砂糖 砂糖分野の各種業務の情報、情報誌「砂糖類情報」の記事、統計資料など

ホーム > 砂糖 > 地域だより > 地域だより[2007年10月]

地域だより[2007年10月]

印刷ページ

最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

地域だより
[2007年10月]


那覇事務所


担い手育成をテーマにしたシンポジウムが開催される
〜第34回サトウキビ試験成績発表会〜

 平成19年8月17日(金)、那覇市の沖縄産業支援センターにおいて、「第34回サトウキビ試験成績発表会(主催:沖縄県甘蔗作研究会)」が開催された。

 この発表会は2部構成となっており、平成18年度に沖縄県内の各試験研究機関などで実施されたさとうきび関係試験成績の総合検討会である一般発表と、「安定的かつ効率的なさとうきび生産担い手育成のあり方―地域の生産実態に即した担い手育成の方向性―」をテーマとしたシンポジウムとが行われた。

 平成19年10月より新たなさとうきびの制度がスタートするが、シンポジウムのテーマである「担い手育成」は、新制度においても今後の重要な課題と位置づけられているものであり、時期を得たテーマであった。

 また、開会にあたり、沖縄県甘蔗作研究会の村山盛一会長は、あいさつにおいて、「新たな政策の導入により、その体制に合わせた品種改良や栽培技術、機械などの開発が必要であること、また、従来の生産目的に加え、バイオマス利用目的についても着目していかねばならないが、研究者にとっては明るい話題である」と述べた。

沖縄県甘蔗作研究会村山会長

◆ 一般発表

午前の部においては、
  • 早期収穫可能な沖縄本島南部向けの多収品種「KN91-49」の特徴について
  • 新旧主要品種の収量性ならびに糖度の比較について
  • 国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた取り組みとしての「地域活性化のためのバイオマス利用技術の開発」プロジェクトにおける品種育成と栽培技術開発について
  • CO2ガス施用による収量と糖度への影響による増産の可能性について
などの発表があった。また、午後の部においては、
  • カンシャコバネナガカメムシの天敵であるカンシャコバネカメムシタマゴバチの大量増殖法の検討について
  • ハリガネムシ防除薬剤であるプリンスベイト剤がさとうきびの初期生育に与える影響の比較試験について
  • トラクタに装着するさとうきび補植機の開発について
  • GPSとICレコーダーを利用したハーベスタの作業状態の把握に基づく作業管理について
など、併せて16の発表があった。

一般発表の様子

◆ シンポジウム

 一般発表の後、「安定的かつ効率的なさとうきび生産担い手育成のあり方−地域の生産実態に即した担い手育成の方向性−」をテーマにシンポジウムが行われ、取り組み事例の発表と討議が行われた。

 座長である村山会長は、「経営安定対策における経過措置により対象要件を満たすとされる農家が8割近くを占める現状を、特例期間の3年の間にどうするかが重要な課題である」と述べ、先進的な取り組み事例の報告の後、総合討議が行われた。

 まず、基調報告として、鹿児島県大島支庁沖永良部事務所の吉田技術専門員による「与論島における集落営農への取り組み」の報告が行われた。今年度から実施されているさとうきび品目別経営安定対策の開始前から増産を目的とした集落営農を目指しており、現在は特定農業団体へ育成することを目的に経理の一元化を行う予定であるとのことであった。

 続いて、沖縄県農業研究センターの新里良章氏による、早期株出管理を主体とした受託集団の育成についての検討、同センターの玉城麿氏による、これから重要視されるであろう受委託作業を想定した機械化システムの開発内容と進捗状況についての発表、沖縄県南部地区農業改良普及センターの比嘉良実氏による、南城市大里稲嶺地区におけるモデル的な集落営農の取り組み支援についての事例の発表、JAおきなわ北部地区事業本部さとうきび対策室の玉里政志氏による、名護市久志区における基幹作業受委託の取り組みについての発表、さらに、恩納村さとうきび生産組合の比嘉豊林氏による、さとうきび生産組合の取り組みについての現状と課題の発表が行われた。

 最後に、JAおきなわさとうきび振興部の銘苅弘一氏が、OCR調査における圃場調査結果についての説明を行い、特例農家の課題を報告し、その中で「かつてのゆいまーるの復活を目指す。時間はかかるだろうが、何かをやらないと進まない」と述べた。

 その後の総合討議の中では、当機構那覇事務所の仁科俊一所長が「地域ごとにやり方はいろいろある。今回のシンポジウムを踏まえ、農家と一緒に方向性を見つけていくことから早急に始めないといけないのではないか」と述べたほか、「増産につながることが大前提であり、それは農家の収入向上につながる」、「3年先だけでなく、その先の具体的なイメージを持たないといけない」などの意見も交わされ、活発な討議が行われた。(新田)

シンポジウムの様子
会場の様子


那覇事務所



BACK ISSUES