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粗糖以外の砂糖の輸入動向について〜輸入指定糖機構売買実績より〜

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点

[2007年12月]

特産業務第一部特産管理課



 海外から日本へ輸入される砂糖の大部分は粗糖で、国内精製糖企業により精製され、ユーザーや消費者のもとへ届けられる。また、少量であるが海外で精製、加工等が行われた精製糖や氷砂糖、角砂糖など粗糖以外の砂糖が輸入されている。今回はこのような粗糖以外の砂糖の輸入について、近年の動向を紹介する。

1.砂糖の分類

 平成18砂糖年度(18年10月〜19年9月)におけるわが国の砂糖の消費量は約217万トンの見込み(農林水産省「平成18砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給実績見込み」より)となっている。そのうち約3分の2の134万トンが輸入されている。
 輸入される砂糖を「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律(以下、「価格調整法」と略す。)」によって分類すると、「分みつ糖」と「含みつ糖」(黒砂糖等)に大別され、価格調整法の対象となる分みつ糖は、「粗糖」(精製糖の原料)と「粗糖以外の砂糖」に分けられる。
 粗糖以外の砂糖は、精製糖、角砂糖、氷砂糖、特殊糖、混合糖に分類される。
 これらの定義、用途は次のとおりである。

・精製糖― さとうきび又はてん菜を原料とする分みつをした砂糖。主にグラニュー糖や上白糖など。
・角砂糖― 角砂糖その他これに類するもの(香味料を加えたもの及び着色したものを含む。)
・氷砂糖― 氷砂糖その他これに類するもの(香味料を加えたもの及び着色したものを含む。)
・特殊糖― 分みつをした砂糖のうち、粗糖、精製糖、氷砂糖及び角砂糖以外のもの。粉糖、液糖、香味着色した砂糖などがある。洋菓子にバニラ風味を出すためや、ポップコーンの味付けに使用される。液糖は、コーヒーショップでシロップとして販売されるほか、清涼飲料の製造原料としても使用される。
・混合糖― 上記の分みつ糖と砂糖以外の糖(ぶどう糖、果糖等)を混合した糖。製菓・製パンの原料として使用される。

2.砂糖の輸入動向について

 近年の砂糖の総輸入量は、表1のとおり平成15事業年度(事業年度は当年4月から翌年3月、以下同じ。)まで140万トン台で推移していたが、平成16事業年度以降、130万トン台となっている。粗糖以外の砂糖においては、平成8〜10年頃のベルギーワッフルブームに乗ったベルギー産角砂糖の輸入増加が特徴的であったが、最近では精製糖と液糖(砂糖水)の輸入に変化が現れているので紹介する。


表1 砂糖の輸入量の推移
(単位:トン)
(注)1.機構売買実績のうち調整金の納付対象数量である。
   2.トン未満は四捨五入。

(1) 精製糖の動き
 精製糖のうちオーガニックシュガー(オーガニック(有機)と表示される砂糖をいう。以下同じ)の輸入量は、昨今の消費者の健康志向を背景とした有機農産物及び有機加工食品の需要に比例して増加してきている。
 平成15事業年度に600トン台だった輸入量は、翌年度には一気に1,100トン台へと増加し、これまでの年間輸入量で最高となった。その後も1,000トンを上回る輸入量で推移している。(表2−1)この背景としてオーガニックシュガーを購入する消費者が定着したことが一つの要因であろうと思われる。また、輸入国別ではブラジルが最も多く次いでアメリカとなっている。(表2−2)用途は主に菓子、ジャム、ケチャップのなどの原料として使用されている。
 なお、平成16事業年度以降、パラグアイ、オーストラリア、キューバ、アルゼンチンなど、ブラジルやアメリカ以外からの輸入量が拡大していることも特徴的である。

表2-2
オーガニックシュガーの事業年度別輸入量の推移
表2-1 
精製糖とオーガニックシュガーの事業年度別輸入量の推移

(2) 液糖(砂糖水)の動き
 平成16事業年度より液糖(砂糖水)の輸入量が大幅に増加している。平成18事業年度の輸入量は、1,138トンで精製糖の輸入量と同程度になっている(表1参照)。増加した主な要因としては、シアトル系コーヒーチェーン店の店舗数拡大に伴うフレーバーシロップの輸入増が挙げられる。フレーバーシロップにはキャラメル、バニラ、シナモン、ヘイゼルナッツなど様々な味付けのされた製品が40種類程度あり、ビン詰め入りで主にアメリカやオーストラリアから輸入されている。砂糖含有率は、製品によって多少の差異はあるが、おおむね50%程度である。

3.まとめ

 以上のように、わが国における粗糖以外の砂糖の輸入量には、近年において特徴的な変化が見られる。その背景には日本人の食に対する嗜好の変化や消費者が食品への安全性を重視する傾向があると思われる。

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