砂糖の結晶 |
(1)ロック氷糖
砂糖溶液(母液)を四角いステンレスの容器の中に入れて結晶室に静置し、自然に結晶が大きくなるのを待つ。氷砂糖生産の基本形式で、我が国で氷砂糖の生産が開始された時は全てこの製法であった。明治時代には陶製のハチが使われたが、大正時代からはブリキ製の角皿となり、現在ではステンレス皿が使用されている。 図表の「氷砂糖のできるまで」を見るとおわかりいただけるように結晶皿を50〜60℃に保って、2週間程静置して自然に結晶させることが必要なため、熱源も大切なポイントとなる。図の下段、昔の作り方と現在との相違は、結晶室での日数にある。炭火や電気ヒーターの時代とスチームをコンピュータ制御で温湿度の管理をする現在とは大きく異なっている。更に結晶室への出し入れは今でも人手による作業が多いが、生産性、安全性又衛生面を考慮した全自動の生産ラインも一部の工場では稼動している。
このように自然に結晶させたロック氷糖は3〜5センチ位のブロック状の塊となるため、使いやすい大きさにふるい分けして包装される。
(2)クリスタル氷糖
内部に仕切りのある円筒形の網目状ドラム(図表のクリスタル氷糖の工程参照)を回転させ、ドラムの中に入れた核となる小さな粒子の氷砂糖を砂糖溶液(母液)の中へ出し入れさせて結晶が大きくなるのを促進させる。 機械的に砂糖溶液(母液)と空気に交互に接触させるので、水分の蒸発が早く3〜4日と短い日数で結晶を作ることが可能となる。形状もグラニュー糖を拡大して見たのと同じの正方形状の立方体となり、比較的均一で同じような結晶が出来る事から、クリスタル氷糖といわれている。製法上の特徴として固い結晶が出来、同じ大きさのロックとクリスタルを口の中に入れると、表面に凸凹のあるロックの甘味がソフトに感じられる。ロックに比べ大量生産が可能なため、市場へはクリスタル氷糖が多く出まわっているが、最近では自然結晶方式で作るロック氷糖の良さが見直されている。