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スポーツ選手の食事法

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2001年6月]
 スポーツ選手にとって最も重要なエネルギー源は糖質です。オリンピックのマラソン種目でメダルを獲得した有森裕子選手や高橋尚子選手の食事サポートの話を交えながら、持久力系運動において大切な、貯蔵グリコーゲン量を高めるための方法や糖質を多く摂るための食事について紹介していただきました。

管理栄養士 金子 ひろみ


糖質の貯蔵量   運動強度と持久性
スポーツ選手の適切なエネルギー補給 グリコーゲンローディング法
マラソン選手の食事 試合当日の食事
スポーツと飲料水 トレーニングや試合後のグリコーゲン再補充



 運動にはさまざまな形式があり、種目によっても運動様式やエネルギー消費の経路が違います。運動を行うためには、消費するエネルギー分を確保するために、食物を十分に取らなければいけません。糖質・脂質・たんぱく質の三大栄養素のうち、エネルギー源として燃えるのは主に糖質と脂質です。糖質は肝臓、および筋肉中にグリコーゲンとして貯蔵されていて、グリコーゲンの基本単位であるグルコース (ブドウ糖) から血液中に血中グルコース (血糖) として溶け込んでいます。
 グリコーゲンは、人では肝臓に6〜10%、筋肉では0.3〜0.86%ぐらい蓄積され、通常成人男子では90〜150gが肝臓に肝グリコーゲンとして貯蔵されていて、100〜400gのグリコーゲンが筋肉内に存在し、また血中グルコースとしては、わずかに15〜20gが存在するだけとなります。つまり、蓄積されている糖質によるエネルギー源はわずかに1,500〜2,000kcalを備えているにすぎません。
 これらのグルコースとグリコーゲンの運動時における利用は、まず最初に筋肉を収縮させたときに筋グリコーゲンが利用されます。そして筋グリコーゲンが枯渇すると、血中グルコースがエネルギー源として細胞内へ取り込まれるのですが、この血中グルコースは、肝臓で貯蔵されていたグリコーゲンが分解されて血液中に放出されたものが主体となります。
 空腹時の血中グルコースは、60〜110mg/dl程度にほぼ一定の値を示しています。そして摂取した食事内容や量によって、または筋肉や脂肪組織などの細胞がグルコースを取り込む速度などによって血糖値は変化します。食事をとらないでいると、血糖値を維持するために、肝臓のグリコーゲンが分解され血糖値が維持されますが、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは長くてもせいぜい一夜の絶食を満たす量にしか過ぎません。
 グルコースは運動中における最も重要なエネルギー源でありますが、そのポイントとして以下の4つが考えられます。
(1) エネルギー源は糖質、脂質、たんぱく質が挙げられますが、脳細胞にとって唯一のエネルギー源は血中グルコースのみです。
(2) 運動中には筋肉へのグルコースの取り込みが高まりますが、一方で血糖値は一定に保たれています。これは、脳細胞へのエネルギー供給が怠らないようにするためです。
(3) このため、肝臓のグリコーゲンが分解されて血中グルコースとして、さまざまな組織に供給されます。
(4) 一方、グリコーゲンは定期的な食事により供給されることが必要で、糖質から供給されるもので、たんぱく質や脂質を摂取しても供給されません。
 こうしたことから、糖質摂取の不足は肝臓や筋肉中のグリコーゲンの不足につながり、運動の持続時間を制限しかねません。まして、運動が長時間に及ぶと、エネルギー源であるグリコーゲンの貯蔵量が少なくなるため、運動の継続時間が短くなります。つまり、エネルギー源がなくなると、疲労困憊の状態になり、運動が続けられなくなります。すなわち、肝グリコーゲンや筋グリコーゲンが減少すると、低血糖となって中枢性神経機能が障害され、めまいや筋力低下など、疲労度が急に増し、こうした症状に対して糖質を摂取すると回復することから、糖質摂取の必要性は明らかとなっています。




 運動の方法によって、栄養素のエネルギー源になる経路は違ってきます。糖質は有酸素系運動の場合ではもちろんのこと、運動強度が高くて無酸素系運動の場合でもエネルギー源として利用されるのに対し、脂質は運動強度が低く、有酸素の状態でないとエネルギー源として利用されません。100m走などの短時間で強度が高く呼吸をほとんど行わない無酸素系の運動の場合、糖質が主なエネルギー源となります。逆に強度が低い運動を長時間行う場合は、糖質と脂質の両方がエネルギー源となります。エネルギー源として、糖質と脂質のどちらに、どの程度依存するかは、最大運動の持続時間によって左右されます。
 例えば、最大運動の持続時間が2分しか続かない中程度の運動の場合は、有酸素系と無酸素系によるエネルギーの供給率がそれぞれ50%ずつになります。これが、30分持続できる運動の場合は無酸素系が5%で、有酸素系が95%になります。さらに、2時間にもおよぶ運動は、ほとんどが有酸素系で、無酸素系はわずかに1%となります。これらの運動にはウォーキング、ランニング、水泳、サッカー、バレーボール、ゴルフなど、あらゆる運動が入り、道具を使うもの、使わないものとさまざまです。
 糖質は、有酸素系、無酸素系のいずれの運動にしても、エネルギー源として使われ、しかも脂質に比べて体の中に貯蔵されている量が限られていることから、いかに貯蔵グリコーゲン量を高めておくかが、運動の継続時間を長くする鍵となるのです。
 前述のように、食事として摂取された糖質は、消化吸収されて一部は血中グルコースとして血液中に、また一部は肝臓と筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。体内に蓄えられたグリコーゲンは、呼吸によって吸い込まれた酸素によって燃やされ、二酸化炭素と水に分解されます (図1)。

図1 異なる持続時間での最大運動による有酸素系エネルギーと
無酸素系エネルギーの相対的貢献率
グラフ 1.5分から2分の最大運動では、50%の有酸素系エネルギーと50%の無酸素系エネルギーを必要とする (Astrand. P. O. and Rodahl. K. : Textbook of Work Physiology. NewYork. McGraw-Hill Book Company, 1997)

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 マラソン競技などの1時間以上継続する運動の場合は、運動前に肝臓や筋肉中のグリコーゲン貯蔵量を高めておくことによって、スタミナを強化することができます。マラソンなどのトレーニングで消費されるエネルギーは1日3,000kcalあまりにも達するので、トレーニング中のエネルギーが不足しないように供給されなければいけません。特にシドニーオリンピックで金メダルを獲得した高橋尚子選手の場合は、1日に70km以上も走りこんだり、標高3,500mの超高地で24kmもの登り坂を走り続けるなどの過酷なトレーニングをこなしました。世界の頂点に立つためには、想像を絶するようなトレーニングが続くので、消費エネルギーは3,000kcalにはとどまらないでしょう。
 また、マラソンの他に、遠泳、長距離自転車競技などの持久的な運動でも同じことがいえます。脂肪の燃焼には糖質が必要であり、肝臓や筋肉中のグリコーゲンが枯渇すると、脂肪が燃焼されずに運動が継続できなくなります。そのため、トレーニングの前には、十分にグリコーゲンを蓄える必要があります。
 日本人にとっての糖質補給は、やはり主食のご飯が基本となるでしょう。マラソンや長距離種目の選手は、心肺機能や筋持久力、血液性状を改善させて、持久能力を向上させるために海外の高地合宿を頻繁に行います。その場合、糖質補給に欠かせないお米の購入と炊飯器の確保を第一に考えます。近年アメリカでは、おいしいカルフォルニア米が手に入るので問題はありませんが、発展途上国にいく場合は準備が必要です。女子マラソンにおいて、アトランタオリンピックの銅メダリストである有森裕子選手とシドニーオリンピックの金メダリストである高橋尚子選手のオリンピック強化合宿の食事サポートを行い、すべての食事を作りましたが、アメリカ・ボルダーやアトランタ、またオーストラリア・シドニーとも、お米の購入に苦労はありませんでした。しかし、スポーツ選手の筋疲労の回復促進に効果があるビタミンB1を確実に補給するため、ビタミンB1強化米を日本から持参しました。ビタミンB1は水溶性なので、トレーニングでの大量の発汗により、スポーツ選手にとっては不足になりがちです。ビタミンB1は、糖質代謝に関係しているので、特にスポーツ選手は多めに摂取しておく必要があるでしょう。強化米の他に豚肉やハム、うなぎをメニューに組み込み、さらにビタミンB1の吸収をあげるアリシンが多く含まれているニンニクやネギをたっぷり使うなどの工夫もしました。




 肝臓や筋肉中のグリコーゲンをトレーニングで一度枯渇させてから再び蓄積すると、グリコーゲンの量はさらに増加することが知られています。普段の食事と競技前の食事の糖質摂取を増加させることで、より体内のグリコーゲン貯蔵量を増やすことができるのです。競技前に高糖質食に切り替え、普段より多くのグリコーゲンを体内に貯蔵すると、長時間の運動に耐えられるようになるグリコーゲンローディングという食事法があります。このグリコーゲンローディング法は、大きく分けると古典法と改良法があります。
 古典法は、競技1週間前に激しいトレーニングを行って筋グリコーゲンを枯渇させ、前半の3日間は高脂肪・高たんぱく質食で、1日当たり炭水化物の摂取量を100gの低糖質食とします。その後の3日間は、1日当たり炭水化物の摂取量を500〜600gとして、全エネルギー量の70%以上が糖質である高糖質食に切り替えます。高糖質食では、体重や運動による消費エネルギーの差に応じて摂取エネルギーを調整します。こうしたグリコーゲンローディングを行うと、筋肉中のグリコーゲンは2〜3倍に増加し、肝グリコーゲンは約2倍に増加します。これによって持久力を伸ばすことが可能となります。
 この方法が体質に合うかは個人差があるので、数回試してみる必要があります。しかしながら筋グリコーゲンを枯渇させるために、競技前の激しいトレーニングを行うので、疲労が競技まで残るのではないかという不安を覚えることもあります。また、前半の低糖質の食事で低血糖になることから、筋力の低下や疲労感、いらいらが生じたり、筋繊維の傷害などを起こす可能性があります。またカゼを引きやすいなど、身体への負担が大きくなります。さらに糖質は細胞に水を引き込むという性質があるので、体重が増えて思うように走れなくなることもあります。なぜなら、水3gは貯蔵したグリコーゲン1gと結合するので、グリコーゲン300〜400gを補給増加すると900〜1,200gの水をともない、体重として1,200〜1,600gが増加する計算となります。その他、多量の糖質を摂取することで、消化不良を起こして下痢になるなどの問題があります。そこで、数年前から改良法が勧められるようになりました。
 改良法とは、古典法のこれらの問題点を改善したもので、激しいトレーニングを行って筋肉中のグリコーゲンを枯渇させるのではなく、試合1週間前からトレーニング時間と強度を徐々に落とします (テーパリング法)。そして、食事は古典法と同じように、(1) ローディング期間の前半では低糖質食にして、後半に高糖質食にする方法と、(2) 前半は炭水化物を約350g含む混合食にして、後半では70%高糖質食とする方法があります。この改良法は古典法と比べると疲労が少なく、古典法と同じぐらい筋肉中にグリコーゲンの蓄積が起こることが明らかにされています。前半が混合食の場合は、無気力や憂鬱などの精神的ダメージが少なく、極端な低糖質食による高ケトン血症を避けることができるのです。
 炭水化物は水分を多く含むので、高糖質食にした場合は体重が増加し、選手に負担がかかります。そのため、選手の体重変動を確認する必要があります。また、グリコーゲンローディングを必要とするのは20km以上の長距離走の場合であり、それ以下の長距離走では通常の筋グリコーゲン量でまかなえるので、無理にグリコーゲンローディングを行う必要がないともいわれていますが、日頃の食事で糖質が不足しないように、糖質を食事から十分に摂ることが大切です。
 また、高糖質食の期間は2〜3日を必要としますが、それは24時間以上で筋グリコーゲンの回復が行われるからです。高糖質食の場合はご飯やパン、麺類、いも類、果物などの複合炭水化物を多く摂る必要があります。主食のごはんやパン、うどんなどの麺類やいも類などを十分にとることが大切です。例えば、ご飯は丼1杯 〔250g〕 で79.3gの糖質が含まれていて、それに相当する糖質はパンなら6枚切り3枚、うどんならゆでたもの390g 〔約1玉半〕 であり、じゃがいもやさつまいも、さといもなどのなどのいも類もでんぷん質の糖質が多くなります。しかし、総摂取エネルギー量を高める場合は、摂らなければいけない複合炭水化物の量が多くなり、食べきれなかったり消化不良を起こす可能性があります。グルコースの一部が大腸に入るほど多量に糖質を摂ると、下痢を起こすことがあります。高糖質食の場合は、消化の良い形で、数回に小分けして摂取し、食物繊維の過剰摂取にも気をつけます。そこで、消化吸収が良く、2〜6時間の短時間でグリコーゲンの再合成が行われる砂糖を、食事の中に上手に組み込むことが必要です。




 マラソンのオリンピック強化合宿の食事サポートでは、試合1週間前に有森選手と高橋選手にグリコーゲンローディングの改良法を行いました。栄養価設定と食事メニューについては多少の違いはありましたが、トレーニングはテーパリング法を取り入れ、食事は低糖質食から高糖質食に切り替えました。そして糖質を飽きることなく、おいしく食べられるように、食事メニューに工夫をします。普段はたくさんのご飯を食べない女子選手に対して、ご飯をたくさん食べられるように、炊き込みご飯やチャーハン、時にはお赤飯まで炊きます。また、じゃがいもやさつまいも、里芋を上手にメニューに加えて、糖質の摂取量を上げたり、果物を欠かさずデザートとして出します。また、消化吸収がよく、筋グリコーゲンの再補充が短時間で行われる砂糖を煮物やたれに使ったり、砂糖を使った菓子などを間食としてメニューに取り入れました。例えば、小豆を煮てあんこを作り、白玉小豆を作ったり、あんぱんなども作りました。このように、適量の砂糖は糖質摂取になると同時に、疲労回復やストレス解消にもつながります。また、肝臓や筋肉中のグリコーゲンが減少したときにブドウ糖を摂取すると、運動中のエネルギー源となって疲労の発生を遅らせることができます。このように料理やデザートなどに含まれる少量の砂糖でも効果的なエネルギー源になり、しかも消化吸収が早いので、胃腸の弱い人や多くの食事が食べきれない人にとっては、エネルギー源として便利な食品といえるでしょう。また、腐敗する心配もなく、乾燥しているので、携帯用にも便利です。




 アトランタ、シドニーの2回のオリンピックとも、試合当日の朝食を作ることまでが私の仕事でした。試合当日の有森選手の朝食は梅干入りおにぎり2つ、お餅入りみそ汁、カステラ、オレンジジュース。高橋選手はふりかけご飯に梅干、納豆みそ汁、あべかわ餅、砂糖醤油をからめたお餅、カステラというメニューでした。どちらも、総摂取エネルギーのうちほとんどが糖質といった内容です。消化の良い食材を選び、なるべく軟らかく調理して、消化吸収に負担をかけないようにしました。消化時間を考えて、試合がスタートする3時間前に朝食をとります。
 最後の最後まで、糖質は大切なエネルギー源であることがわかります。




 トレーニングや試合中の飲料についても、さまざまな商品が出回り、研究も進んでいます。ドリンクを飲む理由として、(1) 熱中症を予防するための水分摂取 (2) エネルギーを確保の2点が考えられます。水分摂取のためであれば、5℃程度に冷やした水をコップ1杯程度飲むのが胃腸に負担がかからず、最も吸収が良いといわれています。しかし、エネルギー補給であれば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、デキストリンなどの糖質、中鎖脂肪などの脂質、アミノ酸などが含まれているものがドリンクとして商品化されています。
 Gisolfi や Duchman によるガイドラインによると、運動前に摂取しなければいけない飲料の内容は、行う運動の時間によって異なっています。すなわち、1時間以内の運動であれば、6〜10%の糖質液300〜500mlを約15分前に摂取し、運動時間がそれを超える場合は、水分摂取することを薦めています。これは運動時間が短い場合には、糖が吸収されて、それがエネルギー源として利用されますが、長時間運動の場合は、熱中症を予防するために水分摂取する必要があるからです。
 ただし、運動前に糖質を摂取する際には、その時間と糖の種類および量に配慮しなければなりません。運動直前にブドウ糖 (グルコース) を摂取すると、インスリン反応を増加させて低血糖を起こすことがあるので、血糖とインスリン濃度が正常レベルに戻る約2時間を考慮して行うことが大切です。また、競技開始前1〜2時間になってからの摂取は、果糖が主体の飲料か低濃度のグルコース液を用いることを薦めます。




 トレーニングや試合で枯渇した筋肉のグリコーゲンをいち早く回復させることが重要になります。そのためには、試合後はできるだけ早く食事をし、筋グリコーゲンを回復させることが重要です。しかし、実際にはストレッチやシャワー、着替えや移動時間を考えると、終了直後に食事をとることは難しいようです。
 Ivy らは、同一の被検者に、同一の強度の持久性運動を、1週間の間をおいて2回にわたり負荷しました。そして運動後の炭水化物の摂取タイミングを運動直後と運動2時間後とした場合、その後の回復期の筋グリコーゲンの再補充が異なるかについて検討しました。
 すると、運動終了直後に食事をした場合の筋グリコーゲン合成量は、2時間後に食事をした場合と比べて、運動後0〜2時間の筋グリコーゲンの合成速度は約3倍になっていました (図2)。
図2 摂取タイミングの違いが筋グリコーゲン再補充速度に及ぼす影響
グラフ
□:運動終了直後にとった場合、■:運動終了2時間後にとった場合 (*p<0.05). (文献5) より)
 一方、運動後2〜4時間の筋グリコーゲンの合成速度には、運動2時間後の食事と4時間後の食事の両方に違いはありませんでした。そして、運動終了4時間後の筋グリコーゲンの合成量は運動終了2時間後に食事をした場合に比べて、直後に食事した場合の方が2倍となっていました。その上、貯蔵総量は約50%も多くなることが分かりました。つまり、糖質補給は運動直後に行うことが、グリコーゲン合成量が最も高いということが分かりました。
 このように、筋グリコーゲンの回復にはトレーニング終了後に、いかに早く食事をするかがポイントになってきます。合宿中も、移動やシャワーの時間も含めて、1時間半以内には必ず食事がとれるようにコーチとの連絡を密に行い、食事を提供するタイミングにずれが生じないように工夫しました。
 食事が直後にとれない場合は、ドリンクによるグリコーゲンの回復を期待します。ドリンクはスポーツドリンクの他に、オレンジジュースなどのフルーツジュースやバーモントドリンクなどのお酢が含まれているものを使用し、筋グリコーゲンの回復を期待します。オレンジジュースには果糖+クエン酸が。バーモントドリンクには果糖+酢酸が含まれています。クエン酸や酢酸は筋グリコーゲンの合成を促進させます。
 スポーツ選手にとって、糖質は非常に重要なエネルギー源です。糖質の摂取量を多くするために特殊な食事方法があり、筋グリコーゲンの合成量を高めるために、摂取するタイミングもポイントになります。また、糖質を固体での摂取することが不可能なときは、液体で摂取することも考えます。糖質の上手な摂り方が、スポーツ選手の持久性やスタミナアップにつながり、疲労回復、ケガ防止、ひいては選手寿命にまで関係してきます。スポーツを行う上で、糖質摂取に対しての意識を高める必要があるようです。



「今月の視点」 
2001年6月 
お菓子の世界における砂糖の役割
〜「甘い」だけじゃない、砂糖の得意技いろいろ〜
  食品開発アドバイザー 河田 昌子

スポーツ選手の食事法〜糖質の重要性〜
  管理栄養士 金子 ひろみ

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