2.今後の動き
今後の動向に関しては、ファンド筋による影響が薄れるにつれて、砂糖本来の需給要因が反映されると見られる。現在の砂糖市場を取り巻く情勢を見ると、相場の強材料としては、
(1) キューバにおける02/03年度のさとうきびの生産量は、当初の見通から大幅に減少し、200万トン台を割り込むと予測されていること
(2) 原油相場が沈静化したことから、割高だったタンカーの輸送料が下落し、ロシアからの買い付けが期待されると見られていること
(3) 03/04年度のさとうきび収穫作業が開始されているブラジル中・南部で、降雨により収穫作業が遅れていること
(4) ドイツにおいて03/04年産ビートに霜害が発生したこと
が挙げられる。一方、弱材料としては、
(1) ブラジル、タイ、オーストラリア等主要生産国において、02/03年産さとうきびが増産になったことから、世界の砂糖需給バランスが依然として供給過剰であり、さらに、ブラジルの03/04年産さとうきびの増産が見込まれていること
(2) ブラジルにおいて、エタノールのガソリンへの混合率が、6月に20%から25%に引き上げられる等、エタノールの在庫不足は次第に解消されると見られていること
(3) イラク戦争終結後の復興需要は、イラクを含む中東諸国があらかじめ在庫を確保していたことから、期待薄と見られていること
(4) カーギル社が3月限納会で現受けした砂糖に対して、荷余り感が持たれていること
等が挙げられ、砂糖を取り巻く情勢は、相対的に相場の弱材料が強いと見られている。
このような情勢の中で、砂糖の主要な生産国であるブラジル、タイ、オーストラリア、南アフリカ及びグアテマラの5ヶ国は、5月にタイで会合を開催する。会合では、砂糖相場のてこ入れを図るために、砂糖の生産と供給を協調して調整することが検討されると言われている。これら5ヶ国の砂糖の生産量は世界全体の3割弱であるが、輸出量は約6割を占めており、この取組は、世界の砂糖相場に一定の影響を及ぼすことになると考えられる。
世界の砂糖相場が6セント台の水準でも、砂糖の生産を維持できると見られるブラジルが、他の4ヶ国と協調することになれば、世界の砂糖相場が6セント台で推移する可能性は低くなると予測される。