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年頭に当たって:新年のごあいさつ[2007年]

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[2007年1月]


独立行政法人農畜産業振興機構
理事長   木下 寛之

  明けましておめでとうございます。
 私、昨年9月、山本前理事長の後任として理事長に就任いたしました木下でございます。新年のごあいさつと併せて、就任のごあいさつを申し上げます。
 当機構は、わが国農業の大宗を占める畜産、野菜、砂糖、蚕糸の振興業務を担っておりますが、新年を迎え、理事長としてその重責にあらためて、身の引き締まる思いであります。
 前理事長と同様、ご支援、ご鞭撻いただきますようお願い申し上げます。
 さて、昨年の農業をめぐる情勢についてでありますが、まず、国際情勢についてみますと、世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンドは、昨年7月に交渉が一時中断されました。その後、WTO交渉の行方に影響を及ぼすとみられた米国中間選挙も11月に終了し、WTO事務局と各国により再開に向けた協議が行われている状況にあります。
 一方で、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)については、締結に向けた動きが非常に活発化しています。
 わが国も、シンガポール(平成14年11月発効)、メキシコ(平成17年4月発効)、マレーシア(平成18年7月発効)、フィリピン(平成18年9月両首脳署名)との間で協定を締結するとともに、タイ、チリ、インドネシアとの間でも同協定の締結につき大筋合意に至ったところです。また、韓国、アセアン全体、ブルネイ、GCC(湾岸協力理事会:サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、バーレーン、オマーン、カタールの6カ国)加盟国との交渉が行われており、ベトナム、インド、スイス、豪州との間でもFTAに向けた共同研究が進められました。
 特に、豪州とのEPAにつきましては、昨年12月に本交渉入りが両国首脳により決定されましたが、これまでのEPAとは異なり、日豪両国の生産力に相当の格差があり、国内農業への影響度合いが極めて大きいこと、豪州EPAが第三国との農林水産物貿易に与える影響も十分考慮する必要があることから、国内農業及び関連産業関係者より今後の動向に強い懸念が示されております。わが国は、食料安全保障の確保とあわせて、多面的機能の発揮を農業が持つ重要な役割とし、各国が持つそれぞれの事情を踏まえた上での多様な農業の共存の必要性を、国際交渉の場で訴えてきました。関係者よりこうした強い懸念が示されているのは、日豪EPA交渉の帰趨いかんによっては、このようなわが国の基本的な主張が崩れかねないという思いが関係者の間で共有されたからではないでしょうか。
 砂糖の国際価格については、原油価格の高騰に伴うバイオエタノール需要の増加、投機資金の流入、経済発展の著しい中国やインドなどにおける砂糖需要の増大、EUの補助金付き砂糖輸出の減少などさまざまな要因がからみあい、昨年前半は記録的な高値で推移しました。その後、気象条件に恵まれたこともあり、ブラジルやインドをはじめとするアジア諸国等の主要な生産国が砂糖の増産に転じたことにより、砂糖の国際需給は緩和傾向となったとみられ、価格は落ち着きを取り戻しています。
 しかしながら、上記のバイオエタノールの動向に加え、豪州の記録的な干ばつなど主要な生産国の異常気象の影響も懸念されており、今後の需給や価格の見通しは複雑になっています。
 当機構では、平成16年度から、こうした複雑化する砂糖の国際需給状況を的確に把握するため、海外での砂糖・エタノール関連の現地調査を実施するとともに、砂糖・エタノール関連の国際的なセミナーへの参加や主要国の関係団体の中心人物との情報交換を行い、これら調査結果を本誌と当機構のホームページに掲載するとともに、札幌、帯広、東京、大阪、福岡の各都市において報告会を行い、情報発信に努めたところです。
 本年も砂糖の国際需給に影響を与える様々な要因にかかる情報収集提供に力を入れて参る所存です。
 さて、本年は当機構の業務が大きく変わる年であります。昨年6月に「砂糖の価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律」が公布され、当機構は、平成19年度から、砂糖に加えでん粉についても輸入とうもろこし等の売買業務やでん粉原料用いも交付金の交付業務などを担うことになりました。
 また、砂糖につきましても、最低生産者価格が廃止され、当機構が甘味資源作物交付金の生産者への交付業務を行うなどこれまでの仕組みが大きく変更されました。
 当機構では、こうした新制度における業務に的確に対応するため、農林水産省をはじめ関係機関との協議を進めるとともに、システム開発などの準備を進めて参りました。さらに、昨年12月1日には鹿児島事務所開設準備室を設置し、新制度の周知活動や現地情報の収集を行っているところです。
 残された時間は多くありませんが、当機構に委ねられました新しい業務が円滑、かつ、確実に実施できるよう、最善の労力を払って参る所存です。
 改めて、皆様方のご支援、ご指導をお願い申し上げます。
 本年が皆様方にとって希望の持てる年となりますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。

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