お砂糖の疑問
精糖工業会
第4回 「砂糖の表示」 (4)
これまで、3回に渡り、砂糖製品の表示の基本について規定している「食品衛生法」、「JAS法」についてお話してきました。今回はその他、砂糖製品等に関係する2つの法律についてお話します。
時代の流れ〜「容器包装リサイクル法」
まずは「容器包装リサイクル法」です。この法律は、世界的に環境問題への取り組みが求められる中、最も身近なゴミ(廃棄物)のうち、消費者向け製品の容器包装排出物について、消費者の分別排出、自治体の分別収集、そして事業者のリサイクル責任を明確に規定したもので、平成7年に制定、平成9年4月より本格的に施行されました。
当初の対象はガラス製容器、ペットボトルでしたが、平成12年4月からはプラスチック製及び紙製容器も対象に加わりました。従って、砂糖製品についても、消費者向け製品である1kg 等の小袋製品(プラスチック製容器)やスティックシュガー等の豆袋製品(プラスチック製及び紙製容器)等がその対象になりました。
事業者のリサイクル義務については、(財)日本容器包装リサイクル協会に委託料金を支払うことで、リサイクル(再商品化)を委託する方法をとっていますが、それに加え、消費者の分別排出を促すため、包装容器の素材について、それが識別できるようなマークの表示が義務付けられ、プラスチック製及び紙製容器については、下記の図のようなマークを表示することが、今年の4月1日より本格的に施行されました。
食品の栄養表示基準制度〜「シュガーレス」の本当の意味
昨今、様々な食品で見られるようになった「シュガーレス」、「ノンシュガー」等の表示については、「健康増進法」にその基準が記載されています。これは、販売する食品に栄養成分やカロリー等の表示を行う場合(カルシウム100mg、ビタミンCレモン10個分、減塩、・・・)、の基準を示したもので、中でも、その内容が「高」、「低」、「減」など強調する表現の場合、従来は各メーカーが独自の判断で表示していたため、これらを統一すべく、平成7年、栄養改善法上でその基準値が定められました(栄養改善法は、昨年8月公布、今年5月より施行の「健康増進法」制定に伴い廃止され、本件に係る規定は、同法に移行されました)。
その基準値の一覧表は次の通りです。
食品の栄養表示基準制度の概要(施行:平成8年5月24日) |
1.販売する食品に栄養成分・熱量に関する表示をしようとする場合の、表示すべき事項及びその表示方法 |
|
ア |
|
熱量 |
キロカロリー(kcal) |
イ |
たんぱく質 |
グラム |
ウ |
脂質 |
グラム |
エ |
糖質 |
グラム |
オ |
ナトリウム |
ミリグラム |
カ |
栄養表示された栄養成分
(カルシウム、鉄、ナトリウムについては、1000ミリグラム以上の場合はグラム、 ビタミン類はミリグラム、但し、ビタミンDは国際単位) |
|
2.適切な摂取ができる旨の表示について遵守すべき基準値一覧表 |
|
さて、糖類についての表示については、「無、ゼロ、ノン」等の表示、つまり「無糖、シュガーゼロ、ノンシュガー」等の表示をする場合は、食品100g(飲料100ml)あたり0.5g未満、「微、低、カット」、つまり「微糖、低糖、シュガーカット」などの表示をする場合は食品100gあたり5g以下(飲料100mlあたり2.5g以下)であることが必要になります。
そして、この場合の「糖類」とは砂糖だけではありません。専門的に言うと単糖類と二糖類がこれに該当します。具体的にはブドウ糖、果糖、乳糖などもこの対象になりますので、これらの含有量が基準値を上回れば、「ノンシュガー」等の表示はできません。
ただし、よくみかける「砂糖不使用」の表示はこれらとは全く関係ない表示です。様々なアンケートでも、「シュガーレス」と「砂糖不使用」が同じ意味であると考えている方が多いようですが、「砂糖不使用」は砂糖さえ使っていなければいいわけで、他の糖類、先程挙げたブドウ糖や果糖などは全く関係ありませんので、注意が必要です。
また、「ノンシュガー」=「ノンカロリー」という認識も誤りです。一部の飲料等には、カロリーがほとんどないものもありますが、お菓子等では、他の栄養素(脂質、タンパク質)を使用していれば、当然カロリーがありますので、パッケージの表示を確認することが大切だと思います。
以上、4回に渡って、砂糖に関わる表示の問題についてお話してきました。食品の安全性への関心が高まっている昨今、砂糖について少しでもご理解頂ければ幸いです。