5月の市場は、砂糖の大口輸入国であるロシアが、一時に比べて国内糖価が軟化したことに伴い輸入を手控えている等の弱材料があったものの、(1) 中国が6年振りに約50万トンの粗糖を買付けたこと、(2) ブラジルがガソリンへのアルコール混合比率を現行の20%から22%に引き上げたことにより、さとうきびの砂糖生産向けが減少すること、さらに、降雨不足により、発電所の貯水量が大幅に低下していることに伴い、政府は、製糖の最盛期を迎える6月から節電、停電政策を実施することを決めたことから、製糖工場の操業や砂糖の輸出業務に支障が出てくる可能性があること、(3) EUが大幅な減産見込みであること、(4) アジア及び中東地域の国々で着実な買付けがあったこと等の支援材料によって上伸し、現物価格は、依然として低水準ながらも概ね10セント前後で先月に引き続き堅調に推移した。
現在の砂糖市場について、市場関係者筋は、ロシアの買付けが小休止の状況となっているものの、世界的な生産の減少と着実な消費の伸びにより、これまでの在庫が減少することが確実な状況となったことから、国際的ファンダメンタルズが上向き、極めて明るい状況となっているとの見方を示している。
このような状況の中で、現物価格は、最高値が8日の10.26セント、最安値が31日の9.54セント、月平均は前月に比べて0.75セント高の10.02セントとなった。また、期近7月限価格は最高値が22日の9.21セント、最安値が31日の8.55セント、月平均は前月に比べて0.91セント高の8.98セントとなった。
今後の市場動向に関して、トレーダー筋は、中国の買付けが最終的にどの程度になるかまだはっきりしない状況であるが、仮に、中国が100万トン程度の買付けであれば、相場への影響も限定される。それを超える買付けになると、相場に与えるインパクトは相当大きくなるとの見方を示している。
さらに、市場関係者筋は、ブラジルがガソリンへのアルコール混合比率を引き上げたことにより、さとうきびの砂糖生産向けが減少することから、同国の輸出規模が今後の最も重要な指標になると指摘している。
また、5月28〜30日にインドのニューデリーで開催された ISO の会合において、カプール議長は、ブラジルを始めとする世界の主要生産国での減産、アジア及びアフリカ地域での着実な消費の伸びが見込まれるものの、過去5年間に積み上がった過剰在庫のため、依然として、下落圧力にさらされる状況が続くとの見方を示している。
