ブドウ糖とインスリンの働き
糖尿病は遺伝的要素があれば発病する可能性が高いと言われています。その他肥満やストレスなどあらゆる環境の影響が重なって発病するようです。体内で正常にブドウ糖が利用でされず、それによって身体のあらゆる機能が低下する病気です。ブドウ糖は身体を動かす際のエネルギー源で、特に、脳では唯一のエネルギー源となります(注)。このように身体にとって大切なブドウ糖は、血液に溶け込み身体のすみずみまで運ばれます。この血液中に溶け込んでいるブドウ糖を 「血糖」 といいますが、この血糖の濃度を 「血糖値」 といい、この血糖値が正常な値に保たれている必要があります。この血糖値を調整するホルモンが人の体に備わっています。とくに血糖値を下げるホルモンがインスリンです。インスリンは血液中のブドウ糖を組織に取り込むための役割を果たしているため、インスリンが正常に作用しないと、筋肉や脳、脂肪細胞などにブドウ糖が取り込まれないこととなり、身体の各細胞内ではエネルギー不足となり影響が甚大です。そのためインスリンの働きが重要なのです。
糖尿病の2つのタイプ
糖尿病には2つのタイプがあります。
1つはインスリン依存型糖尿病(I型)といわれており、糖尿病の患者数のうち2〜3%といわれています。この型は、膵臓でインスリンを作っているランゲルハンス島のβ細胞がウイルス等の感染により破壊され、インスリンの産生、分泌ができなくなってしまうものです。この場合はインスリン注射が必要となってきます。
もう1つはインスリン非依存型糖尿病(II型)といわれており、この型の糖尿病患者数は全糖尿病患者数の80%とも90%ともいわれています。遺伝的要素の他、過食、運動不足などのため、肥満となり、糖の代謝が悪化するために起こるものです。インスリンは正常に分泌されるにもかかわらず、筋肉、肝臓、脂肪細胞など、糖を取り込み代謝する組織のインスリンに対する反応性が低下することによって起こるもので、どんなにインスリンを増産しても血糖値は下がらず、この状態が続くと膵臓が疲労してインスリン産生能力が徐々に低下してしまうものです。
砂糖の摂取が糖尿病を引き起こすか
このことから、糖尿病は遺伝的要素に加え、過食や運動不足等が重なり合って発症するのであり、決して砂糖の摂取が糖尿病の直接的な原因とはいえないのです。
また、FAO(国連食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)は 「砂糖摂取が子供の行動過多(Hyper Activity)や糖尿病に直接結びつくことはない。砂糖摂取が肥満を促進することはない。」 と宣言しています。
糖尿病は遺伝的要素のある人が、エネルギーの過剰摂取(食べすぎ)や運動不足により発症しやすくなるものです。バランス良い適度な食事と適度な運動が糖尿病の予防には大切なことです。