黒砂糖について (3)
沖縄県黒砂糖工業会
〜黒砂糖と健康〜
コレステロール・中性脂肪の低下に
黒砂糖の効用として第一にあげられるのは血液中のコレステロールや中性脂肪の低下作用です。これは、琉球大学名誉教授である尚弘子氏のネズミを使っての研究ですが、黒砂糖に含まれるワックス成分の効用といわれます。ワックス成分とは、さとうきびの茎の表皮についている植物を保護する脂質成分のことです。
まだコレステロール低下作用のメカニズムは解明されていませんが、これが血清や肝臓のコレステロールだけでなく、中性脂肪の増加も抑制するという結果が発表され、話題を呼んでいます。
ストレスへの抵抗力の増強に
黒砂糖の食品機能について、「生物活性を高める、ストレスに対する抵抗力を促進する、生殖機能を高める、虫歯予防の働きがある」と、その健康増進の効用についてお茶の水女子大学の藤巻正学長は講演を行っています。
この効用は、旧ソ連の学者が著した「黒砂糖と健康」という小冊子のデータに基づいています。これによるとビート糖や甘蔗糖には朝鮮にんじんに匹敵するレベルの効用があると記されており、それらを動物に与えると仕事の持続性があらわれる、作業能力を高めると紹介されています。
カリウムで血圧降下作用も
健康増進とのかかわりで、尚弘子教授は黒砂糖にずば抜けて多いカリウムに注目したいと話しています。カリウムは体内でナトリウムとともに細胞内液の浸透圧を正常に保ったり、心臓や筋肉の機能調節に重要な働きをしている成分です。カリウムをたくさんとると、ナトリウムを伴って尿に排泄する効用があり、血圧降下作用があるといわれています。
以上、黒砂糖の効用を述べましたが、健康はひとつの食品だけによって支えられるものではありません。いろいろの栄養成分、つまり各種の食品を過不足なくとってはじめて健康が保持されるのです。化学的精製過程で失われつつある栄養成分を大切にし、嗜好に走ることなく、知恵のある食生活を送ることが個人の健康を支え、ひいては社会の活力を生むということでしょう。