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キューバにおけるサトウキビ研究の現状

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最終更新日:2010年3月6日

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海外レポート
[2000年10月]
試験研究機関から
 キューバは、旧ソビエト連邦をはじめとする社会主義諸国の崩壊とアメリカ合衆国の経済封鎖によって減産傾向が続いています。しかし、キューバ農業にとってサトウキビは最も重要な作物であり、砂糖は国の輸出総額の8割を占めています。こうした主要産業だけにサトウキビに取り組む研究者、学生は非常に多いと言います。こうしたキューバにおける育種研究の概要について、農林水産省国際農林水産業研究センターの松岡室長に紹介していただきました。

農林水産省国際農林水産業研究センター沖縄支所
作物育種世代促進研究室長 松岡 誠


はじめに
キューバの地勢   キューバの歴史
サトウキビ栽培の概況
国立サトウキビ研究所におけるサトウキビ育種研究の概要
その他、 訪問した試験研究機関の概要
雑 感

はじめに

 1999年9月28日から10月11日までの約2週間、国際農林水産業研究センターの海外調査研究活動としてキューバに滞在し、同国のサトウキビ研究事情を調査する機会に恵まれた。カリブ海に浮かぶ島国キューバはサトウキビの世界的な大生産国であるにもかかわらず、同国のサトウキビに関する情報、特にサトウキビの試験研究については、わが国ではほとんど知られていない。そこで、この機会に同国のサトウキビ関連試験研究、主として育種分野(バイオテクノロジーと遺伝資源)の現状について紹介したい。

キューバの地勢

 キューバは、アメリカ合衆国フロリダ半島の南145kmのカリブ海に、東西に細長く横たわる島国である。島の全長は約1,200km、面積はわが国の本州の約半分で、カリブ海では最大の島である。国土のほとんどは平坦な平野や丘陵地であるが、島の東部には標高1,980mの最高峰を持つシエラ・マエストラ山脈がある。森林植生はこれら一部の山岳地帯にみられるだけで、平地はほぼサトウキビ畑、草地、果樹園などに利用されている。キューバは北回帰線の少し南、北緯19度から23.5度の間に位置している。気候は亜熱帯性海洋気候で年間平均気温は約25℃、1年を通して貿易風が吹くため夏も比較的しのぎやすい。表1には首都ハバナの気温と降水量を示した。気温が最も低いのは1〜2月で平均気温が22℃ほどと涼しい。乾期は11〜4月、雨期は5〜10月で、ハリケーンは9〜10月に多い。
 現在、キューバの人口は約1,100万人でそのうち約200万人が首都ハバナに住んでいる。人種の構成は白人系66%、黒人と混血が33%、残りの1%が中国系で、公用語はスペイン語である。

表1 キューバの首都ハバナの気温と降水量

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
気温(℃)
降水量(mm)
21.6
75.5
21.6
69.5
23.0
36.0
24.5
44.3
25.3
83.0
25.9
173.1
26.9
119.1
27.1
89.1
26.5
143.5
25.4
188.7
23.6
66.6
22.1
57.9
24.5
1,146.3
注) 表には月別平均気温と年平均気温(1961〜1984)、月別降水量と年降水量(1961〜1990)を示した。
  データは理科年表による。

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キューバの歴史

 キューバ島は1492年コロンブスの最初の航海で発見された。1514年には、スペイン人によってほぼ占領され、スペインの植民地となった。当時、島には先住民インディオが住んでいたが、過酷な植民地支配によってわずか1世紀の間に滅亡させられている。16世紀の後半からサトウキビとタバコの栽培が盛んになり、西インド諸島の中心として島は発展した。それと同時に不足する農場や製糖工場の労働力を補完するために、アフリカから大勢の黒人奴隷が連行された。その後、19世紀までスペインの植民地支配が続いたが、2度にわたる激しい独立戦争と製糖業に利権を持つアメリカ合衆国の干渉によって、1898年に独立が達成された。しかし、その後も国内の政情は安定せず、アメリカ合衆国の干渉が第2次世界大戦後まで続けられた。そして、1959年にカストロ首相に率いられた革命軍が政権を掌握した後、社会主義体制に移行し、現在に至っている。キューバはアメリカの利権と政治的な干渉を国内から排除し、実質的な独立をようやくこの時に手にしたと言える。しかし、その結果、今日までアメリカ合衆国から経済・貿易その他の封鎖を受けることとなり、国内経済は非常に厳しい状態が続いている。この苦しい状況を脱するために様々な施策がとられているが、海外からの観光客誘致(主としてカナダ、ヨーロッパ諸国)などは一定の成果をあげているようである。また、近年、日本ではキューバの音楽やダンスの愛好者が増加し、同国に対する関心が高くなってきている。

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サトウキビ栽培の概況

 キューバの農業においてサトウキビは最も重要な作物であり、砂糖は国の輸出総額の約8割を占めている。サトウキビと製糖産業によって成り立っている国と言っても過言ではないだろう。キューバが現在のようなサトウキビの大生産国となった理由としては、土壌、気象などがサトウキビ栽培に適していたことと、旧宗主国スペインやアメリカによって強力に進められた大規模プランテーションによるサトウキビのモノカルチャー(特定1種類の農作物を栽培すること)化が大きな要因として考えられる。
 表2には主要国のサトウキビ及び甘しゃ糖の生産量を示した。キューバの99/2000年度のサトウキビ生産量(4,078万トン)は世界第6位、砂糖生産量(420万トン)は第7位となっている。各国の砂糖(甘しゃ糖)輸出量を比較すると、1998年の年間輸出量は、ブラジルが824万トンで1位、次いでオーストラリアが469万トン、キューバは世界第3位の257万トンとなっている(表3)。キューバのサトウキビ作付面積は約130万ha、過去10年間で最も高い平均単収は55トン/haである。サトウキビの収穫期は11月から翌年の5月にかけて行われる。植え付けは、通常1月から4月、または7月から9月である(前者は南西諸島の春植、後者は夏植に近い)が、5月から6月にかけて植え付けて翌々年の収穫期に収穫するという在圃期間が18ヵ月以上に及ぶ作型もある。

表2 主要国のサトウキビおよび砂糖(甘しゃ糖)の生産量

(単位:1,000トン)
国名 生産期間 サトウキビ生産量
99/2000年
砂糖生産量(粗糖)
99/2000年
キューバ
メキシコ
ブラジル
タ イ
インド
中 国
オーストラリア
10月〜6月
11月〜9月
6月〜5月
11月〜6月
10月〜9月
10月〜5月
6月〜1月
40,780
43,365
176,978
53,179
166,278
68,428
40,600
4,200
5,037
20,789
5,800
18,500
6,763
5,600
注)データは本誌統計資料より抜粋

表3 主要な砂糖(甘しゃ糖)輸出国
(単位:1,000トン)
国名 砂糖輸出量(粗糖)
1998年
キューバ
ブラジル
タ イ
オーストラリア
南アフリカ
2,568.6
8,239.7
2,443.8
4,691.5
1,087.1
注)データは本誌統計資料より抜粋

 キューバのサトウキビ及び砂糖生産量は1980年代には現在の1.5倍近い水準であった。しかし、1990年代に入って減産傾向が続き、また、単位面積当たりの収量も低迷している。その最も大きな要因としては、1980年代末から1990年代初頭にかけての旧ソビエト連邦をはじめとする社会主義諸国の崩壊と、アメリカ合衆国による経済封鎖の強化がある。これらの社会主義諸国は、砂糖の輸出先として、また石油や機械、化学肥料など生産資材の輸入先国として、キューバと経済的に深く結びついていた。しかし、現在はこれらの国々のほとんどが経済的に困難な状況となっているため、キューバでは石油をはじめとする物資の不足が著しく、サトウキビの栽培から収穫、製糖工場への原料輸送などのあらゆる局面において生産効率が低下している。

サトウキビ畑と製糖工場
サトウキビ畑と製糖工場遠景
キューバには現在156の製糖工場がある。
サトウキビの機械収穫
サトウキビの機械収穫

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国立サトウキビ研究所における
サトウキビ育種研究の概要

 キューバにおけるサトウキビ研究の中心となっているのが国立サトウキビ研究所(INICA;Institute Nacional de Investigaciones Cane de Azucar)である。この研究所は1964年に創立され、キューバのサトウキビ育種研究の中心となっている。また、その他サトウキビ栽培に関連する多くの分野、土壌肥料、植物栄養、農業機械、灌漑排水、病害虫防除についての研究も行っている。さらに研究だけでなく、普及業務も行っているとのことであった。ハバナ市内にある研究所本部では、育種部門の責任者であるDr. Norge Bernal Liranzaに案内と説明を受けた。研究所の傘下には各州に1つのサトウキビ地域試験場(Estaciones Provincials)があり、さらに州ごとにいくつかの地域試験場の支場(Bloques Experimentales)がある(図1)。研究所本部には独自の研究施設、設備はほとんどなく、仕事は全国に散らばっている地域試験場の調整、総括である。育種目標の設定、品種の育成、品種の普及、種苗の増殖等についての計画は、すべてここで決定されている。また、遺伝資源の管理、運営についてもこの研究所の業務であり、海外との遺伝資源交換などの窓口もここである。またサトウキビ研究所は付属のサトウキビ防疫所(Estacion de Cuarentena)をフベントウ島(Juventud)に設置している。この島ではサトウキビの商業的な栽培がほとんど行われておらず、隔離栽培が容易なため、海外から導入したサトウキビ遺伝資源の検疫や、無病苗の増殖などを行っている。

キューバの主なサトウキビ関係試験研究機関(全国図)

 キューバのサトウキビ遺伝資源は主としてマタンサス州の地域試験場(Estacion Provincial de Investigaciones de la Cana de Azucar en Jovellanos)に保存されている。そして、一部のコレクションは、ラ・ハバナ州の地域農業試験場(Estacion Provincial de Investigaciones en el Central Hector Molina)にも重複保存されている。1990年の保存点数は2,575点で、内訳はSacchurum spp, hybrid(一般の品種、育種素材系統)が1,958点、Sacchurum spontaneum が50点、Sasshurum robustum が13点、Sacchurum officinarum が174点、Sacchurum sinense が16点、Sacchurum barberi が6点、その他各Sacchurum が種間のF1系統が345点となっている。1999年、現時点での保存点数は総数2,949点ということであった。この数字からも分かるように全体に占めるSacchurum spontaneum の点数が少なく、この部分を充実させたいと考えているようであった。この50点のSacchurum spontaneum の多くはキューバが1987年にラオスで収集したものである。これらのサトウキビ遺伝資源は、すでに主要な形質(主要な農業的特性、病虫害抵抗性等)については調査が終わっており、交配育種の材料として利用されている。今回、キューバの遺伝資源2,574点すべてについて詳細に記載した資料(スペイン語「Recursos Geneticos de la Cana de Azucar」:和訳「サトウキビ遺伝資源」)を入手した。また、キューバで栽培されている主要品種及び育成途上の優良な系統(約40)の来歴、特性について写真入りで詳細に記載した書籍(スペイン語「Variedades de Cana de Azucar, Uso y Manejo」:和訳「サトウキビ品種の利用と取扱方法」)も入手した。
Sancti Spiritus州地域農業試験場の圃場
Sancti Spiritus州地域農業試験場の圃場
育成中の系統
 キューバではサトウキビの主要な育種目標として、早期高糖性、耐塩・耐干性、排水不良土壌に対する抵抗性、黒穂病抵抗性、複数の病害に対するmultiple抵抗性等を掲げている。育種において中心的な役割を果たしているのはLa Habana、Matanzas、Camaguey、Holguinの4ヵ所にある地域試験場である。ここではサトウキビの交配育種に関する様々な研究、初期の選抜、遺伝資源の保存管理、原原種からの原種苗の生産を行っている。また、La Habana、Matanzas、Sancti Spiritus、Camaguey、Holguinの5ヵ所において、毎年、1,000〜1,500の組み合わせで交配が実施されている。この他、Pinar de Rio、Cienfuegos、Villa Clara、Sancti Spiritus、Ciego de Avila、Las Tunas、Granma、Santiago de Cuba、Guantanamoの9ヵ所の地域試験場では、選抜や系統適応試験、奨励品種決定試験、原種苗生産を行っている。
 キューバでは1930年までは、もっぱら海外から導入されたサトウキビ品種が栽培されていた。しかし、その後、次第に国産品種の開発と普及が進み、サトウキビ作付面積のうち国産品種の占める割合は1979年には36%に、1996年末には約92%まで増加してきている。表4にはキューバにおける品種の移り変わりを示した。1997年における主力品種はJa60-5 (早期高糖性、不良土壌でも生育は良。サトウキビモザイクウイルス、眼点病、葉焼病には抵抗性、さび病、黒穂病には感受性)で、全作付面積の40%を占めている。しかし、1つの品種が全作付面積の半分近くを占めるというのは、様々な意味において危険なことである。実際、キューバでは過去に病害(黒穂病)のため主力品種が大きなダメージを受け、砂糖の生産量が大きく落ち込んだ経験を持っている。そこで、病害虫の蔓延により大規模な被害を受ける危険を分散させるために、Ja60-5 については、その代替品種の普及を図り、品種の多様化を進めているということであった。

表4 キューバのサトウキビ品種の移り変わり

1943年 1979年 1993年 1997年
品種名 面積(%) 品種名 面積(%) 品種名 面積(%) 品種名 面積(%)
POJ2878
Cristalina
Co213
Co281
ML3-18
その他
51
24
5
4
2
14
B4362
Ja60-5
B42231
C87-51
CP52-43
ML3-18
POJ2878
その他
40
25
12
9
3
2
1
8
Ja60-5
C266-70
C120-78
C323-68
My5514
C87-51
CP52-43
C1051-73
その他
41.4
8.2
8.1
8.0
6.1
5.1
4.2
2.4
16.8
Ja60-5
C87-51
My5514
CP52-43
C323-68
Ja64-19
C266-70
C1057-73
C120-78
その他
40.0
6.5
6.0
6.0
11.0
2.0
6.0
4.0
7.5
11.0
注)データは「Recursos Geneticos de la Cana de Azucar」より抜粋。
品種の略号、POJはインドネシア、Coはインド、Bはバルバドス、CPはアメリカ、Cはキューバ、その他のML、Ja、Myもキューバ品種でそれぞれの育成地を示す。Cristalinaは古くからあるキューバ在来品種でS. Officinarum

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その他、 訪問した試験研究機関の概要

 キューバではバイオテクノロジー関連の研究に大きく力を注いでおり、農業分野においてもいろいろな成果が発表されつつある。つい先頃、キューバの生物工学研究センター(CIGB;Centro de Ingenieria Geneticay Biotecnologia)は、世界で初めてアグロバクテリウムを用いてサトウキビの形質転換に成功したことを報告している。そこで、あまり知られていない同国の農業分野におけるバイオテクノロジー利用の状況を調査するために、いくつかの試験研究機関を訪問した。
 生物工学研究センターは、その名の通り、キューバにおけるバイオテクノロジー研究の中心的な研究所で、研究スタッフだけでも700名以上の大所帯である。同研究所は広く医学、薬学から生物学にいたる様々な分野での基礎研究を行うと同時に、付属の工場において、開発された医薬品等の生産も行っている。ここでは主として植物分子育種部を訪問し、Arencibia博士に面会した。氏は同国のサトウキビのバイテク育種分野における中心的人物で、近年、特にサトウキビの形質転換についての論文をいくつか発表している。この研究所の施設、設備はキューバ国内の他の研究所と比較すると段違いに良く、実験用の機器も必要なものは最低限一式はそろっているという印象を受けた。また、福利厚生設備も充実しており、ここで仕事をしている研究者は、他の研究所よりも優遇されているということであった。話をした数人の研究者はそれぞれ、国外において数年間の研究、留学経験を持っていた。
 キューバではサトウキビの育種、種苗増殖の過程でバイオテクノロジー技術が盛んに利用されていた。特に、苗の増殖においては、不定芽培養による種苗大量増殖が国立サトウキビ研究所傘下のVilla Clara地域試験場内にあるBiofabricas(植物工場)で行われており、ここの年間種苗生産量は100万本か300万本ということであった。ここで生産された苗が各地の種苗増殖センターに送られ、そこでの増殖を経て一般の圃場で栽培される。このほか、さらに種苗の増殖効率を高めるために、サトウキビの不定胚培養系を利用しての種苗増殖や、人工種子生産の試みが、ラス・ビラス・セントラル大学植物バイテク研究所(Institute de Biotecnologia de las Plantas, Universidad Central de Las Villas)やシエゴ・デ・アビラ大学植物バイテク研究所(Centro de Bioplantas, Universidad de Ciego de Avila)で行われていた。また、培養により引き起こされるソマクローナル変異の育種利用(組織培養の過程で起こる突然変異を利用して新しい形質を持つ品種を作る方法で突然変異育種の1手法、 遺伝子組換えとは異なる)とDNAマーカーを利用した変異の遺伝学的解析(DNA多型検出技術を用いて変異の元となった遺伝子を明らかにする)が国立科学研究所(CENIC;Centro Nacional de Investigaciones Cientificas)、ハバナ大学生物学部(Facultad de Biologia Universidad de la Habana)により進められていた。その結果、キューバでは、すでにいくつかの有用な変異(さび病、黒穂病等の病害に対する抵抗性)を持つ個体が選抜され、品種として一般の圃場で栽培されている。変異作出の目標は、主としてさび病、黒穂病抵抗性、また耐干性、耐塩性ということであった。

Villa Clare州地域農業試験場の種苗圃
Villa Clare州地域農業試験場内の種苗圃
国立科学研究所の玄関前にて
国立科学研究所(CENIC)の玄関前にて
組織培養により大量増殖された苗はポットに移植後ここで育苗される。 写真は植物バイオテクノロジー部門の研究者で、主としてサトウキビを対象に研究を行っている。半数以上が女性研究者である。

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雑 感

 前にも述べたようにキューバはサトウキビの大生産国である。サトウキビの98/99年度の収穫面積は108万ha (日本は2万3,000ha)、サトウキビ生産量は3,700万トン(日本は145万トン)といずれも日本の数10倍の規模である。今回の調査では、首都ハバナから東方のシエゴ・デ・アビラ州までの約400km程度を移動しただけであるが、その間、幹線道路の両側に延々と続く見渡す限りのサトウキビ畑には圧倒された。また、国の基幹作物であるという理由からか、サトウキビに取り組んでいる研究者、学生の数が非常に多いというのも印象深かった。もちろん、各研究機関の施設、設備、機器類はわが国と比較すれば劣っていると思われたが、それらの不利な条件も研究者の数の多さ(人的資源)によって充分補っているように感じられた。
 今回、訪問した先々で、「あなたがここを訪問した最初の日本人のサトウキビ研究者である」ということをよく言われた。両国の付き合いが浅く、また日本人渡航者も少ないため無理もないことではある。今後はキューバで得られた情報を広く公表していくことで、多少なりとも両国のサトウキビ関係者、研究者間の交流に貢献していきたいと考えている。

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引用文献
1)地球の歩き方編集室、地球の歩き方・カリブ海II、1999、ダイヤモンド社
2)山崎耕宇、キューバの農業と稲作、東京農業大学研究所紀要 第9号、P93-96、1998
3)理科年表、国立天文台編、第71冊平成10年1998、1997、丸善
4)カルメン・R・アルフォンソ・H(神代修訳)、キューバガイド、1997、海風書房
5)農畜産業振興事業団、砂糖類情報48、2000
6)N. Bernal, F. Morales, G. Galvez, I. Jorge. Variedades de Cana de azucar Uso ymanejo (サトウキビの品種と利用方法)、1997、INICA, Cuba 7)G. Perez, F. D. Prada、A, Chinea, N. Bernal and J. P. Orelly. Recursos Geneticoc de la Cand de Azucar (サトウキビ遺伝資源)、1997, INICA, Cuba
8)Gil A. Enriquez-Obregon, Roberto I. Vazquez-Padrom、 DmitriL. Prieto-Samsonov, Gustavo A. De la Riva, Guillermo Selman-Housein. Herbicide-resistant sugarcane (Saccharum Officinarum L.) plants by Agrobacterium-mediated transformation, Planta 206 : 20-27, 1998

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