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お砂糖豆知識[2003年5月]

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最終更新日:2010年3月6日

ALIC砂糖類情報
お砂糖豆知識
[2003年5月]

お砂糖の疑問

精糖工業会

「砂糖の表示」(1)

今月号より、砂糖について数多く寄せられる疑問・質問について、基本的な知識も交えて、改めてご説明することになりました。
まず、今回から数回に渡って、昨今、消費者の間で特に関心の高い 「表示問題」 について取り上げます。

砂糖の表示と法律の関わり
 この数年間、食品業界にとって、BSE、食品の偽装表示、添加物の問題等、自らの商品への信頼性を大きく揺るがす出来事が続いています。
 特に、消費者にとって、当該食品についての唯一の情報源である 「表示」 については、法律上の罰則の強化を図る等、行政側もよりきめ細かい対応に乗り出しています。
 砂糖については、その品質の安定性から期限表示の義務もありませんし、精製糖の品質は、国際規格であるCodex規格に照らしてもトップレベルに位置しますから、その安全性について問題はありません。また、実際、砂糖そのものの品質による安全性に係わる事故は発生していません。
 しかし、「安全に食べられる」 ということに関する消費者の関心はことのほか高くなってきていますし、ユーザー等の反応も敏感になってきているようです。
 では、そもそも、砂糖の表示については、どのような法律が関わり、どんな規定があるのでしょうか。これは大きく分けて以下のようになります。
1) 「食品衛生法」上の食品の表示に係わる規定。
2) 「JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)」上の、食品品質表示に関する規定。
3) 「健康増進法」上の栄養表示基準制度に関する規定。
4) 「容器包装リサイクル法」上の、包装素材の識別表示。
 このうち、1)、2)については、まさに砂糖が食品として、世の中に流通するために必要な、基本的な表示について規定している法律です。そして、この2つの法律については、昨今の偽装表示問題を受け、政府で罰則強化や違反者の公表等、改正強化に取り組み、JAS法については昨年6月に改正、食品衛生法については現在、国会で改正法案が審議されています。
 3)は、いわゆる 「ノンシュガー」 や 「シュガーレス」 といった強調表示を行う際の要件を記載した法律(旧栄養改善法上の規定)です。砂糖製品の表示を直接規定するものではありませんが、この法律上の「糖類」の規定等、砂糖に深く係わり合いのあるものと言えます。
 4)は、家庭から排出されるゴミ(一般廃棄物)のうち、商品の容器や包装資材についての再商品化(リサイクル)について記載した法律です。この中で、消費者の分別排出を促すべく、識別表示(マーク)が義務付けられています。砂糖についても、小袋(プラスチック製容器包装)、スティック製品(紙製容器包装)等、消費者向け製品に表示が義務付けられています。
 それでは、個々の法律の規定についてみていきましょう。今回は 「食品衛生法」 の概略について述べます。

食品衛生法
 食品衛生法の表示の規定は、まさに食品表示の基礎と言えるものです。同法の第11条に 「表示の基準の設定等」 についての記載があり、これに基づき、食品衛生法施行規則第5条に 「表示の基準」 が規定され、さらに具体的な表示指導要領が、厚生省(当時)により通知として定められております。
 ここでは、食品を大きく12分野に分類し、それぞれに必要な表示事項が記されています。砂糖は、「容器包装に入れられた食品」 の中の 「その他の加工食品」 という分類に属します。
 「その他の加工食品」 が必要とされる表示事項は以下の (1)〜(6) です。
(1) 名 称
(2) 消費期限又は品質保持期限の年月日
(3) 製造者(加工者)の名称及び所在地
(4) 添加物を含む場合はその旨
(5) 保存方法(特に定められている場合)
(6) 使用方法(     〃     )

〜砂糖製品に当てはめると〜
 では、この (1)〜(6) を、砂糖に当てはめてみてみましょう。まず、(2) の消費期限(または品質保持期限)については、指導要領で 「その他の加工食品」 のうち 「缶詰、瓶詰、たる詰、つぼ詰以外の場合は省略できる」 とされています。
 また、(5)、(6) の 「特に定められる場合」 についても、通知上記載されており、砂糖は当てはまりませんので省略ができることになります。従って、砂糖について義務付けられる表示は、(1) 名称、(2) 製造者(加工者)の名称及び所在地、(3) 添加物を含む場合はその旨、の3点になります。
 次回は、それぞれの詳細について述べたいと思います。