6月の市場は、各統計機関等の発表による2000/01年度の世界の砂糖需給見通しにおいて、供給面では、(1) ブラジルが干ばつの被害の影響、(2) オーストラリアが天候不順の影響、(3) EUが作付面積の減少、(4) ウクライナが作付面積の減少及び干ばつの被害の影響、により減産が見込まれること、また、需要面では、(1) パキスタン及び中国が消費量の増加に伴い輸入の再開が予想されること、(2) イラク、エジプト及びフィリピンが輸入拡大に積極姿勢を示していること、により需要増が見込まれること、等を主な要因として、需給バランスが6年連続の供給過剰から一転して供給不足に向かうことが予想されることから、思惑筋、ファンド筋及び投機筋等の活発な買いによって上伸し、現物価格及び期近7月限価格とも一時は9セント台を記録するなど、17カ月振りの高値水準となり前月に引き続き堅調に推移した。
現在の市場状況について、市場関係者筋は、さとうきび生産地域の生産コストは、ブラジル以外の国々は8セント台(ブラジルは6〜7セント台)と言われており、生産者にとってはやっと明るい展望が開ける状況になってきたと指摘している。
このような状況の中で、現物価格は、最高値が29日の9.27セント、最安値が1日の7.95セント、月平均は前月に比べて1.41セント高の8.72セントとなった。また、期近7月限価格も最高値が29日の9.20セント、最安値が1日の7.79セント、月平均は前月に比べて1.52セント高の8.46セントとなった。
今後の市場動向に関して、欧州の市場関係者筋は、(1) 世界最大の砂糖生産国であるブラジルでの干ばつが長期化する恐れがある、(2) EUとオーストラリアでの減産、(3) ロシアでの予想以上に強い需要が見込まれる、等の支援材料を受けて相場はさらに上昇するとの見通しを示した。
一方、国際砂糖機関(ISO)は、99/2000年度の供給過剰量は223万トンと98/99年度の698万トンから大幅に減少する見込みであるが、過去5年間に積み上がった過剰在庫が相場の圧迫材料となること、また、ブラジルのトレーダー筋は、低迷していた価格が回復基調に転じたのを受けて、同国の製糖業者は価格が生産コストを上回っているうちにできるだけ輸出しようとしていることをあげて、相場は再び下落するとの見通しを示した。
