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最終更新日:2010年3月6日
沖縄本島南部地区において地域情報交換会を開催 〜杉本明氏らを招き講演会および優良農家の事例発表 |
平成20年7月18日(金)、沖縄本島南部地区に位置する南城市の「南城市佐敷文化センター・シュガーホール」において、農畜産業振興機構那覇事務所および南部・中部・北部各さとうきび生産振興対策協議会との4団体共催により、さとうきび生産者の栽培技術向上と生産意欲の高揚を目的とした地域情報交換会を開催した。 同交換会は、沖縄本島の北部・中部・南部から各1名の優良農家を招いて、自らの栽培内容を紹介する事例発表と、独立行政法人国際農林水産業研究センターの杉本明氏による講演会の2部構成で開催した。 |
[開催概要]
1.優良農家事例発表
○山内 英昇氏(中部地区代表 読谷村在住) <経歴> <栽培の特徴> |
○喜納 博文氏(北部地区代表 名護市在住) <経歴> <栽培の特徴> |
○大城 善徳(南部地区代表 南城市在住) <経歴> <経営の特徴> |
2.講演会 講師 杉本 明氏 演題「南の島のみどりの宝・さとうきびを知る」 長年さとうきびの育種などに携わってきた杉本氏の経験を基に、国内外におけるさとうきびの栽培事情や、さとうきびが本来持っている基本的な特性、さとうきびの将来展望などについて、分かりやすく丁寧な語り口で解説した。 (1) 世界と日本のさとうきび |
ブラジル | 7.4 |
オーストラリア | 8.9 |
日本 | 5.6 |
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上記方程式のとおり、新植、株出ともに、多収実現には茎数を確保することは特に重要。その点で、先に紹介した優良農家事例の3人は、いずれも植え付け時の苗の量や質を重視し、補植も徹底して行うことにより茎数を確保するという共通の特徴を持ち、理にかなった栽培方法を実践している。多収を実現するためには、さとうきびの生育状況を正確に把握し、何を改善すれば良いのかを現場で考えることが重要。
(例)干ばつ被害 →3つの要素が不足して起こる
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干ばつ被害の要因を考える際、単に降雨不足に対してのみに焦点を当てることは問題。
限られた水をいかに上手に利用するかを考えることが重要。
(イ)作型の理想としての「夏植秋収穫」
春植え | → | 気象条件の影響を受けやすく、収量が低い。 |
夏植え | → | 気象条件の影響をあまりうけずに収量が安定。 反面、土地利用効率の面で2年1作は非効率。 |
「夏植え秋収穫」 | 夏植の長所を生かし、短所を改善。 (夏植え新植→秋収穫→株出しで実現) |
さとうきびの品種開発面においては、糖度上昇面での課題に関して、11月収穫は実用水準に到達。(農林20・22・24号など)
(4) さとうきびにおける今後の展望
[高バイオマス量さとうきびの利用展開]
(ア)飼料用さとうきび砂糖産業から糖質複合産業へ
1.二酸化炭素排出削減への貢献 2.化石エネルギー代替資源の削減 3.農地を競合する飼料畑との関係改善 4.産業領域と雇用の拡大 |
今回の地域情報交換会には、さとうきび生産者をはじめ約350名が出席した。優良農家が語ったさとうきび作に対する情熱や喜び、杉本明氏が語ったさとうきびが本来持つ植物としての特性や、将来に向けたさとうきびの多面的な活用などの発言に、出席者は熱心に耳を傾けていた。
出席者からのアンケートの回答には、優良農家の事例発表に対しては、「生産現場でのリアルな話が聞けた」、「今後のさとうきび栽培への意欲につながった」など、杉本明氏の講演に対しては、「さとうきびに対する視野が広がった」、「これまでの講演会にはなかったことを学べた」といった感想が多く見られ、「これからもこのような講演会を開催してもらいたい」といった要望が多数寄せられた。
今後もさとうきび生産者の要望に沿った内容の講演会などを開催し、さとうきびの生産振興に貢献していきたい。