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最終更新日:2010年3月6日
明けましておめでとうございます。
砂糖は、家庭用はもとより、菓子類・清涼飲料など多様な用途に使用され、国民の食生活上不可欠な品目ですが、一方で、国際的な取引商品でもあり、その海外相場は、世界の主要生産国の甘味資源作物の作柄に大きく影響を受けてきました。近年では、これに加え、ブラジルなどでさとうきびからバイオエタノール生産が行われていることを背景にして原油相場の影響を受けるようになり、また、投機資金の流入による影響が見られるようになっています。さらに、EUの制度改革をはじめとする各国の砂糖政策の動向にも大きく影響を受けています。
このような要因が絡み合い、一昨年の砂糖の海外相場は著しい高騰を記録しましたが、こうした相場の高騰を受け、昨年はインドや中国をはじめとする主要生産国が大幅に増産し、インドなどの在庫量が大幅に増加したため、一昨年の高騰から一転して10セント/ポンド前後で落ち着いて推移しました。特にインドは3年連続で増産し、2007/08年度には、ブラジルを抜いて世界一の砂糖生産国になると予測されています。
このように、砂糖の需給事情は様々な要因によって複雑に変化しており、今後とも世界の需給事情について、注視していくことが重要であると思われます。
当機構では、こうした状況を踏まえ、砂糖の国際需給の動向を把握するため、昨年、タイ・インド・南アフリカ・米国において、砂糖・バイオエタノール関連の現地調査を実施し、これらの調査結果を本誌とホームページに掲載するとともに、外部の幅広い関係者を対象に調査報告会を行ってまいりました。
さらに本年は、EUの制度改革、中国の消費状況など砂糖の国際需給に大きな影響を与える海外情勢について、精力的に情報の収集と提供を行うこととしております。
また、国際交渉の状況について見ますと、世界貿易機関(WTO)におけるモダリティ合意に向けた先進国と開発途上国などとの交渉が進められるとともに、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)に関しては、アジア諸国などを中心に締結に向けた動きが活発化していますが、わが国農業への影響度合いが極めて大きいと考えられる豪州とのEPA交渉が昨年から開始されており、交渉の動向が注目されるところです。
国内に目を移しますと、昨年は、砂糖に関する新たな経営安定対策が実施されるなど大きな節目の年となりました。
生産者に対しては、再生産の確保を可能とするための直接支払いが行われる一方、さとうきびの価格は、これまでの最低生産者価格から、生産者と製造事業者との契約により決定される仕組に移行し、生産者にはこれまで以上に需要に応じた生産が求められるようになるとともに、一定の要件に合致した生産者のみが直接支払いの対象となることから、担い手の育成に向けた地域の取組が一層重要となりました。
新制度の実施に当たって、当機構では、甘味資源作物交付金および国内産糖交付金の交付業務の円滑かつ的確な実施や輸入指定糖・異性化糖等に係る売買業務の利便性向上に向け、電算処理システムの構築など様々な準備を進めてきたところですが、昨年10月に無事新業務をスタートすることができました。これは、ひとえに関係者の皆様の多大なるご理解とご協力によるものと考えており、厚く御礼申し上げます。
また、生産の現場である鹿児島、沖縄両県においては、さとうきび増産や担い手育成に取り組んでおられるところですが、当機構は、さとうきび増産プロジェクトにおける経営基盤の強化、生産基盤の強化、技術対策などに必要な経費を補助するほか、本誌やホームページを通じて、これらに関する地域における取組を紹介するとともに、地域の関係者への情報提供や情報交換の場として、さとうきび・甘蔗糖関係検討会や地域情報交換会を開催してまいりました。
特に、昨年のさとうきび・甘蔗糖関係検討会は、生産現地である種子島において、両県の生産者をはじめ地域で増産・担い手育成に向けた取組に携わっている方々の出席を得て開催し、生産者の皆様が、自らの取組や抱える問題を提示した上で議論を行いましたが、このことは、今後の各地域における取組を推進する上で有益であったのではないかと思います。
本年も引き続き、生産現場におけるさとうきび増産・担い手育成に向けた取組に資するよう情報の収集と提供に努めてまいる所存です。
当機構は、平成15年10月に独立行政法人として発足し、今日に至るまで皆様をはじめ関係各位のご協力により、順調な業務運営を図ることができたと考えております。
当機構といたしましては、今後とも、業務の効率化、透明性の確保を一層推進するとともに、農業および関連産業の健全な発展と国民の消費生活の安定に寄与してまいる所存でございます。
本年が皆様にとって希望の持てる年となりますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。
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