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お砂糖豆知識[2000年3月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識

[2000年3月]
●てん菜のあれこれ
●砂糖のあれこれ



てん菜のあれこれ

ビートの栽培(2)

(社)北海道てん菜協会 前専務理事 秦 光廣

〔移植は前年秋の土確保から〕
 ビート移植栽培は、作付けの前年から作業が始まります。夏から秋にかけて、翌年の育苗用土をビート作付け1ha当たり(以下単に「1ha」という)3.5トン程度確保し、殺菌消毒や酸度矯正を行い、堆肥や魚粕などを混合のうえ、雨水や融雪水の影響を受けないように保存します。
 雪の残る春早く、1ha当たりおおよそ50平方メートル程度のハウスを設置(秋のうちに設置して育苗土の保管場所を兼ねる場合も多い)します。紙筒は、長さ13cm、径2cmほどの細い紙の筒を、蜂の巣状に1,400本程を張り合わせたものが1冊で、1ha当たり60冊程度を用意します。
 播種作業には3月中旬前後から入ります。ハウスの中で土を篩(ふるい)にかけて肥料を混ぜ、土詰め機で紙筒に土を詰めますが、紙筒上部に突起板で1cmほどの穴を空け、播種板を使ってそこへ1粒ずつ種を蒔きます。播種が終わると覆土しますが、普通この土には肥料を入れず苗立枯病の防除薬剤を混入したものを使います。

〔苗の良否が作柄を左右〕
 育苗で大切なのは温度と水の管理ですが、ハウスの中とはいえ早春は冷え込みが厳しいので、さらにビニールトンネルをかけたり保温マットを使い、灌水も昼間の暖かいうちに温水を使うなど細心の注意を払います。
 俗に「苗8分」と、苗の出来不出来が作柄を8割方決めるという言葉がありますが、緑の濃いがっちりした苗に育てるため、発芽後は夜間の凍れと民間の過度の気温上昇に気を配り、灌水は控え目にして徒長(とちょう)を防ぎます。
 移植が近くなると、ハウス内の通気を良くして苗を外気温に慣らし、通常は移植の前日まで灌水をしません。移植前日の午後には、紙筒の底まで水が浸透するよう十分灌水し、翌日の移植に備えます。

〔座敷箒(ほうき)で頭を撫で、良い苗を〕
 徒長を防止し健苗を育てるための対策が3つあります。  1つは接触刺激で、苗に直接刺激を与えて移植前の葉の伸張を押さえます。一般的には座敷箒を使い1日に5〜6回20日間程度、苗を掃くように擦りますが、小さなローラーで苗の上を転がす場合もあります。苗が幼いうちは葉に傷を受けやすいとか、細菌病の苗があると伝搬しかねないなどの欠点もあります。
 2つ目はビニール敷で、苗床と紙筒の間にビニールを敷き、苗床から水分・養分などの補給を遮断する方法です。紙筒内の土が乾燥するため水分管理の難しさが欠点です。
 3つ目は根切りで、紙筒の底から出た根を切り養分などの吸収を絶つことで一時的に生育を止め、徒長を防ぎます。1冊ずつ苗を横移動することで根を切るため、「苗ずらし」と呼んでいます。苗ずらしは、紙筒内に残った根の張りが良くなり移植後の生育にプラスになるとも言われ、多数の農家が行っています。

〔荷積みと移送の重労働を苗の軽量化で〕
 40日を超える育苗を経て移植に入りますが、通常ゴールデンウィーク前段が最盛期です。
 たっぷり灌水した移植前の紙筒苗は1冊60kg程と重く、ハウス畑に運ぶ車に乗せたり、畑で移植機の上に移すのは大変な作業です。ほとんどの場合1冊3分割して取り扱い、このサイズの運搬箱も出回っていますが、上げ下ろしの回数は3倍に増えることになります。ちなみに作付面積が5haの農家では300冊を3分割して、苗床からトラックへ、トラックから作付ほ場へ、さらに移植機へと2,700回も20kgを上げ下ろしする勘定になり、植付けというメインの作業の陰に隠れてはいますがなかなかの重労働で、それぞれ軽減に工夫を凝らしているのが実態です。
 最近は、既存の紙筒を細くした小口径紙筒や長さを短くした短紙筒などにより、紙筒苗の軽量化や育苗面積の縮小、さらにこれらと組み合わせた短期育苗の技術についても研究が手掛けられ、一層の省力化が検討されています。

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砂糖のあれこれ

砂糖及び砂糖を使った製品の表示について

精糖工業会

 私たちの周りには、たくさんの砂糖製品、また砂糖を使った製品があります。一般消費者がこれらを選択する場合に、重要となるのが「表示」です。
 では、砂糖の表示については、どのような決まりがあるのでしょうか。

砂糖そのものの製品の場合
1)食品衛生法上の規定
 食品の表示については、食品衛生法施行規則第5条に規定があり、具体的には、商品の名称・製造所の所在地及び製造者の氏名(法人の場合は法人名)・消費期限または品質保持期限を示す年月日などを記載することが義務付けられています。
 このことを砂糖に当てはめてみると、ご存知の通り、砂糖の場合は消費期限または品質保持期限については、品質が長期間安定していることから、同規則にあるような表示義務が法律上ありません。ですから、砂糖そのものの製品については
  (1)商品の名称
  (2)製造所の所在地及び製造者の氏名
の記載のみでよいということになります。
 では、「商品の名称」については、どのような規定があるのでしょうか。これについては、昭和54年11月8日付の厚生省環境衛生局長通知「食品衛生法に基づく表示について」に表示指導要領が定められています。それによれば、
●食品及び添加物の名称については、その内容を的確に表現し、かつ、社会通念上既に一般化したものを記載すること。
●名称中に主要原材料名を冠する場合は、主要原材料と一致しなければならない。
●名称に冠すべき主要な原材料を2種以上混合している場合には、1種類の原材料名のみを冠することは認めない。
●新製品等で業界内にあっても未だ名称が広く通用しない食品にあっては、社会通念的に内容がどんな食品であるかを判断できるものであれば、それを名称と認める。
などと記されています。この中の「その内容を的確に表現し、かつ、社会通念上既に一般化したもの」については、同通知別表2(別掲)の食品ごとの事例が記載されています。
 これを見ると、大分類、中分類、小分類の3つからなり、砂糖については大分類は「砂糖」、中分類も「砂糖」、小分類には「砂糖・上白糖・グラニュー糖…」など8つの事例があります。基本的には小分類の欄の記載を使用することが原則ですが、大分類・中分類の記載でも差し支えないということになっています。
 では例示以外の名称を使ってはいけないか、と言えば、決してそうではありません。食品の名称は時代とともに変わり、新しいものが加わり、使わなくなるものもあるのは当然のことです。ですから、昭和54年につくられた別掲の別表の内容も、本来であれば追加・場合によっては修正が行われて然るべきです。ただ、現実問題としてすべてのものに対応することは事実上不可能ですから、各食品メーカーは、新たな名称表示をしたい場合は、厚生省の表示に関する担当部署が個別に相談に応じているのが現状のようです。

2)JAS法上の規定
 また、上記の指導要領とは別に、食品の品質表示制度を規定しているものに「JAS規格」があります(前月号でご紹介しました)。
 前回も触れたように、現在は品質表示基準が設けられているのは、指定された64種ですが、本年4月1日の法改正により、一般消費者向けのすべての食品が対象となることになっています。
 現在の基準案では、表示については、(1)名称、(2)原材料名、(3)内容量、(4)賞味期限(品質保持期限)、(5)保存方法、(6)製造業者の氏名(または名称)及び住所、の6つを表示しなければならないこととなっています。ただし、砂糖そのものの製品についてみれば、この中で(2)については1種類のみの場合は省略できることになっていますし、(4)、(5)についても省略できる旨が記載されていますので、(1)の名称、(2)の内容量、(3)の製造業者の氏名(または名称)及び住所を記載すればよいことになります。

砂糖を使った食品について
 砂糖を使った菓子や飲料など、様々な食品の場合、原材料としての「砂糖」を記載する必要がありますが、この場合は、前述した表示指導要領「食品衛生法に基づく表示について」に基づいて表示することになります。ですから、別表の「大分類・中分類・小分類」を基本に考えればよいことになります。ですから、単に「砂糖」でもよいですし、糖種による特徴を出したければ「グラニュー糖」とか「三温糖」といった表示でもよいわけです。

 なお、今回ご紹介した表示は、あくまでも食品衛生法上の「食品の表示」であって、例えば、「シュガーレス」等の表示は同じく食品衛生法でも「栄養表示基準制度」で定められるものですし、商品のパッケージに記される広告的なキャッチコピーは全く別の範疇の話になりますから、お間違いのないようお願いします。

別表2 ○食品の部の例示
(注) 1)名称は、小分類の欄により記載することを原則とする。
  ただし、大分類名、中分類名をもって代えることも差し支えないものとする。
2)表中、( )内の字句は、名称と認めない。
3)この例示に示された以外のものについては、この例示に準じて表示する。
大分類 中分類 小分類 備 考
マーガリン マーガリン マーガリン  
ショートニング ショートニング ショートニング
酒精飲料 清酒 清酒
日本酒
・酒精飲料とは、酒精分1容量%以上を含有す
る飲料(溶解して酒精分1容量%以上を含有する飲料とすることができる粉末状のものを含む)という。
合成清酒 合成清酒
合成酒
合成日本酒
しょうちゅう しょうちゅう
いもしょうちゅう
あわもり
麦酒 ビール
生ビール
麦酒
果実酒 果実酒
甘味果実酒
ぶどう酒
ワイン
シャンパン
シェリー酒
ウイスキー ウイスキー
スコッチウイスキー
ブランデー ブランデー
コニャック
スピリット スピリット
火酒
ウォッカ
ジン
ラム


( 中 略 )

氷菓 氷菓 かき氷
アイス
氷あずき
シャーベット
 
砂糖 砂糖 砂糖
上白糖
三温糖
白双糖
白砂糖
黒砂糖
グラニュー糖
シュガー
 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
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