[2002年3月]
【― 鹿児島県種子島 ・ 喜界島 ・ 奄美大島 ―】
鹿児島県南西諸島、 沖縄県におけるさとうきび産業は、 地域経済の発展に重要な役割を果たしています。 その経済波及効果は3倍とも4倍とも言われています。 拓殖大学叶芳和教授に同地域におけるさとうきび及び製糖産業が発展するための要因や同産業が地域経済に与える影響と今後の課題を探るため、 現地に赴いて調査していただきました。
拓殖大学 国際開発学部 教授 叶 芳和
今年1月下旬、日本の甘しゃ糖産地である鹿児島県南西諸島と沖縄を調査した。さとうきび産業は大きなイノベーションの時代に入っている。品種改良、ハーベスタ導入、生産法人誕生など、技術革新が一斉に開花し、活性化の方向にある。機械化で仕事が楽になった。一昔前とはまったく違う。高齢化の進行にもかかわらず、各地域とも生産量の減少には歯止めがかかったのではないか。現場を見て、さとうきび産業のルネッサンスを実感した。
技術革新に伴い、1,000万円位の高所得農家が各地域に誕生しており、今後は新規参入も期待できる。また、品種改良やハーベスタ導入が、農業の作付体系を大きく変え、新規園芸作物の導入 (野菜作との輪作体系) を可能にしている点も注目される。
「もし、仮にさとうきび産業がなくなったら、この島はどうなりますか、地域に何が起きますか」 と、行く先々で質問を繰り返した。答えはすべて 「……」 である。私の質問は皆にとって、聞いたことも考えたこともないものだったようだ。地域経済及び社会におけるさとうきび産業への依存度の大きさを物語っている。
台風被害の大きい南西諸島の場合、さとうきびは地域安定化要因になっている。現行のような価格調整制度を前提にすれば、さとうきびは付加価値の高い作物である。筆者は、地域経済振興策として、さとうきび産業は 「セカンド・ベスト」 だと考える。
(1) 概 況
種子島はさとうきび生産の北限であるが、さとうきびの生産量は19万トン (平成12/13年度) と、鹿児島県南西諸島の中では徳之島に次いで大きい。北限地帯のため温度不足で糖度は低い。しかし、10a当たり収量は一番高い (7.9トン)。
新品種 NiF8 (さとうきび農林8号) の普及や、収穫の機械化が進み (ハーベスタ刈60%)、近年、さとうきび生産は下げ止まり、さらに上昇に転じている。大規模農家も育っている。九州沖縄農業研究センター種子島試験地や県農業試験場熊毛支場があることも、刺激になっている。
(2) さとうきび産業の構造変化
種子島では、さとうきび産業は基幹産業である。生産額は39億円で、耕種農業生産に占める比重は31%と高い。ほかには甘しょ (16%)、葉たばこ (12%) が主要作物である。「さとうきび3年、甘しょ1年」 の輪作が典型的な農家である。さとうきびと和牛繁殖の複合経営も多い。この3〜4年、甘しょの後作にバレイショを導入し、土地利用率を高める農家も一部ある。
農家の高齢化は著しく、平均60歳超、70歳台も頑張っている。新規就農者は中種子町の場合、茶、園芸、酪農分野を中心に、年間8〜10人で横這い状態である。
さとうきびがなくなると、地域への影響は大きい。現状は、若者の新規就農が少なく、高齢者がさとうきびと和牛繁殖の複合経営を営んでいる。また、畜産の和牛繁殖はさとうきびの梢頭部を利用して飼料コストを安くしている。さとうきびがなくなると、地域農業も基盤が壊れる訳で、地域への打撃は大きい。さとうきびは主要作物というだけではなく、基幹作物といえよう。
さて、さとうきび産業の構造的特徴は、第1に、従来は生産量の減少傾向がつづいてきたことであろう。製糖工場を潰す歴史でもあった。しかし、近年、種子島ではさとうきび生産が増大傾向をみせている。減少トレンドには終止符をうった。収穫面積も単収も上昇に転じ (表2参照)、さとうきび生産量は19万トン台に復帰し、製糖日数も150日を超えている。ほとんどの製糖工場が原料不足に悩んでいるのに対し、ここは原料供給体制が整っているといえよう。
第2に農家の経営規模が小さいことである。表3に示すように、50a未満が4割以上を占めてきた。しかし、近年これも変化を示し始めた。1990年代後半から規模拡大の動きが明確に現われ、150a以上農家への集積が始まっている。高齢化とハーベスタ導入が規模拡大の要因である。ちなみに、手刈とハーベスタで収穫能力を比較すると、手刈の場合、1人1日800kgである。一製糖期家族3人での収穫面積は3haが限界である。これに対し、小型ハーベスタは7人で1日20トン刈取っている。1人1日3トンである。
この動きの延長線で、高所得農家が出現している。後述の鎌倉氏や河脇氏のような粗収入4,000万円は別格としても、所得1,000万円は難しくなくなってきている。機械化で7〜8haに規模拡大できれば、キビ生産500トン以上となり、粗収入は1,000万円になる (2万円/トン)。刈取作業などを受託すると (10ha、約600万円)、粗収入は合計1,600万円になる。所得ベース1,000万円である。
第3は品種構成の NiF8 (農林8号) への特化である。1980年代までは NCo310が主力品種であったが、90年代に入って農林8号が普及し、現在はほぼ100%農林8号である。栽培の型は 「春植+株出」 である。1品種への特化は、自然災害や病虫害が発生した場合、一網打尽の危険も皆無ではない。品種の多様化によるリスク回避を検討しないでいいものであろうか。
表1 鹿児島県さとうきび産業の統計概要 (平成12/13年期)
|
収穫面積 (ha) |
単 収 (kg/10a) |
生 産 量 (t) |
栽培型別生産の構成(%) |
平均糖度 (度) |
きび作農家1戸当たり |
夏 植 |
春 植 |
株 出 |
収穫面積 (a) |
生産額 (千円) |
種子島
奄美大島
喜界島
徳之島
沖永良部島
与論島
鹿児島県
|
2,474
577
1,067
3,871
876
603
9,468
|
7,892
5,328
7,264
5,358
5,031
5,642
6,221
|
195,254
30,744
77,503
207,400
44,075
34,020
588,996
|
3.1
45.4
57.6
19.2
58.0
6.6
23.7
|
30.1
16.8
8.2
22.9
10.5
16.3
21.2
|
66.8
37.8
34.1
57.9
31.5
77.1
55.1
|
13.1
14.2
14.9
14.7
14.4
13.9
14.1
|
83
38
134
99
63
63
86
|
1,308
670
2,073
1,123
664
724
1,110
|
(参考) 沖縄県 |
13,542 |
5,942 |
804,725 |
48.1 |
10.4 |
41.5 |
13.9 |
72 |
876 |
|
(出所) 鹿児島県農政部農産課 「平成12年産さとうきび及び甘しゃ糖生産実績」 (平成13年8月)。
及び沖縄県農林水産部 「平成12/13年期さとうきび及び甘しゃ糖生産実績」 (平成13年8月)。
|
表2 さとうきび生産の推移 (種子島)
年度 |
農家戸数 戸 |
収穫面積 ha |
単 収 kg |
生産量 t |
平均規模 a |
40 |
7,791 |
2,611 |
5,760 |
150,476 |
34 |
41
42
43
44
45
|
7,474
7,345
7,026
6,698
6,361
|
2,839
2,760
2,796
2,854
2,797
|
6,000
7,815
5,100
5,941
6,400
|
170,693
215,695
142,651
169,568
179,015
|
38
38
40
43
44
|
46
47
48
49
50
|
5,529
5,087
4,495
4,439
4,677
|
2,461
2,341
1,977
2,131
2,396
|
5,112
5,681
6,158
6,905
6,168
|
125,799
132,991
121,745
147,144
147,779
|
45
46
44
48
51
|
51
52
53
54
55
|
4,870
4,805
4,786
4,883
4,750
|
2,768
2,771
2,953
3,187
3,064
|
5,805
7,405
6,918
5,804
5,387
|
146,839
205,191
204,140
184,981
165,071
|
57
58
62
65
65
|
56
57
58
59
60
|
4,698
4,716
4,784
4,752
4,713
|
2,953
3,026
3,012
3,025
3,006
|
6,426
6,423
6,844
6,941
6,453
|
189,774
194,367
206,136
209,960
193,988
|
63
64
63
64
64
|
61
62
63
1
2
|
4,537
4,819
4,795
4,715
4,430
|
2,774
3,099
3,186
3,242
2,839
|
7,958
7,137
7,726
6,150
6,987
|
220,745
221,171
246,149
199,384
198,365
|
61
64
66
69
64
|
3
4
5
6
7
|
4,069
3,770
3,631
3,401
3,251
|
2,541
2,320
2,304
2,248
2,172
|
5,807
6,569
5,057
7,775
6,973
|
147,567
152,411
116,524
174,790
151,456
|
62
62
63
66
67
|
8
9
10
11
12
|
3,155
3,021
2,983
3,002
2,996
|
2,167
2,146
2,222
2,360
2,474
|
6,727
7,836
8,738
6,869
7,892
|
145,779
168,155
194,155
162,104
195,254
|
69
71
74
79
83
|
|
(出所) 鹿児島県農政部農産課 『平成12年産さとうきび及び甘しゃ糖生産実績』 (平成13年8月)。
|
表3 さとうきび農家の規模別分布 (種子島)
(単位:%) |
年度 |
さとうきび 栽培 農家数 |
50a 未満 |
50〜99a |
100〜149a |
150〜199a |
200〜299a |
300a 以上 |
1976 (昭51)
1980 (昭55)
1985 (昭60)
1990 (平2)
1995 (平7)
2000 (平12)
|
4,870
4,750
4,713
4,430
3,251
2,996
|
51.7
44.5
43.8
44.6
44.6
39.0
|
33.7
36.4
38.4
36.7
35.3
34.4
|
10.7
13.5
13.1
13.0
13.4
14.8
|
2.9
3.7
3.1
3.3
3.6
6.1
|
0.9
1.7
1.5
2.1
2.3
3.9
|
0.1
0.1
0.1
0.3
0.8
1.9
|
|
(出所) 鹿児島県農政部農産課 『平成12年産さとうきび及び甘しゃ糖生産実績』 (平成13年8月)。
|
(3) 技術革新と生産量の下げ止まり
種子島のさとうきび生産は、1988年度 (昭和63) の収穫面積3,200ha、生産量24万トンをピークに減少に転じ、90年代末には収穫面積2,100ha、生産量15万トンまで落ち込んだ。しかし、近年は下げ止まり、むしろ増大傾向にあり、収穫面積は2,500ha、生産量19万トンまで復活してきた。技術革新の成果である。収穫の機械化が農家の高齢化を相殺し収穫面積の回復要因となり、一方品種改良が単収の上昇をもたらした。単収は従来の10a当たり6〜7トンから、現在は8トン前後に高まっている。
表4 品種別収穫面積の推移 (種子島)
(単位:%) |
年 度 |
NCo310 |
Ni1 |
NiF3 |
NiF5 |
NiF8 |
Ni12 |
その他 |
1980/81 (昭55/56)
1985/86 (昭60/61)
1990/91 (平2/3)
1991/92 (平3/4)
1992/93 (平4/5)
1993/94 (平5/6)
1994/95 (平6/7)
1995/96 (平7/8)
2000/01 (平12/13)
|
76
78
81
82
76
16
3
0
0
|
24
6
―
―
―
―
―
―
―
|
―
16
14
14
14
7
2
1
0
|
―
―
5
4
4
1
1
―
―
|
―
―
―
―
7
72
92
98
99
|
―
―
―
―
―
―
―
―
1
|
―
―
―
―
―
4
1
1
0
|
|
(出所) 鹿児島県農政部農産課 『平成12年産さとうきび及び甘しゃ糖生産実績』 (平成13年8月)。
|
前述したように、品種は1960年代に NCo 310が普及し、1980年代は NCo 310が80%前後を占めていたが、92年に NiF8 (農林8号) が導入され (1991年農林登録)、一気に普及し、現在は農林8号がほぼ100%である。さとうきびの品種構成は急激に変化しうる。株出型の場合でも、次の植替えのとき新品種を導入できるから、3年で大変化できるのである。農林8号は早期高糖で収量も高く、萌芽もよい (株出し適性品種)、また黒穂病に強い品種である。脱葉性が良く、収穫作業が容易という利点もある。NCo310 は黒穂病に弱いため、農林8号の出現に伴い、一挙に品種転換が起きた。
収穫面積の下げ止まり、回復傾向も注目される (農家戸数はいぜん減少傾向)。これはハーベスタの普及の効果である。従来、さとうきび栽培の一番の難点は収穫作業であった。それは苛酷な3K労働とみなされ、若者に嫌われ、結果としてさとうきび農業は高齢者の農業になっていたが、高齢化が一層進行するに伴い担い手不足となり、90年代に入ると栽培面積が減少をつづけてきた。しかし、1993年 (平成5) にハーベスタが初めて導入されて以来、刈取作業の機械化が進み、この問題は解決された。現在、約60台のハーベスタが稼働し、刈取作業の機械化率は60%に達する (鹿児島県南西諸島では一番高い)。高齢化に伴う担い手不足問題がなくなり、栽培・収穫面積が回復に転じたのである。ハーベスタの普及が農家の高齢化要因を相殺したといえよう。
後述するように、さとうきびの技術進歩は品種面では登熟の早い10月収穫用品種の育成、粗飼料用さとうきびの育成など、栽培面では側枝苗やメリクロン苗の育苗、さらに病虫害対策の進歩など、沢山の技術革新が目白押しである。この技術進歩が収量アップや収穫面積の回復要因になろう。さとうきび産業は新しい発展期を迎えている。
なお、生産組合の誕生も、重要な役割を果たしている。ハーベスタの購入は補助金が出るが (国6割、県1割、自己負担3割)、個人には補助金は出ないので、生産組合及び公社等がハーベスタの保持者になっている (注:小型ハーベスタの価格は1台1,600万円)。これらが地域全体の刈取作業を受託している。種子島では2000/01年度現在、生産組合 (3戸以上で構成は37組織あり、彼らがハーベスタ収穫の7割を担い、残り3割が公社等である。生産法人 (過渡期の現象か) の誕生が収穫面積の減少に歯止めをかけている。
中種子町にある(財)種子島農業公社 (1995年設立) は、農家高齢化に伴う労働力不足で農業が衰退するのに歯止めをかける目的で設立されたもので、自ら直営でハーベスタ収穫を行うと同時に、農家からの刈取作業委託を一元的に受託し (窓口一本化)、各生産組合に再委託する機能を果たしている。生産組合の規模は平均17〜18haなので、公社は機械の能力25haとの差を再委託に出す仕組みとなっている。刈取作業の料金は、全面委託がトン当たり6,500円、農家本人が梢頭部を除去する場合4,000円である。かなりの高料金であり、生産組合に利益が行くようになっている。このほか、畑から製糖工場までの運搬による労賃収入がある。
(4) 大規模経営農家の出現
― 北の鎌倉、南の河脇 ―
先述したように、小零細構造に変化が生じ、規模拡大傾向がみられるが、その中で大規模農家に成長したのが西之表市の鎌倉輝男氏と南種子町の河脇秀二郎氏である。
(a) 鎌倉輝男氏の経営
西之表市伊関の鎌倉輝男氏 (62歳) は、さとうきびの大規模専業農家である。2001年の経営面積は、妻、長男、長女の家族4人で、さとうきび25ha、バレイショ3ha (さとうきびの間作)、甘しょ1haである (自作地5ha、借地22ha)。農業粗収入は4,800万円、所得は2,700万円と推定される (注:さとうきび75t/ha×2万円/t×25ha=3,750万円、バレイショ2t/10a×150円/kg×3ha=900万円、甘しょ3t/10a×30円/kg×1ha=90万円)。「広大な農地で農業をしたい」 と、ブラジル移民を計画したこともある中学生の夢は実現したのである。
鎌倉氏は以前は、さとうきび4ha、和牛繁殖 (母牛15頭) の複合経営であったが、1994年 (平成6) に生産組織を設立し (伊関北部きび生産組合、3人でスタート) いち早くハーベスタを導入し、収穫作業の省力化を図って以来、借地による規模拡大に邁進した。植え付け作業についても、独自に開発したプランターを活用し、更なる労力の軽減を進め、規模拡大を図っている。この地域は農家の高齢化と後継者不足で土地流動化要因が醸成されており、3年位前は毎日のように 「借りてくれ」 という電話があったという。現在、約50戸の農家から150筆借地している。小作料は10a当たり約1万円である。(15,000円〜山間5,000円)。
鎌倉氏は、製糖期間中は朝4時起床、夜7時就寝の生活という。製糖工場に一番乗りするためである。工場では品質取引のためトラック毎に検査が行なわれるため、一番乗りを逃すと待ち時間が発生するからである。現在、家族3人で、小型ハーベスタで1日15トン (20a) 収穫する。工場の現在の操業日数では年間25haが限界である。
鎌倉氏の次の目標は、第1は単収アップである。いままでは規模拡大であったが、今度はビニールマルチシートを使って初期生育を早めると同時に分けつを現在の茎数4本から7本にもっていく。また土壌改良を行う (畜産農家と連携しバカス及び梢頭部と堆肥の交換)。第2に、周年操業をめざしている。植付けは1年中できるという。また、側枝苗の技術を研究している。種子島では皆にはまだこの問題意識はないという。
イキイキやっている人は何人もいる、と鎌倉氏は言う。「昔は大変だった。いまはハーベスタが入って楽になった」 というのが皆の気持ちだという。鎌倉氏は 「夜明けが待ち遠しい」 という。鎌倉氏のモットーは 「キビこそ我が命」 であり、さとうきび作り日本一をめざしている。その行動力で種子島のさとうきび農家をリードしている。
(b) 河脇秀二郎氏の経営
もうひとりのリーダーは、南種子町の河脇秀二郎氏 (56歳) である。圃場に行くと、かなり高齢のおバーさん達が収穫作業を行っていた (最高齢者は72歳)。10名。さとうきびの梢頭部切りの仕事である (日当6,500円)。その後にハーベスタを入れる。地域社会という視点の持ち主であると同時に、人使いも上手、経営者感覚が発達している。
河脇氏は2001年度現在、さとうきび経営18ha (自作12ha) 作業受託14ha (うち種苗圃3ha)、合計32haの大規模専業農家である。1984年 (昭和59) に葉たばこ栽培からさとうきび栽培に切り替え、94年 (平成6) に生産組織を結成し (横峯生産組合、10名)、ハーベスタを導入した (農協リース)。さとうきび専作農家を目指して毎年計画的に栽培面積を拡大し、97年度 (平成5) には自分の経営分だけで収穫面積14.5ha、生産量1,200トンの県内初の1,000トン突破大規模農家となった。品種は農林8号と、早熟で萌芽もよい12号である (55%が12号)。また、面積拡大に伴う収穫と植え付け労働分散のため、夏植の面積を拡大を図っている。
さとうきびは儲かると明言する。農協から割り当てられる出荷量は1日20トンである。したがって、1日当たり収入は刈取受託料13万円 (6,500円/t)、運搬賃収入4.4万円 (2,200円/t)、合計17.4万円ある。経費を差し引いても10万円残る。150日操業とすると、刈取受託料だけで1,500万円になる。これに自分の経営分 (18ha) を加えると、年収4,500万円である。
河脇氏は仲間づくりのため、「きびは儲かる」 と公言する。実際、南種子町には生産組合が8組織結成され、そのメンバーは30歳代前半が多い (中種子、西之表は60〜70歳)。島内の他地区に比較して急速に大規模化が進行している。収穫の機械化率も7割に達する。また、河脇氏は優良種苗の普及・拡大のため、南種子町の種苗ほの受託管理も行っている (3ha)。自分の個別経営の発展だけではなく、地域全体の農業振興にも力を入れている。
(5) 九州沖縄農業研究センターさとうきび育種研究部門 (種子島試験地)
日本のさとうきび育種研究の中心は九州沖縄農業研究センター種子島試験地である。これまでに8品種を育成・普及してきた。現在、日本のさとうきび栽培面積の5割、種子島では99% NiF8 (さとうきび農林8号) であるが、これもここで育種された品種である。ちなみに、普及率第2位は台湾品種 F177 であり、沖縄本島及び徳之島など暖かい地域で栽培されている。1つの品種を育成するのに約10年かかる (農林8号の場合、1980年に交配〈台湾〉、81年に第1次選抜 (同試験地)、91年に品種になった〈農林登録 NiF8〉)。
現在、同センターが力を入れているのは10月収穫用品種の育成である。現在開発中の品種 (KF94-88及びKF93-174の2系統) は、10月段階でブリックスが16% (糖度13.1%)、12月には17〜18%になる。石垣島では同品種は8月でブリックス18%、10月には22%になるので、これを導入すれば現在のNiF8と組合せて周年栽培 (8月〜5月) できる。同研究部門によると、「あと3年で農林登録できるであろう」 という。今年度からテストとして、種子島の農家に実際に栽培させてみることになっている。
この10月収穫用品種の育成は、ちょっとした発想の転換が出発点だ。従来、日本のさとうきびは寒さがこないと糖分が乗らないというのが常識であった。しかし、考えてみれば、東南アジアは寒さがこなくても糖度が上がる。穂が出れば登熟する品種もあるのだ。日本のさとうきびが特殊であって、発想を変えて交配したらどうなるか。このような発想転換が10月収穫品種の育成につながったようだ。
早い時期から糖分が蓄積される品種が開発されれば、製糖工場が操業期間を長くできるので、大規模農家も育ちやすい。また、農家の自由度が広がり、他作物の輪作も広がり収益性が向上する。種子島の場合、さとうきびの北限地帯であり、登熟が遅い。製糖工場 (新光糖業) の操業は圧搾開始が12月7日、圧搾終了が5月5日であるが (2001年度)、12月初旬の糖度はまだ低い。現状は糖度が十分に乗らないうちに圧搾を開始していることになる。早熟品種の開発への期待は大きい。
今後の研究の方向としては、従来は砂糖生産用の品種開発が中心であったが、さとうきびの高い光合成能力、バイオマス性に着目して、今後は粗飼料用、燃料用、その他食品用 (キビ酢、黒糖用など) に力を入れるという。
粗飼料用さとうきびは、6ヵ月で10a当たり50トンの収量になり、現在の製糖用の5倍の多収量である。年間70〜80トンも可能である。毎年の植え替えの必要はなく、株出しで10年はもつ (牧草イタリアングラス等は毎年種子を播く)。雑草もそのまま、収穫するだけでよいから、畜産のコストダウンにつながる。製糖期以外のキビ梢頭部がない季節にも利用できる利点がある。同研究部門によると、すでに実用化に近い段階にあり、あと数年で品種になる (農林登録できる)。
さとうきびの育種研究が活性化している様子がうかがえる。
なお、種子島には鹿児島県農業試験場熊毛支場がある。ここは品種選定と栽培技術の研究が主たる仕事であるが、現在の課題はマルチ栽培の面積減少への対応である。北限地帯なのでマルチの有無は初期生育に大きく影響し、生育に20日間の差をつくり出すが、機械化や廃棄物処理問題から、マルチ栽培は減少してきている。生分解性ビニルの利用でマルチの普及を図ろうとしている。こうした研究開発機関の存在が地域農業に刺激を与えていることは間違いない。
(6) さとうきび産業の地域社会への影響
「もしさとうきびがなくなったら、この地域にどういう影響を与えますか、何が起きますか」 と、行く先々で質問を繰り返した。答えはすべて 「……」 であり、ほとんど絶句状態である。質問の意味を理解できなかった場合もあるかも知れない。私の質問は皆にとって、聞いたことも考えたこともないものなのである。その位、種子島にとっては、さとうきび産業は当然の大前提なのである。空気みたいなものであって、在るのが当たり前であって、無くなれば困るが、普段は考えることもない問題なのである。台風被害の大きい南西諸島では、園芸作物のリスクは大きいので、台風に強いさとうきびは地域を支える重要産物であることは間違いない。
具体的には、いかなる経済効果、地域社会への影響をもっているのか。
1) さとうきび農家の雇用、所得
2) 肥料、農薬、機械などの資材需要
3) 製糖工場の雇用
4) さとうきび及び粗糖の運搬 (キビ搬入トラック400台/日)
5) さとうきび梢頭部の粗飼料利用 (半年は梢頭部利用)
6) バガスの燃料利用 (工場燃料の7〜10割は自家発)
7) バガス、フィルターケーキの堆肥原料利用
8) 園芸作物との輪作体系
産業連関表を使った分析によると、鹿児島県のさとうきび生産が鹿児島県経済に及ぼす波及効果は3.97倍である (さとうきびの生産額が1億円変化すると、それによって影響を受ける各産業分野の変化総額は3.97億円。1990年産業連関表)。ちなみに、沖縄県の場合、さとうきび生産の経済的効果は4.30倍である (1995年産業連関表)。(後述参照)
また、表5に示すように、農業粗生産に占めるさとうきびの比重は大きく、種子島では23%に達する (耕種農業に占める割合は31%)。ただし、この表の数値を表面的に読むとさとうきびの重要性を過少評価することになる。例えば、さとうきびに次ぐ作目は和牛繁殖であるが (割合15%)、きび梢頭部の粗飼料としての利用ができなくなれば、畜産も大きな打撃をうける。つまり、数字に表われるより影響は大きいといえよう。種子島では、さとうきびは多面的な影響をもっているので、基幹作物といえよう。
表5 さとうきび依存度 (鹿児島県南西諸島)
|
人 口 (人) |
総農家戸数 (戸) |
さとうきび生産額 (百万円) |
農業粗生産額 (百万円) |
さとうきびの 比重 (%) |
農家1戸当たり (千円) |
さとうきび |
農業粗生産 |
種子島計
西之表市
中種子町
南種子町
|
35,922
18,800
9,899
7,223
|
4,512
1,872
1,584
1,056
|
3,920
1,073
2,118
730
|
16,650
6,952
6,294
3,405
|
23.5
15.4
33.7
21.4
|
869
573
1,337
691
|
3,690
3,714
3,973
3,224
|
奄美大島本島
喜 界 島
徳 之 島
沖永良部島
与 論 島
鹿児島県
|
73,903
9,040
28,108
15,171
6,099
1,786,214
|
2,742
790
3,355
1,979
939
98,211
|
638
1,652
4,389
920
698
12,217
|
3,260
2,490
9,050
8,830
1,870
404,800
|
19.6
66.3
48.5
10.4
37.3
3.0
|
233
2,091
1,308
465
743
124
|
1,189
3,151
2,697
4,462
1,991
4,122
|
(参考) 沖縄県 |
1,318,281 |
27,088 |
16,498 |
90,200 |
18.3 |
609 |
3,330 |
|
(資料) さとうきび生産額は表1に同じ。2000/01年度 (平12/13) 値。
総農家戸数は農林水産省統計情報部 「2000年世界農林業センサス」
農業粗生産額は九州農政局鹿児島統計情報事務所「鹿児島県生産農業所得統計」
内閣府沖縄総合事務局農林水産部 「平成12年農業粗生産額及び生産農業所得」
|
しかし、次の点も考えるべきである。同じ南西諸島の離島でも、さとうきびへの依存度は違う。表5に示すように、さとうきびへの依存度が大きい地域が農業生産額が大きいとは限らない。つまり、台風被害が大きいといっても、さとうきび以外の作物で所得を高めることが出来ているのである。例えば、沖永良部島はさとうきびへの依存度は著しく低いが、農業生産額は大きい。花卉園芸が盛んだからである。もちろん、台風は沖永良部を避けて通っている訳ではない。沖永良部は花卉園芸が基幹作物であって、さとうきびは園芸部門が輪作で連作障害を避けるためのクリーニング作物になっている。この作型で、鹿児島県内で一番の高所得農業になっている (叶芳和著 『農業ルネッサンス』 講談社、1990年、第27章参照)。なお、今後は沖永良部島も他島と同じくハーベスタの普及によってさとうきびが見直され (競争性の上方修正) さとうきび生産は下げ止まるかもしれない。
筆者は沖永良部型がベストと考える。しかし、園芸作物は台風被害が大きいのは事実である。また、ヒューマン・キャピタル (人的資本) の蓄積には時間がかかる。そういった制約条件のもとで考えれば、南西諸島では技術革新が進んだ新しいさとうきび産業は有利な作物であって、経済学でいう 「セカンド・ベスト」 といっていいかも知れない。
品種改良、機械化などの技術革新によって、農家の高齢化というマイナス要因を相殺し、さとうきびの生産量は維持できる。また、規模拡大も可能であって、所得1,000万円のさとうきび専業農家も夢ではない。現行の価格調整制度という保護政策を前提とする限り、さとうきび産業は付加価値の高い作物であり、いい農業になれると考える。
(1) 農業概況
喜界島農業の特徴は、平坦な地形を生かしたさとうきびの大型経営である。1960年代後半の 「稲転」 とさとうきびの価格上昇で、さとうきびが基幹作物になった。現在、90%の耕地でさとうきびが栽培され、農業粗生産の70%がさとうきびである。80年代にはメロン栽培が普及し、さとうきび畑の中にビニールハウスが点在したが、その後連作障害や産地間競合で衰退し (90年前後がメロン作のピーク)、トマトにシフトした。現在、さとうきびと和牛繁殖、小菊、トマトとの複合経営が行われている。小菊栽培は1982年 (昭和57) に導入されたものだが堅実に伸びている。行政も複合型の園芸を振興している。
農家1戸当たりの経営面積は2.2haで、経営面積は県内で最も大きい (面積が大きいからさとうきび特化という側面もある)。圃場整備も進み (30a区画)、整備率は90%に達する。99年 (平11) に地下ダム止水壁が完成し、今後は畑地かんがいの利用による高収益農業の展開が期待されている。
(2) さとうきび産業
今期 (平成13/14年度) は台風被害が大きかった。昨年10月17日の台風21号 (雨なし台風) が喜界島を直撃し、さとうきびは収量、品質ともに大被害を受けた。今製糖期は12月20日〜4月23日であるが、1月22日現在の平均糖度 (累計) は12.34度であり、昨年同期の14.17度に比して約2度も低い。農家手取りはトン当たり1,000円も低い。さとうきびの生産量は昨年度の7万7,000トンより多い8万2,000トンと見込まれるが、品質が低下するため、製糖工場 (生和糖業) にとっては、歩留が悪化 (昨年度13.41%に対し今年12.7%見込み)、産糖量は1万トンギリギリとなり、売上金額は昨年の28億6,000万円から今年は26億円へと2億円減る見通しである。
喜界島のさとうきび産業の特徴は、栽培面積は減っていないのに、生産量が大きく減少してきたことである。夏植が増えた結果である (夏植は2年に1回収穫)。表6に示すように、夏植の増加に伴い、収穫面積は80年代までの1,400haから近年は1,000haに減少している。
ただし、今後は生産量維持の可能性がある。喜界島は水不足のため、春植えでは活着率が低いため夏植と株出が多かったが、地下ダムが出来たので、春植に戻す地域も出ている。「春植+株出」 の型になれば、毎年収穫できるので、生産量は下げ止まる公算が大きい。また、畑かんがい利用によるかん水の実施だけで、単収は3割増加するといわれる。製糖工場側の目標は、収穫1,200ha、さとうきび生産量8万5,000トン、産糖量1万1,000トンであるが、そう難しい課題ではないと思われる。地下ダム完成による畑かんがいとハーベスタの普及が、歴史の逆転をつくり出そう。
表6 喜界島のさとうきび産業
年度 |
農家戸数 (戸) |
収穫面積 (ha) |
10a当たり 収量 (kg) |
生 産 量 (トン) |
栽培型別面積構成 (%) |
夏 植 |
春 植 |
株 出 |
1970 (昭45)
1975 (昭50)
1980 (昭55)
1985 (昭60)
1990 (平2)
1995 (平7)
2000 (平12)
|
1,885
1,382
1,157
1,063
1,052
860
797
|
1,469
1,360
1,331
1,457
1,438
1,086
1,067
|
7,020
6,662
7,077
8,237
6,581
7,637
7,264
|
103,129
90,601
94,193
120,011
94,640
82,934
77,503
|
20.4
22.1
25.8
27.2
28.6
49.0
57.6
|
6.9
9.9
11.7
11.9
18.0
7.0
8.2
|
72.7
68.0
62.5
60.9
53.4
44.0
34.1
|
|
(出所) 鹿児島県農政部農産課 『平成12年産さとうきび及び甘しゃ糖生産実績』 (平成12/13年期)。
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(3) 大規模経営農家
喜界町でもさとうきびの大規模専業農家が出現している。喜界町坂嶺の岩下雅一郎氏 (49歳) は、経営面積23.6ha (自作5.5ha)、収穫作業受託16.2ha (自他作計収穫31ha) のさとうきび専作大規模経営である。粗収入は2,000万円を超える。岩下氏も夏植が多く、経営面積は23.6haであるが、自作の収穫面積は14.8haにすぎない。
岩下氏は1981年 (昭和56) にUターンして就農した。基盤整備が契機で借地に出す土地が増えた時期である (整備前は遊休地が増加していた)。園芸農家から借地して6ha (自作2ha) でスタートした。毎年借地による規模拡大を図り、84年 (昭和59) には11ha (自作4ha) になり、さらに第2次基盤整備に伴い、2000〜2001年 (平成12〜13) にかけて今度は高齢、離農家からの借地が増え、現在の23.6ha (自作5.5ha) になった。喜界島では基盤整備を契機に遊休地が借地に変わったのである。いまでは遊休地はほとんどない。
ハーベスタを導入したのは98年 (平成10) である。喜界町で初めてのケーンハーベスタ営農集団 「ファームテック喜界」 を結成し、オーストラリア製小型ハーベスタ (130PS) を購入した (2,625万円。国6割、県1割、町1割、自己負担2割)。組合員は3戸であった。1人はメロン、もう1人はマンゴーとの複合経営である。岩下氏が2組合員のさとうきび収穫作業を受託することにより、他の組合員はメロン、マンゴーの園芸作物に労力を重点配分している。
喜界町上嘉鉄の生田正信氏も経営面積29ha (収穫面積11.8ha)、収穫作業受託21ha (自他作計収穫32.8ha) の大規模経営農家である。自作地はわずか1.2haで、あとは借地である。86年 (昭和61) に整備会社 (島内) を辞め就農した。さとうきびの方がおもしろいという。88年 (昭和63) から借地を始めたが、当初7年間は土地が集まらなかった。ところが、4〜5年前から借地が急増した。借地料は10a当たり1万5,000円 (ただし2年に1回収穫時払い)。
98年 (平成10) に3戸で生産組合を結成し、オーストラリア製ハーベスタ (240PS) を導入した (3,500万円。自己負担2割)。生田氏はきび専作であるが、あと2人はきびとサラリーマンの兼業である。今後の課題は、現在の経営面積29haは106筆から借地である。これを集積することである。なおさとうきび価格はトン20,000円台を維持してくれればよい。引上げなくてよいという。
このように、岩下、生田両氏を筆頭に、喜界島でも規模拡大が起きている。さとうきび生産500トン以上の農家は93年 (平成5) には2人であったが、98年 (平成10) には11人に増えた。園芸農家のさとうきび回帰も起きている。
奄美大島のさとうきび産業については、紙幅制約のため、別の機会に譲りたい。
表7 喜界島さとうきび農家の規模拡大
(単位:戸) |
年度 |
さとうきび 栽培 農家数 |
50a 未満 |
50〜99a |
100〜199a |
200〜399a |
400〜499a |
500〜699a |
700a 以上 |
1976 (昭51)
1980 (昭55)
1985 (昭60)
1990 (平2)
1995 (平7)
2000 (平12)
|
1,383
1,157
1,063
1,052
860
797
|
451
348
289
326
284
191
|
364
281
214
189
199
130
|
414
337
325
273
196
200
|
154
175
211
225
147
153
|
0
10
15
25
19
62
|
0
6
9
14
10
31
|
0
0
0
0
5
30
|
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(出所) 鹿児島県農政部農産課 『平成12年産さとうきび及び甘しゃ糖生産実績』 (平成13年8月)。
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さとうきび生産が減少すると、肥料、農具など資材供給部門の生産に影響し (一次波及効果)、さらに各部門の生産減少は雇用者所得の減少を通して消費の減退を引きおこす (二次波及効果)。しかし、それだけではなく、さとうきびの生産が粗糖の生産を誘発するという波及 (後方波及) 効果がある。粗糖の生産が誘発されると、さとうきび以外の原料、粗糖生産に関連するサービス業及び製糖工場の雇用者所得が誘発され、次々に生産誘発の循環が発生する。したがって、波及効果はさとうきびプラス粗糖の合計でみるのが妥当である。
1990年鹿児島県産業連関表の分析によると、一次波及効果3.24倍、二次波及効果0.73倍、両者を合わせた総波及効果は3.97倍である。つまり、さとうきび1億円減産すると、キビ1億円減少、粗糖1.59億円減少、その他 (肥料やトラック輸送さらに家計消費) を含めると3.97億円の県経済に影響が出る。波及効果の大きい部門は、キビ部門1億円と粗糖部門1.59億円を除くと、肥料643万円、農事サービス667万円、機械修理業529万円、運輸業・倉庫1,900万円、商業・不動産業2,900万円、金融保険1,000万円、公共サービス1,600万円などである。サービス業への影響が大きい点が注目される。もちろん、これは県経済全体における影響であって、離島地域においては、さとうきび生産の波及効果はもっと大きなものになろう (注:鹿児島県糖業振興協会報告書〈2001年10月〉による)。