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平成19年度消費者代表の方々との現地意見交換会

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2008年2月]

【機構から】
特産業務第一部

 当機構は情報提供業務の一環として、消費者の方々に生産現場を実際に見ていただき、生産者や関係者の方々と話し合うことにより、相互に理解と認識を深めていただくため、平成19年12月6日(木)に千葉県千葉市、茨城県守谷市において、現地意見交換会を開催した。
 今回の現地意見交換会は、千葉市美浜区にある新東日本製糖株式会社と、守谷市にある明治乳業株式会社守谷工場の2カ所を見学し、砂糖に関して理解を深めていただくとともに、関係者との意見交換を行った。
 消費者代表として主婦連合会、消費科学連合会、全国消費者団体連絡会、日本生活協同組合連合会において活躍されている方々をはじめ、食品関係を専攻している研究生・大学生、専門家として、糖業協会、大日本明治製糖株式会社の方々にも参加いただいた。
 訪問先までのバスの車中では、機構における砂糖業務の概要及び砂糖を取り巻く情勢の説明を行った。その後、糖業協会より、砂糖に関する誤解の払拭についての説明があった。また、当機構作成のビデオを視聴した。

1.新東日本製糖株式会社

<会社沿革>
1971年 東日本製糖(株)設立
1972年 大日本製糖(株)、明治製糖(株)からの受託生産開始
(1996年大日本製糖(株)と明治製糖(株)が合併、大日本明治製糖(株)となる)
2000年 大日本明治製糖(株)、日新製糖(株)の共同生産会社に改組
2001年 新東日本製糖(株)に社名変更
2002年 大東製糖(株)が共同生産に参加
2004年 「ISO9001:2000」の認証を取得

 新東日本製糖(株)は、砂糖の受託製造専門工場として、日新製糖(株)、大日本明治製糖(株)、大東製糖(株)、などから委託を受け砂糖を生産している。生産される砂糖の種類は、上白糖、グラニュ糖、三温糖、ザラメ糖、液糖の他、特殊糖に至る多品種を生産している。
 工場は、原料糖荷揚げの専用桟橋と5万5千トン規模の原糖倉庫を持っている。製糖能力は1日当たり原糖処理量1,200トン、年間約33万トンの砂糖を生産している。また、厳しい工程管理と衛生管理の下に運営され、燃料には天然ガスを使用し、生産過程で排出される廃棄物の再資源化を図るなどの環境対策を行っている。従業員は196名となっている。
 現地意見交換会は、工場の概要及び生産工程の説明を受けた後に、工場見学を行い、意見交換を行った。

(意見交換の概要)

Q: 原料糖の調達はどのようになっているのでしょうか。
A: 当工場では調達をしていません。砂糖生産を委託するメーカーが、海外から買付け、工場に提供しています。

Q: 製造工程で石灰と炭酸ガスを使っていますが、これは昔からですか。また、これ以外の方法はないのでしょうか。これらが残って体に害はないのでしょうか。
A: 昔からの製法で、世界的にも同じ製法で作られています。外国の工場の一部で食品添加物の凝集剤を用いた方法で作られるものもあります。また石灰と炭酸ガスは沈殿物となり、フィルター等で何度もろ過して除去しますので心配はいりません。

Q: 日本の砂糖は世界一なのでしょうか。
A: 品質は世界一と自負しています。海外では作れないと思います。

Q: 遺伝子組み換えのさとうきびは使っていないのでしょうか。また、メーカーによる品質格差はあるのでしょうか。
A: さとうきびには、遺伝子組み換えのものはありません。また、砂糖の品質格差は精製度合や製造工程の細かな違いにより、わずかながらあります。

Q: 砂糖は腐るものですか。また、賞味期限がありますか。
A: 賞味期限はありません。10年たっても変質はしません。上白糖は水分を他の砂糖より多く含んでいるため、固くなったり、黄色くなったりすることはありますが、腐るものではありません。食品衛生法やJAS法では、品質変化が極めて低いものは賞味期限の必要はないとされ、賞味期限の表示が義務化されていません。

Q: ザラメ糖、上白糖、グラニュ糖は同じ甘さでしょうか。
A: 甘みが違うと感じるのは、糖分が舌に広がる具合がそれぞれで違うからといわれています。粒子の大きさが違うので甘さの感じ方が違うのではないでしょうか。

Q: ザラメ糖で煮物を作ると甘く感じるのはなぜですか。
A: ザラメ糖は溶けるのに時間がかかるのでしっかり味がしみ込むのではないかと思います。ただ、糖度はグラニュ糖などと同じです。

(意見・感想)
○砂糖の種類や製造工程について工場見学の前にわかりやすく説明していただき、ただ見るだけでなく、理解の伴う見学が出来ました。

○砂糖の種類では「液糖」の存在を初めて知り、使用の際、溶かす手間のないという利点があることが理解できました。砂糖のメーカーは、使用する側の要望や使い勝手に配慮して、様々な工夫や企業努力をしていることを知りました。

○製造工程の中でも大変印象的だったのは大きな釜の中で砂糖を結晶化させる過程であり、時間を調整して砂糖の結晶の大きさをコントロールするという説明を受け、同じ原料から砂糖の様々な表情・機能を生み出すのだなと、大変感心しました。

○原材料から製造の過程に至るまでの安全・安心の確保に関しては特に関心を持っていたところですが、工場内は全自動化されており、製品となる砂糖が露出することはなく衛生管理は大変行き届いていました。最後に完成された製品を人がチェックしているところを見て、安全・安心な製品をつくることを何より大切にしていることを感じました。

○海外から調達される原料糖についての安全確保についても、残留農薬のチェックや現地視察を行っていることを伺いました。このように砂糖ができるまでの全工程において行き届いた厳しい管理を貫いていることに、身近な製品のうらにある、会社側のたゆまぬ努力とよい商品を届けたいという情熱を深く感じました。

意見交換の様子

2.明治乳業株式会社守谷工場

 守谷工場は、自動制御の生産・物流ラインの高効率・省エネ工場であり、HACCPに基づいた品質保証体制による高い品質管理を行い、環境に配慮した、高生産性を誇る工場で、牛乳、ヨーグルト、清涼飲料水などを生産し、一部製品は容器の形成から充填、箱詰めまで一貫して行っている。年間生産量は約17万klである。砂糖(液糖)は月に約100トン、甘味料としてヨーグルト等に使用されている。
 また、工場見学施設「みるく館」を併設しており多くの見学者を受け入れている。
 現地意見交換会は、工場の概要及び生産工程の説明を受けた後に、見学コースに沿って工場見学を行い、意見交換を行った。

(意見交換の概要)

Q: 牛乳の生産工程では、機械での品質検査だけでなく、人による官能検査は行っているのでしょうか。
A: 社内では風味パネラーという係の人がいて各工程でチェックを行っています。製品になるまでの間に、複数回行っています。

Q: ヨーグルトに使用される砂糖はどのようなものですか。消費者のニーズは甘さ控えめでしょうか。
A: 工場では液糖を使っています。これは砂糖を溶かす手間がかからず、とても扱いやすいからです。ニーズは甘さを控える傾向にあります。たとえば、飲むヨーグルトのプレーンについて、時代に合わせて甘さを変更しています。

Q: 甘さ半分とは砂糖の量を減らすのですか。
A: 減らすだけでなくシャープな甘みとソフトな甘みなど特徴づけるため、別の甘味料を合わせています。

(意見・感想)
○工場内も大変清潔で、食品という性質上、衛生面の気配りがさまざまな面から見受けられました。製品の充填だけでなく、容器もオートメーションで成型される工程を見て、製品ができるまでの全工程について衛生管理を徹底していることにとても感心しました。

○ゴミゼロ計画など、今後、より重要になってくる環境対応について高い意識を持ち、最先端の技術をもって取り組んでいる姿勢に、会社のまっすぐな想いを感じました。

○普段店頭で見かける商品が実際に製造されているラインを見学させていただき、会社の想いを直に感じたことで、より親近感が沸き、これからもぜひ人々に愛される商品を作ってほしいと思いました。

工場見学の様子

(研究生の意見、感想)
 今回参加していただいた研究生から、感想をいただいたので要約を紹介する。

 今回、交換会に参加しようとした問題意識は、砂糖は、精製糖企業においてどのような製造・加工プロセスを経て最終製品化され、またその商品がどのような流通経路を通じて私たち消費者に届くのか、その一連の流れをみてみたい、という意識であった。今回の現地意見交換会では貴重な時間と経験を得ることができた。
 交換会で承った話では、精製糖の原料として、てん菜が北海道で、さとうきびは沖縄県・鹿児島県南西諸島で生産されている。同時に、外国からも粗糖(主にタイ、オーストラリアが輸出国であり、その原料はさとうきび)が輸入されており、それらが精製されて純白の白い砂糖として製品化されている。当日は、澄みきった晴天日に恵まれ幸運にも貨物船からの粗糖の荷揚作業と倉庫への搬入作業の両方をみることができた。なかでも原料糖倉庫に積み込まれた粗糖のヤマは最大時約6万トン、当工場における砂糖の年間生産量は約33万トンとの説明を受け(日本人一人当たりの年間砂糖消費量は推計約18キロ、総需要約216万トン)、相当な量を目の当たりしたことになり、日本人の胃袋に入る砂糖がここにあり、とこれまで体験したことのない不思議な気持になった。ちなみに、搬入されたこれら粗糖は、その後、工場の最上階に運ばれ、精製の過程を上位階から下位階にしたがって経過しながら、用途別・種類別に完成品として袋詰めされ、最終的には工場の商品倉庫に高く積み上げられた状態で一次保管されている。ちなみに、17段、高さ35メートルの商品倉庫もまた、壮大なスケールであった。
 ついで、精製糖企業によって商品化された砂糖は、最終的には我々の日々の食生活を通じて消費されることになるが、家庭において調理及び消費されるその割合と、加工品のなかに含まれ消費される割合は、約15%と約85%となっている。なお、工場から搬出される完成品としての砂糖は、その大半が業務用に仕向けられている。今回、業務用の砂糖を使用している加工企業の工場も見学させていただいた。今回は飲料タイプの加工食品工場の見学となったが、液糖(精製糖工場において白糖を精製するために不純物等をすべて除去した砂糖を結晶化させる前の段階での液状形態の砂糖)が用いられていた。液糖自体の知識はこれまでも書物等のなかでは理解していたつもりであったが、実際にその現場にふれて、精製、運搬、調達、加工、商品化の流れを見学することができ、改めて感慨深いものがあった。
 今回の工場や加工企業の見学を通じて、以下のように感じることができた。それは、原料用農産物の生産段階における複数の甘味資源作物の存在、工場の精製段階におけるその調合・加工と多種多様な製品製造の実態、なおその大半は業務用に仕向けられており、ついで加工企業における複数の加工工程を経て、最終的に私たち消費者に届くことになる、と実感した。

 このような活発な意見交換を行い終了した。この現地意見交換会を機会に消費者の皆様方には、砂糖に関する理解を深めていただき、その必要性、魅力を発信していただければと願いたい。
 なお、今回、現地意見交換会を開催するに当たり、大日本明治製糖株式会社、新東日本製糖株式会社、明治乳業株式会社守谷工場の方々をはじめ多くの方にご協力をいただいた。厚く御礼申し上げます。

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