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お菓子についてのアンケート調査から

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2002年5月]

 99年4月下旬に岡部講師が女子学生を対象に行った調査(本誌99年12月号掲載)では、「砂糖は何から作られるのか」 との問いに対し 「さとうきび」 や 「てん菜」 といった回答のほか、「うま味調味料」 「石油」 等との回答もあり、調査を実施した女子学生の間では、砂糖と原料である甘味資源作物について十分に理解れていないという実態が明らかになりました。今回は視点を変えて、砂糖を用いたお菓子を中心にその嗜好調査を行い、前回の女子学生に加え、男子学生と学生の母親を対象に加えました。それによると、学生は男子・女子を問わずプリンやアイスクリームなど甘い菓子を支持する傾向が強く、母親は甘い菓子より、せんべい類が好きといった結果となるなど、世代間格差を感じさせる結果となったようです。

滋賀大学名誉教授 金城学院大学講師 岡部 昭二


はじめに
I 結果と考察
 1.好きな菓子の支持率    2.好きな菓子の上位3位
 3.砂糖の入っている菓子は好きか 4.嫌いな菓子
 5.購買頻度 6.購買動機
 7.購入する店 8.お菓子を食べるとき
 9.一緒に食べる相手 10.お菓子と同時に摂る飲料
 11.昔ながらの駄菓子に対する興味 12.季節につながるお菓子



 過去3年間に、女子大学生の砂糖についての意識と行動調査を実施してきたが、これまでの結果を見ると、砂糖と健康に関する俗説を信じている学生は、当初予期していたものよりは少なかった。
 過去に行った調査は、砂糖は何から作るか、砂糖を摂ると太るか、紅茶やコーヒーに砂糖をどの程度入れるか等の項目について行った。
 興味ある結果を2〜3挙げると、砂糖の原料を訊ねる問い(重複回答)には、「さとうきび」 との答えは、94.8%、てん菜(ビート)37.5%と正解者は圧倒的に多かったものの、なかには、「うま味調味料」 15.2%、「甘草」 10.6%、さらには、「石油」 と答えた人が0.6%あり、砂糖に関する正しい情報の提供の必要性も感じられた。
 一方、「カップ1杯のコーヒーや紅茶にお砂糖をどのくらい入れるか」 の問いには、「何も入れない」 36.4%が最も高率であった。その理由として、最も多かったのは 「おいしいから」 で半数に近かった。また、回答の多くを占めると思われた 「太るといやだから」 は2割に満たず、この点、予想に反してステロタイプの回答は得られなかった。
 そこで今回は視点を変え、お菓子に対する意識・行動について多面的に調査を行うこととし、調査対象も女子大学生に加えて、男子大学生と学生の母親についても同時に行った。以下は結果の概要である。

 調査時期    平成13年4月下旬
 調査対象 女子大学生
男子大学生
学生の母親
合計
195名
58名
124名
377名



1.好きな菓子の支持率
  第1位 第2位 第3位
女子学生 プリン類 (95%) アイスクリーム (91%) チョコレート (84%)
男子学生 アイスクリーム (81%) シュークリーム (74%) ショートケーキ (74%)
母 親 せんべい類 (68%) チョコレート (64%) シュークリーム (60%)

 アンケートの中で24種のお菓子の中から好きなお菓子をいくつでも選べる事ができるとした問いで、女子学生に最も支持が高かったのはプリン(95%)で、以下アイスクリーム(91%)、チョコレート(84%)の順となっている。男子学生はアイスクリーム(81%)、シュークリーム(74%)、ショートケーキ(74%)の順で、母親は、せんべい類(68%)、チョコレート(64%)、シュークリーム(60%)の順となった。
 好きなお菓子の支持率のうち女子学生が男子学生より大幅に高かったものは、プリン類とクッキーの2つであった。反面ほとんど差が見られなかったのは、アイスクリーム、ババロア、ワッフルであった。逆に男子学生の支持率が女子学生を大きく上回る菓子はなかった。反面わずかであるが男子学生の支持率が女子学生を上回った菓子は饅頭だけで、このことから、女子学生は男子学生よりも菓子好きであるが中でも洋菓子の嗜好が強いといえる。
 次に、女子学生と母親とを比較すると、女子学生のほうが大差で好きなものは、飴玉・キャンデー、アイスクリーム、シュークリーム、ショートケーキ、ドーナツ、プリン類、ワッフル、クッキー、クラッカー、スナック菓子、チューインガム、錠菓、チョコレートと13種類もあり、女子学生の 「菓子好き」 が結果によく現れている。内容としては、幼い時から親しんできたチューインガム・錠菓と、洋菓子類との2つから成るといえよう。



2.好きな菓子の上位3位
 この問いでは、第1位を3点、第2位を2点、第3位を1点として集計した。次に示す( )内の数字は、集計数が対象者数と一致したときを1としている。言い換えれば、対象者のすべてが第3位と回答したと仮定したときを1としている。

  第1位 第2位 第3位
女子学生 アイスクリーム (1.17) チョコレート (1.03) ショートケーキ、クラッカー (0.64)
男子学生 アイスクリーム (0.86) チョコレート (0.67) ショートケーキ (0.60)
母 親 ショートケーキ (0.67) せんべい類 (0.66) チョコレート (0.61)

 上記の結果からは、女子学生と男子学生の傾向は同じといえよう。母親ではせんべいが第2位になっている点が特徴的である。
 しかし、調査対象とした3者のうち2者間の差を調べると、少し違った結果が読みとれる。女子学生が好きなもののうちと男子学生との間に大差が認められたものは、アイスクリーム、チューインガム、チョコレートの3つで、逆に男子の好きなもののうち女子を上回ったのは、今川焼きだけであった。女子学生と母親との比較では、女子学生のほうが好きなもののうち母親を大きく上回っているのは、アイスクリーム、プリン類、スナック菓子で、母親のほうが好きなもののうち女子学生を大きく上回っているのは、今川焼き、饅頭、もなか、豆菓子、せんべいの5つで、すべて和菓子であることが特徴的であった。なお、業界では、洋生菓子、チョコレート、せんべい類をもって御三家といい、以前から良く売れる菓子として認知されているところであるが、今回のアンケートにおける母親はこれら御三家すべてが含まれていることも興味深い。



3.砂糖の入っている菓子は好きか
 女子学生と男子学生とは傾向が同じで、第1位は 「好き」 で各51%、54%、第2位は 「種類による」 で各43%、41%であった。母親については 「種類による」 が最も多く50%、次いで、「好き」 の39%であった。



4.嫌いな菓子
 女子学生の嫌いな菓子の第4位は、かりん糖と豆菓子であることから、1.の好きな菓子と、この設問の嫌いな菓子については、何れも男子学生と酷似している結果が得られた。これに対して、母親の嫌いな菓子は、幼い子供が嘗める菓子類や、若い学生に人気のあるスナック菓子というように大きく異なっていた。

  第1位 第2位 第3位
女子学生 ういろう (22%) ようかん (19%) もなか (18%)
男子学生 もなか (17%) かりん糖 (17%) ようかん (14%)
母 親 錠菓 (19%) 飴玉・キャンデー (15%) スナック菓子 (15%)



5.購買頻度
 購入する回数が多いお菓子の順位を訊ね、2.と同様に第1位を3点、第2位を2点、第3位を1点とし、点数の合計が人数と一致したときを1として、基準に採ると以下のようになる。

  第1位 第2位 第3位
女子学生 チョコレート (1.11) アイスクリーム (0.98) スナック菓子 (0.73)
男子学生 スナック菓子 (1.28) チョコレート (0.83) アイスクリーム (0.71)
母 親 チョコレート (0.96) せんべい類 (0.78) 菓子パン (0.60)

 女子学生、男子学生ともに第4位がプリンで、各々0.53、0.57であることから、女子学生と男子学生とは著しく似ているといえよう。 これに対し母親については、チョコレート以外について、種類が異なっていることが分かる。
 次に女子学生と男子学生とで購入頻度に大きな差があったのは、女子学生のアイスクリーム、男子学生の今川焼きとスナック菓子であった。



6.購買動機
 女子学生は、テレビのCM、友達、その他。男子学生は、その他、テレビのCM、友達。母親はテレビのCM、専門店、その他の順であった。その他の内容の多くは、現物を見て買うというものであった。大差がみられるのは、女子学生はテレビのCM、男子学生はその他であった。女子学生と母親では、女子学生はテレビのCMと友達が多く、母親は専門店とその他が多かった。



7.購入する店

 女子学生、男子学生とも、コンビニエンスストア、スーパーの順であるが、母親はスーパー、専門店、デパートの順で母親はコンビニエンスストアが少なく、スーパーで様々な買い物がてら菓子も買うという状況のようである。大差のある項目については、女子学生と男子学生間には無いが、女子学生と母親との比較では、女子学生はコンビニエンスストアが多く、母親はスーパーと専門店が多かった。



8.お菓子を食べるとき
 3者とも間食が圧倒的に多く女子学生、男子学生、母親は、各86%、62%、72%であった。第2位は男女学生とも、テレビを見ながらであるが、母親は 「ホッとしたとき」 となっている。さらに女子学生が母親に比べ 「テレビを見ながら」 が多く逆に母親に多かったのは 「ホッとしたとき」 であった。なお、女子学生と男子学生間には大差は認められなかった。



9.一緒に食べる相手
 何れも第1位は 「1人で」 で女子学生、男子学生、母親各81%、84%、66%で、その他の項目で半数に達したものは、順に女子学生の 「女性の友達と」 71%、「親と」 63%、「兄弟姉妹」 50%であり、母親は 「その他」 の56%だけであった。なお、その他の内容は、家族で食べるが最も多く、次は娘や夫となっている。女子学生が男子学生より多いものは、「兄弟姉妹」、「親と」、「女性の友達と」 で、逆に男子学生のほうが多いものは 「1人で」 だった。次に女子学生と母親では、「兄弟姉妹」、「親と」、「男性の友人と」、「女性の友人と」 が女子学生に多く、母親が多かったのは 「その他」 であり、これは家族団らんで菓子を楽しんでいる内容であった。



10.お菓子と同時に摂る飲料
 過半数のものは、女子学生の 「お茶」 66%、「ウーロン茶」 52%、男子学生の 「お茶」 72%、母親の 「お茶」 77%だけである。なお、興味深いのは、女子学生、男子学生とも 「紅茶」 が45%、46%と 「コーヒー」 を上回っていた。(コーヒーは女子学生25%、男子学生30%)。また、ジュース類は女子学生39%、男子学生46%とともに第2位であるのに対し、母親は、わずか6.5%に過ぎなかった。この設問に対し、男女学生間には大差はなかったが、女子学生と母親とを比べると、女子学生は、「紅茶」 と 「ジュース類」 が多く、母親は 「コーヒー」 が多かった。



11.昔ながらの駄菓子に対する興味
 女子学生は75%、男子学生は79%でともに第1位であったが、母親は第1位が 「どちらでもない」 39%、「興味がある」 38%と大きく相違した。従って学生と男子学生との間では大差なく、学生と母親を対比すると、「興味がある」 は学生が多く、「興味がない」 と 「どちらでもない」 が母親に多かった。



12.季節につながるお菓子
 実際に書いた者は、女子学生は85%、男子学生は69%、母親は59%であった。

 以上、今回の結果を総括すると、男子学生における嗜好品の支持率等は品目ごとに比較的差は少なかったのに対し、女子学生においては突出した支持を受ける傾向があったものの、お菓子に対する意識・行動は女子学生と男子学生の間に大きな差はなかった。母親については、多くの回答で学生との世代間格差を感じさせる違いがあることが分かった。


「今月の視点」 
2002年5月 
お菓子についてのアンケート調査から
 滋賀大学名誉教授 金城学院大学講師 岡部 昭二


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