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地域だより[2007年11月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[2007年11月]


那覇事務所


糸満市さとうきび生産組合平成19年度総会が開催される

 さとうきびに係る新制度として、平成19年産から品目別経営安定対策が導入されることに伴い、さとうきびの安定的生産の確保と担い手や受委託組織の育成を図るため、昨年より生産農家で構成されるさとうきび生産組合が各地域で設立されている。今年度は新制度のもとでの初年度とあって、各生産組合において受委託組織や担い手を育成する具体的な取組が期待されている。
 そのような中、平成19年9月18日(火)、糸満市において、糸満市さとうきび生産組合19年度総会が開催されたので紹介する。

会場の様子

 糸満市は、沖縄本島の最南端にあって、那覇市から南へ12kmに位置している。市内北部地域の主な土壌は、保水性があり肥沃で灰色のジャーガルで、市内中央部および南部の主な土壌は、保水性の乏しい赤色の島尻マージである。
 18/19年期における糸満市のさとうきび生産量は35,913t(表1参照)で、沖縄本島全体の生産量228,674tの約16%を占める。一方、生産組合員数は1,200人を上回り、沖縄県内で3番目(沖縄本島で最多)の生産組合員数を誇る。

糸満市における作型別さとうきび生産量(18/19年期)

 開会にあたり、大城生産組合長より「平成19年産から始まる新たなさとうきび制度を見据え、従来のさとうきび生産部会の組織再編を行い、平成18年8月に当生産組合が設立した。現在の日本の農業をとりまく情勢は、国際化の流れを受けて大きな転換期を迎えており、EPA交渉等による関税撤廃への懸念といった不安要素を抱えているが、今後も安定的なさとうきび生産体制の確立と担い手の育成に取り組んでいきたい。組合員および関係機関の協力をお願いしたい。」とのあいさつがあり、その後、議案の審議、競作会の表彰式、栽培技術講演会が行われた。

あいさつをする大城組合長

「担い手育成活動計画」等の承認
 「担い手育成活動計画」をはじめとする議案審議が行われ、満場一致で承認された。
 この「担い手育成活動計画」は、今後3年間の担い手育成に係る計画期間において、生産組合が地域の関係機関と一体となり計画的担い手の育成を推進していくための指針であり、新制度において、各生産組合による策定が義務付けられている。

 糸満市における生産者の経営規模は、1ha未満の農家が全体の93.9%(県平均73.2%)を占め、ハーベスタによる収穫率は収穫面積では8.2%(県平均13.1%)、収穫量では5.5%(県平均10.8%)と、沖縄県の平均と比較しても経営規模が小さく、ハーベスタ収穫も普及が遅れている。(表2および表3参照)

糸満市における経営規模別さとうきび農家数(18/19年期)

糸満市及び沖縄県におけるハーベスタ収穫状況(18/19年期)
※本表の生産量と表1の生産量との差異は、本表が調査で把握した数量であるため

 このような地域性を踏まえ、今回承認された同計画においては、今後の生産者の育成方針として、
(1) 生産者のほ場植え付け調査をもとに、生産農家の類型化と各類型ごとの今後誘導すべき方向性を明確化
(2) 糸満市における農業機械、オペレータ、遊休地の調査
(3) 基幹作業受委託体制の整備や農地の流動化の推進を行った上で、品目別経営安定対策に係る本則要件への移行を図るとしている。


 また、今後のさとうきび生産の方針として、
(1) 主たる作型が株出栽培である生産実態を鑑み、早期株出管理作業の徹底によって単収の向上を図る
(2) 灌がい整備地区における干ばつ期の積極的なかん水と、灌がい未整備地区における簡易かん水システムの普及を推進
(3) 製糖工場の集中脱葉施設から排出される枯葉等有機物のほ場への還元と、株出萌芽性に優れ黒穂病に対しても抵抗性のある品種の普及を行うこととしている。

表彰式
 議案決議の後、糸満市の18/19年期のさとうきび競作会の表彰式が行われ、春植部門と夏植部門でそれぞれ5名、株出部門で4名、多量生産部門で24名、計38名が表彰され、受賞者には表彰状と記念品が贈られた。

競作会の表彰式
栽培技術講演
 表彰式の後、JAおきなわさとうきび振興部の島袋アドバイザーより、さとうきび栽培技術講演が行われた。

JAおきなわ島袋アドバイザーの講演の様子

(講演要旨)
(1) 小規模農家こそ率先して単収向上に努め、地域の生産農家をリードするという気持ちで取組んでほしい
(2) 単収の向上には茎数確保が大切であり、農林20号などの茎数型品種の栽培を促進することが重要
(3) 畦幅は単収に直接影響があり、単収向上のためには120cm程度が適切で、広くても130cmまでにしてほしい
(4) 早期の平均培土によって生じる分げつの抑制を避けるため、4〜5本分げつした後に平均培土を行うことや、元肥と雑草防除を徹底してほしい

 糸満市のように地域全体の生産量は多いながらも、個々の農家が小規模である地域における取組が、新制度における今後のさとうきび生産に向けての重要なモデルとなり得る点で、他の地域からも大いに注目され、影響を与えると考えられる。関係者が一体となり、地域の生産者の農業経営の実態に即した農作業受委託の促進や担い手の育成を推進することにより、地域の基幹産業であるさとうきびの安定的な生産に結びつくことを期待したい。(緒方)

(参考資料)
「平成18/19年期 さとうきび及び甘しゃ糖生産実績」(沖縄県農林水産部)


那覇事務所




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