ブラジル、タイ、EU等の増産による世界的な供給過剰が見込まれ、市場関係者の間では、世界の相場は長期的には低調傾向で推移すると見られている。しかし、定期相場は、10月限の納会を30日に控え、ファンド筋の積極的な買いや業者筋などのスプレッド取引きなどにより上昇した。現物相場は、定期相場の動きを追随するかたちで推移し、8セント台を漸次上昇する展開となった。
この結果、現物価格の最安値は5日の8.01セント、最高値は20日の8.95セント、月平均は前月に比べて0.68セント高い8.54セントとなった。また、期近10月限の平均価格は6.72セント、1月限平均価格は6.57セント、3月限平均価格は6.41セント、5月限平均価格は6.12セントと、各限月とも前月から上昇し、先安傾向となっている。
今後の市場動向に関しては、オーストラリアでは干ばつの被害が発生しているものの、
(1) ブラジルでエタノールよりも砂糖の生産を優先させることや通貨レアルの下落により同国からの輸出に弾みが付くとの見方、
(2) 9月4日に閉幕した第8回アジア国際砂糖会議の代表者らが、砂糖相場がさらに1年あるいは2年間、低迷を続けると予想していること、
(3) ISOの幹部が、ブラジルとタイで豊作が見込まれるため、2003年も引き続き供給過剰が予想されると指摘していること
等の影響が注目される。また、定期市場ではファンド筋等のロングポジションが10万枚程度に達していると見られており、これを手仕舞うこととなった場合の相場への影響も注目されている。
