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お砂糖豆知識[2000年11月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識

[2000年11月]
●てん菜のあれこれ  ●砂糖のあれこれ


てん菜のあれこれ

てん菜の取引制度

(社)北海道てん菜協会

糖分取引移行への推進経過 (2)
〔昭和61年産から糖分取引移行と決定〕
 糖分取引対策委員会は、前号で述べたとおり、糖分取引移行の目途を昭和60(1985)年として準備を進めてきたが、てん菜主産地での慎重論や糖分測定施設の準備の遅れなどもあり、移行体制の万全を期するため、1年先送りの方向で意見を取りまとめた。これを踏まえ、昭和60(1985)年2月の国、北海道、生産者団体、糖業者の首脳が農林水産省で会談し、昭和61(1986)年産てん菜から糖分取引に移行することが確認された。
 移行スケジュールの決定に伴い「糖分取引問題連絡協議会」において、実施に向けた具体的事項の協議が行われる一方で、生産者・糖業者それぞれの組織においても、測定システム、価格体系、推進体制等について、専門的な検討が精力的に重ねられるなど、着々と準備が進められた。

〔糖分測定施設を実演公開〕
 糖分測定システムについては、冷水浸出法による高精度の測定装置を各製糖所(8ヵ所)に設置することが意見が一致し、昭和59(1984)年に十勝農業試験場が導入していた同じシステムの施設による試験結果等を参考に測定要領の検討が進められたが、特に意見が分かれ難航したのは、測定装置の機種の統一とサンプル採取基準の設定であった。
 機種については、糖業者によって異なる機械で測定を行うのでは生産者の信頼を得られないとの意見が強く、ソーマシン(ブライ採取機械)と糖分分析装置については統一することとなった。また、サンプル採取点数については、できるだけ多くし、精度を高めるべきとの意見と、測定コストの抑制のため、30トンに1点程度で良いとする意見に分かれたが、新しい制度のスタートであり、生産者に不安を与えないことが重要との認識から20トン1点のサンプル採取を行うことで決着した。
 糖分測定システムの方針が決定したことから各糖業者は測定施設の設置を開始したが、生産者側から、いきなり実施では不安があるため、1年前にどこかでモデル実験を行うべきとの意見があり、ホクレン清水製糖工場にモデル実験施設が設置されることとなった。
 この施設は僅か3ヵ月間の突貫工事で昭和60(1985)年10月に完成し、11月から公開実演が開始されたが、全道から多くの視察者を迎え入れ、糖分取引に対する理解を得るうえで大きな役割を果たした。

〔基準糖分は点ではなく帯で決着〕
 昭和61(1986)年9月には、新たな取引制度の円滑な推進を図るための組織として、北海道てん菜協会が設立される等、糖分取引実施に向けた準備が着々と進み、残すのは、国が定める基準糖分、糖分格差等の価格体系の決定のみとなった。特に基準糖分については、最も核心的な事項として関係者の関心が高く、様々な意見が出されていた。
 こうした中で昭和61(1986)年10月に国が決定した価格体系において示された基準糖分は、16.3%〜16.9%の帯にするというものであった。(※その後、改訂され現在は16.7%〜17.0%)
 基準糖分を帯にすることについては、ほとんどの関係者が予想していなかったものであり、一部には帯が広すぎて糖分向上努力が正当に評価されないとの意見もあったが、大方は制度改正のスタートとして激変緩和に配慮したものと受け止められ新制度が混乱なくスタートできた大きな要因と考えられる。
 新たな価格体系の決定により、昭和44(1969)年に調査検討を開始した糖分取引制度は、多くの関係者の努力が実が結び、遂に実現することとなった。

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砂糖のあれこれ

精糖工業会の広報活動について

精糖工業会

 農畜産業振興事業団助成事業の「砂糖消費拡大推進事業」、お砂糖“真”時代協議会の活動など、砂糖についての啓発、PR活動には様々なチャネルができましたが、当精糖工業会においても、独自の広報活動を展開しています。
 精糖工業会には「調査広報委員会」という専門部会があります(現委員長は東洋精糖(株) 溝口社長)。お砂糖“真”時代協議会が発足するまでは、業界として唯一の広報チャネルとして活動してきました。
 啓発、PRと一口にいっても様々な手法があります。助成事業や“真”時代では、テレビやラジオ、新聞や雑誌といったマスメディアを通じ、広く一般消費者に訴求する方法を採っています。それに対し、精糖工業会では、学校の先生、栄養士、料理学校、保健所、消費者センターなど、一般消費者に大きく影響を与える層にターゲットを絞った活動が中心になっています。限られた予算の中で、より効率的に訴求するために、この層の人達に正しい知識を持っていただくことで、ひいては一般消費者に波及させることを目指しています。また、事実として、このような人達の砂糖に対する誤解はまだまだ少なくないのが現状といえるようです。
 活動の内容としては、それぞれの層に合致した出版物・制作物を作り、頒布する、言ってみれば「草の根的な」活動が中心になっています。例えば、学校関係であれば、授業で利用してもらえるような教材を作って各学校に無償頒布したり、栄養士関係であれば、砂糖の栄養面・健康面について記載したパンフレットを制作・頒布するといった具合です。
 例えば、今年度で言えば、学校の教師や生徒への訴求を目的として、学習用CD−ROMの頒布活動を行っています。
 当会では、小・中学校等、学校での教材用としてフィルム、ビデオを制作してきましたが、昨今のマルチメディア教育を勘案し、平成9年度に学習教材用CD−ROM「みんなでお砂糖大研究!」を制作しました。これは、小〜中学生を対象に、パソコン上でバーチャルな「お砂糖研究所」を見学することで、砂糖についての様々な知識が楽しみながら学べる構成になっているソフトで、平成10年度に試験頒布を行い、ご好評頂きました。
 そこで、今年度は教師用の学習指導書との教材パッケージにして再頒布を行います。2002年度から始まる「総合的学習の時間」に向けて、教材としての利用頻度を高め、砂糖の啓発につながることを目的としています。
 その他、栄養士関係に対しては、専門の月刊誌上で、砂糖についての基礎知識、健康上の問題や他の甘味料との違いに至るまでを解説したタイアップ記事の掲載、あるいは、保健婦、栄養士が集まる研修会で、砂糖と健康についてのパンフレットを配布するなど、それぞれのターゲットに向けた活動をバランス良く行うように努めています。
 平成10年に「砂糖を科学する会」が発足してからは、健康と砂糖の問題についてより広く研究されるようになり、助成事業で実施しているシンポジウムやフォーラムなどでは砂糖の新しいメリットについての研究発表がなされていますが、一方で、それ以前の砂糖の基礎的な知識でさえ、充分認識されていない方もまだまだ少なからずいらっしゃるように思われます。
 これに対しては、即効的な効果は難しいですが、地道ながらも繰り返し、粘り強く訴求を繰り返すことが不可欠と考えています。精糖工業会の広報活動はこの役割を務めることにより“真”時代や助成事業の活動を、今後も微力ながら下支えしていきたいと考えています。

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