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海外最新お菓子事情

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


今月の視点
[2000年7月]
 平成12年2月9日(水)に千葉市文化センターにおいて、 当事業団が開催いたしました〈砂糖と食文化セミナー2000〉における藤野氏の講演内容をご紹介するものです。
 世界の朝食はデニッシュ、 ワッフル、 フレンチトーストなど比較的甘いものが多いとのこと。 朝食を摂らない子供が多くなった最近の日本では、 このような甘い朝食は朝の活力源として喜ばれるかもしれません。 また、 ニューヨークやパリのお菓子を紹介する中で、 甘いお菓子は文化であり、 心豊かに生きるため、 なくてはならないものとなっているとのことでした。 家族そろってデザートを楽しむ習慣は、 孤食化が進む現代日本では大切なことでしょう。

マキコフーズステュディオ主宰
料理研究家 藤野真紀子


砂糖はお守り  砂糖で明るく、 前向きに
朝の活力となる甘い朝食  砂糖摂取の様々なパターン
日本と外国の食習慣の違い  アメリカ、 フランスのお菓子
お菓子は文化  温度によって変化する砂糖
バレンタインデーにシャンパントリフ  おわりに


砂糖はお守り

 女優の川島なおみさんは、 先日、 ワインをフランスからいただいたそうです。 なおみさんは、 「体の中の血がワインだ」 とおっしゃっておりますが、 私は砂糖かしらなんて思っています。 小さい時からとにかくお菓子が好きでした。 小学校に上がり学校から帰ると、 必ずおやつがありました。 母がシュークリームですと4個も出してくれました。 和洋とも大好きで、 現在でも毎日ケーキやお菓子を食べています。
 以前、 砂糖のセミナーを聴きに行ったことがありました。 その時、 砂糖は体にとって決して悪いものでないということを再確認しました。 どんなものでもそうだと思います。 ビタミンAを摂るためには油脂は必要です。 全く摂らなくなれば様々な弊害が起こるでしょう。 ほうれん草は体に良いと言いますが、 食べすぎると石がたまる可能性があると言われています。 それから梅干しが良いと言っても、 たくさん食べてしまうとこれはまた弊害で、 極端に偏った食生活はやはり体にとっては良くありません。 すべての食材をバランス良く摂ることが体にとって必要なことだと思っております。
 私にとっては、 砂糖はひとつのお守りみたいなものです。 今日も来る前にショートケーキを1個食べてきました。 ブドウ糖は脳のエネルギー源になると言います。 上手にしゃべるためのお守りです。 ブドウ糖のもとは様々です。 御飯もそうです。 体の中でブドウ糖に分解され脳にエネルギーを補給します。 甘いものを食べると、 素早くブドウ糖を脳に補給できます。 私の場合、 口のすべりが良くなるほか、 最近エッセイを書いたり、 色々なインタビューを受けます。 その時に、 アメリカやフランスで経験したこと、 20歳以前のこと、 子供の頃のことなどを全て思い出してしゃべらなくてはいけません。 それをライターが全部テープにとって原稿を作ってくる。 それをまた自分で見直すという作業があります。 そんな時、 必ずアメ等を1個食べます。 そうすると頭がすっきりして、 色々なことが出てきます。
 この話は、 大学の先生が科学的データに基づいておっしゃったことです。 同じコンディションで、 ブドウ糖を与えた方とそうじゃない方が言葉を連想ゲームのように出していきます。 そうすると、 ブドウ糖を摂っている方は、 非常に言葉の数が多いそうです。
 このお話をお聞きして以来、 私はお守りのように、 たくさん言葉をしゃべらなければいけない時には、 砂糖をきちっと摂ることにしています。

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砂糖で明るく、 前向きに

 砂糖をたくさん摂るという人の性格があるそうです。 私はすぐ物を忘れます。 良い悪いは別として、 忘却というのは神が与えてくれた、 非常にありがたい恵みだなと思うことがあります。 どんなにいやなことがあっても、 時間がすべてを洗い流してしまいます。 うつ病の患者さんは、 非常に暗く人生を考えてしまいます。 砂糖や肉を食べることによって、脳内のセロトニンやドーパミンが増え、 精神が安定し、 性格が明るくなるそうです。
 非常におしゃべりな私の性格は、 油が潤滑油ではなく、 砂糖ではないかと思います。 脳に与える潤滑油として、 砂糖が良いということをつい最近お聞きして、 私の今までの食生活に一段と自信を持ちました。 お医者様の世話になってないということも、 砂糖のおかげかしらという気もしております。

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朝の活力となる甘い朝食

 世界の朝食を見てみますと、 案外甘いものが多いものです。 デニッシュというのがあります。 フランスではクロワッサンが有名ですが、 パン・オ・ショコラ (チョコレート) というものがあります。 クロワッサンの生地で中にチョコレートが入っているものです。 すごくおいしいです。 アメリカには、 ワッフル、 パンケーキ、 フレンチトーストなどがあります。 ご存知のように、 卵とミルクでパンをひたし、 バターでこんがり焼いて、 メープルシロップをたっぷりかけていただくものです。 はちみつをかけても良いですね。 このように朝甘いものを食べるという習慣がございます。
 日本ではちょっと塩味のきいたものをいただき、 その中に卵焼きや甘いお豆が入ってきます。 子供たちが朝御飯を食べないで学校へ行くというのは、 心配なことです。
 73歳になる私の母は元気で、 病気らしい病気をしたことがありません。 私は、 その母が作ってくれたホットケーキが大好きで、 朝や昼に食べました。 すごく思い出深い食べ物のひとつです。
 イタリアに行った時に、 タルト (フランスではトルタ、 丸くて平なお菓子) を朝いただきます。 お母さんが作ってくれるタルトは、 ジャムやちょっと甘いチーズが入っています。 非常にスイートな朝御飯です。 イタリアではコーヒーが非常に濃いので、 スイートなものを食べます。 大変おいしく、 朝の活力源になるかと思います。

砂糖摂取の様々なパターン

 最近ダイエットが流行し、 砂糖の摂取をご心配なさる方がいらっしゃいます。 私の場合は、 砂糖はダイエットとは無関係です。 むしろ、 御飯などを減らして、 その代わりお菓子はちゃんと3個食べる。 ダイエットしなければいけないという時に、 砂糖を減らすということは考えられない。 砂糖やお菓子は決して体にマイナスではないという信念を持っているからです。 多分、 私の場合は砂糖の摂取量がちょうど良いのだと思います。
 バランスを崩した大量の摂取はどんな食材でも体にはきっと良いことはないと思います。 私にとってお菓子を1日3個というのは、 10歳ぐらいから約40年続けて、 非常に体調が良いので、 多分良いのではないかと思います。
 私は、 朝から、 甘いものを食べることがあります。 特に子供の場合は、 脳が回転してくるので朝食として有用でしょう。 私の母は、 暇なものですから1日ラジオを聞いています。 育児相談などでは、 いかに脳に甘いものが大切かを聞きます。 すると突然、 朝御飯にホットケーキが復活したり、 「子供たちにきちんと朝御飯を食べさせなさいよ」。 時には 「甘いものもきちんと食べさせなさい」 と言っております。

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日本と外国の食習慣の違い

 ヨーロッパやアメリカではデザートを食べます。 これはなくてはならないものです。 日本では、 50代〜80代の方は、 御飯のあとに日本の伝統的な水菓子 (果物の類) をいただく習慣があります。 しかし、 ヨーロッパでは、 非常に甘いデザートです。 アイスクリーム、 ケーキ、 タルト (フルーツタルト)、 こってりしたチョコレートやバタークリームなどをしっかりといただきます。 男女にかかわらずデザートのない食事は成り立たない。 多分日本では、 女性は甘いものが大好きで、 御飯の後にも入るところが違うと言って食べてしまう。 しかし、 男の人は、 食後になかなか甘いものを食べようとしません。
 日本と外国には、 食生活の違いがあったと思います。 日本でお正月を迎えた時になるほどと思いました。 お正月に煮物をいたします。 お正月料理には、 砂糖をたくさん使います。 黒豆や煮しめなど、 砂糖の量が大変多く使われます。 あえて甘いお菓子を食べなくても、 十分満足できます。
 ところがイタリア料理では、 パスタ、 例えば、 にんにくの入ったペペロンチーノを食べます。 パスタには、 砂糖が含まれていない場合が多いです。 食後にどうしても糖分が欲しくなります。 これは、 人間の自然の欲求ではないかという気がします。 ヨーロッパやアメリカでは、 必ずデザートが出てきます。 これを楽しみに食事をし、 そして最後の大きな喜びとしてデザートがあります。

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アメリカ、 フランスのお菓子

― 心地良い食感を生む砂糖 ―
 昨年11月〜12月にかけて、 ニューヨークに約1カ月滞在しました。 ニューヨークのお菓子 (アメリカン・ベーキング) を勉強するため、 CIA (キャルナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ) というアメリカで最大の料理学校、 世界で料理界のハーバードと言われている学校に行きました。 そこで、 色々なお菓子を作りました。 アメリカにはサンクスギビング (感謝祭) というお祭りがあります。 アメリカに入ってきたイギリス人たちが、 新大陸を開拓していくころ、 インディアンたちと様々な摩擦がおきました。 しかし、 同時にトウモロコシの粉だとか、 色々なおいしい食べ物を教えてもらいました。 これらに感謝するための記念日です。 感謝祭はアメリカでは最大のイベントです。 私たちのお正月に近いかもしれません。 日本とは違って、 ニューヨークでは民族や宗教の違いから、 行事も変わってまいります。 中国人のお正月、 クリスマスでもユダヤ人のクリスマスとラテン系のクリスマスは違ってきます。 しかし、 このサンクスギビングだけは民族を越えて大々的に催されます。 その際、 何を食べるかというと、 かぼちゃです。 パンプキンチーズケーキやパンプキンクレームプリュレなどです。 プリンやクレームプリュレは、 卵、 生クリーム、 牛乳、 砂糖やバニラを入れて焼きます。 プリンの中にかぼちゃのペーストを入れます。
 私たち日本人も、 野菜や果物を使ったお菓子がとても好きですが、 その点でアメリカ人と共通しています。 フランス人は、 例えばにんじんのケーキやタルトには違和感を感じます。 私はリッツ・エスコフィエというフランスの料理学校に行っておりましたが、 最後の試験でシェフ達や先生方の前でお菓子やお料理を作ります。 ある日本人の女性が、 キャロッツタルト (キャロットのパイ) を作りました。 ニンジンをグラッセして、 甘くしたものを上に載せたものです。 フランス人のシェフ達は食べてみるまで、 これは何だろうという顔をしておりました。 試食をすると、 「うん、 これはおいしい。 野菜を使ったお菓子があるなんて素晴らしいね」 と言われ、 日本への評価が高まりました。
ピーナッツバタークッキー
 ニューヨークの CIA で習ったお菓子の中に、 ピーナツバターのクッキーがあります(レシピ参照)。 ただし、 食材が各国ごとに違い、 砂糖、 粉やバターももちろん違います。 アメリカの場合、 日本の薄力粉よりもグルテンが少なく、 お菓子の出来上がりに影響しますので、 CIA で習ったレシピをそのまま使うわけにはいきません。 食感が変わってしまいます。 そのため、 多少工夫をしています。 日本ではフランスのお菓子はたくさん出回っていますので、 皆様、 頭の中にイメージが沸いてくると思います。 アメリカのお菓子を一言で言うと、 非常に家庭的で素朴なお菓子と言えるのではないでしょうか。 例えば、 ピーナツバタークッキーです。 ピーナツは非常に体に良いものです。 ショートニングをたくさん使うことによって食感を柔らかくしています。 砂糖はそのままお使い下さって構いませんが、 粉はコーンスターチを入れております。 日本の粉はグルテンが若干多い薄力粉ですから、 コーンスターチを入れ、 グルテンを少し和らげ軽い食感を作ります。 お菓子をお作りになる方は是非お試し下さい。 自信をもっておすすめします。
 また、 アメリカのお菓子には、 ブラウニというものもあります。 日本で食べているブラウニとアメリカのブラウニは少々違います。 甘さや食感の違いだと思いますが、 日本のブラウニはもう少し砂糖を増やすべきだと思っています。 アメリカではチュウイ・アンド・クランチという言い方をします。 チュウイというのは、 少しねっとりしたということです。 クランチというのはカリカリしているという意味です。 スコーンもそうですが、 回りがカリカリして中がふわっとしています。 これを出すためには砂糖が必需品です。
 お菓子を作る時には、 砂糖が使われます。 砂糖は果糖とブドウ糖がくっついたものだそうです。 果糖とブドウ糖を別々に使わず、 砂糖という形で使います。 果糖とブドウ糖だけを使いますと、 それぞれ熱の変化などによって味に影響が出ます。 例えば、 果糖だけを使いますと、 熱が上がるに従って甘みが薄らいでしまいます。 果糖だけを使って、 フルーツグラタンなどを作ると、 冷めている時は甘いけれども、 温めると甘みが減ってしまいます。 ブドウ糖だけを使いますと焦げてしまいます。 イギリスのフルーツケーキなどは、 ミンスミート (りんごなどに砂糖などを混ぜラム酒に漬けたもの) を粉の中に入れ、 じっくりと2時間くらい焼きます。 ブドウ糖だけでお菓子を焼きますとケーキが真っ黒になってしまいます。 その点、 砂糖を使用すれば、 焦げたり、 甘さが変わったりということはしません。 また、 しっとり感を出すために砂糖を使います。 水分を抱え込む性質は砂糖の特色のひとつです。 日本の洋菓子が、 ちょっと物足りないのは、 しっとり感が足りないためではないかと思います。 砂糖の使い方が若干少ないのだと思います。 砂糖をきちんと入れることによって、 このしっとり感が出てまいります。 砂糖を減らしすぎるとブラウニではなくなってしまいます。
ブラウニ  CIA で教わったブラウニの配合は、 チョコレート (カカオマスという全く甘さのないビターチョコ) 260g、 バター250g、 砂糖500g、 粉が160gと卵が入ります。 この配合で作りますと、 非常にチュウイ感というのが出てまいります。 アメリカそのものの味という感じがします。 日本人の舌はかなり繊細で、 例えば、 和食の世界 (懐石、 京料理) では、 だしの味を重んじます。 アメリカ人には、 お吸い物などの微妙な味は分かりにくく、 はっきりした味が好まれます。 日本人の舌が繊細であるため、 ある程度の配合の調整をし、 砂糖を500gから350gぐらいに減らしています。 これくらいがチュウイ・アンド・クランチを損なわない最低限の量でしょう。
 日本人の場合、 砂糖を減らし過ぎ、 「うちの甘くないのよ」 とよくおっしゃいます。 私はおいしさの1つの要素に甘みというものがあると思います。 余りストイックなお菓子は、 夢が消えてしまいます。 夢のあるお菓子を食べたい、 作りたいのならば、 砂糖はあまり減らし過ぎないことです。
 アメリカには色々なマフィンがございます。 マフィンを作る時、 私は上白糖を使います。 グラニュー糖、 上白糖、 ブラウンシュガー、 液糖、 コーンシロップ、 はちみつなど様々な甘味料があります。 それぞれ自分でどういう食感を出したいかによって、 砂糖を換えます。 上白糖を使うことによって、 湿気をうんと吸収し、 翌日パサパサになってしまうことがありません。 しっかりと水分を抱え込む力がないとボソボソになってしまいます。 ある一定量の砂糖を加え、 かつ、 私の場合、 上白糖を使います。 グラニュー糖よりも上白糖の方が、 しっとり感のあるお菓子が作れます。
 ジェノアーズというスポンジケーキを作る際、 どうしてもうまくいかないとか、 パサパサになってしまうのは、 極端に砂糖を減らしている場合が多いものです。 きちんと砂糖を入れることによって、 しっとり感が生まれるのです。
 おいしいお菓子を作るには、 2つのポイントがあります。 1つ目は、 レシピそのもの (配合) です。 砂糖が何g、 粉が何g、 バターが何g、 卵がどの位かです。 2つ目は、 作り方、 技術です。 そして、 どういう食感を目指すかです。 パイですとパリパリとした食感と味です。 この2つが組み合わさっておいしいと感じます。 きめの細かさとしっとり感を目指すのであれば、 グラニュー糖ではなく上白糖を使います。 甘さを少し減らそうかなという場合、 白い砂糖とブラウンシュガーを半分ずつ入れます。 すると甘さが薄らいできます。
 フランスにはマドレーヌというお菓子があります。 とても簡単なお菓子です。 混ぜるだけですので、 是非1度お試し下さい。 私はリッツ・エスコフィエという学校でこのマドレーヌを習いました。 その時に作ったのがはちみつ入りのマドレーヌです。 マドレーヌがパサパサしないために、 はちみつを加えます。 グラニュー糖や上白糖をお使いになっても良いですが、 大さじ1杯ぐらいのはちみつを加えると、 しっとり感が出てくるということです。 メープルシロップやメープルシュガーというものもあります。 色々な砂糖を自分が求める味、 食感に合わせ、 砂糖を換えていくというのは、 非常に楽しいことだと思います。
ピーナッツバタークッキーの作り方


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お菓子は文化

 お菓子好きが高じ、 こういう仕事をすることになりましたが、 娘には 「これは天職ね」 と言われております。 わが家は23歳と25歳の娘と主人の4人家族です。 ウイークエンドに家族全員で御飯を食べる時は、 とても楽しいひと時です。 御飯やお菓子を食べることは、 お腹を満たし、 栄養素を摂るだけではありません。 みんながひとつの夢を持つことができる、 気持ちが温まる、 とても大事なことだと思っております。 ひとつの文化だと思っております。 お菓子を食べなくても生きていけますし、 死ぬこともありません。 しかし、 戦時中お菓子や砂糖がなかった時代、 人は飢えました。 甘いものが無性に食べたくなりました。 甘いものを食べると精神的に落ち着くことがありました。 とても気持ちを暖かくするひとつの文化です。 音楽や芸術、 絵、 お芝居やダンスも、 なくても人は生きていけます。 しかし、 絶対に必要なものであると思います。 それが文化だと思います。 お菓子は文化であると思います。
 子供たちが生まれてから、 女の子だったということもあり、 食卓を綺麗にして食べたいという思いがあったものですから、 毎日手作りのお菓子を作ってまいりました。 まず御飯が終わると、 全部片づけ、 おいしいお菓子が出てきます。 家族が全員そろった時はデザートまでがひとくくりになっています。 多分、 子供達が家庭をもった時にその習慣が続くのではないかなと思っております。

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温度によって変化する砂糖

― キャラメルソース―
ペアタタン フランスに住んでいた時にとても好きだったのが、 タルトタタンです。 日本では、 1年中色々なお菓子があります。 モンブランやアップルパイも1年中あります。 ところがフランスは、 タルトタタンは10月から、 クリのお菓子も10月からしかないという店があります。 季節感があり、 保守的で良いところでもあるなと思います。 10月以降の寒い時にあるのが、 タルトタタンです。 砂糖をしっかり煮詰めて作るキャラメルを使います。 キャラメルでりんごをしっかりと煮て、 上にタルトを置いて焼くというものです。 キャラメルの甘さというのは、 非常にマイルドで、 若干の苦みがあり、 とても食べやすいです。 このタルトタタンは、 私と子供達にとってフランスへのノスタルジーを感じ、 好きなもののひとつです。
 タルトタタンというのは、 もともと失敗から生まれたお菓子です。 本当はタルトは下にタルトがあって、 その中にりんごを入れるというものです。 それを間違えて、 先にりんごを下にしてしまいました。 仕方なしに上にタルトを置き、 ひっくり返して生まれたのがタルトタタンです。 タタン姉妹が失敗の結果生んだ、 素晴らしくおいしいケーキです。 キャラメルは、 多分若いお嬢さん達は非常にお好きかと思いますが、 お菓子の中では色々なところに使われております。 同じ砂糖を煮詰めることによって味が変化し、 大変においしいものとなります。
 アメリカでは、 アップルパイが非常に有名です。 温かいアップルパイにアイスクリーム、 そこに最近はキャラメルソースです。 どこのレストランに行っても、 キャラメルソースがかかっております。

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バレンタインデーにシャンパントリフ

 もうひとつ、 ニューヨークで見たちょっとおしゃれなチョコレートの話をします。
 チョコレートも非常にスイートなものです。 アメリカでは、 バレンタインデーには、 女の子から男の子へということではなくて、 お世話になった色々な人、 お母さん、 学校の先生、 ファミリードクターなどに、 いつもありがとうという感謝を込めて、 アイ・ラブ・ユーなどのカードを添えてチョコレートをあげたりします。
 先日、 ニューヨークに行きました時に、 シャンパントリフというのを見ました。 スイスにトイシャールというお店があります。 チョコレート屋さんです。 そこでは、 シャンパントリフが有名で、 ザガット (フランスのミシュランに相当する) でチョコレート部門No.1になったのがこのトイシャールのシャンパントリフです。 シャンパントリフのシャンパンはドンペリニオン (ドンペリ) です。 非常に高価なシャンパンです。 これを使ったトリフは、 ガナッシュというチョコレート、 生クリーム、 バター、 粉砂糖を入れ、 その中にドンペリを入れたものでした。
 バレンタインデーにドンペリの入ったトリフを贈るなんていうのは、 なかなかおしゃれではないかなと思います。 おうちで手作りのドンペリ入りのチョコレートを作り、 彼を招いて、 残ったシャンパンで2人で食事をし、 スイートなデザートをいただいた後に、 コーヒーとシャンパンで締めくくるという、 そんなバレンタインデーもちょっとすてきじゃないかなと思います。

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おわりに

 お菓子をいっぱい食べてきて、 これからも絶対食べ続けようとかたく思っておりますが、 太るか太らないかということが気になります。 一般的には歳のせいで、 少しずつやはり太ります。 エステに行った際に、 どうやったら太らずにいられるかを聞きました。 糖分は消化吸収が早く、 エネルギーとなるガソリンみたいなものです。 ですから、 とにかく運動をするということだそうです。 ある程度の運動をきちんとして、 そしてバランスのとれた食生活をすることが重要です。 野菜などから必要な栄養素をしっかり摂り、 バランスのとれた食事をする。 こうした生活をしていれば、 本当に精神的に豊かになれます。 食生活の文化とも言える砂糖をきちんと摂るためには、 そういった規則正しい、 良い生活を送り、 ともに健康に健やかに過ごしましょう。

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「今月の視点」 
2000年7月 
海外最新お菓子事情
  マキコフーズステュディオ主宰 料理研究家 藤野真紀子
島を飾るさとうきび
  九州農業試験場作物開発部 さとうきび育種研究室長 杉本 明

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