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お砂糖豆知識[2006年7月]
最終更新日:2010年3月6日
日本人と砂糖(3) |
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栄養学博士 落合 敏 |
〜日本の家庭における砂糖〜 |
去る5月3日、日本テレビの「おもいっきりテレビ」に“脳の疲れを癒す、冷たくて甘いものの効果的な摂り方”をテーマに出演しました。
甘い和菓子の好きな私は、自然に熱が入り、帰宅して早速“小豆あん”を作り、“しるこ”“あんみつ”などに利用し、心身の疲れを癒しました。
あんは、饅頭、餅、団子などに包む(またはまぶす)練り物で、昔は塩で味付けした塩あんでしたが、室町初期の頃から砂糖の輸入に伴い、砂糖を使ったあんが現れ、江戸時代になって砂糖の生産が増加するにしたがって、砂糖あんが定着しました。
あんには、粒あん、つぶしあん、こしあんなどがあります。豆の粒の形を残したまま、やわらかく砂糖で煮あげたものが“粒あん”粒の形を多少残した程度に煮て、皮を除かずに味付けしたものが“つぶしあん”完全に潰して皮を除き、味付けしたものが“こしあん”です。
豆をやわらかくなるまで煮て、ザルに入れ、杓子などで粒を潰し、水を注いでデンプン粒を洗い出し、この汁を布袋に入れ、水分を固く絞ったものが生の“こしあん”です。この生あんを乾燥させたものが“さらしあん”といいます。
生あん100gに対し、砂糖60gの割合で鍋に入れ、焦がさぬように煮詰めながら練り上げると“こしあん”ができます。
一方、あんは含糖率によって“並あん”“中割あん”“上割あん”に分けられ、並あんは生あんに対して75%以下の糖分を加えたもの、中割あんは75〜90%、上割あんは90%以上のものとされています。
私の大好きな「しるこ」は、小豆あんを主体にしたもので、中に餅を入れるのが普通です。関東では粒なしのものが「ごぜんしるこ」、粒があるものが「いなかしるこ」と呼ばれ、関西では粒なしのものが「しるこ」、粒があるものが「ぜんざい」と呼ばれています。
いずれのしるこも糖分がブドウ糖に変わり、脳のエネルギーになることで、脳に溜まったストレスを取り除き、気分を安定させてくれます。
脳のエネルギーになるブドウ糖は脳血管から脳細胞に入るために脳関門を通る唯一の栄養素です。脳は1日約120gのブドウ糖をエネルギー源としていますが、脳内に保存することができないので、常にブドウ糖を補給する必要があります。
そこで脳をリフレッシュし、元気を出すものとしておやつに甘いものをとることも必要なのです。しかも、2〜5度に冷やしてとる事が大切です。冷たいという刺激は脳血管を一時的に収縮させますが、その後、脳血管が拡がり、血流がよくなることで脳への栄養が届くようになります。
また、冷たい「しるこ」の材料“小豆”には、脳を丈夫にするレシチンが含まれているので、脳の細胞膜を正常にしてブドウ糖の受け入れをスムーズにできるのです。
レシチンは脳の40%を占める成分で、不足するとイライラや脳疲労を加速させることが分かっています。アメリカのある研究者によると、「神経障害者の脳内にはレシチンの含有量が正常な人の50%しかなかった」と報告されています。
「しるこ」の上手な食べ方は、冷蔵庫で6時間くらいゆっくり冷やすとレシチン鮮度が保たれ、また甘さも増し、一石二鳥となります。
日頃、集中力が低下し、一つの行動が長続きしないなど、脳のリズムが乱れ、脳が疲れ、思考力が低下したなあと思ったら、しるこ、あんみつ、水羊羹、おはぎ、まんじゅうなど甘いものを上手に食べることが大切です。甘いものを食べると太ると思い込み、無理して食べないと逆に転倒事故を起こしやすいなどの報告もありますので自分で手軽に作れるあんを作りおきし、おやつなどに利用したいものです。
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写真1 しるこ |
写真2 おはぎ |