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朝食と砂糖

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


今月の視点
[2000年12月]
 日本人における朝食の欠食率は時代とともに多くなっています。特に20〜30歳代に多く、育ち盛りの子供達にも及んでいることは将来に不安を残すこととなります。
 1日の活動の源となる朝食の重要性と朝食における砂糖の効用について執筆していただきました。

女子栄養大学 助教授 三浦 理代


朝食の重要性
朝食がなぜ、必要なのか
甘い(砂糖を使った)朝食の効用
砂糖を上手に利用しましょう


朝食の重要性

 今や日本は飽食の時代、栄養状態も良くなり世界一の長寿国になりました。しかし、飽食ゆえの栄養の摂り過ぎや偏食などによる長期間の食生活の乱れが生活習慣病を増やしつつあることも事実です。特に若者の食生活は多くの栄養の専門家から「間違いだらけ」と指摘されています。朝食抜き、間違ったダイエットによる拒食症や大食症など目に余るものがあります。朝食の重要性をもっと若者たちに認識させる必要性があります。
 国民栄養調査から、朝食の欠食率の年次推移をみると、年とともに増加しつつあります(図1)。特に男女とも20歳代で最も欠食率が高くなっています。

図1 朝食欠食率の年次推移
朝食欠食率の年次推移グラフ
●資料:厚生省「国民栄養調査」●

 朝食の欠食により、子供達が訴える症状には、いらいらする、体がだるい、集中力がない、飽きっぽい、じっと座っていられない、生あくびが出るなどがあります。さらにはっきりした疾患がないのにただ漠然と気分が悪いという訴え、いわゆる不定愁訴が見られます。これは動悸、息切れ、発汗、めまい、頭痛などを伴います。不定愁訴は今や年齢には関係なく子供達にまで現れ、これらが「キレる」子供の原因の一部にもなっているのではないかと心配されています。また、中学・高校の女生徒には朝食の欠食によると考えられる貧血も目立ちます。
 朝食はサラリーマンやOLなどの大人にとっても重要です。朝食を欠食するといらいらし頭が活発に働かず、午前の仕事の能率が非常に悪くなります。朝食の欠食が続くと、将来健康にも影響を及ぼすことは明らかです。

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朝食がなぜ、必要なのか

1.朝食により、1日のリズムをつくる。
 朝、太陽が昇ると目が覚め、顔を洗い、朝食をとり、学校や会社に出かける。昼になると昼食をとり、1日の勉学や仕事を終え、夕方帰宅し、夕食をとり、くつろいで寝るという1日の生活のリズムがあります。大脳の視床下部に生物時計があり、刻々と時を刻んでいるのです。朝食は1日の活動を始める当たり、リズムを作り出すのにぜひとも必要なものです。朝食を抜くと、このリズムが崩れてきます。リズムの崩れはやがて体調の崩れにつながり、健康を損ねてしまうのです。
 何といっても、健康が一番。心身の健康は頭の働きを良くし、体の動きも活発にします。1日3食きちんと正しくとることが大切です。
2.丈夫な体をつくるために朝食は欠かせない。
 成長期にある子供は体が小さくとも、たくさんの栄養素を必要とします。1日の活動のためと体をつくるために必要なのです。朝食を抜き、昼食と夕食をとっても、栄養所要量(1日に必要な栄養素量)を満たすことはできません。3食しっかりとって、初めて必要な栄養素量が充足されるのです。
 大人でも同じ。1食抜くと栄養所要量を満たすのが難しくなります。長期にわたる欠食はやがて体調の崩れにつながります。
3.朝食は脳のエネルギーを補給する。
 脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源にしています。しかも脳はブドウ糖を大量に消費します。不思議なことに、寝ているときも起きているときも脳のブドウ糖の消費量は同じで、その量は1時間当たり5g消費します。夕食でとったブドウ糖は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられますが、その量には限界があり、60gしか蓄えられません。すると60/5=12時間ということになり、たった一晩でせっかく蓄えた脳のエネルギーはかなり減った状態になってしまうのです。目が覚めた時には脳のエネルギーは不足しています。そこで朝食により脳のエネルギーであるブドウ糖の補給をする必要が生じてくるのです。
 朝食を抜くと、血液中のブドウ糖が不足、いわゆる低血糖の状態に陥っています。これは体にとっては一種のストレス状態なのです。いらいらはもちろん、頭を働かせるエネルギーがありませんので、勉強に身が入らない、集中力がないなどが起こっても当たり前のことです。朝食を抜くと成績が下がるという大学生の成績と朝食の関係を調べたデーターもあります。朝食は脳に影響を与えることが証明されています。脳を燃料不足にしないためにも朝食は必要なのです。
4.朝食は体温を上昇させる。
 食事をとると体が温まります。とった栄養素が代謝されるのに熱を発生するからです。体温の上昇とともに脳の温度もわずかに上昇、脳のウォームアップができるのです。脳を活性化し、「やる気」を起こさせてくれます。脳を活発に働かせるためには朝食は欠かせないことです。
 以上のように3食規則正しくとることが健康を維持・増進させるために必要なことです。

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甘い(砂糖を使った)朝食の効用

 朝一番に必要とされる栄養素はブドウ糖、つまり糖質、広くは炭水化物です。その他の栄養素ではタンパク質、ビタミン、ミネラルなどです。昼間の活動で消費される栄養素を朝に先取りしておくことが大切です。
 まず、即効性のエネルギー源である糖質をとりましょう。具体的にはごはん、パン、うどんなどです。これらにはでんぷんが含まれています。でんぷんは消化されブドウ糖になります。またコーヒーやミルクに入れる砂糖の成分である、しょ糖も糖質の仲間。消化によりブドウ糖と果糖になります。つまり、砂糖もブドウ糖の供給源になります。脳のエネルギーとしては大切な助っ人というわけです。しかも、砂糖はごはんやパンなどに比べ消化吸収が速いのが特徴。即効性のエネルギー源です。忙しい朝、朝食の時間がどうしてもとれない方にとっては砂糖は頼りになる食べ物です。コーヒーやミルクに砂糖を入れて飲みましょう。脳の働きを活発にするエネルギーをいち早く補うことができます。
 余裕をもって朝食をとるには早起きすることです。せめて朝食の30分前に起床しましょう。それは理由があるからです。寝ている時には副交感神経が働き、体を休ませるようにしています。目が覚めると交感神経が働き出します。心臓を活発に動かし活動への準備が整い、食欲が出てくるのです。副交感神経から交感神経に切り替わるのに最低30分はかかるので、起きたばかりは誰でも食欲がないのです。
 ところで、砂糖をはじめ糖質がエネルギーになるためには、ビタミンB1が必要不可欠です。砂糖やごはん、パン、うどんなどの糖質にはビタミンB1がわずかしか含まれていません。これらの糖質をエネルギーとして完全燃焼させるためにはビタミンB1を他の食品から補う必要があります。ビタミンB1を多く含む食品は豚肉、うなぎ、豆類、胚芽米、胚芽パン、ごま、ピーナツなどです。これらを利用したメニューをお勧めします。
 朝食がごはんの場合、胚芽米、うなぎ入りの卵焼き、ほうれん草のごま和え
 パン食の場合、パンにピーナッツクリーム、ジャム等を塗る、バナナミルク、ジュースフルーツ入りシリアル。
 なお、ケーキや甘い飲み物に入っている砂糖の分量は約20gで80キロカロリーです。これは茶碗にかるく半分のごはんのエネルギーに相当します。砂糖は甘さがあり気分を和らげ、満足感を与え、1日の元気の源にもなるが、摂り過ぎは肥満のもとにもなりますので注意が必要です。

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砂糖を上手に利用しましょう

 疲れたときには決まって甘いものが欲しくなります。キャンディ、和菓子、ケーキ、チョコレート、アイスクリームであったりします。人々が集まるところには必ず甘い菓子類が登場してきます。甘い菓子類はその場の雰囲気を盛り上げ、楽しく会話がはずみます。甘いものはコミュニケーションの場作りに欠かせません。さらに甘いものは人類が昔から求め好んできたものです。甘さは心を和ませ、やすらぎと満足感を与えてくれます。特に子供は甘いものが大好きです。泣きじゃくっていた赤ちゃんも甘いものを与えると泣き止みます。
 甘いものの代表である砂糖は調味料としても欠かせません。煮物に砂糖を入れ、味にまろみを付けたり、こくを出したりします。料理をおいしくしてくれるのです。クッキー、ビスケット、ホットケーキ、パウンドケーキなどの菓子作りには砂糖は欠かせません。甘さをはじめ、おいしそうな色を付けてくれるのです。さらに果物の砂糖漬け、佃煮などは砂糖を用いて保存性を高めたものです。このように砂糖は私たちの食生活を豊かにしてくれます。農林水産省の資料によると、日本人1人当たりの砂糖の年間消費量が70年代後半より減少しつつあります。その理由は1つには食生活の大きな様変わりが挙げられます。家庭で調理をしなくなったというわけです。煮物のように手のかかる時間を要する料理は好まれない傾向にあります。特に若者には好まれません。それらは家庭で作らず、第三者つまり、出来合いのものに委ねる傾向が強くなりました。現に調査からも食卓に登場する食品の6割は加工食品に依存し、調理済食品の利用頻度も上昇しつつあるという結果が得られています。手軽に料理できるメニューに走りがちであるのが実態です。
 このような便利な食生活に依存していると長い間にビタミン、ミネラルなど微量栄養素の不足が起こってきます。今の子供達の健康問題になっている体調がすぐれない、何となく体がだるいなどの症状もこれらの影響かも知れません。
 外食や加工食品にあまり依存しない、素材から調理し砂糖を使用するような手作りの食生活では、新鮮な旬の材料を使用し、調理することにより、使わなくて済む添加物をとることもなく、必要な栄養素もバランスよく摂れ、かえって健康的な食生活といえるでしょう。家族そろって母親の愛情のこもった手作りの料理で食卓を囲むことにより、体に必要な栄養をはじめ、心の栄養を同時に摂ることができ、心身の健康の維持・増進ができることになるのです。
 「よい食事、バランスのとれた食事」は健康な心と体をつくります。心身が健康になると頭の働きも良くなり、体も機敏に動くようになります。ところで、食べ物の善し悪しはすぐに結果がでません。薬と大きく異なる点です。何年、何十年と先になって結果が出されます。それゆえに日々の食事が大切になってきます。きちんと規則正しく栄養のバランスをとりながら食べることが健康で元気に長生きできる秘訣です。そのためにはもっと手作り料理を取り入れるように心がけることが大切です。

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「今月の視点」 
2000年12月 
日本人と砂糖の交流史
  食物史家 平野雅章
朝食と砂糖
  女子栄養大学 助教授 三浦理代

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