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海外市場の動き[1999年2月]

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最終更新日:2010年3月6日

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砂糖類をめぐる海外の動き
[1999年2月]

[NY砂糖市場の動き]

【NY砂糖市場の動き】

 12月の前半は、(1) ロシア政府が8月1日から適用している砂糖に対する高率関税を、粗糖は1999年1月1日から現行の75%を1%に、白糖は同年2月15日から現行の45%を20%に引き下げ、また、7月1日からは一転して、粗糖は5%、白糖は30%に、8月1日から粗糖、白糖とも45%に引き上げる決定をした。こうした関税の上げ下げは、ロシア国内のビート収穫期には輸入を抑制し、収穫後に製糖工場が空いたところで輸入粗糖を精製するという効率を狙ったものと見られる。そのため、輸入期間は1月から7月までの間ということで、引き続き資金難が取り沙汰されているものの、同国が近い将来買い付けに動く可能性があること、(2) イラン、ウズベキスタン及びスリランカの小口の買い付けが入ったこと、(3) 台湾及びシリアの定期的な買い付けが入ったこと、等が強材料となって、現物価格は8¢台後半、期近3月限価格は8¢台前半で推移し、前月からの堅調な展開を受けて推移した。
 しかしながら、月半ばには、国際砂糖機関 (ISO) が需給に関する報告書の中で、98/99年度の世界の砂糖余剰生産高を、10月に予想した99万2千トンから104万7千トンに上方修正し、4年連続で過剰生産になると予想したことによって8¢台前半まで反落した。その後もクリスマス休暇を挟んで閑散な商いとなって、軟調に推移した。
 12月の現物価格は、最高値が1日に8.96¢、最安値が22日の8.06¢、月平均値は、前月に比べて0.14¢安い8.59¢であった。また、期近3月限価格は、最高値が1日の8.31¢、最安値が23日の7.53¢、月平均値は、前月に比べて0.21¢安い7.96¢であった。このように現物価格、期近3月限価格とも狭いレンジの中で推移した。
 この1年を振り返ってみると、1998年のニューヨーク砂糖相場は、生産増加や需要減退を背景に下落基調をたどり、この1年間で約35%も値を下げたことになる。
 今後の市場動向に関して、トレーダー筋は、強材料として、(1) ロシアの買い付け→98/99年度のロシアの砂糖需給は、生産量が133万トン、消費量が525万トン、要輸入量が392万トンと見込まれる。ここから在庫増加分と消費減を差し引いても300万トンの買付けが必要と見込まれる。(2) アジア諸国の買い付けが回復→アジア諸国は経済危機で買い付けを見送った分、国内在庫が大幅に減少しており、自国の生産が一巡した後は一定量を買い付けざるを得ないとみられ、その筆頭はインドネシアである。(3) ブラジルの輸出がピークを超す→ブラジルの砂糖生産は6月に始まり10月がピークで、それ以降は生産量が落ち、これに比例して輸出量も減少する。(4) 中南米4ヵ国が減産を模索→中南米4ヵ国 (メキシコ、グアテマラ、コロンビア、ブラジル) は、具体的方策は未決定ながらも、供給過剰による価格下落を回避するため、減産を模索することとした、などをあげている。
 一方、弱材料として、(1) 中国の買付けは期待簿→中国は2年連続で800万トン台後半の生産量になる見通しで、この結果、自給を達成する見込みである。(2) 98/99年産のタイ産糖の出回り→タイは、製糖会社と銀行との金融問題が決着して順次操業を開始しており、現在の推定生産量は前年比4.4%増の452万トンになると見込まれる。(3) ブラジルのアルコール向けさとうきびの減少→ブラジルは、アルコール需要が低調なことから砂糖向けのさとうきびが増え、余剰玉は市場に出回る、などをあげている。以上のような強、弱材料要因の動向次第によっては、1999年のニューヨーク砂糖相場の基調の転換があるものと予測している。
〔輸入農産部〕