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平成15年てん菜生産振興方針〜北海道〜

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最終更新日:2010年3月6日


1 北海道農業の概要

北海道地図
(1) 北海道の農業
 北海道の本格的な開拓の歴史は、明治2年(1869年)の北海道開拓使の設置に始まり、以来130年が経過しました。この間、寒冷で積雪期間が長いなど、厳しい気象条件のもと、欧米の近代的な農業技術の導入や火山灰、泥炭等の特殊土壌の改良等が進められ、今日では、生産性の高い農業が展開される我が国最大の食料供給地域となっています。

(2) 地域ごとに特色ある農業
 本道の総土地面積は東北6県に新潟県を加えた面積より大きく、地形的にも大きな広がりを持ち、気象や立地条件が地域によって異なることから、それぞれの地域ごとに特色のある農業が展開されています。
 道南地域では温暖な気候を活かして、野菜や米を中心に、馬鈴しょ・豆類などの畑作物を加えた集約的な農業が営まれ、道央地域では水資源が豊富で夏季に比較的高温となることから、米や野菜等を主体とした農業が展開されております。
 また、道東北地方では広大な農地を活かし、EU諸国の水準に匹敵する大規模で機械化された畑作や酪農が営まれてます。

(3) 本道農業の特徴
 本道では、恵まれた土地資源を活かし、大規模で専業的な農家を主体とする農業が展開され、14年の本道の1戸当たりの耕地面積は16.9haと、都府県平均1.2haの13.7倍の規模となっている。
 また、販売農家では、基幹的農業従事者に占める50歳未満の割合が都府県の14.2%を大幅に上回る38.2%となっており、本道農業は比較的若い専業的農家によって農業生産の多くが担われています。
 本道は、我が国最大の食料供給地域といわれるように、多くの農産物が都道府県別で全国一の生産量をあげています。
 14年の生産量では、水稲の全国シェアが6.5%で新潟に次ぐ第2位となりましたが、畑作物では、全量が北海道で生産されているてん菜をはじめ、いんげん、小豆、馬鈴しょ、小麦、大豆等が全国1位となっています。野菜については、たまねぎ、かぼちゃ、スイ−トコ−ン、にんじん、だいこんなどが国内最大の産地となっています。
 13年の農業算出額は、耕種部門では、麦の作付拡大や作柄が前年を上回ったこと、てん菜の生産量増加と糖度上昇により増加したものの、米の作付面積縮小と価格低下に加え、いも・豆類・野菜の価格が低下したことから前年を下回る5,715億円(対前年比97.7%)となりました。
 この結果、本道の農業算出額は1兆457億円となり、前年とほぼ同様(前年対比99.1%)となりましたが、全国に占めるシェアは11.7%と前年を0.3ポイント上回りました。
 作目別の構成比についてその推移をみると、耕種部門については、米のシェアが40年に比較しておよそ1/3の13.5%に低下している一方で、野菜と花きの生産が大幅に拡大していますが、近年は横ばい傾向にあります。
 本道においても、道内総生産に占める農業の割合は低下傾向にありますが、全国の2倍を上回る2.3%と、農業のウェイトが高くなっています。
 農業は、肥料・飼料等の生産資材や農業機械、農産物を原料とする食品加工、運輸・流通等広範な産業と密接に結び付いています。特に乳製品、砂糖、でん粉等の製造業は、地域経済を支える基幹産業として、本道経済に重要な地位を占めています。
 道内の産業別製造品出荷額等をみると、食品工業(食料品製造業及び飲料・たばこ・飼料製造業)の割合が全国に比べて非常に高く、13年は全体の32.8%を占めており、全国の8.2%に比べ24.6ポイント高くなっています。
本道と都府県の経営規模等の比較(14年)
区 分 単位
北海道(A) 都府県(B) (A)/(B)
耕地面積(一戸当たり) ha 16.9 1.2 13.7
基幹的農業従事者(販売農家)
のうち50歳未満の割合
38.2 14.2 2.7
資料:農林水産省「耕地及び作付面積調査」「農業構造動態調査」
生産量が全国1位の農作物の本道シェア(14年)
農作物の本道シェア
資料:農林水産省「作物統計」
注:1)( )内は全国の生産量、2)馬齢しょ、野菜は13年の数値
農業産出額の推移(北海道)
農業産出額の推移
資料:農林水産省「生産農業所得統計」
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2 てん菜の栽培について

 北海道農業にとって、てん菜は単に寒冷地に適した農作物としてではなく、北海道畑作を維持する輪作体系にとって欠かせない基幹的な畑作物であるとともに、我が国の重要な甘味資源作物でもあります。
 てん菜が日本で最初に栽培されたのは、明治3年(1870年)に、内務省勧農局が西洋作物種子導入政策により、海外から取り寄せたてん菜の種子を東京府開墾局で栽培を試みたのが始まりで、北海道では明治4年に北海道開拓使の札幌官園で栽培試作したのが始まりです。

(1) てん菜栽培の現状
 てん菜は北海道のいたる地域で生産されてますが、道東に位置する十勝及び網走地域が主産地であり、この2地域で全体の約85%を生産しています。  十勝では主に麦類・豆類・馬鈴しょ(春植えジャガイモ)との4品による輪作体系で栽培されており、一方、網走では麦類・馬鈴しょとの3品で輪作されていますが、近年は緑肥を導入して地力向上に努めているほか、十勝ではスイートコーンや葉茎菜類、網走では玉ねぎ等との複合経営が図られております。
ア 作付面積
 平成11年まで7万ha前後の作付けでしたが、12年から湿害・病害の発生による収益性の悪化から減少傾向となり、13年には66,000haに減少し、14年も横ばいの66,600haで、生産者団体が設定する作付指標面積を下回ってましたが、15年産は作付指標面積(68,000ha)程度に回復する見込みです。
てん菜の作付面積と生産量の推移
てん菜の作付面積と生産量の推移
イ ヘクタール当たり収量
 ha当たりの収量は、病虫害の発生程度や気象要因にも大きく左右されており、近年は47〜62トンで推移してます。
ウ 生産量
 近年の生産量は、10年では416万トン、14年には410万トンと、400万トン台を超えたものの、平均では約380万トン前後で推移しています。
エ 根中糖分
 10〜12年には、夏場の高温や病害等の多発により低糖度でしたが、13年・14年と2年連続で高糖度となりました。
ha当たり単収と根中糖分の推移
ha当たり単収と根中糖分の推移
オ 作付戸数
 昭和50年(1975年)には21,852戸が作付けされ、平成4年では15,965戸、14年には10,463戸に減少しており、10年間で約5,500戸減少しています。
カ 1戸当たり作付面積
 1戸当たり作付面積は年々増加しており、平成4年では1戸当たり4.4ha、9年には5.5haでしたが、14年には6.4haと、5年間で約1ha増加しており、主産地である十勝・網走は7ha台ですが、道央・道南は4ha弱です。
作付戸数と1戸当たり作付面積の推移
作付戸数と1戸当たり作付面積の推移
キ 10a当たり生産費・労働時間
 近年の生産費は、湿害や病害虫などの多発年が多かったことから薬剤や肥料などの資材費がかかったため、物財費が増え、収益性も変動が大きかったものの、13年産は粗収益が10万円を超え、所得も4万円台に回復し、また、投下労働時間は高性能作業機械などの普及などにより減少傾向にあります。
ク 直播栽培面積
 省力化栽培技術である直播栽培は、転作地帯や大規模畑作経営で、その栽培を取り入れるなど増加傾向にあるが、移植栽培に比べて収量が下回ることや、初期生育の段階で、風霜等による被害を受けやすいことからその普及が伸び悩んでおり、農業試験場では試験研究を実施して、栽培技術体系の確立に向けて取り組んでおります。
10ha当たり生産費(全算入)と10a当たり粗収益の推移
10ha当たり生産費(全算入)と10a当たり粗収益の推移
10a当たり労働時間(移植栽培)と直播栽培面積の推移
10a当たり労働時間(移植栽培)と直播栽培面積の推移
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3 15年産てん菜の生産振興

 本道の畑作は、輪作を基本としながら品質の向上や生産コストの低減等に、生産者をはじめ農業関係者挙げて取り組んできていますが、近年、担い手の減少や高齢化、畑作物価格の低迷や各種調製品等の輸入増加に伴う需給の緩和、更には「食」に対する消費者の不信感の高まりなど、厳しい状況に直面してます。
 このような状況に対応し、本道畑作の持続的な発展を図るためには、需要の動向を踏まえた計画的な作付けを進めるとともに、消費者の安全・安心志向や環境と調和した農業への社会的ニーズに応えるクリーン農業の一層の普及・定着に努める必要があります。
 このため、地域の営農条件に即した適正な輪作体系の確立を基本に、心土破砕・暗きょなど土地基盤の整備や緑肥作物の導入、畜産部門との有機的な連携などによる地力の維持増進、地域の協力による生産のシステム化、省力化技術・省力的生産方式の積極的な導入、栽培履歴の整備等による安全性の確保、地域独自の販売戦略の構築などに関係者を挙げて取り組むことが重要です。

(1) てん菜の作付指針
 本道の畑作輪作の維持・確立とともに、てん菜糖業の安定操業を図るため、生産努力目標に示された7万haを基本として、計画的な作付けのもと安定生産を推進する必要があります。
 平成15年産の作付面積については、生産者の作付意向並びに最近の砂糖の需給情勢等を考慮して68,000haとするとともに、品種別作付面積については、地域の気象及び土壌条件などに応じて「高収・高糖型」、「中間型」、「耐病性型」などの優良品種を導入し、一層の低コスト生産に向けた取り組みや低糖分・低収量地域における収益性の改善に努める必要がある。

平成15年産の品種別作付計画 (単位:ha)
品種名 13年産(実績) 14年産(実績) 15年産(計画)
作付面積 構成比 作付面積 構成比 作付面積 構成比
ハンナ 766.5 1.2% 534.1 0.8% 250 0.4%
サラ 370.1 10.6% 470.0 0.7% 220 0.3%
ストーク 1,220.0 1.9%
ユーデン 190.4 0.3%
シュベルト 44.0 0.1% 50.5 0.1%
フルーデン 3,239.6 4.9% 1,284.7 1.9% 1,575 2.3%
めぐみ 10,362.2 15.7% 10,461.7 15.7% 5,054 7.4%
カブトマル 1,093.2 1.7% 300.7 0.5%
アーベント 26,446.0 40.1% 23,636.0 35.5% 22,162 32.6%
モリーノ 1,098.0 1.7% 2,120.6 3.2% 2,853 4.2%
スコーネ 11,234.5 17.1% 7,427.8 11.2% 8,341 12.3%
のぞみ 4,597.3 7.0% 3,595.6 5.4% 4,260 6.3%
きたさやか 4,926.7 7.5% 7,811.8 11.7% 7,840 11.5%
スタウト 285.5 0.4% 3,899.4 5.9% 4,640 6.8%
えとぴりか 4,938.3 7.4% 10,715 15.8%
(北海83号) 90 0.1%
合 計 65,874.1 100.0% 66,531.0 100.0% 68,000 100.0%
注1) 合計はラウンドのため一致しない
注2) 北海83号の品種名は未定 (15年6月現在)

(2) てん菜の生産振興
 14年産は前年に続き作柄が良かったものの、根中糖分や収量に地域差が見られ、また、経営規模の拡大に伴いてん菜作付割合が減少している経営もあることから、作付指標面積を下回る結果となっているため、輪作体系を維持・確保するために作付確保を図るとともに、一層の低コスト生産に向けた取組みや低糖分・低収量地域における収益性の改善等に努める必要がある。
 このため、重点的な取組みとして、
A育苗・移植・収穫に係る共同作業や受委託など生産の組織化によるコストの削減
B心土破砕など土壌改善とともに耐病性品種の選択や適正な肥培管理等の基本技術の励行による安定生産
C直播栽培等の省力的な生産方式の導入
Dてん菜製糖工場の集荷製造経費の削減を図るための関係者の協同した取組みの推進に努めるものとする。
 また、これらの推進に当たっては、国費補助事業や道単独補助事業、砂糖生産振興事業(ビート産業合理化促進総合対策事業)などを活用し、高性能作業機械を導入して共同利用の促進に努めるほか、高齢化・担い手問題など、将来の大規模経営化に対応するためにコントラクター組織設立促進や運営への支援、低糖分・低収量地域での土壌改善促進を図るための土壌改良機材の導入による基盤整備、優良種子の導入試験を始め栽培技術・防除方法の更なる改善に向けた試験研究の推進や多畦・自走式ハーベスターの開発、直播栽培技術に関する総合実証展示ほの設置や、直播栽培経営事例集の作成などを行い、直播栽培の一層の普及に努める。
 なお、循環型社会の構築を図ることも含め、製糖工場の副産物であるライムケーキが、炭カル資材の代替品として活用可能であることから、その専用散布機械等の導入を促進し、生産コスト低減に資する取組みを始めることとしている。
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4 おわりに

 近年、てん菜を巡る情勢は厳しくなっており、「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」に基づく「関係者による協同した取組み」の推進には様々な困難が伴いますが、これはやり遂げなければならない課題であり、また、WTO新ラウンド農業交渉に見られるように、農業分野の国際化に向けた市場開放が迫られてますが、今後も、的確な課題及びその解決手段の把握に努めるとともに、北海道畑作の持続的な発展に欠かせないてん菜の安定した生産体制を推進するため、関係機関・団体等と連携した、着実かつ効果的な取組みの実施が重要であると考えています。
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「今月の視点」 
2003年8月 
海外でのサトウキビ研究〜ISSCT第7回育種・遺伝資源ワークショップ〜
 九州沖縄農業研究センター さとうきび育種研究室長 杉本 明
 国際農林水産業研究センター沖縄支所 育種素材開発研究室長 松岡 誠
 農業生物資源研究所 遺伝資源研究グループ 遺伝子多様性研究チーム長 門脇光一

【てん菜生産地から】平成15年てん菜生産振興方針 〜 北海道 〜
 北海道農政部農産園芸課


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