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海外市場の動き[1999年12月]

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最終更新日:2010年3月6日

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砂糖類をめぐる海外の動き
[1999年12月]

[NY市場の動き]

【NY市場の動き】

 10月の市場は、結果的には弱材料と強材料が保ち合う形となって展開し、依然として安値水準ながら現物価格及び期近3月限価格とも前月に引き続き狭いレンジの中で底堅い展開が続いた。具体的には、弱材料として(1)ロシアは今年の粗糖輸入量が、必要輸入量である370万トンを大幅に上回る過去最高の550万トンから600万トン程度になったことから、来年度の買い付け量が大幅に減少する見込みである、(2)中国は人工甘味料への依存度が高い上、今月から砂糖を輸入制限品目(関税及び付加価値税を前納する)に指定したことから、当面輸入が難しくなってきた、(3)タイは天候に恵まれたことにより増産の見込みである、(4)キューバは砂糖生産における機械化の整備及び工場の老朽化の改修など、構造的な諸問題を徐々に解決し生産が回復する見込みである、などがあった。強材料としては、(1)ブラジルは国内糖価が大幅に上昇してきていることから、輸出向けの玉を国内向けに転換する可能性がある。また、アルコール需要の回復によって、今年度より多くの比率でさとうきびをアルコール製造用に仕向けると見込まれることから、先行き砂糖生産が下方修正される確率が高い。さらに、砂糖生産は中南部地域で収穫後の新植が少ないことから2000/01年度は減産の見込みである、(2)EUは今年前半の世界市場価格の低迷で輸出補助金が急増し、2000年度に使用できる補助金が残り少なくなってきていることから、補助金の不足分は生産税として追徴することが検討されており、これが減産要因になるものと見込まれる。また、補助金農業そのものの見直しが予想される、(3)イラン、チュニジア及び台湾の買い付け、などがあった。
 このような状況の中で、現物価格は、最高値が25日の7.30セント、最安値が18日の6.56セント、月平均は前月に比べて0.08セントや巣の6.90セントとなった。また、期近3月限価格は、最高値が25日の7.25セント、最安値が18日の6.46セント、月平均は前月に比べて0.23セント安の6.83セントとなり、現物価格及び期近3月限価格とも前月より僅かながら下落した。
 今後の市場動向に関して、国際砂糖機関(ISO)の主任エコノミスト、トニー・ハンナ氏は、余剰在庫が世界の砂糖相場を圧迫し続けていることから、今後3、4年間は低迷が続き、その結果、多くの砂糖生産者が減産に向かう可能性があるとの見方を示した。
 同時に、「生産者への補助金制度を採用しているEU、低コストでさとうきびを生産しているブラジル、コロンビア及びグアテマラなどは減産に向かう可能性は低く、特に、ブラジルの生産コストは、推定でポンド当たり4.0から4.3セントとタイ、オーストラリア及びキューバなどを大幅に下回っており、相場がポンド当たり5セントを下回らなければ、同国単独で減産行動をとる可能性非常に少なく、今後同国の市場シェアは拡大するだろう。」「オーストラリア及びタイは、さとうきび生産からほかの農作物へ転換する可能性があり、特にオーストラリアに関しては、政府による砂糖産業への支援が見込まれないことから、今後同国の市場シェアは縮小するだろう。」「世界貿易機関(WTO)による規制によって、EUの生産枠が50万トン削減される可能性があるが、国際相場を押し上げるには少なすぎる数量である。」と述べた。
〔輸入農産部〕