氷砂糖の用途
全日本氷糖工業組合
蔗糖の大きな結晶である氷砂糖は、昔は携帯しやすく保存性が良い栄養食品として、珍重されていた。また、戦前から戦後にかけては、さっぱりとしたまろやかな甘さから、キャンディーとして多くの人々に愛用されてきた。最近では梅酒、果実酒や梅シロップ作りに70%以上が使用され、和菓子などの高級な甘味や家庭での料理などにも使われている。又、一時はコーヒーシュガーとして爆発的な人気で増加したが、そのブームも去り大幅に減少している。過去10年の氷砂糖の家庭での用途(図1)や氷砂糖の種類別生産量(図2)の変化を下図に示した。
図1 家庭での氷砂糖の用途 |
平成14年
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平成5年
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図2 氷砂糖の種類別生産量 |
平成14年
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平成5年
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梅酒、果実酒、梅シロップ
氷砂糖が一番多く使用されるのは、梅酒作りである。家庭で簡単においしく作ることが出来るので、6月の青梅シーズンに毎年作る人も多い。アンケート調査結果によると、梅酒を作った人の1/3は毎年、1/3が2〜3年に1回、残りの1/3が初めての梅酒作りの挑戦となっている。近年は梅酒そのものがいろいろと市販されているが、手づくりを楽しみに感じている人も多い。又、シーズンには市販梅酒のコマーシャルをみて自分で作るという人も少なくない。さらに最近では、アルコールを使わないで作る梅シロップが急激に増え、梅関連の40%位を占めるようになった。小さな子供がおいしいと言って飲む口当たりの良さ、ノンアルコールが母親に与える安心感が大きく寄与している。
家庭での梅酒、梅シロップ作りに氷砂糖が使用される最大の理由は、普通の砂糖ではビン底に砂糖が固まり溶けなくなるからである(写真)。
更に、浸透圧で出てくる梅のエキスを含む水分は、別表の如く梅シロップで最大となり、梅の重量の75%が浸出して梅はシワシワになる。又、ロック氷糖がクリスタル氷糖より早く完全に溶けるが、これは自然に結晶したことによると思われる。ブドウ糖など単糖類では梅にしわが出来ず、青梅と同じ丸いままであり、コクのある梅酒は出来ないが、梅の実も食べたいという人には適している。
その他の用途としては、料理用に使う人も多くなってきている。料理の本に「こだわりの煮物」などのレシピが掲載され、甘味に氷砂糖が使用されたりすることも影響していると思われる。高級な和菓子やケーキなどの甘味用としての氷砂糖も増加傾向にある。以前から極上の羊かんや最中のあんには使われていたが、より美味なお菓子を作るため、材料もいろいろ研究されるようになった結果、氷砂糖が使われるケースが増えている。そして最近では原料がさとうきびかビート(砂糖大根)かをはっきりさせるようにとの要望が出る程、消費者の見方も厳しくなってきている。
写真:氷砂糖と砂糖の違い |
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・溶けるのが早い
・梅の香りがよく出て
シロップ量も多い |
・溶けないで便底に固まる
・梅の香り薄く、
シロップ量も少ない |
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図3 浸透圧による梅水分の抽出割合 |
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(参考) |
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材料… |
氷砂糖0.8〜1kg
梅1kg
ホワイトリカー1.8リットル
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(1) |
青梅またはやや黄色に熟した梅を洗って水気をよくふきとります。 |
(2) |
梅、氷砂糖、ホワイトリカーの順にビンに入れます。 |
(3) |
6ヶ月で出来上がりますが、1年から3年経ったものが色、味、香りともすばらしくなります。 |
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材料… |
青梅1kg
氷砂糖1kg
食酢(又はホワイトリカー35°) 150cc〜200cc
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(1) |
新鮮な青梅を洗って水気をよくふきとります。 |
(2) |
ビンの中へ梅と氷砂糖を3分の1ぐらいずつ交互に入れます。発酵して泡が出やすいので最後に食酢(又はホワイトリカー35°)を150cc〜200cc入れ、時々ビンを逆さにしてすみずみまで梅をぬらして下さい。3週間で梅がシワシワになり、約1.6リットルの梅シロップができあがります。エキス分の抽出された梅はタネと皮だけになるので処分して下さい。ビンに移しかえて冷暗所かなるべく冷蔵庫に保存して下さい。 |
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