てん菜の取引制度
(社)北海道てん菜協会
糖分取引の実施(2)
〔期待以上の品質向上〕
てん菜の取引制度について、前号まで糖分取引の調査検討から実施に至るまでの経緯について述べてきたが、最後にこれまでの実施結果を検証してみる。
下表は、糖分取引実施前の7年間と実施後の7年間、さらにその後昨年までの7年間に区分し、その平均を比較したものである。これをみるとha当たり収量がほとんど変わっていないのに対し、根中糖分は大幅に上昇している。このことは、糖分取引移行に当たり、高収性を維持しながら高糖分を達成することを目標に、関係者が一丸となって栽培技術の改善や品種の開発・導入に取り組んできた成果と思われ、株立本数や窒素肥量の大幅な改善にも表れている。
このような原料てん菜の品質向上に加え、原料の貯蔵技術や製糖技術の向上もあって、産糖歩留りは、これまでの14%台から一気に16%台に急上昇し、関係者の期待を上回る大きな効果を発揮した。
てん菜糖(白糖)の事業団買入価格は昭和60年の240,750円から平成11年には168,960円と約30%引き下げられているが、糖分取引によって、てん菜糖の効率的生産を加速できたことが、このような大幅な引き下げを可能にした要因の1つと思われる。
表 てん菜の根中糖分等の比較
取引制度 |
砂糖年度 |
ha当たり 収量(t) |
根中糖分 (%) |
産糖歩留 (%) |
ha当たり 産糖量(t) |
ha当たり 株立本数 (本) |
窒素施肥量 (kg/10a) |
重量取引 |
S54〜60 |
53.21 |
(16.5) |
14.64 |
7.77 |
6,450 |
19.3 |
糖分取引 |
S61〜H4 |
53.43 |
(17.2) |
16.75 |
8.87 |
6,919 |
16.8 |
H5〜H11 |
53.22 |
(17.1) |
16.91 |
8.90 |
6,864 |
17.2 |
|
注1)収量などは、7年間の最高・最低を除く5年平均
(株立本数、施肥量は7年間単純平均)
注2)重量取引の根中糖分は、糖分取引対策委員会調査の56〜59年の4年間の平均 |
〔近年伸び悩みの根中糖分〕
てん菜の品質は糖分取引移行直後から大幅に改善されたが、下表でも分かるように近年伸び悩みがみられる。根中糖分は、平成5年に最高の18%を記録したが、10年・11年は連続16.6%の低糖分に留まっており、また12年については16%を下回り6年に次ぐ低糖分となることが確実な状況となっている。
これは、近年の夏期の気象条件が高温・多雨であったことや気象条件に伴う病害虫の多発によるものと思われるが、低糖分の原因を解析し、今後の対策を構築する必要がある。
また、栽培技術の中でも最も重点的に取り組まれた窒素施肥量の低減については、昭和63年から16kg台に減少したものの平成7年から17kg台となり、10年からは17.6kgまで増加している。てん菜の品質・生産コストの両面から、百害あって一利なしと言われている無駄な窒素肥料多用の是正を再度徹底することが重要である。
〔一層のコスト低減を目指して〕
以上述べてきたように、てん菜の取引制度の改正は、てん菜の品質向上とてん菜糖生産の効率化に大きな成果を上げたが、最近のてん菜糖業を取り巻く情勢は、砂糖需要の減少や内外価格差の問題などから依然として厳しく一層のコスト低減が求められており、また、農家戸数の減少に伴う経営面積の拡大や高齢化などによる労働力不足に対応するために、省力化が重要な課題となっている。
現在、てん菜の生産面において、適切な施肥や防除など栽培技術の改善、直播栽培など省力栽培技術の確立、耐病性などに優れた優良品種の開発、緑肥作物の導入などによる他力維持及び輪作体系の強化などに取り組んでいるところであり、製糖面においても人件費の削減やライムケーキの再資源化の検討などコスト削減に努力を重ねている。
今後、こうした取り組みをさらに推進し、てん菜糖の一層の効率的な生産を実現するために、糖分取引移行以上に関係者が一丸となって取り組むことが極めて重要である。
「ベスト・オブ・シュガースウィーツ2000」の決定について
精糖工業会
砂糖8団体で構成される「お砂糖“真”時代協議会」(事務局:精糖工業会)では、平成12年度のキャンペーンの一環として、「ベスト・オブ・シュガースウィーツ」を選定、この程、各マスコミに向けて発表しました。
これは、今年最も話題となったシュガースウィーツ、つまり、お砂糖を使った甘いお菓子やデザートを選定する企画で、今年度進行している“シュガッチ”キャンペーンの活動の1つとして「お砂糖の話題作り」を目的に食雑誌「dancyu」と一緒に選定したものです。
選定方法及び選定基準等は、以下の要領で行われました。
○審査方法
1) dancyu読者から厳選されたモニター組織「dancyu100人委員会」に対し、2000年に話題となったスウィーツに関するアンケート調査を実施し、以下の8品をノミネートした。
・杏仁豆腐
・キャラメル系デザート
・シナモンロール
・生チョコレート
・なめらかプリン
・パールミルクティー
・マンゴープリン
・メロンパン
2) 上記のノミネート作品について最終審査会を実施、決定する。
○審査員 (敬称略)
審査委員長:
神田 久幸(dancyu編集長)
審査員:
溝口 徹(お砂糖“真”時代推進委員会委員長)
佐藤美恵子(お砂糖“真”時代ワーキンググループ委員)
信太 康代(お菓子研究家)
木下 明子(dancyu編集部)
○最終審査会
10月30日(月)午後2時より、精糖工業会会議室にて開催。
ノミネート作品を試食した上で以下の審査基準について、各審査員が上位3品を選定。その獲得ポイントに基づいて審査員全員で協議の上、総合的に判断した。
○審査基準
1) 話題性
2000年において、各メディアに取り上げられるなど、業界内外にかかわらず、社会的話題になったかどうか。
2) 浸透性
年代・性別にかかわらず、広く一般に認知があるかどうか。
3) お砂糖活用度
お砂糖の特性や甘さを生かし、お砂糖をきちんと使っているイメージがあるか。
4) おいしさ
年代・性別にかかわらず、親しまれる味わいであるかどうか。
2000年グランプリは「なめらかプリン」
最終審査会では、各審査員が各自の投票の後、それぞれの立場から感想が述べられ、和やかな雰囲気の中で審査が進められました。その結果、ノミネート作品の中で「シナモンロール」と「なめらかプリン」の2点が上位で拮抗し、最終協議の結果、「なめらかプリン」が今年度のグランプリに選出されました。「なめらかプリン」は、とろける食感が特徴で、洋菓子専門店のオリジナル商品を求めて行列ができたり、ファーストフード店やコンビニエンスストアの人気メニューになったりと、若い女性を中心に幅広い年齢層から親しまれています。
神田審査委員長のコメント
「食のトレンドは流れが速く、『シュガースウィーツ』も毎年新しいスターが生まれています。今日の消費者は『シュガースウィーツ』に“癒し”や“安らぎ”を求めていると言えるでしょう。『なめらかプリン』は、時代を超えて指示されるプリンの普遍性と、現代人が求める“癒し”や“安らぎ”を象徴するなめらかな食感のもつ今日性の二面性が相まった商品といえます。また、幅広い年齢層から愛され、食べるシチュエーションを選ばない親しみやすさも評価されました。」
なお、この結果については、12月上旬に各マスコミに対してプレスリリースを発信、dancyu1月号(12月発売)紙上及び朝日新聞・産経新聞紙上の“真”時代純広告でも紹介されました。また、日本テレビ系「ズームイン朝」(12月18日)でも取り上げられたほか、日刊スポーツ紙上(12月12日)などでも紹介記事が掲載されています。
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