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お砂糖豆知識[2006年8月]
最終更新日:2010年3月6日
日本人と砂糖(4) |
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栄養学博士 落合 敏 |
〜日本の家庭における砂糖〜 |
先日、風邪をひき、のどを痛め、声が出なくなってしまいました。早く治さなければと免疫力を高める食事の工夫を試みました。
その結果、“田楽”が舌触り、のどごし、共に良く、食欲増進にも効果抜群でした。
先ず、いつもより砂糖を多め(25%増)にした“甘味噌”をつくります。
砂糖は消化が速く体の重要なエネルギー源であるので、風邪で体力が衰えている時に摂ると元気が出て、また心にも大きな安定を与えてくれます。
すりごまを加えて、さらに弱火で練りあげます。甘い香ばしい匂いが食欲をそそります。一方、水切りした豆腐を串に刺してかるく焦げ目をつけ、上面に練り味噌をたっぷりぬります。また、茄子を茶せん形に切り、ピーマンと共に揚げた揚げ野菜の上にかけて食べてもよく、ほうれん草やキャベツなどは塩茹でして、練り味噌を和えてもおいしいです。
“田楽”の名は、南北朝の頃からいわれていますが江戸時代になると、各地にこれを名物とする店が出現。もっとも有名だったのは、京都祇園でつくられたもので、味と共に、竹串を2本使うことも評判を高めたといわれております。
後には大阪や江戸にもこれを名乗る店が多くなりました。東海道では近江の石部・草津間の“目川の茶屋”が“菜めし田楽”と呼んで売ったものが評判だったそうです。江戸では、真崎稲荷(現・荒川区南千住)境内の“田楽茶屋”や神田鎌倉河岸の酒店豊魚屋のものが名高かったとのことです。
前者は美味をうたわれた“吉原豆腐”を用い、後者は自店で豆腐をつくり、それをすべて田楽にして店頭の立ち飲み客に売ったそうです。
以上のように“田楽”とは、豆腐を細長く切って、竹串を打ち、甘い練り味噌をぬってあぶった料理をいいます。
砂糖が希少品であった時代、甘味噌を焼いた甘くて香ばしい風味は何より魅力的であったことと思います。
田楽の名は串に刺した豆腐の形が長い棒に横木をつけた鷺足に乗って踊る田楽法師の姿に似ているためだといわれています。
また、食欲もなく、のどの痛みがある時に、のどの痛みを和らげ、少量で高エネルギーを得るため、シロップ、フォンダン、カラメルなどもつくり、常備しました。
砂糖に水を加え、加熱溶解したあと煮詰めていくと、温度が上昇するにつれ、砂糖の状態に変化がでてきます。
シロップは102度〜105度の温度で煮詰め、砂糖濃度は50〜60%くらいで、ホットケーキやゼリーなどのかけ汁としました。季節の果汁を少し加えると風味、香り、さらに舌触り、のど越しをよくしてくれます。
フォンダンは鍋に砂糖と水飴を入れ少々の水を加え加熱し、途中でかき混ぜると砂糖液が飛び散り、まわりに砂糖の結晶ができます。これが中に入ると、荒い結晶をつくりやすくするので静かに煮沸し、3〜4分おきに、はけで鍋の周りについた砂糖を落とし、106〜107度になるまで煮詰めたら、火からおろし、40度にさまして、さらに満遍なく、かくはんします。すると粘りが出て白くなり、キメの細かいフォンダンができます。搾り出すことはできませんので、軟らかいうちに、ビスケットなどにぬって食べると甘くおいしく、高エネルギーが得られます。
保存する場合は手でまとめて容器に入れ、使うときは湯で温めて軟らかくして使うと良いです。
カラメルは砂糖溶液を170〜190度になるまで加熱して砂糖を香ばしく焦がしたものです。メイラード反応(糖とアミノ酸やタンパク質が反応して起こるもの)によって、褐色の“メラノイジン”を形成したものです。
メラノイジンは抗酸化作用があるので、カラメルに少量の水を加えてソースにしたり、プリンなどにかけ、風邪のときだけでなく、日常の料理に大いに利用したいものです。