今回は前月号に引き続いて糖アルコールの主な特徴と用途を述べ、また糖アルコールの市場規模や今後の展望などについて述べたいと思います。
[5] 還元パラチノース
還元パラチノースは、虫歯になり難いとされるパラチノースに水素を添加した糖アルコールで、低カロリーかつ吸湿性が低くさらっとした甘味が特長です。この特長を活かして日本ではキャンディーへの使用が中心ですが最近になってガムや錠菓などにも使われ始めています。吸湿性が低いため、砂糖・水飴で作るキャンディーに比べ表面のべたつきが起こり難く、また耐熱性に優れているため、透明なキャンディーとなります。
ガムへの使用は他の糖アルコールとの併用が多く、「キシリトール」や「マルチトール」との組み合わせが多く見られます。また、低吸湿性が評価されて健康食品のタブレットなどにも幅広く使われるようになってきています。
[6] キシリトール
キシリトールは糖アルコールの中で唯一砂糖と同等の甘味(常温時)を有しており、溶解する時に熱を奪うため、口中で強い冷涼感、爽快感を感じます。また、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を抑制する効果があり、97年に食品添加物として認可されて以降、ガムやキャンディーへの使用が活発となっています。ガムについては、TVや雑誌などのコマーシャルで有名になり、商品名にもキシリトールなどが使われて認知が高まっています。爽快感を活かすために、キャンディー(特にのど飴)や口中洗浄剤および歯磨きにも使用し始めるようになりました。
[7] ラクチトール
ラクチトールは乳糖に水素添加した糖アルコールで、味にクセがなく砂糖と同じ二糖類であることから物性は砂糖に近いです。乳原料利用の食品には味質的に相性が良く甘味を低減する目的で、キャンディーや菓子などに使用されています。中でもシュガーレスチョコレートへの使用が有名ですが、最近ではその低吸湿性を活かし他の糖アルコールとの併用でガムへの利用も増えてきています。
糖アルコールの市場規模
全体の市場としては、以前に比べ増加傾向にあります。日本国内でのさまざまな食品や化粧品、医薬品や健康食品など幅広い分野でそれぞれの特長を活かした使われ方をしています。
右に推定の市場規模をまとめてみました。
これらの糖アルコールは、日本国内で生産される物と諸外国から輸入される物とがあります。遠い国から海を渡って日本国内で使用できるのも糖アルコールが安定性に優れた物質だからです。
これまで主だった糖アルコールについて述べてきましたが、世の中にはこれ以外にも製品化された糖アルコールが存在し、さらにはこれからも、さまざまなニーズに合った糖アルコールが開発されていくと思います。
これからの生活において「健康」というコンセプトを考えた時、食物繊維やオリゴ糖なども食品分野で欠かせない素材となるでしょう。そういった素材と糖アルコールを併用することによって、複数の機能を有した食品が開発されて行くことでしょう。