供給食料(消費量)は、穀類はイタリアが最も多く120.4kg、次いで日本が104.3kgとなっており、その他の国は100kg未満となっています。
 砂糖類は、国によって定義が異なるので単純には比較できませんが、アメリカが60.3kgと最も多く、次いでオーストラリアが57.7kgとなっており、日本は18.4kgと最も少なくなっています。
 畜産物は、砂糖類と同様に定義等が異なるので単純には比較できませんが、総体的に日本の供給食料は少なく、特に牛乳・乳製品はスペイン(174.7kg)以外の国が200kg以上となっていますが、日本は81.3kgと最も少なくなっています(表7)。

表7:国民1人・1年当たり供給食料の国際比較
(単位:kg)
表7:国民1人・1年当たり供給食料の国際比較
資料: 農林水産省「食料需給表」、OECD“FOOD Consumption Statistics”
注1: 表内の*は純食料ベースであり、それ以外のものは粗食料ベースの数値である。また、( )内は当該年の末尾を示す。例えば、(7)は1987年の数値である。
注2: 牛乳・乳製品について、製品ベースで掲載されているものを農林水産大臣官房調査課において生乳換算して合計したものであり、バターを含んでいる。従って、油脂類にはバターを含まない。

(2) 食料自給率について
 食料自給率は、供給熱量自給率でみると日本は最も低く、穀物自給率では、オランダに次いで低い水準となっています。
 品目別自給率については、日本は、豆類、油脂類が他の国に比べて極端に低く、砂糖類はカナダに次いで低い水準となっています(表8)。

表8:食料自給率の国際比較(試算)
(単位:%)
表8:食料自給率の国際比較(試算)
資料: 農林水産省「食料需給表」、日本以外の各国の品目別自給率は、OECD“FOOD Consumption Statistics”を基に農林水産大臣官房調査課で試算した。
注1: 表内の、( )内は当該年の末尾を示す。例えば、(7)は1987年の数値である。
注2: 食用穀物とは、小麦、らい麦、米及びその他の食用穀物(日本は、そばを含む)の合計である。
注3: 粗粒穀物とは、大麦、オート麦、とうもろこし、ソルガム、ミレット及びその他の雑穀(日本は、裸麦を含む)の合計である。
注4: 牛乳・乳製品については、生乳換算量によるものであり、バターを含んでいる。
注5: 日本の場合、でんぷんは含まない。

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