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平成20年度甘味料の需要実態調査の概要

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最終更新日:2010年3月6日

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[2009年7月]

調査情報部調査課



はじめに

 平成19砂糖年度の砂糖の需要量は、農林水産省の調べによると219.7万トンで5年前の需要量に比べると95.7%と減少している。一方で異性化糖の需要量は、82.4万トンで同107.3%、加糖調製品(含糖量ベース)の需要量は、30.9万トンで同111.2%とともに増加傾向にある。この結果、甘味需要量全体に占める砂糖の割合は、平成14砂糖年度の68.7%から66.0%にまで低下している。また、消費者の嗜好の変化に伴って、代替甘味料の使用量も増加している。

 そこで、甘味料需要全体の動向を把握するため、砂糖、異性化糖、加糖調製品および代替甘味料を調査対象として、株式会社富士経済に委託して平成20年度甘味料需要実態調査を行ったので、その概要を報告する。

1.調査概要

 食品メーカー35社を対象に、砂糖、異性化糖、加糖調製品(ソルビトール調製品、ココア調製品、ミルク調製品、加糖あん、小麦粉調製品)、代替甘味料(果糖(フラクトース)、アスパルテーム、マルチトール、スクラロース、アセスルファムK(カリウム))の使用状況について調査を行った。調査項目は、使用している甘味料の種類、仕入動向、使用動機、品質への評価、他の甘味料への切り替えの可能性、甘味料を使用している商品であり、聞き取りにより調査した。

 また、製品分野では菓子、清涼飲料、乳製品(デザート)、パン、調味料類、漬物、佃煮・煮豆、水産練り製品・珍味を調査の対象とした。

 なお、調査対象期間については、平成20年1〜12月とした。

2.調査結果

(1)砂糖〜需要は減少傾向〜

 砂糖は、調査対象企業すべての35社で使用されており、調査対象企業における平成20年の仕入量は、13万7741トンで前年に比べて1.4%減少した。中国製冷凍ギョウザ事件の影響により、一時的に加糖あんの輸入がストップし、ユーザーが国産あんに切り替えたため、製あんメーカーでは砂糖の仕入量が増加した。しかしながら、調査対象企業の多くが、原料高の影響で、商品の値上げや内容量の減量を行ったことに加え、9月の“リーマンショック”に端を発した世界同時不況による消費者の購買意欲の減退が影響し、商品の生産量が減少したことに伴って、砂糖の仕入量も減少する結果となっている。また、平成19年にミルク調製品価格の高騰を受け、国産の脱脂粉乳、砂糖などの分離調達(調製品の各成分を個別に仕入れること)へ切り替えた企業が、平成20年に、国産の脱脂粉乳の需給がタイトになったことでミルク調製品に再び切り替えたため、それに伴って砂糖の仕入れを控えたことも、仕入量が減少した要因となっている。

 砂糖の日経相場は、平成20年の1年間で1キログラム当たり12円上昇し、調査対象企業のほとんどで、仕入価格も上昇した。一方、世界同時不況に突入したことで減退した消費者の購買意欲を喚起するために、平成21年に入って小売業界は、PB(プライベートブランド)商品のアイテム数を増やし、NB(ナショナルブランド)商品の値下げを相次いで行っている。調査対象企業でも、低価格の商品を作るためには原料調達コストの削減が不可欠であり、砂糖よりも安価な加糖調製品や異性化糖の仕入れを強化していることから、今後も砂糖の需要は、減少していくことが予測される。

(2)異性化糖〜価格は落ち着く〜

 異性化糖は、調査対象企業のうち23社で使用されており、平成20年の仕入量は、前年に比べて3.6%増加の9万3389トンであった。使用されている種類では、果糖ぶどう糖液糖が7万9414トンで全体の85.0%に及んでいる。砂糖に比べて安価であること、液体であるため溶解する手間が省けて作業が軽減できることが主な使用理由である。そのほか、味へのこだわりとして、異性化糖の持つすっきりとした甘味や低温で甘みが強くなる性質を生かしているとの意見もあった。異性化糖は、クッキー、健康食品、アイスクリーム、ゼリー、ヨーグルトなどのデザート類、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、スポーツドリンクなどの清涼飲料、パン、めんつゆ、鍋つゆ、漬物、総菜など幅広い分野で使用されている。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は8社、同量だった企業は6社、減少した企業は9社であった。増減理由はほとんどの企業が、「商品の売れ行き(生産量、販売量)によるもの」と回答したが、ある菓子メーカーでは、平成20年にマルチトール調製品から異性化糖に原料を切り替えたことで仕入量が増加していた。また、異性化糖は低コストであることから、最近はPB商品に使用し、原料コスト削減を図る企業が増えてきており、PB商品のアイテム数や販売量数の増加により、仕入量が増加した企業が見られた。

 仕入価格の傾向は、異性化糖の主原料となるとうもろこしが高騰を続けてきたことにより、上昇傾向が続いてきたが、平成20年秋ごろからとうもろこしの価格が下落してきており、異性化糖も平成21年に入って下落傾向にある。

(3)加糖調製品

①ソルビトール調製品〜コスト削減のため、需要は増加傾向〜

 平成20年のソルビトール調製品の輸入量は、財務省の貿易統計によると前年比3.3%増の10万2580トンであった。調査対象企業での年間仕入量は1万2763トンで、全輸入量の12.4%をカバーしている。

 ソルビトール調製品を使用している企業は19社で、グミキャンディ、柏もち、わらびもち、団子、半生菓子、あんなどの菓子類、菓子パンをはじめとするパン類、漬物、佃煮・煮豆(一部総菜を含む)、魚のすり身、珍味などの水産練製品に使用されていた。使用理由としては、原材料となる砂糖およびソルビトールの調達コストを削減するためとしている

 仕入量が前年に比べて増加した企業は12社、同量だった企業は3社であり、減少した企業は4社であった。仕入量が増加した企業のほとんどが、その理由を「商品の売れ行き(生産量、販売量)が良かったため」と回答した。特に菓子分野では、近年グミキャンディ市場が急拡大しており、「グミキャンディの生産増により、ソルビトール調製品の仕入量も拡大した」という菓子メーカーが見られた。また、新たにソルビトール調製品を使用した商品を発売したことで、仕入量が増加した企業も3社あった。これは、砂糖の日経相場が平成20年に年間でキログラム当たり12円も上昇した影響で、原料コスト削減を図る企業が、新商品の原料として砂糖ではなくソルビトール調製品を採用したものと見られる。製あんメーカーでは、平成20年秋に大手小売業のPB商品に使用されるあんを受託したが、コスト削減の観点から、砂糖ではなくソルビトール調製品を使用したため、仕入量増加の要因となった。

 仕入量が減少した企業のうち、2社が他の甘味料へ切り替えたことを理由に挙げた。このうち漬物メーカーは、ソルビトール調製品と砂糖との価格差が縮小しており、同調製品を使うメリットがなくなってきていることから、一部を分離調達に切り替えたとしている。また、パンメーカーでは、ソルビトール調製品の価格が高騰してきたため、平成18年途中より小麦粉調製品に切り替え、平成19年も引き続いての切り替えを進めたため、ソルビトール調製品の仕入量が減少したとしている。

 今回の調査対象企業で使用しているソルビトール調製品の原産国はタイと韓国だけであり、19年度までの調査と変化はなかった。

 仕入価格の傾向は、19年度の調査ではソルビトール調製品の価格が落ち着き、横ばいという企業が多く見られ、なかには若干値下がりしている企業も見られたが、今回の調査では、ほとんどの企業で上昇した。これは、ソルビトール調製品の主原料である砂糖の価格が上昇傾向にあるためである。ソルビトール調製品の仕入価格も、各企業でおよそキログラム当たり5円から10円の幅で上昇した。

 それでも、砂糖を仕入れるよりもソルビトール調製品を仕入れた方が原料コストは安価で済むので、小売側から価格の引き下げを要請されているメーカーは、コスト削減のためソルビトール調製品を積極的に使用している。また、ソルビトール調製品を使用するアイテムを増やした企業も一部で見られた。

 小売業が相次いでNB、PB商品の値下げを表明している昨今、メーカーとしても安価に商品を製造するためには、砂糖より安価なソルビトール調製品の使用は必要不可欠となっており、今後もソルビトール調製品の仕入量は増加していくことが予測される。

②ココア調製品〜仕入価格は上昇〜

 平成20年のココア調製品の輸入量は、財務省の貿易統計によると、前年比1.7%減の8万5844トンであった。調査対象企業での年間仕入量は3万2846トンで、全輸入量の38.3%をカバーしている。

 ココア調製品を使用している企業は6社あり、チョコレート菓子や、ココアの粉末、ココア飲料に使用されている。使用理由としては原料のコスト削減を挙げており、特にココア調製品に含まれる砂糖の調達コストの削減のためとしている。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は3社、同量だった企業は1社、減少した企業は2社であった。増減の主な理由は、6社中5社が増減理由を「商品の売れ行き(生産量、販売量)によるもの」とした。あるメーカーでは、ココア調製品を使用した新商品を発売し、販売数量が増加したため、仕入量も増加したとしている。

 ココア調製品の原産国は韓国とシンガポールのみであり、19年度までの調査と変化はなかった。また、原産国を変更した企業も見られなかった。

 仕入価格の傾向は、19年度の調査ではやや上昇傾向にあったが、今年度はココア調製品の原料のほぼ90%を占める砂糖が日経相場で年間キログラム当たり12円上昇しており、ココア調製品もキログラム当たり10円前後上昇する結果となった。

資料:財務省「貿易統計」
注 :ソルビトール調製品は2001年に関税分類が改正されたため、2000年までの数量と単価は、「その他調製品」(2106.90―289)の数値、2001年以降の数量は、「ソルビトール調製品」(2106.90―510)と「その他」(2106.90―590、2101.20―246、2106.90―282、2106.10―219)の数値、2001年以降の単価は、「ソルビトール調製品」(2106.90―510)の数値である。
図1 ソルビトール調製品の輸入量および単価の推移

③ミルク調製品〜分離調達から再びミルク調製品へ切り替え〜

 平成20年のミルク調製品の輸入量は、財務省の貿易統計によると、前年比4.0%減の9万1046トンであった。調査対象企業での年間仕入量は3万5515トンで、全輸入量の39.0%をカバーしている。

 ミルク調製品を使用している企業は14社あり、冷菓、チョコレート、ビスケット、シュークリームなどの菓子類、缶コーヒー、ミルクココアなどの飲料、乳酸菌飲料、はっ酵乳、乳飲料などの乳製品に使用されていた。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は9社、減少した企業は5社であった。仕入量が増加した企業の多くが、国産の脱脂粉乳と砂糖などの分離調達から、ミルク調製品へと切り替えを進めたことを理由としている。19年度の調査では、国産の脱脂粉乳の在庫が過剰となって価格が下落したことなどを背景に、脱脂粉乳タイプのミルク調製品を分離調達に切り替える企業が相次いだが、20年度は逆に国産の脱脂粉乳が品薄となって価格が高騰し、コストメリットが得られなくなったことから、分離調達に切り替えた企業のほとんどが再びミルク調製品へ切り替えを行った。

 ミルク調製品の原産国は、シンガポールが最も多く、次いでオーストラリアであった。そのほか、ニュージーランド、韓国、オランダなども見られた。

 仕入価格の傾向は、19年度の調査ではほとんどの企業で仕入価格が上昇し、その上昇幅もキログラム当たり100円前後というかつてない上がり方を示したが、20年度の調査では、ほとんどの企業で仕入価格が下落した。これは、平成20年中に為替相場が円高に振れたこと、また、近年経済が急成長し乳製品の需要が拡大していた中国などで、平成20年9月末の世界同時不況により、乳製品の需要が縮小したことなどが主な理由である。

資料:財務省「貿易統計」
注 :数量および単価は、ミルク調製品(1901.90―219および2106.90―284)の数値である。
図2 ミルク調製品の輸入量および単価の推移

④加糖あん〜中国産の輸入停止が大きく影響も今後は需要回復〜

 平成20年の加糖あんの輸入量は、財務省の貿易統計によると、前年比21.2%減の7万3477トンであった。調査対象企業での年間仕入量は2万3449トンで、全輸入量の31.9%をカバーしている。

 加糖あんを使用している企業は12社あり、大福、おはぎ、どら焼き、あんまんなどの菓子類、アイスクリームなどの乳製品、ドーナツ、菓子パンなどのパン類に使用されていた。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は3社、減少は9社であった。平成20年は、1月末に発生した中国製冷凍ギョウザ事件の影響で、中国からの加糖あんの輸入が1〜3カ月間程度ストップした。仕入量が減少した企業は全て、この一時的な輸入停止が要因であり、これを機会に安全面などの観点から加糖あんの仕入を中止し、国産あんに切り替えたパンメーカーもあった。

 原産国は、調査対象企業の全てが中国から仕入れていた。中国からの加糖あんの輸入が一時的にストップした際には、調査対象企業は、中国以外の外国産の加糖あんではなく、国産あんを代替として仕入れていた。

 仕入価格の傾向は、一時的に中国産の輸入がストップした影響で、一時期高騰する事態となった。しかし、夏場ごろから中国産の輸入も徐々に再開し、国産あんよりも安価であったことから、一時的に国産あんを使用していた企業も再び加糖あんへと切り替えを行った。さらに、世界同時不況により減退した消費者の購買意欲を刺激するため、商品の値下げが行われていることから、原料コスト削減のために、加糖あんの需要は高まっており、今後は、平成19年の水準かそれ以上の仕入量を記録する可能性もある。

資料:財務省「貿易統計」
注 :数量および単価は、加糖あん(2005.51―190)の数値である。
図3 加糖あんの輸入量および単価の推移

⑤小麦粉調製品〜価格急騰を受け仕入量は減少〜

 平成20年の小麦粉調製品の輸入量は、財務省の貿易統計によると、前年比9.8%減の6万9925トンであった。調査対象企業での年間仕入量は1万8138トンで、全輸入量の25.9%をカバーしている。

 小麦粉調製品を使用しているのは8社で、クッキー、ビスケットなどの焼き菓子、シュークリームなどの菓子類、菓子パンをはじめとするパン類に使用されていた。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、減少した企業は6社であった。また、このほかに、19年度まで小麦粉調製品の仕入れがあった菓子メーカーの2社が、20年度から仕入れを中止している。中止した企業のうち1社は、小麦粉調製品に含まれる小麦粉の品質が同社商品に合わないことを理由とし、もう1社は、仕入価格が高騰し、コストメリットが得られなくなったため、仕入れを中止し、小麦粉と砂糖の分離調達に切り替えたとしている。平成20年は、日本国内でも小麦の政府売渡価格が上昇したことにより小麦粉の価格も高騰したが、それ以上に小麦粉調製品の価格が上昇したため、分離調達に切り替えた企業も他に見られた。

 原産国は、使用している8社全てが韓国から仕入れており、他にシンガポールからも仕入れている企業もあった。

 仕入価格の傾向は、平成19年度の調査では18年度に引き続き上昇傾向にあったが、20年度も、特に小麦粉の配合比率のウエイトが高い調製品を中心にさらに上昇する結果となった。これは、砂糖の価格上昇も関係しているが、砂糖よりも配合比率が高い小麦粉そのものの価格が上昇傾向にあったことが要因である。平成21年度は、4月に国内の小麦粉価格が値下がりしたため、小麦粉調製品の価格も下落傾向にあると見られている。そのため、コストメリットが得られれば小麦粉調製品の仕入を再開したり、増加したりする企業の意向が見られることから、今後の仕入量は、増加に転じることが予測される。

(4)代替甘味料

①果糖(フラクトース)〜仕入量は大きく減少〜

 果糖(フラクトース)は、調査対象企業のうち10社で使用されており、平成20年の仕入量は前年に比べて47.1%減少し、1,417トンであった。主に、甘味を出すために使用されているが、このほかに、アイスクリームの清涼感をアップするため、飲料、デザートにキレのある風味を出すため、浸透圧の高さなどの果糖の特徴を使用理由・目的としている企業も見られた。調査対象企業では、ゼリーやアイスクリームなどの菓子類、清涼飲料、乳酸菌飲料やヨーグルトなどの乳製品、総菜、珍味で使用している。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、同量だった企業は4社、減少した企業は5社となった。使用量の増減の理由は、主に「使用している商品の売れ行きによるもの」としている。使用量が増加した企業では、平成19年に果糖が高騰したことにより使用量を減らしたが、やはり風味の面から代替となる甘味料はないとし、平成20年に仕入量を再び以前の水準に戻したことによって前年比増となった。

 仕入価格の傾向は、19年度の調査では多くの企業で価格が上昇傾向にあったが、平成20年は落ち着きを取り戻している。

②アスパルテーム〜仕入量は大きく増加〜

 アスパルテームは、調査対象企業のうち3社で使用されており、平成20年の仕入量は前年に比べて9.7倍の23.2トンであった。甘味度が砂糖のおよそ200倍と高く、少量の使用で甘さが出せることから、ノンシュガーの製品への甘味付けや甘味料のコスト削減のために使用されている。また、他の甘味料と比べて風味が良いことを理由に使用している企業もあった。調査対象企業では、ガムやアイスクリームなどの菓子類、清涼飲料に使用している。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、同量だった企業が1社で、減少した企業は見られなかった。このうち菓子メーカーでは、ガムのリニューアルにアスパルテームを採用したため、仕入量は大幅に増加した。

 仕入価格の傾向は、平成19年から継続して上昇傾向にあり、そのため、スクラロースへ切り替えを行った企業もあった。しかしながら、仕入価格が下落している企業も一部では見られたことから、今後仕入価格は落ち着きを取り戻すものと見込まれる。

③マルチトール〜仕入価格、使用量ともに大きな変動なし〜

 マルチトールは、調査対象企業のうち5社で使用されており、平成20年の仕入量は前年に比べて1.9%減の6,553トンであった。甘味度が砂糖の70〜80%で後味にくどさがない甘味を持つことから、製品の甘味を抑えたり、冷涼感を出したりするなど風味の調整を目的に使用されている。また、ノンシュガーの製品への甘味付けや、エネルギー換算係数が1グラム当たり2キロカロリーであることから、カロリーオフのためにも使用されている。調査対象企業では、ガムや錠菓などの菓子類での使用が多く見られた。

 仕入量が前年に比べて増加した企業は1社、同量だった企業が2社、減少した企業が2社であった。使用量の増減の理由は、主に「使用している商品の売れ行きによるもの」としている。

 仕入価格の傾向は、平成19年に比べて大きな変動は見られなかった。

④スクラロース及びアセスルファムK(カリウム)〜カロリーオフ製品の好調により仕入量も増加〜

 スクラロースは、調査対象企業のうち9社で使用されており、平成20年の仕入量は前年に比べて14.4%増の32.26トンであった。また、アセスルファムKは5社で使用されており、平成20年の仕入量は前年に比べて65.3%増の32.9トンであった。スクラロースとアセスルファムKは併用されることが多く、調査対象企業でもアセスルファムKを使用している5社全てがスクラロースと併用している。

 これらの甘味料は、エネルギー換算係数が0キロカロリーで、スクラロースの甘味度は砂糖の約600倍、アセスルファムKの甘味度は砂糖の約200倍とともに非常に高く、ごく少量の使用で甘みを出すことができることから、ノンシュガーやカロリーオフ製品の甘味付けに使用されている。またその特徴を生かして、甘味料のコスト削減を使用理由にしている場合もある。スクラロースについては、風味が良好であると評価されており、製品の風味への影響も少ないため使用しやすいとされている。調査対象企業ではガムやゼリーなどの菓子類、缶コーヒーなどの飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルトなどの乳製品に使用されている。

 スクラロースは、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、同量だった企業は4社、減少した企業は3社となった。使用量の増減の理由は、主に「使用している商品の売れ行きによるもの」としている。菓子メーカーでは、リニューアルしたチューインガムにアセスルファムKと併用して採用したことを増加要因としている。

 アセスルファムKは、仕入量が前年に比べて増加した企業は2社、同量だった企業は2社、減少した企業は1社となった。使用量が増加した企業に清涼飲料メーカーがあるが、これは、スクラロースと併用した新商品の微糖、糖質ゼロを訴求したコーヒー飲料がヒットしたことによるものとなっている。

 スクラロース、アセスルファムKとも仕入価格の傾向は、平成19年度と比較して大きな変動はなく、安定している。このことは、メーカーにとっても使用量を増加させている一つの要因となっている。

表 製品分野における甘味料の種類別利用状況

まとめ

 平成19年の砂糖価格は、日経相場にも変動がなく安定して推移していたが、平成20年には上昇傾向を見せ、平成21年3月に若干下落したものの現在も高止まりの状況が続いている。世界最大の砂糖消費国であるインドや、砂糖制度の変革を行ったEUなどの動向、砂糖の生産に大きな影響を与えるバイオエタノール生産の状況は、砂糖価格、ひいては、砂糖をはじめとする甘味料の需要に影響を及ぼすと考えられる。このため、砂糖の供給を考える上では、これらの動向について今後も注視していく必要があると思われる。

 今回の調査では、各メーカーにおいて、コスト削減への意識がますます高くなってきていることが見て取れた。小売では、景気の悪化で冷え込んだ消費者の購買意欲を喚起するため、値下げを行っており、それに伴ってメーカーにもコスト削減が求められている状況である。調査の段階で既に、原料コスト削減のため、使用する甘味料の切り替えを行った企業も見られたが、今後もこういった動きは継続すると見込まれる。

 また、カロリーオフやカロリーゼロ系の商品については、一巡した感があるとの見方であるが、消費者に定着した向きもあり、このために使用されている代替甘味料についてもその使用量が大きく減少することはないと考えられる。

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